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栄村復興への歩み
2011年3月に震度6強の地震で被災した長野県栄村で暮らす松尾真のレポートを更新しています。

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野々海をもっともっと活かそう!



 梅雨が明け、気温が午前中から30℃を超えた20日の昼すぎ、私は上の写真の小径(こみち)を歩いていました。どのあたりか、わかるでしょうか?
 深坂峠から少し下ったところの道脇に下の写真のような標識が立っています。信越トレイルの案内板です。



 ここから上写真のようなブナ林の中の小径を進むと、大きな湿原に出ます。野々海の「東窓」です。キャンプ場の横ですね。


木道が整備されている東窓
 
 わずか450mほどの距離ですが、ブナ林が直射日光を遮ってくれて涼しく、とても快適でした。

 この後、野々海池の堤に行きました。
 ここは直射日光を遮るものはないのですが、湖面を流れてくる風がじつに涼しく、最高です。


湖面を流れてくる風が心地よい(野々海大明神のすぐそばにて)

 そして、赤トンボ、オニヤンマ、さらに複数種のチョウが舞っています。


滑空するオニヤンマ

     
水際にとまる赤トンボ



     
アカモノの花が落花した後の実。

 ここまでの写真はすべて20日昼頃に撮影したものですが、さらに次をご覧ください。



 この写真は7月15日の朝5時18分に野々海池の堤で撮ったもの。朝陽が昇ってくるところです。
 午前4時半頃にスキー場から上りましたが、車の窓を閉めていても涼しかったですね。
 早起きした甲斐があって、いいものを見ることができました。
  
 さて、季節を変えて、5月中旬だと、野々海ではまだまだ雪が楽しめます。村の人は「雪はウンザリ」と思われるかもしれませんが、都会の人にとっては最高でしょう。


 
 さらに秋も見てみましょう。
 秋と言えば、当然、紅葉がメインですが、下の写真は雨に煙る野々海の紅葉の様子です(昨年10月22日朝撮影)。



 これがじつに素晴らしいのですね。とても幻想的な雰囲気です。
 秋の野々海観光のバリエーションが一つ増えたと思います。

企画の制作と情報発信、営業活動が必要
 でも、いくら素晴らしい景色、環境、素材があるからといって、それだけでお客さんがやって来るわけではありません。

 まず第1に、多くの人に野々海の素晴らしさを知らせること、情報発信が必要です。
 昨年秋も、今年の6月も、野々海で多くの他県ナンバー車に出会いました。「知る人ぞ知る」名所なのですが、その認知度を100%以上アップすることが必要です。
 それには、観光関係者などが頻繁に野々海に行き、紅葉や雪融け、ミズバショウの開花などについて、小まめに情報発信をすることが求められます。また、“見るポイント”についての案内(地図、表示板)も必要です。

 第2に、企画です。
   “おいこっと”で11時着→バスで野々海へ(地元手作りの美味
   しい弁当)→温泉→4時発の“おいこっと”


 これは1例ですが、こんな企画を作り、JR東日本、森宮交通、長野交通などに持ち込み、観光商品化を図ることです。野々海の紅葉期は、遠くから紅葉を眺めるのではなく、ブナの木肌の感覚をじかに感じとれる身近さで紅葉を楽しめるという特性、優れた点をもっています。5〜6月だったら、雪の上を歩くという季節外れの素晴らしい体験ができます。
 飯山市や須坂市はこういう旅行企画商品を開発し、北陸新幹線などの車内に置かれている広報誌などに掲載されています。きっと必死の営業活動を展開されているのでしょう。
 「“おいこっと”が森宮野原駅に停まるのは10分間だけ。これでは商売できない」(村議会での村長発言)というような貧弱な発想では観光の発展はありえません。魅力的な観光プランで“おいこっと”乗客に森宮野原で下車してもらうのです。
 
 “野々海の豊かな資源をもっともっと活かそう”を合言葉に、みなさんから多様な情報、アイディアが寄せられることを期待したいと思います。
 

トチの根こぶ、二ホンミツバチの続報

 前号で「トチの根こぶ」を紹介しましたが、北野集落の桑原隆次さんから、根こぶを加工した装飾品を見せていただきました。ご紹介します。



 写真左がそれですが、とても素敵ですね。右は栃の木で製作されたお盆です。
 「根こぶはいくらでもとれますよ」と隆次さんは言っておられました。こういう技も継承し、直売所や観光スポットで手軽に鑑賞し、入手できるようんしたいですね。

 また、前号で紹介した斉藤克己さんの二ホンミツバチ。
 12日に1つの巣箱から蜂蜜を採取されましたが、15日、それをビンに入れたものを見せていただきました。



 なんとも言えぬいい色をしていますね。
 

トチノキの根こぶ

 8日午前、屋敷を配達に廻ったとき、珍しいものを見せていただきました。栃の木の根こぶです。



 山田信作さんが朝、上野原でとってこられたもの。ちょうど庭におろされたところに出会い、写真を撮らせていただきました。
 栃の木の根にできる瘤(こぶ)なのですね。信作さんは「話には聞いていたが、こうして入手できたのは初めて」とのこと。写真右下に根を切った箇所が見えます。
 一種の根の病気なのかもしれませんが、飾り物などを作るのにいい、独特の木目をしているそうです。皮をむいて乾燥させ、その後、木目がきれいに出るように切るとのことです。
 どんなものか、切った後のものも是非、見たいものですね。


夏の栄村を楽しむ




 青倉・西山田でオカトラノオにとまるチョウの姿。この場所、平素はウラギンヒョウモンの姿が多いのですが、これはミスジチョウではないかと思うのですが、詳しい方、いかがでしょうか?
 チョウが群れるスポットというものがあります。西山田の棚田の法面のある一角とか、貝立山裏のブナ林、野々海池の近くとか。そんな場所を求めて歩くのはとても楽しいです。ご希望の方、ご案内します。



 上は天地〜野口間の道路脇で8日夕に撮ったもの。ヨツバヒヨドリの花。淡紅色の花冠がいいです。
 よく似たものにヒヨドリバナがあります。大きな違いは葉のつき方。ヨツバヒヨドリは輪生。ヒヨドリバナは2枚の対生。チョウが蜜を吸いに群れる花の1つです。

 

野々海開き

 7月1日、野々海池の堤上、野々海大明神の前で恒例の「野々海開き」が行われました。
 あいにくの雨で祈願祭への参加者は少なかったのですが、参加者のみなさんは豊作と信越トレイルで野々海を訪れる人たちの安全を祈願されました。


 
 今年は野々海水路の完成から60年。記念すべき年です。人力のみで堤を築く、そして手掘りで隧道を掘るという偉業を成し遂げた先人に思いを馳せ、改めて感謝したいと思います。
 野々海水路の隧(ずい)道(どう)(トンネル)には傷みが生じていて、今年度、その修理のために県の中山間総合整備事業の予算がつきました。
 野々海の水路は関係5集落(森、青倉、横倉、平滝、白鳥)のみなさんの手による普請、水番管理によって維持されていますが、野々海池は田んぼに雪融け水を届け、豊かな実りをもたらす、そしてまた、野々海池周辺の豊かな自然と素晴らしい景観で全国各地から多くの人たちを引き寄せる、栄村の大きな財産です。
 野々海池と水路を維持するためにさらに関心を高めていきたいと思います。


17、18日撮影の写真から



アスチルベという花のようだ。
東アジア、北米に約25種が分布し、日本にもアワモリショウマ、チダケサシなど6種が自生するという。
栄村では庭に咲いている人に尋ねると、「トリアシだよ」と言われたが、トリアシショウマと同じユキノシタ科に属す。Wikipediaでは「ショウマの別名をもつ」と紹介されている。

白色、赤色それぞれのクローズアップも。





近くにはピンクのものも。



 以上、いずれも2015年6月17日午前、大久保集落のあるお宅の庭にて。

ヤギの乳搾りの様子


6月17日夕。



ヤギの乳は飼育舎の中で搾ると、ヤギの体臭が移ることがある。飼育舎の外の広々としたところで搾乳。
搾っているのは上倉重平さん(平滝集落)。2年前からヤギを飼う。昨秋、交配に成功し、今春、2頭の赤ちゃんが誕生。5月から搾乳している。
母ヤギのピピーは搾乳中も黙々と草を食べている。


搾った後、濾し布で濾す。



搾れたのは牛乳瓶4本分。容器は牛乳瓶が最適。ペットボトルなどを使うと、容器のにおいが移る
この後、65℃くらいで加熱殺菌。
とても甘くておいしいミルクだそうだ。



搾乳中、子どもたちは近くで跳びはねたりして遊んでいる。
搾乳の後、飼育舎の戻すと、早速、2頭の子ヤギがおっぱいを吸う。






6月18日、青倉から野々海にむかう途上で観察した卵。この日はこの写真しかないが、10日撮影のものが次の写真。



ある人から、「サンショウウオの卵ではないか。クロサンショウウオの卵に似ている」と連絡をもらった。たしかに撮影地点の近くはサンショウウオが生息していると聞いたことがある。



平滝から上がる道と、青倉から上がる道とが合流する野々海の三叉路のそばの沼地。6月18日昼で、まだかなりの雪が残る。


写真の真ん中に見えるのは水中の雪。



沼地の周りにはミズバショウが開花している。



野々海峠にむかう林道温井野々海線の道路脇のミズバショウ群生地。すべて小ぶりなので一時はヒメカイウかと思ったが、花が咲き終わった後のものの葉が大きくなっていたのでミズバショウだろう。

上の写真の奥に見える雪の先にもミズバショウが続いていることを発見。




次は、深坂峠にむかう道路脇の沢のミズバショウ群生地。



ここで東京・青梅市から写真撮影に来られた人と出会う。
こんな写真も撮れた。



18日の野々海での撮影写真はまだまだあるが、ここでひとまずの区切りにする。


栄村復興への歩みNo.256

なんという豊かさ!


 水飛沫(しぶき)を激しく飛ばしながら、滝を落ちる貝立水路。
 スキー場内の道路と青倉・西山田からの農道が交わる三叉路のすぐそば。
 
 スキー場内の道路をどんどん上がり、貝立山の裏側にある水路のかけ口付近に辿り着くと、そこはまだ雪が残る世界。



 青倉・西山田の棚田では、この雪が融けたばかりの水で今日も田植え。
 
 
 この3枚はいずれも6月10日の朝撮影。

 一方、里に近い畑ではアスパラの収穫が始まってもう1ヶ月になろうとしています。5日、6日は気温が低かったが、7日、8日と気温が上がり、滝沢総一郎さんの畑では9日朝、コンテナ10個分の収穫がありました。



 さらに、6月8日夕には泉平の武田充俊さんの畑でズッキーニの収穫が始まりました。



 そして、雪融け水で育まれたお米とこれらの野菜を食材にこんな美味しいものを食べられます。



 アスパラ(さっと湯がいただけ)、ズッキーニを焼いたもの(プラス焼きトマト)をトッピングした初夏カレー。
 
 食べものだけでありません。花々もきれいで、目を楽しませてさせてくれます。


 
 いま、村内のあちこちに咲いているムシトリナデシコ。「配達日誌」の記録を振り返ると、昨年6月8日にその名前を探しあてています。
 ムシトリナデシコほどに多くはありませんが、こちらもかなり見かけることが多いクリンソウ。



 この他、色とりどりの花が咲き乱れるようになってきていますが、標高の高いところに行くと、「もう今年は終わった」と思っていた花に出会ったり、里の近くでは近年ほとんど見られなくなった花が咲いていたりします。


イワウチワ(10日、貝立山裏)


イワナシ(イワゼコ)(5日、白鳥の山)

 そして、ミズバショウ。野々海のそれは今週末〜来週、相当出てくるでしょう。


 
 なんとも豊かで、贅沢な栄村の自然の恵みです。
 これも冬が厳しいものであるがゆえの、自然からのご褒美(ほうび)といってよいのかもしれません。
 この豊かさを豊かさとしてはっきり意識し、村外の人たちにアピールしたり、説明したりできるようになれば、自然のみならず、人との付き合い、そして経済においても豊かな栄村にどんどんなっていくのだと思います。




6月7日の野々海

 今日7日は、野々海の水路普請。関係者のみなさん、朝早くから精を出されていました。
 そんな中、「観光」というのは気が引けるところもあるのですが、お客さまを案内して、午前9時すぎに野々海池到着で行ってきました。
 カメラを構える人がかなり目立ちました。いちばん遠い車両ナンバーは「三重」でした。
 
 とても気に入ったもの2枚をまずご紹介します。





 この2枚目は野々海池から平滝方向に少し下ったところ、野々海水路の円筒分水器のところから森集落へ流れる水路沿いを少し進んだところでの撮影。
 沢の奥に見えている山は苗場山です。
 
 
普請で水番小屋の整備担当の人たち。








これは残雪が結構多いところです。
 東窓の方へ切れ込んで狭くなっているところは、まだ一面雪におおわれています。ただ、今日の日中のような陽気が続けば1〜2日で消えるでしょう。
 
 気になるのはミズバショウの開花状況。



 ただ1株だけ開花していました。他は写真の左側に見えるような芽の状態。でも、今週末が見頃かもしれません。


秋山での1枚



 5月22日に秋山・上野原で撮影したものです。
 花と葉のクローズアップも載せます。




 
 秋山では各所で見かけ、見覚えのある花だと思いましたが、秋山から下りてくると、いろんな所で注意しても見つかりません。
 図鑑『花かおる苗場山』やWebを調べましたが、「オオカサモチ」というのにいちばん似ています。果たして正解でしょうか。
 秋山のみなさん、どんな名前で呼んでおられるか、是非、お教えください。

 

提言:残雪の野々海の積極的活用を

 例年、春の季節あるいは5月を迎えると、とても気になるのが野々海池のことです。
 私が栄村に移ってきた年のGW、栄村の公職にある方のご案内を得て、まだ多くの雪がある野々海池にご案内いただきました。その時の感動を忘れることができません。
 だから、毎年、一日でも早く野々海池に行きたいと思います。
 しかし、これまで2〜3回、雪が残る野々海池を撮影し、ブログに掲載したところ、「野々海は通行禁止ですよ」と役場から注意を受けました。いずれの場合も商工観光課の職員からでした。ために、印刷した野々海の写真の配布を断念したこともあります。

 今日は、「車両通行止め」の看板はありましたが、農作業のためにその地点より上に行かれている方もおられるので、「行けるところまで行こう」と考えて進んだところ、道路除雪は済んでいて、野々海池まで辿り着くことができました。
 この「提言」を書くにあたって、商工観光課に問い合わせたところ、「通行止めは産業建設課の決定。商工観光課としても一日でも早く開けてほしい」とのお考え。産業建設課に問い合わせたところ、責任者はご不在でしたが、「6月頭の開通を考えている」とのご返事でした。
 
 以下、私は現在の野々海池の状況をあえて公表し、この野々海池を栄村の観光資源として積極活用するように公開で提言したいと思います。
 あくまでも「提言」のためであって、みなさんが「通行止め」を無視して、野々海に行かれるよう推奨する意図は毛頭ありません。
 除雪の時期を早めれば、その分、除雪経費がかさむことは承知していますが、観光資源の開発・活用には一定の投資も必要だと考えます。村が積極的な検討をされることを切に望むものです。



 野々海池の入り口からの眺めを撮った2枚の写真です。
 池の大部分を雪がおおっていて、素晴らしい景色です。
 下界は午前中から25℃を超える夏日ですが、雪の上をわたってくる冷風がとても心地よい。
 湖面が出ている部分は昨年の同期に比べて小さいように思いますが、その湖面に芽吹きの新緑が映る姿は、紅葉期に勝るとも劣らぬ素晴らしいものです。


 
 池の入り口から水番小屋、堤に下りる道はまだ雪に覆われています。雪に慣れていない人がガイドなしに、この部分に立ち入るのは危険だと思います。



 今日あたり、野々海池の水で耕作が可能になっている青倉などの棚田ゾーンに行くと、水路を流れ落ちる雪融け水の音が耳に届きます。まだ野々海池の調整弁を開けて水を供給することは行われていませんが、余水吐から流れ落ちる雪融け水が標高1000mの野々海から標高350〜500mの棚田に届いているのです。
 
  
 役場がある辺りと比べると標高差は約700m。
 里では5月初旬で終わりになった春の姿を野々海では5月末に見ることができます。


芽吹きの途上。


里では緑がかなり濃くなっていますが、芽吹いたばかりのブナの葉は淡いグリーンで、柔らかな感じがする。

 里ではかなり前に終わったフキノトウが、雪が消えたところの若々しい芽を出しています。
 
 
 


 ミズバショウが美しく咲く東窓の湿原はまだかなりの雪に覆われています。
 ただし、野々海でも陽射しはかなり強いので、現在の天候が続けば、ここ1週間くらいでミズバショウが見られるようになるかもしれません。
 
 この時期にしか撮れない地点からの野々海池の姿も捉えてみました。


 
 野々海の池は入り口から見た場合の右手、東窓の方へ狭くなりながら続いていますが、そのところを東窓の方から見たものです。このあたりはまだ雪が厚くて、少し歩くことができたので撮影できたものです。(当地の雪に慣れない人には撮影は危険です)
 
 湖面の雪そのものも示しておきたいと思います。




 野々海に至る道でもさまざまな出会いがあります。


山桜


コブシ(奥)とヤブデマリ(手前)


野々海から平滝に下る水路



 平滝集落の標高がいちばん高い田んぼ。屋号「田中屋」さんが田起こしをしたうえで、水路の補修をされていた。



 野々海から下ってきた水路が、森にむかう水路と青倉にむかう水路に分かれる円筒分水器のあたりの様子。
 6月7日には野々海の水路普請が予定されているが、それまでにこの雪は消えるのだろうか。
 
 
 以上、豪雪の栄村だからこそ5月末に見られる素晴らしい景観です。
 これを、是非、活用したいものだと思います。