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栄村復興への歩み
2011年3月に震度6強の地震で被災した長野県栄村で暮らす松尾真のレポートを更新しています。

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こんな景色もいいなあ



 栄村の水内地区の上空は北海道と関西を結ぶ民間機の航路になっているようだ。
真っ青な青空を飛んできた関西方面行きの航空機が北アルプスの山並みに沈もうとする夕陽にむかって一直線に降下していくかに見える。
 直前に捉えた機体と、航跡もご覧いただきたい。





 最近、とみに目立つようになってきた東南部の山岳地帯上空の軍用機はご免だが、こういうのはいいなあと思う。

 撮影は、5日夕刻16時すぎ、野々海池にむかう平滝からの道路の標高900m付近。いわゆる「ケンの木」の地点。
 4日の降雪はこのあたりからたっぷりと積もっていた。「ケンの木」までは、「これは野々海池まで行けそうかな」と思っていたが、ケンの木に至っていっきに積雪量が増加。無理をすればもう少し上がれたが、時刻が時刻。雪にはまって動けなくなった車をスコップで掘り出すのは御免蒙りたいので、ここで引き返した。


16時6分撮影。




 関田山脈。夕陽の下、ひと際高く見えるのは鍋倉山か。写真左下には千曲川の水面が夕陽にきらめく。



 ほぼ1ヶ月前に普請をした野々海水路が雪に埋まり始めている。




 こちらは東方向。
 鳥甲山〜三ッ山の連なり。手前に見えるのは大久保集落か。

 これからは雪が深くなり、この地点で撮影できる機会はもう春先までないかもしれない。
 栄村の大地はどんなふうにできているのか?
 自分の目で確かめる試みを続けていきたい。
 

秋山・小赤沢に「お休み処 苗場」がオープン

 秋山を訪れるとき、「あるといいのになあ」と思うのが、「ちょっと一休み。お茶でもしよう」と気軽に立ち寄れるお店。
 18日のお昼をまたいで屋敷、小赤沢の配達に廻ったときも、小赤沢の「ドライブイン苗場」(休業)の敷地内の自販機でコーヒー缶でも買おうかと思ったとき、ふと目に入った看板の様子がなにかちがいました。色が鮮やかで、新しく書き直されたように感じたのです。



 そして、いつもは閉っている「ドライブイン」の建物の方に目をやると、入り口が開いていて、“KEY COFFEE”の案内板が置かれています。
 
 
 
 思いきって中に入り、「やっておられますか?」とお尋ねすると、「はい」のご返事。
 私はじつはお腹が空いていたので、「何ができますか?」と尋ねると、「カレー、ラーメン、うどん、そばですね」とのこと。
 ラーメンをいただきました。麺は「樓蘭さんと同じものを使っています」とのことで、細麺タイプ。ごくごく普通のラーメンですが、とても美味しかった。夕顔を煮たものが2キレ入っていました。ご店主のサービス精神がうかがえます。
 ラーメンの後、コーヒーをお願いしました。コーヒーはオーダーを受けてからドリップされたもので、とてもおいしかったです。
 
 秋山に一休みできるお店ができて、とてもいいですね。
 新しいお店の名前は「お休み処 苗場」です。
 秋山に行かれた折には是非、お立ち寄りください。
 

グルっとまるごと栄村100kmサイクリングと五宝木の人びと



 素晴らしい景色ですね!
 サイクリングが開催された2日、午前9時28分、五宝木トンネルの手前での1枚です。
 選手の顔には素敵な笑みが見えます。
 
 五宝木の人たちと選手たちの交わりの様子をピックアップしてみました。
 











【5枚の写真の説明】
1枚目:福原敏男さん・章子さんご夫婦が山の水を引いて冷たい水を提供された休息ポイント。2枚目:そこに出されたキュウリ、ゼンマイの煮物。3枚目:福原さん宅と休息ポイントの位置関係。4枚目:窓辺に座って選手を見守るおばあちゃん。5枚目:「ここからしばらく上り坂。頑張って!」と声援を送る山田政治さん。

 震災から4年目、久々に五宝木コースを走れるようになった選手たちと五宝木住民のすばらしい交流。
 ここには、栄村の観光の展開にとっても重要なヒントが潜んでいるように思います。
 選手の一人が言っておられました。

    「いいコースですね。信号がない。車が少ない。景色が
     いい。山地コースは関東圏にもありますが、低地で暑
     い。ここは標高が高くて、涼しい風が気持ちいい。」

 私も「復興への歩み」の配達でこのコースをよく走ります。サイクリングだけでなく、ドライブにも最高のコース。このコースをわざわざ選ぶ観光客の方を見かけます。
 こんなコースに、サイクリング開催日のように、「野菜直売無人スタンド」ならぬ「無人休息所」なんてものがあれば最高ですね。平滝の上倉重平さんの無人直売所の経験からいえば、「無人」であっても、人の良心が交わり、充分に成り立っていくと思います。

 ちなみに、このコースを屋敷・切明方向に進み、秋山林道に入ると、下のような素敵なお涼みポイントも(7月30日撮影)。



 栄村観光の資源がかぎりなく存在していますね。
 

野々海をもっともっと活かそう!



 梅雨が明け、気温が午前中から30℃を超えた20日の昼すぎ、私は上の写真の小径(こみち)を歩いていました。どのあたりか、わかるでしょうか?
 深坂峠から少し下ったところの道脇に下の写真のような標識が立っています。信越トレイルの案内板です。



 ここから上写真のようなブナ林の中の小径を進むと、大きな湿原に出ます。野々海の「東窓」です。キャンプ場の横ですね。


木道が整備されている東窓
 
 わずか450mほどの距離ですが、ブナ林が直射日光を遮ってくれて涼しく、とても快適でした。

 この後、野々海池の堤に行きました。
 ここは直射日光を遮るものはないのですが、湖面を流れてくる風がじつに涼しく、最高です。


湖面を流れてくる風が心地よい(野々海大明神のすぐそばにて)

 そして、赤トンボ、オニヤンマ、さらに複数種のチョウが舞っています。


滑空するオニヤンマ

     
水際にとまる赤トンボ



     
アカモノの花が落花した後の実。

 ここまでの写真はすべて20日昼頃に撮影したものですが、さらに次をご覧ください。



 この写真は7月15日の朝5時18分に野々海池の堤で撮ったもの。朝陽が昇ってくるところです。
 午前4時半頃にスキー場から上りましたが、車の窓を閉めていても涼しかったですね。
 早起きした甲斐があって、いいものを見ることができました。
  
 さて、季節を変えて、5月中旬だと、野々海ではまだまだ雪が楽しめます。村の人は「雪はウンザリ」と思われるかもしれませんが、都会の人にとっては最高でしょう。


 
 さらに秋も見てみましょう。
 秋と言えば、当然、紅葉がメインですが、下の写真は雨に煙る野々海の紅葉の様子です(昨年10月22日朝撮影)。



 これがじつに素晴らしいのですね。とても幻想的な雰囲気です。
 秋の野々海観光のバリエーションが一つ増えたと思います。

企画の制作と情報発信、営業活動が必要
 でも、いくら素晴らしい景色、環境、素材があるからといって、それだけでお客さんがやって来るわけではありません。

 まず第1に、多くの人に野々海の素晴らしさを知らせること、情報発信が必要です。
 昨年秋も、今年の6月も、野々海で多くの他県ナンバー車に出会いました。「知る人ぞ知る」名所なのですが、その認知度を100%以上アップすることが必要です。
 それには、観光関係者などが頻繁に野々海に行き、紅葉や雪融け、ミズバショウの開花などについて、小まめに情報発信をすることが求められます。また、“見るポイント”についての案内(地図、表示板)も必要です。

 第2に、企画です。
   “おいこっと”で11時着→バスで野々海へ(地元手作りの美味
   しい弁当)→温泉→4時発の“おいこっと”


 これは1例ですが、こんな企画を作り、JR東日本、森宮交通、長野交通などに持ち込み、観光商品化を図ることです。野々海の紅葉期は、遠くから紅葉を眺めるのではなく、ブナの木肌の感覚をじかに感じとれる身近さで紅葉を楽しめるという特性、優れた点をもっています。5〜6月だったら、雪の上を歩くという季節外れの素晴らしい体験ができます。
 飯山市や須坂市はこういう旅行企画商品を開発し、北陸新幹線などの車内に置かれている広報誌などに掲載されています。きっと必死の営業活動を展開されているのでしょう。
 「“おいこっと”が森宮野原駅に停まるのは10分間だけ。これでは商売できない」(村議会での村長発言)というような貧弱な発想では観光の発展はありえません。魅力的な観光プランで“おいこっと”乗客に森宮野原で下車してもらうのです。
 
 “野々海の豊かな資源をもっともっと活かそう”を合言葉に、みなさんから多様な情報、アイディアが寄せられることを期待したいと思います。
 

トチの根こぶ、二ホンミツバチの続報

 前号で「トチの根こぶ」を紹介しましたが、北野集落の桑原隆次さんから、根こぶを加工した装飾品を見せていただきました。ご紹介します。



 写真左がそれですが、とても素敵ですね。右は栃の木で製作されたお盆です。
 「根こぶはいくらでもとれますよ」と隆次さんは言っておられました。こういう技も継承し、直売所や観光スポットで手軽に鑑賞し、入手できるようんしたいですね。

 また、前号で紹介した斉藤克己さんの二ホンミツバチ。
 12日に1つの巣箱から蜂蜜を採取されましたが、15日、それをビンに入れたものを見せていただきました。



 なんとも言えぬいい色をしていますね。
 

トチノキの根こぶ

 8日午前、屋敷を配達に廻ったとき、珍しいものを見せていただきました。栃の木の根こぶです。



 山田信作さんが朝、上野原でとってこられたもの。ちょうど庭におろされたところに出会い、写真を撮らせていただきました。
 栃の木の根にできる瘤(こぶ)なのですね。信作さんは「話には聞いていたが、こうして入手できたのは初めて」とのこと。写真右下に根を切った箇所が見えます。
 一種の根の病気なのかもしれませんが、飾り物などを作るのにいい、独特の木目をしているそうです。皮をむいて乾燥させ、その後、木目がきれいに出るように切るとのことです。
 どんなものか、切った後のものも是非、見たいものですね。


夏の栄村を楽しむ




 青倉・西山田でオカトラノオにとまるチョウの姿。この場所、平素はウラギンヒョウモンの姿が多いのですが、これはミスジチョウではないかと思うのですが、詳しい方、いかがでしょうか?
 チョウが群れるスポットというものがあります。西山田の棚田の法面のある一角とか、貝立山裏のブナ林、野々海池の近くとか。そんな場所を求めて歩くのはとても楽しいです。ご希望の方、ご案内します。



 上は天地〜野口間の道路脇で8日夕に撮ったもの。ヨツバヒヨドリの花。淡紅色の花冠がいいです。
 よく似たものにヒヨドリバナがあります。大きな違いは葉のつき方。ヨツバヒヨドリは輪生。ヒヨドリバナは2枚の対生。チョウが蜜を吸いに群れる花の1つです。

 

野々海開き

 7月1日、野々海池の堤上、野々海大明神の前で恒例の「野々海開き」が行われました。
 あいにくの雨で祈願祭への参加者は少なかったのですが、参加者のみなさんは豊作と信越トレイルで野々海を訪れる人たちの安全を祈願されました。


 
 今年は野々海水路の完成から60年。記念すべき年です。人力のみで堤を築く、そして手掘りで隧道を掘るという偉業を成し遂げた先人に思いを馳せ、改めて感謝したいと思います。
 野々海水路の隧(ずい)道(どう)(トンネル)には傷みが生じていて、今年度、その修理のために県の中山間総合整備事業の予算がつきました。
 野々海の水路は関係5集落(森、青倉、横倉、平滝、白鳥)のみなさんの手による普請、水番管理によって維持されていますが、野々海池は田んぼに雪融け水を届け、豊かな実りをもたらす、そしてまた、野々海池周辺の豊かな自然と素晴らしい景観で全国各地から多くの人たちを引き寄せる、栄村の大きな財産です。
 野々海池と水路を維持するためにさらに関心を高めていきたいと思います。


17、18日撮影の写真から



アスチルベという花のようだ。
東アジア、北米に約25種が分布し、日本にもアワモリショウマ、チダケサシなど6種が自生するという。
栄村では庭に咲いている人に尋ねると、「トリアシだよ」と言われたが、トリアシショウマと同じユキノシタ科に属す。Wikipediaでは「ショウマの別名をもつ」と紹介されている。

白色、赤色それぞれのクローズアップも。





近くにはピンクのものも。



 以上、いずれも2015年6月17日午前、大久保集落のあるお宅の庭にて。

ヤギの乳搾りの様子


6月17日夕。



ヤギの乳は飼育舎の中で搾ると、ヤギの体臭が移ることがある。飼育舎の外の広々としたところで搾乳。
搾っているのは上倉重平さん(平滝集落)。2年前からヤギを飼う。昨秋、交配に成功し、今春、2頭の赤ちゃんが誕生。5月から搾乳している。
母ヤギのピピーは搾乳中も黙々と草を食べている。


搾った後、濾し布で濾す。



搾れたのは牛乳瓶4本分。容器は牛乳瓶が最適。ペットボトルなどを使うと、容器のにおいが移る
この後、65℃くらいで加熱殺菌。
とても甘くておいしいミルクだそうだ。



搾乳中、子どもたちは近くで跳びはねたりして遊んでいる。
搾乳の後、飼育舎の戻すと、早速、2頭の子ヤギがおっぱいを吸う。






6月18日、青倉から野々海にむかう途上で観察した卵。この日はこの写真しかないが、10日撮影のものが次の写真。



ある人から、「サンショウウオの卵ではないか。クロサンショウウオの卵に似ている」と連絡をもらった。たしかに撮影地点の近くはサンショウウオが生息していると聞いたことがある。



平滝から上がる道と、青倉から上がる道とが合流する野々海の三叉路のそばの沼地。6月18日昼で、まだかなりの雪が残る。


写真の真ん中に見えるのは水中の雪。



沼地の周りにはミズバショウが開花している。



野々海峠にむかう林道温井野々海線の道路脇のミズバショウ群生地。すべて小ぶりなので一時はヒメカイウかと思ったが、花が咲き終わった後のものの葉が大きくなっていたのでミズバショウだろう。

上の写真の奥に見える雪の先にもミズバショウが続いていることを発見。




次は、深坂峠にむかう道路脇の沢のミズバショウ群生地。



ここで東京・青梅市から写真撮影に来られた人と出会う。
こんな写真も撮れた。



18日の野々海での撮影写真はまだまだあるが、ここでひとまずの区切りにする。


栄村復興への歩みNo.256

なんという豊かさ!


 水飛沫(しぶき)を激しく飛ばしながら、滝を落ちる貝立水路。
 スキー場内の道路と青倉・西山田からの農道が交わる三叉路のすぐそば。
 
 スキー場内の道路をどんどん上がり、貝立山の裏側にある水路のかけ口付近に辿り着くと、そこはまだ雪が残る世界。



 青倉・西山田の棚田では、この雪が融けたばかりの水で今日も田植え。
 
 
 この3枚はいずれも6月10日の朝撮影。

 一方、里に近い畑ではアスパラの収穫が始まってもう1ヶ月になろうとしています。5日、6日は気温が低かったが、7日、8日と気温が上がり、滝沢総一郎さんの畑では9日朝、コンテナ10個分の収穫がありました。



 さらに、6月8日夕には泉平の武田充俊さんの畑でズッキーニの収穫が始まりました。



 そして、雪融け水で育まれたお米とこれらの野菜を食材にこんな美味しいものを食べられます。



 アスパラ(さっと湯がいただけ)、ズッキーニを焼いたもの(プラス焼きトマト)をトッピングした初夏カレー。
 
 食べものだけでありません。花々もきれいで、目を楽しませてさせてくれます。


 
 いま、村内のあちこちに咲いているムシトリナデシコ。「配達日誌」の記録を振り返ると、昨年6月8日にその名前を探しあてています。
 ムシトリナデシコほどに多くはありませんが、こちらもかなり見かけることが多いクリンソウ。



 この他、色とりどりの花が咲き乱れるようになってきていますが、標高の高いところに行くと、「もう今年は終わった」と思っていた花に出会ったり、里の近くでは近年ほとんど見られなくなった花が咲いていたりします。


イワウチワ(10日、貝立山裏)


イワナシ(イワゼコ)(5日、白鳥の山)

 そして、ミズバショウ。野々海のそれは今週末〜来週、相当出てくるでしょう。


 
 なんとも豊かで、贅沢な栄村の自然の恵みです。
 これも冬が厳しいものであるがゆえの、自然からのご褒美(ほうび)といってよいのかもしれません。
 この豊かさを豊かさとしてはっきり意識し、村外の人たちにアピールしたり、説明したりできるようになれば、自然のみならず、人との付き合い、そして経済においても豊かな栄村にどんどんなっていくのだと思います。