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栄村復興への歩み
2011年3月に震度6強の地震で被災した長野県栄村で暮らす松尾真のレポートを更新しています。

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野々海水路の普請

 

 上の写真は、平滝・横倉に向かう野々海水路の普請で、横倉集落の人たちとの合流点に向かう平滝集落の人たち。
 昨年10月23日の台風災害で水路が横倉沢川方向にぬけてしまった被災箇所です。今年度、本格復旧工事が行われますが、6月3日の野々海水路通水開始に間に合うように、つい先日、仮設のパイプが設置されました。
 野々海池は、今年は雪融けが早く、もう雪は残っていません。堤から見て対岸の沢にもあまり雪は残っていません。そのため、余水吐から出る水はほんのわずかです。

 

 


 つぎの写真は、野々海水路第2分水点と第1隧道出口の間の普請に集まった人たち。

 


 私は毎年、春と秋の普請の日、様子を取材に行っていますが、今回はいつになく高齢の方の姿が目立つなあという印象を受けました。「野々海水路の普請は初参加」という「若手」の人もおられるのですが、野々海水路の全体像についてよく知らない人が増えているようです。先人たちが命を賭して造り上げた野々海水路。この日本全国に誇れる村の共同財産をどのように守り、活用し続けられるようにするか。日々の水路維持管理だけでなく、勉強会の実施なども真剣に考えていく必要があるように思います。
 


秋山郷で暮らす

 

 5月20日午前、「復興への歩み」などの配達で屋敷集落を廻っていた時、田掻きをしている人が目に飛び込んできました。オレンジ色の作業着に見覚えがありました。「坪内さんかな」と思って、田んぼに行くと、坪内さんの奥さんが耕運機で田掻きの真っ最中。坪内さんの了解を得て、写真を撮らせていただきました。
 坪内さんはこの3月末まで地域おこし協力隊員(3年間)。現在は屋敷集落に住み、役場産業建設課の臨時職員として道路維持管理などの業務を担っておられます。昨春、結婚され、奥さまの恵理子さんも都会から移住して来られました。
 この日の午後に開催されたシンポジウムで初めて知ったのですが、坪内夫妻が作業されていた田んぼが、屋敷集落で耕作されている唯一の田んぼだそうです。

 

● 「秋山郷新歩時生(しんぽじうむ)」
 5月20日午後、小赤沢の「とねんぼ」で信越秋山郷会主催のシンポジウムがありました。
 「今できることを、今いる人たちで、今やる」という趣旨で、そのことを「新歩時生」という文字表記が表しています。
シンポジウムでは、史料保全有志の会代表の白水(しろうず)智氏が基調講演、小林幸一(津南町観光協会)、山田克也(秋山区長会長)、杉森奈那子(地域おこし協力隊)、坪内大地の4氏が意見発表されました。

 

秋山の暮らしの風景 5月6日撮影ですが、春が来るとすぐに、

秋山の多くの家で花豆(高原豆)の畑作りが始まる。

 

秋山の暮らしの風景 ほとんどの家で薪がつくられている

 

● 秋山郷での暮らしをいかに持続可能にしていくか
 有益なお話をたくさん聴くことができましたが、なかでも坪内さんのお話に強く共感を覚えました。
 彼は、秋山郷の現在、2〜30年後、さらにその2〜30年後についての予測を提起しました。「現在は60〜70歳代が世帯主」。「2〜30年後は、いまは都会で暮らす子どものかなりの部分、定年後Uターンで秋山郷に戻って来るのではないか」。「その子どもの子供、つまり現世帯主の孫は、秋山郷を『ふるさと』と思い、お盆や正月に帰省するが、Uターンは期待できないのではないか」。「すると、秋山郷の将来はIターン者にかなり依存することになる」。坪内さんの言葉を正確に再現できているわけではありませんが、こういう趣旨だったと思います。私も坪内さんと同じように思います。 続いて、坪内さんは、「でも、2つ、問
題がある」と言われました。1つは、「Iターン者が住む家がない」ということです。
 坪内さんの体験をふまえた問題の提起です。「家財(仏壇)がある」、「お盆に帰って来る」等の理由で家を貸してもらえないというのです。そこで提案されたのは、「1棟貸し」ではなく、「貸すのは1階のみ。2階には家主の家財を置く」という方式。坪内さんご自身、この方式で現在のお住まいを借りておられるそうです。この方式だと、家の管理、除雪を借家人にやってもらえるうえに家賃も入るので家主にとってとてもお得となります。「なるほど!」と思う
提案でした。
 2つ目は、秋山の保育所の問題です。
 坪内さんは「秋山郷はいま結婚ブーム」と言われました。たしかに、ここ2年で4組のカップルが成婚されています。そして、小さなお子さんがおられるIターン者ご夫婦も秋山郷にお住まいです。でも、現在は秋山の保育所は休園になっています。津南町の秋山郷・結東には双子の幼児がおられるそうです。坪内さんは、「今日は議員さんも来ておられるので、栄村と津南町が共同で保育所を開設するように努力してほしい」と話されました。

 じつに重要な問題提起だと思います。秋山郷に引き継がれてきた山の暮らし、本当に素晴らしいと思います。だからこそ、この問題提起にどうこたえていくか、みんなで真剣に考えなければならないと思います。


花のアルバム

 

 アマナという花です。5月13日、暮坪の田んぼの法面で撮影。「食用になる地中の丸い鱗(りん)茎(けい)に甘みがある」のでこの名に。
 

 

 チゴユリです。
 図鑑では、「山地の林に普通に生える多年草」と書かれていますが、「最近はあまり見ない」という声を聞いたこともあります。
荒らされると困るので、撮影場所は明かさないことにします。5月12日撮影です。
 「花は杯形で、茎の先に1〜2個つける」、「花被片は白色の披針形で6枚」で、葉に特徴があります。「長さ4〜7cmで長楕円形で互生」し、「縦の筋が目立つ」。図鑑にこのように書かれていますが、その特徴をすべて確認できました。
 


栄村の生きもの

 3日、野々海水路普請の取材に行った際、野々海峠への林道で久々にカモシカに出会いました。クマとの遭遇はご免ですが、栄村にはいろんな生きものがいて、生きものとの出会いは、花ととともに、楽しいものです。

 


 山の中の小さな池のようなところで撮ったものです。白いものがたくさん見えますね。これはサンショウウオの卵です。
 すぐそばではサンショウウオの姿になったものも確認できました。

 


 サンショウウオには様々な種類がありますが、クロサンショウウオというものだと思われます。「トウホクサンショウウオ」という種である可能性もあるようです。
 近年では環境破壊によって生息場所や産卵場所が減少し、生息数が激減しているそうです。私は両生類があまり好きではないのですが、貴重なものなので、生息環境を守っていきたいと思います。

 

 

 

 これはクワガタの一種。たしかにクワガタの姿をしていますが、とても小さいのです。体長1〜1.5僂任后
 ユキグニコルリクワガタというそうです。
 5月27日と6月3日、これを採集する人と野々海で出会い、現物を見せてもらいました。採集に来ている人はすべて村外ナンバー。中には岡山ナンバーも。村の人で知っている人は少ないように思いますが、なぜか全国的に野々海での生息が知られているのですね。
 捕獲禁止物ではないようですが、誰もが勝手に採集できる状態というのはマズイと思います。私は出会った人に、「あまりたくさん捕らないでくださいね」と話しかけていますが、何か対策を考える必要があると思います。
 以上のことに関連して、もう1枚写真を紹介します。

 


 「木陰でのんびりとチェア(椅子)に腰かけて休息中」とも見えますが、そうではありません。ブッポウソウなどの鳥の写真撮影です。
 平滝から野々海に上がる道路の途中です。この位置よりも少し下で、さらに3組に出会いました。
私たちは日々、当たり前のようにブッポウソウを見たり、アカショウビンの鳴き声を耳にしたりしていますが、こんな環境はそう多くあるものではありません。山道を散策し、鳥たちの鳴き声を聴くというだけで栄村の観光宿泊客は増えます。その一方で、鳥たちの生息環境をどう守るかが大きな課題になります。村として真剣に取り組まなければならない課題です。

 


地震とどう向き合うか

  • -
  • 2018.06.06 Wednesday

 5月25日夜の震度5強の地震。被害状況などはNo.337でお知らせしました。その配達の中で、「『栄村は雪を除けば暮らしやすい、いいところだ』と言ってきたが、『地震の頻発地』と思われると困るな」という声をかなり多く耳にしました。たしかにそういう問題はあるかもしれません。
 私は、栄村近辺での地震発生のメカニズム(活断層の所在)についてもっときちんと調べてもらうこと、また、災害に対して栄村がどんな対応をできているかを今回の事例を含めて全国に発信し、「災害に備えができている村」をアピールすることが大事だと思っています。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
栄村復興への歩みNo.338
2018年6月4日発行 編集・発行人 松尾真
連絡先:電話080−2029−0236、mail;aokura@sakaemura.net
ゆうちょ銀行 11100−01361481 栄村復興への歩み協賛寄金 ながの農協栄出張所 普通0009390 栄村復興への歩み発行協賛金松尾眞


震度5強地震被害のその後

  • -
  • 2018.06.01 Friday

 5月25日夜の震度5強の地震から1週間が経ちました。
 余震もほとんど起こらなくなっていて、村は落ち着きを取り戻しています。

 さて、〈被害のその後〉について、お知らせします。

 

● 農地被害

 

 

 この田んぼは先に紹介した、大きなクラックが入った長瀬(中田)の田んぼ。
 28日から県の農地課等が村に入り、被害調査が進められています。調査された田んぼには上の写真に見られるとおり、杭が打ち込まれるなど、調査の跡が見られます。
 被害を受けた田んぼの復旧に対する公共的な支援の措置が決まったわけではありません。まず調査、です。今後の推移に注目していきたいと思います。
 なお、役場産業建設課の広報によれば、農地被害の申告は6月4日(月)締切です。

 

● 自力復旧

 

 

 これは旧暮坪集落の「集落記念碑」などが建つ一角です。石碑が整然と並んでいますが、じつは25日の地震で倒れ、かなりひどく飛び散ったそうです。
 地震翌日の26日、暮坪集落出身でいまも栄村内で暮らす人のご子息(長野市在住)がすぐに駆けつけられ、重機を使って修復されたそうです。
 第2報で紹介した百ノ木集落(津南町)のお墓でも、百ノ木出身の栄村民も含めた人たちが力を合わせて墓石を元に戻す復旧作業が行われたと聞いています。
 お墓が倒れる被害があった長瀬、大久保などの集落でも同様に、みなさん、自力復旧を進められたようです。

 

● 壊れた食器類などの廃棄処理
 地震では、棚から食器が落ちるなどして割れてしまった被害が多数発生しています。多くの場合、26日には、それぞれの家庭で片付けが行われました。困るのは、そうした「割れモノ」の最終処理です。
 31日から村内告知放送で、住民福祉課からのお知らせとして、「津南町のごみ処理場に持ち込み、地震で割れたモノと告げれば、無料で受け付けられる」旨が伝えられています。
 高齢者世帯で車が使えない人もいますので、住民相互の協力で共同して処理に当たることが必要でしょう。

 

● 復旧対策について悩ましい問題
 第2報でお知らせした長瀬集落中尾の圃場に至る村道にクラックが入った箇所を30日、改めてじっくり観察してきました。写真を何枚か、ご覧ください。

 

写真30−1

 

写真30−2

 

写真30−3

 

写真30−4

 

写真30−5

 

写真30−6

 

 この現場、26日午後に訪れた際は、役場職員がコーンを設置する等の応急措置作業をしている最中だったので、あまりじっくり見る余裕がありませんでした。30日午前、改めて現場を見てきました。
 写真30−1が被災現場の全体像ですが、コーンが設置されている箇所を見ると、写真30−2、写真30−3に見られるように、道路の擁壁と舗装面の間に隙間が生じ、擁壁が少しずれている(動いている)ことが分かります。
 写真30−4はこの地点から対岸方向を撮影したもので、木の葉の繁りで分かりづらいでしょうが、この間に釜川のかなり深い峡谷があります。そういう位置関係ですから、この擁壁がしっかりと存在することが大事であることがわかります。
 この地点では、写真30−5に見られるように、クラック箇所すぐそばのカーブの待避場所の未舗装箇所にもクラックが見られました。また、写真30−6ですが、クラックが入った道路の山側からはかなり大きな石の落下も確認できます。

 このように見ると、この箇所のきちんとした復旧対策工事が必要であることは明瞭だと思います。
 しかし、同時に、今回の地震被害は国から「激甚被害」と認定されるものでないことは明白ですし、個々の被害箇所も「公共災害」と認定されるかどうか、非常に微妙なレベルのものです。
 私には工事費用を概算であれ、算出する能力はありません。でも、1千万円規模には達しないまでも数百万円は要するものと思われます。通常の道路改修であれば、このクラスの村道の工事には地元(集落あるいは受益者)負担が発生します。
 安全確保のためにはしっかりした対策工事をしたい、しかし、もう一方で財政負担のことを考えると「どうしようか」と考え込むところも出てきます。非常に悩ましい問題です。
 今後、真剣に検討、議論しなければならない問題です。

以上


栄村復興への歩みNo.337(5月29日発行)

〜5月25日発生震度5強地震に関する特別号〜

 

 怖かったですね。25日夜の震度5強の後、現在のところ、同クラスないしより強い地震は発生していなくて、少しホッとしていますが…。このまま収束することを祈っています。
 25日夜9時13分頃の発生時、私はTVをつけて、畳の上で横になっていましたが、一瞬、何が起こったのか、わかりませんでした。しかし、すぐに激しい横揺れで、建物がガタガタ、ギシギシと音をたてて激しく揺れ、食器が戸棚から落ちる音が聞こえました。でも、床に這いつくばっているのが精一杯で、周りを見る余裕もありません。「ああ、またあの時に戻るんだ」と7年前の状況が頭の中に浮かびました。
 幸いにして、間もなく揺れが収まり、私はヘルメットを片手に役場に出向きました。
この「復興への歩み」では、TVや信毎などであまり報道されていないことを中心として、今回の地震について村民の間での情報共有に役立つと考えることを記すようにしたいと思います。

 

🔶長瀬近辺が震源か。長瀬近辺〜津南町百ノ木等に被害が集中
 すでに報道されている被害状況、役場が集約している被害報告、私自身が実際に歩いて見て回った被害状況等から、今回の地震は震源が長瀬付近にあること、さらに、じつは百ノ木など津南町において激しい被害があることがわかります。

 

       図1 推計震度分布図


 上図は、気象庁が25日夜11時15分からの記者会見で配布した資料の1つです。震度が色で描かれていますが、長瀬付近に最も濃い色があり、震度が大きかったゾーンが県境を挟んで栄村東部地区と津南町百ノ木・加用・中子地区に存在することがわかります。
 さらに、次の「震央分布図」というものもご覧ください。

 


 「震央」とは「震源の真上の地表の点」のことです。
 「震央分布図」を見ると、県境よりも津南町寄りに位置している震央が多いです。
(「震央」がたくさん記載されているのは、25日午後9時〜10時20分の間に、私たちが感じた以外にも震度1以下の地震が多数回起こっていると機械計測されているからです。)


🔶 被害状況の写真
 TVや新聞で報道されている以外の被害状況を数枚、紹介します。

 

写真1

 

 写真1は津南町百ノ木のお墓が倒壊している状況です。「倒れた」というよりも、「ぶっ飛んだ」と表現するほうが状況を的確に表すと思います。揺れの激しさを示しています。
 なお、加用集落の人からは、「作業小屋の中がぐちゃぐちゃで、田植えをしようにも、丸一日かけて作業小屋の中
を片付けないと、田植えどころではない」という話をお聞きしています。

 

写真2

 


写真3

 

 写真2は、長瀬集落の中心部から北野川を挟んで、東岸の崖上にある長瀬・中尾地区の田んぼゾーンに向かう村道上にクラックが発生している状況です。
 写真3は、その中尾の田んぼゾーンの中で、北野川に面した急崖の上に位置する農道の舗装部分と崖側の地面の間に亀裂が生じ、川側の地面が下がっている状況です。
 

写真4

 

 写真4は、すでに報道されている長瀬・中田の斎藤進さんの田んぼに生じたクラックの広さ・深さを撮影したものです。

 

 このように被害状況を見ると、「7年前のような大被害にならなくてよかった」と思う反面、被害はけっして軽いものではなく、本格的な復旧対策を要する被害が各地で生じていることがわかります。

 

🔶 村の対応について
 私が役場に到着したのは9時20分よりも少し早かったと思いますが、間もなく役場職員が緊急登庁し始めました。森川村長は9時30分頃に到着。役場の公式記録によれば、「9時35分 本部会議(1回目)村長室」となっています。
 私は議員であって行政職員ではありませんので、村の地震災害警戒本部設置以降は役場2階の議会事務局で待機しました。
 役場は午後10時30分に「全集落の安否確認完了→異常なし」を確認、さらに夜を徹して被害状況確認作業を進め、翌26日午前8時から全職員を動員して、村内のパトロールを実施し、被害状況の把握に努めました。なお、26日午前5時25分からは村長らが搭乗する国土交通省のヘリが村上空を飛び、上空からの被害状況調査を行いました。
 地震発生は夜でしたが、まだ多くの人が眠ってはいない時間帯であったことも幸いし、村の初動対応は素早く、基本的に評価されるものだったと思います。7年前の辛い経験が生かされたと思います。もちろん、細部にわたっては種々の角度から総括し、改善すべき点を抽出して、今後の防災対策・緊急時対策に生かしていくことが必要だと思います。

 議会は、「各議員は自らの地域で対応」とし、各議員に連絡しました。
 なお、28日(月)午前9時から村長提出と議長提出の議会全員協議会を開催し、村からの被害状況報告の聴取と質疑等を行いました。

 

🔶 被害状況の役場への集中の大事さ
 今回の地震活動が早く収束することを祈るばかりですが、最後に一点、みなさまへのお願いがあります。
 みなさんのお家や田んぼ等での被害について、どんな小さなことでも役場に知らせていただきたいということです。被害が「食器が数点、棚から落ちて壊れた」というだけでも知らせることが大事です。それが今回の地震について解明を進め、今後の防災対策をよりよいものにしていく上での貴重な情報となります。
 是非、ご協力をお願いします。

 

(「栄村復興への歩み」は本年2月から有料配達になりましたが、今号は全世帯無料配布としました。)


野々海のミズバショウ、今週が最盛期

 

 情報発信が遅れましたが、上の写真、5月27日(日)午前、深坂峠手前左側のミズバショウ最大群生地の様子です。
 ミズバショウが開花する最終面積からすると、まだ3分の2程度の面積ですが、「見ごろ感」からすると、これくらいの時期が一番いいのではないでしょうか。28日、29日と高気温が続きましたので、もう少し広がっていると思います。
 野々海への道路はかなり前からきれいになっていますが、村の正式な「通行止め解除」は明日31日だと思います。
 深坂峠への道は27日の時点で、まだ雪が残っていて、私が軽トラで辿り着いた地点からは3〜5分、歩行でした。雪が残っているのはほんのわずかな距離ですが、28、29日の高気温だけでは消えていないのではないかと思います。ノーマルタイヤで突っ込んだらスタックして難儀になると思いますので、おやめください。普通車ならば残雪地点の手前で切り返し可能ですが、ハイエースなどはちょっと無理だろうと思います。
 キャンプ場横の「東窓」を木道を歩いて横切り、この群生地に向かうルートもありますが、この時期は危険が多く、使わない方がいいと思います。残雪の沢を歩くことになるのですが、雪だと思って足を踏み入れたら、下が空洞になっていて、下に落ち、簡単に は脱出できないという事故になりかねません。
この群生地の様子を4枚紹介した後、第2の群生地の様子、野々海池の様子もお知らせします。

 

 

 

 

 

 

 次に、第2の群生地、キャンプ場から野々海峠方面への林道を進んで2つ目のカーブのところです。

 

 

 林道から見た様子です。手前と少し登ったところの2ヶ所(さらに写真左手奥も少しある)。
 手前は、27日はまだ本格的な開花が始まったところでしたが、もう見ごろになっているでしょう。

 

 

 あえて、この写真を公開します。
 〈やってはならない行為〉の典型例だからです。現場でご注意申し上げ、即座に撤収していただきました。どんなに綺麗な写真を撮りたくても、ミズバショウが咲いている湿地そのものに入ってはいけません。来年から咲かなくなります。

 

 


 野々海池からは雪が消えました。
 なお、堤まで進むのは、坂に雪がまだ残っていて、滑ると余水吐の水路に落ち、命を落とすことになります。写真に見える場所までしか進まないようにしてください。
 また、野々海水路の共同普請作業が6月3日に予定されています。それまでは、林道からこの写真に見える道への進入点にチェーンが張られていませんが、この写真に見える道に車で進入するのは非常に危険ですので、絶対になさらないよう、お願いします。

 

 以上、報告です。


5月25日震度5強地震の田んぼ被害について

  • -
  • 2018.05.27 Sunday

 27日付の信濃毎日新聞1面でも写真が掲載されている長瀬の田んぼの被害状況を27日午後、見てきました。
 以下、写真を数枚紹介し、若干のコメントを付します。

 


写真27−1 被害があった田んぼの全体像
写真の左側真ん中から右下方向へクラックが走っています。

 

写真27−2 クラックの状況

 


写真27−3 クラックの状況

 

 クラックは写真27−1、2の下方に位置する法面に続いています。写真27−3はその法面の上部のクラックの内部を覗き込んだもの。かなり深いです。田んぼ内では表土だけでなく、耕盤に達するクラックであることがわかります。

 


写真27−4 被害田んぼ近くの作業道上のクラック

 


写真27−5 隣の田んぼへの進入路上のクラック

 

 写真27−4、5の地点は、写真27−1で写真奥に軽トラが見えるところです。写真27−5のクラックは、田植え機が通ったことで分かりにくくなっていますが、白い線が引かれているところがクラックです。

 


 写真27−1〜5で示した地点の位置は、上の地図の赤丸のあたりです。
 なお、この地図に「登渡」という地名が見えますが、地図で登渡の左下方に位置する堀切地区の田んぼで被害が確認されているようです。

 

 写真で示した被害田んぼと、昨日報告した長瀬・中尾、百ノ木との位置関係が一目でわかる写真を次に示します。

 

写真27−6 被害田んぼと長瀬・中尾の田んぼ、百ノ木の位置関係

 

 田植え中の田んぼは写真27−4、5で示した作業道上にクラックがある田んぼの隣の田んぼ。この写真の真ん中に見える田んぼゾーンが長瀬・中尾。また、その先に道路が見えますが、津南町の町道日出山線。日出山線が山間に入る手前に百ノ木集落があります。

 


 写真27−1〜3で示した田んぼのクラックは、7年前の震災復旧で実施されたのと同じレベルの本格復旧工事が必要と思われます。すなわち、表土レベルではなく、耕盤まで掘り下げ、耕盤と表土を修復する工事です。田んぼの先に写真27−4〜5で示したクラックがある以上、田んぼのクラックが見える部分だけでなく、田んぼ全体、そして法面全体の復旧工事が必要になると思われます。
 昨日の第2報で述べたとおり、公の手で復旧工事を実施するための方策を検討しなければなりません。

 

以上


5月25日発生震度5強の地震について(第2報)

  • -
  • 2018.05.26 Saturday

 このレポートは26日午後5時すぎに書いています。
 今日26日の朝以降は体に感じる地震は起こっていません。
 このまま収まってくれることを願いますが、気象庁が記者会見で言っているように、ここ1週間、とくに2〜3日は要警戒です。先ほど、気象庁の会見をYouTubeで確認しましたが、「とくにここ2〜3日は震度5強よりも強い地震の発生の可能性もある」とのことであり、安心できません。

 

1. 今回の地震の影響が強かった地域
 役場に集約されている被害情報、私が実際に歩いて廻った結果などから、25日夜の震度5強の地震による目に見える被害があった地域は、栄村の東部地区、とくに長瀬集落、北野川−志久見川を挟んで対岸の津南町百ノ木(もものき)集落(および伝聞によれが中子地域)に集中しています。
 地図をご覧ください。

 


 地図上方が北です。役場は地図の上方に位置しています(地図に赤字で役場と記載)。地図に記されている「長瀬」の名前を赤い線で囲んであります。

 

 気象庁の記者会見で配布された資料では、今回の地震発生地点が2011年3月12日地震の発生地点のほんのわずか南寄りの箇所にマークされています。
 また、「発震機構解」では、2011年3月12日と同じ「北北西−南南東方向に圧力軸を持つ型」とされています。
 今回の地震は、2011年3月12日の地震とほぼ同じ所で発生している、ただし、震源が少し南にずれているように感じます。

 

 震度発表では「震度5強* 栄村(北信)」、「震度4 津南町」となっていますが、この震度は地震計設置場所の震度です。栄村でも長瀬のあたりはもう少し強かったかもしれません。また、津南町でも百ノ木のあたりは少なくとも「5強」レベルの揺れだったのではないかと思います
   *気象庁によれば計測震度は「5.3」だそうです。

 

2. 被害状況の写真
 私は、26日午後2時間ほど、百ノ木、長瀬を廻り、被害箇所の撮影をしました。
 地図にAと記した地点のもう少し南寄りの場所が百ノ木集落の田んぼの脇にお墓があるところで、写真1に示すようにお墓が倒れていました。
 なお、写真2はそのお墓から北方向を撮影したものですが、写真2の右側奥に2011年3月12日の地震での中条川上流山腹崩壊の1号崩壊地が見えます。

 

写真1

 

写真2

 

 この百ノ木のお墓がある所と、写真5、6で示す長瀬集落中尾地区の田んぼゾーンでの斜面のずれ落ち箇所は釜川(志久見川の上流)を挟んで向かい合っている位置関係にあります。

 

写真3

 

 写真3は地図Bの地点で、建設会社「赤津組」事務所の1階シャッターと2階ガラス窓が破損している状況です。

 

写真4

 

 写真4は地図のC地点で、中尾地区の田んぼゾーンに上がる村道にクラックが生じているものです。
 今回、公道上で私がクラックの発生を見たのはこれが初めてです。

 

写真5

 

写真6

 

 写真5と6は地図のD地点で、中尾地区の田んぼゾーンの西側の端、北野川に面して急崖になっている箇所の上部にクラックが発生し、崖側の地面が少し下方へずれているものです。ブルーシートは撮影直前に役場職員が応急措置として設置したものです。

 

 地図のE地点については写真撮影していませんが、地震発生直後に「長瀬で1世帯が公民館に避難」と報告されたお宅がある場所です。
 お伺いしてお話をお聞きしました。地震発生時、母屋の横の納屋におられて、家に戻ろうとしたが、地震によって玄関が開かなくなったので避難したとのことでした。玄関内の壁が損傷しているのも拝見しました。昨夜のうちに自宅に戻ることができたとのことです。


 次の写真7は長瀬団地(地図のF地点)の1階フロアの壁にできた亀裂です。ちょっと見にくいかもしれませんが、亀裂が生じているだけでなく、片方が膨らんでいます。

 

写真7

 

 なお、写真3地点と長瀬団地の位置関係は次の写真8のとおりです。

 

写真8
 写真3の地点から北北西方向を撮影。
 写真中央に見える建物が長瀬団地。

 

3. 現在の状況、役場の対応など
 栄村の村内は、揺れが最も激しかったと思われる長瀬集落を含めて落ち着いています。日中は、長瀬でも田植え作業を行う人たちの姿が見られました。
 役場は、昨夜の緊急対応をふまえ、今日26日朝から全職員を動員して、村内の被害状況調査を行いました。たとえば、写真5、6で示した被害箇所は役場職員の今朝からのパトロールによって発見されたものです。
 村内ケーブルTV網を使用する村内告知放送も基本的に的確に行われたと言えます。
 消防団、そして各集落組織は発震直後から迅速な活動で、安否確認等を行いました。
 震度5強で、ライフラインが活きていたことも好条件でしたが、7年前の震災経験をふまえた迅速な対応ができたと思います。

 

4. 今後の課題
 まず第1に、引き続き起こりうる地震への警戒です。
 気象庁の記者会見によれば、今回の震度5強の地震を、「2011年3月12日の地震の余震」とみるか、それとも「今回は新たな地震活動の本震ないし始まりで、今後さらに地震活動が活発化する」とみるか、精査が必要としています。
 村役場を気象庁職員が訪れ、「詳しいことは精査のうえで伝える」と言ってきたそうです。
 第2に、被害状況の把握をさらに強化することです。
 田んぼの被害(たとえば漏水)などは少し時間差をもって顕在化してくることがありえます。また、山の中での被害は簡単には把握できないものです。
 第3に、被害に対する復旧対策とその財源の確保です。
 これまでに確認されている被害の多くは「軽微」なものであり、住宅の被害などは基本的に個人での復旧ということになります。しかし、高齢者世帯も多く、公的支援を検討する必要があると考えられます。
 また、写真4〜6で示した被害などは、「被害軽微」として「公共災害」として国が認定・支援する対象になるかどうか微妙なところがあると思われます。
 2011年の震災では、栄村の地震が東日本震災の一環と認知されたことから国の大規模な財政支援等に恵まれたという面があります。それとの対比において、今回は村自力での復旧となることも予想され、村の財政運用が問われることになります。
 村は議会に対して、5月28日午前9時から議会全員協議会(村長提出)の開催を申し入れ、議会はそれを受け入れました。
その段階で、村の被害確認状況と対策基本方針が提示されることになります。

 

 最後に、私は今回の震度5強の地震をめぐって、一つのことを強く期待し、要望します。
それは発震機構解等を精査したものを気象庁から丁寧に報告してもらい、さらに地震学関係者が栄村で地震を引き起こしている断層の解明に真剣に取り組んでくれることです。
 2011年3月の震度6強の地震については、じつは十分な解明が行われていないと私は考えています。東北での地震と津波の被害があまりにも大きかったため、気象庁も地震学者も栄村での地震にあまり目を向けておらず、地震を引き起こした断層の解明などが行われていません。
 今回は、気象庁が記者会見説明を開催するなど、2011年3月栄村地震の際とは異なる対応が見られますので、栄村の地震について解明するチャンスだと思います。粘り強く気象庁等への働きかけをしていきたいと思います。

 

18時50分脱稿