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栄村復興への歩み
2011年3月に震度6強の地震で被災した長野県栄村で暮らす松尾真のレポートを更新しています。

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県による住宅についての説明、意向調査、相談(17日の様子5)


森・青倉集落対象の説明会

  今日17日午前、県による住宅についての説明会がありました。
  「応急危険度判定」で「赤」と判定された世帯を対象とするものです。
  説明会は、「赤」「黄」の判定理由を、事例写真を示しながら説明するものでした。この後、個別の相談会が開かれています。

  説明会では質問も受け付けられましたので、一つ、質問しました。「一時帰宅で建物に入ってみると、余震の影響でどんどん様子が変わっている。実際に家の修復などをやろうとする場合、本当に修復可能なのかどうかをどう判断すればよいのか」と。回答は、「建築士などの専門家に診てもらうことが必要でしょう。今日、県の建築士の団体が会議をやっています」というものでした。
  建築士の方などがボランティアで協力・支援して下さるだろうという推察はつきますが、やはり公的な支援が必要だと思います。

  「応急判定」とは異なり、1〜2週間くらいかかってもいいので、県が責任をもって専門家の知見を生かしながら、個々の世帯の診断を行い、再建の方策について指導・アドバイスする仕組みが必要だと思うのです。
  実際、相談会の後、TVのインタビューに答えて、「『責任をもてない』と言われたが、直して住みたい」と言う高齢者がおられました。こういう思いを大事にしながら、住宅の再建に取り組む姿勢が大事だと思います。

  不幸中の幸いというべきか、激甚被害は長野県内で栄村だけ。しかも、深刻な状況の世帯数はどんなに多く見積もっても数百世帯程度ではないでしょうか。だとすれば、県が各世帯毎に診断・相談に応じ、親身の再建指導に当たることは十分に可能だと思うのですが…。


<個別相談の内容>
  個別の相談会は、県営住宅への仮入居を希望するか、仮設住宅への入居を希望するか、という2点の意向調査でした。
  県営住宅への仮入居は1年間限定。たしかに、仮設住宅入居までの一時的住まいの確保としては有効です。ただし、県営住宅があるのは近いところで飯山市、遠くは長野市なので、村から車で40分〜2時間の距離です。せいぜい利用できるのは飯山市、中野市が限度ではないかと思います。

*夜9時前のNHK県内ニュースで、「県営住宅への引っ越し(移転)」と表現していましたが、これは不適切だと思います。これでは、一時的なものではなく、「離村・移転」という感じに聞こえてしまいます。こういうニュアンスは、とても大事なことだと思います。メディア関係者はよく注意してほしいと思います。

  仮設住宅については、「入居まで1ヶ月」とのこと。急ピッチでやれば半月くらいでも可能なのではないでしょうか。人口の少ない村ですから、抽選方式などではなく、希望者全員入居を実現してもらいたいと思います。

―栄村ネットワーク関係者 現地からのメール記事

明日は「半日帰宅」(17日の様子4)


夜8時、役場前に駐車中の車


仮設トイレの屋根にも積雪

 今日も雪が続き、平時のようなスムーズな除雪ができないため、「一時帰宅」はなし。明日は午後1時から「半日帰宅」になります(午前中は集落内道路の除雪)。時間は4時間。

  かなりじっくり落ち着いて、片付けに手をつけることができるのではないかと思います。
  また、19日(土)以降も「半日帰宅」が予定されていますが、19〜21日は三連休。親戚の人たちもたくさんやって来るようです。
  いよいよ、避難から復旧・復興へ、歩を進める段階に入っていきます。

―栄村ネットワーク関係者 現地からのメール記事

県が監視モニターを設置ー中条川上流の山崩れ(17日の様子3)

 
中条川上流の山崩れによる土砂堆積の現場のパノラマ写真(津南新聞社提供)

  山崩れによる土砂で埋まった中条川上流ですが、今後の雪融けに伴い、雪土石流が発生する危険、その雪土石流が下流の青倉集落に流れ込む危険があるとして、県が監視モニターを設置することになりました。
  常時監視態勢ができたことで一安心です。

 撮影日は14日。右手がトマトの国。左端の山を左に進むと「さかえ倶楽部スキー場」。堆積した土砂の上に「川」が出来ているのがわかります。

―栄村ネットワーク関係者 現地からのメール記事

北野温泉が復旧(17日の様子2)

  北野温泉の休憩・宿泊施設は地震当日から避難所として利用されていますが、温泉は配管の損傷で使えませんでした。
  しかし、復旧工事が終わり、昨日から利用可能になっています。役場の避難所の人たちの入浴は昨日からバスで北野温泉に行っています。

―栄村ネットワーク関係者 現地からのメール記事

近隣の消防団が応援(17日の様子1)

 地震発生以来、いちばんきつい任務についているのが消防団です。
 各集落の入り口での警戒に24時間ついているのに加え、16、17日の一時帰宅では安全のための付き添いをやっています。この負担を少しでも軽くしようと、近隣(飯山市、山ノ内町、津南町など)の消防団が応援に駆けつけてくれています。
  地元消防団が一時帰宅に付き添っている昼間は、近隣の消防団が集落入り口の警戒の任に就いています。

  ここで、消防団について一言。
  「消防団」――大都市ではいまや死語に等しい存在です。しかし、栄村や近隣の市町村では若者(4〜50歳代まで)は基本的に全員、消防団の団員になっています。
  日常的に訓練や、ポンプ操法の技を競う大会などが実施されています。
  たしかに若者の不足が深刻化していますが、まだまだ健在。住民自治の重要な担い手組織だといえます。大学を今春卒業し、村に帰ってきた若者、村の女性と結婚して村に住むようになった若者が、今回の地震を契機に新たに消防団員になっています。

―栄村ネットワーク関係者 現地からのメール記事

栄村復興支援機構「結い」がスタートへ


 明日18日、栄村復興支援機構「結い」が発足します。
 これまでの各種災害の被災地では「ボランティア・センター」(通称「ボラセン」)と呼ばれているものです。
  今回の栄村では、あえて「ボランティア・センター」という名称を使わず、こういう名称にしました。支援に駆けつけて下さる人たちのことも「ボランティア」とは呼ばず、「結いのしょ」と呼ぶことにします(「しょ」というのは「人」という意味です)。
  これは、直接には、被災者に高齢者が多く、「ボランティア」という言葉に馴染みがない(馴染みにくい)ということへの配慮がありますが、より本質的な認識に基づく措置でもあります。

<復興はむら=集落の結いの力を軸にして>
  栄村は、“むらの良さ”を保っている村です。その基軸となっているのが集落であり、その集落に脈々と流れる“結いの心”です。
  今回の震災からの復興は、この集落の力なくしてはあり得ません。また、逆にいえば、集落の絆を守り、どんな小さな集落をも震災から復興させるということがあってこそ、村の復興は可能となるのです。

<ボランティアは結いの心で、集落の結いをお手伝いするもの>
  ボランティアは連帯や友愛の精神に基づくものだといえますが、その連帯や友愛の大先輩が〈むらの結い〉なのです。
  したがって、支援に駆けつける人は、結いを大事にする人=「結いのしょ」でなければ、本当の支援にならないのです。
  むらの人たちがどんな手伝いを求めているか。それも集落の区長さんを通して把握してもらいます。そして、復興支援機構「結い」の集落支援チームが区長さんの要請をうけて、「結いのしょ」を各集落に派遣するという方法をとります。
  支援に来て下さる方は、以上の点を十分にご理解くださいますよう、お願いします。

<支援受入は19日から>
  19日の午後からの「半日帰宅」に合わせて、支援者には19日から村‐集落に入っていただきます。
  ただし、19日の段階では、集落からの支援要請はそんなに多く出てこないと予想されます。
  折角来ていただいたのに仕事があまりないというのでは支援者の方々にも失礼になりますので、まずは近隣の方から入っていただこうと考えています。
  19日に入っていただきたい方には、明日18日、事務局から連絡させていただきます。
  「19〜21日に可能」と申し出ていただいた方で、明日18日に要請が行かない人は、親戚の手伝いも減る22日以降の平日や、4月上旬までの間で、支援可能な日を新たにご連絡ください。
 
  以上、趣旨をご理解いただけますよう、お願いいたします。
  (18日朝に各区長さんに配布される説明文書を公開します)

―栄村ネットワーク関係者 現地からのメール記事

支援隊「結いのしょ」についてのお知らせ

【ボランティアに関して、18日朝に各区長さん(地元の方)に配布される説明文書です。参考までに公開致します(WEB更新担当)】


 お手伝いをさせていただきます
〜支援隊「結いのしょ」についてのお知らせ〜

栄村復興支援機構「結い」

  このたびの震災、心からお見舞い申し上げます。
  地震から1週間、今日は「半日帰宅」で、ご自宅の片付けなども本格化することと思います。
  そういう中で、本日、栄村復興支援機構「結い」(略称「結い」)がスタートしました。北信地域などの人が栄村のみなさんのお手伝いをさせていただこうというものです。
 
  お手伝いにいかせていただくメンバーを「結いのしょ」と呼びます。
  みなさまから、「こんなことを手伝ってほしい」というご要望をいただき、それに応じて「結いのしょ」がお手伝いに行きます。お手伝いの作業はもちろん無償奉仕活動です。
  お手伝いとして考えられることは、たとえば、

●部屋中、ガレキが散乱していて手がつけられない。
 ガレキを除けてくんねえかい。
●タンスが倒れているが、自分だけでは起こせない。手伝ってくんねえかい。
●窓が吹っ飛んでいるところにシートをかけたいけど、夫婦二人だけではできない。誰か、手伝ってくうねえかい。
●家の中からガレキやゴミをいっぱい出すので、
 それをどこかへ運んでくれないか。
●割れたガラスの始末がやっかい。誰か助けてくれると助かるんだが。

のようなことです。

  今日の夕刻、区長さんに、みなさんの要望を聞いていただきます。
  ですから、今日の午後、家に帰ったとき、家の中の様子をよく見ながら、「これは『結いのしょ』にお願いしたい」ということを具体的に考えておいてください。
 
  なお、支援隊「結い」の事務所は役場2階の大会議室(議場)にあります。ご用がお有りの方はお気軽にお声をおかけください。

農業再建の具体的課題

 栄村はなんといっても農業の村です。住宅の問題と同時に、農業を続けることができるかどうかが、村の再建を決めます。

 肉牛飼育農家は、牛舎が崩壊し、たいへんなことになっています。すでに13日、農協関係者の支援などが入り、生き埋めになっていた牛の救出、出荷できるまでに育っている牛の出荷などの緊急措置がとられました。
 キノコ栽培農家は、飯山市などでは散乱した培養瓶の整理に支援が入っているようですが、栄村ではまだまったく手がついていません。

  そして、最大の問題は田んぼ‐米づくりです。
  田んぼがいま、雪の下にあって、どんな状態になっているか、見ることができません。しかし、多くの田んぼ、とくに棚田は、亀裂が入った、畔・法(のり)面(土手)が崩れたといった被害にあっていることが予想されます。

  また、ある意味でより深刻だと思われるのが水路です。とくに山の上・奥が引いている水路が各所で崩壊している可能性があります。今年、米作りができるかどうか、まったくわからない状況なのです。
  その一方で、4月下旬の種蒔きにむけて、もう間もなく3月下旬には種(籾)の浸水などを始めなければなりません。

 「住宅の再建について」で紹介したAさん、Kさんは、「どんなことがあっても、米作りをやる!」と決意をされています。私も、この4年間米作りをしてきた棚田で絶対に米作りをやる決意です。雪が消えて、田んぼの状態が見えるようになるのは、里地で4月上中旬、山の棚田で4月中下旬です。
  そこにむかって、どういう準備を進めればよいか、これからの検討課題ですが、随時、情報を出していきますので、ご支援をお願いします。
 
  もう動かなければならない時間ですので、ひとまず、以上とします。


―栄村ネットワーク関係者 現地からのメール記事(15日朝執筆分)

住宅再建について

 前を向いて、元気に語ろう!
  いま、誰もの胸を去来しているのは、「どうやって暮らしを再建するか」、「この歳になって、家を失い、どうしてよいか、まったく見当もつかない」という不安の思いです。
  昨夜、知人のAさん、Kさんと話しました。その時、Kさんが言いました。
 
「笑いながら、元気に話すようにしなければ。こういう時に笑って話していると、『お前、馬鹿か』って言われるけれど、笑顔が大事なんだぜ。」
 
  まったくそのとおりです。一時帰宅が許可になった段階で気が早いと思われるかもしれませんが、今後の村の再建について、少し考えたいと思います。


県は住宅再建に最大限の支援を

  今日の一時帰宅にとどまらず、数日のうちに、避難所からの全面帰宅が許可されることになるでしょう。その段階で、集落、世帯による状況の違いがいっきにクローズアップされてきます。

  昨日、西部地区のM集落を見てきましたが、視界に入る多くの家に「緑色」の貼り紙が見えました。危険度診断の結果、「余震が来ても大丈夫」と判断された家々です。こういう集落では、モノが散乱した家の内部を片付ければ、それなりに生活の再建を展望することができるでしょう。

  しかし、被害が深刻な森集落や青倉集落では、大半の家が「赤」または「黄」です。帰宅が許されても、〈住める家〉がありません。あるいは、〈住める状態にする〉ために相当なレベルの修理が必要です。いちばん気が重くなる問題です。
 
  当面、仮設住宅の手配が課題となりますが、それはあくまでも当座をどう凌(しの)ぐかであって、それと同時に、個々の世帯の住宅の再建の見通しを立てられるようにすることが必要です。

  そこで、住宅再建への公的支援の問題が浮かび上がってきます。
  阪神大震災からの復興のとき、「個人の住宅は私有財産だから、公的支援はできない」という趣旨で政府は住宅再建の公的支援を否定・拒否したと記憶しています。それに対して、地元の自治体はなんとか公的支援を可能にしたいと模索したとも記憶しています。

  私は家に入ることもできず、仮に家に入れたとしても、室内がメチャメチャになってしまっているので、手元になんの資料もない状態ですので、村外のみなさんにこの問題について、法整備の状況がどこまで進んでいるか(いないか)を調べて、情報を提供して下さるよう、お願いします。

  「不幸中の幸い」というか、長野県内で深刻な被害を受けたのは栄村のみで、栄村は人口2300人強の規模の小さな村ですから、長野県が全力を挙げてくれたら、かなりの公的な支援が可能になるのではないかと思います。

  私たち自身、県にむかって要望の声を上げていきたいと思いますが、村外のみなさん(長野県民かどうかを問わず)が、長野県に対して、住宅再建への公的支援の問題について要望や政策提言をやって下さると助かります。

  また、市民レベルの連帯として、今回の大地震の被災地になっていない地域で、NPOなどの手で住宅再建支援のセンターのようなものを立ち上げて下さり、アドバイスをしていただく、あるいは当座の被災地への義捐金にとどまらない復興費用の民間基金の立ち上げのようなことに取り組んでいただけると助かります。

※信毎によれば、県が16日、被災者生活再建支援法により、全半壊世帯に対して最大300万円を支給すると発表したようです。たいへん心強いニュースです。しかし、この額では足らないと思います。さらなる支援策について、みなさんの叡智を結集してくださいますよう、お願い申し上げます。


―栄村ネットワーク関係者 現地からのメール記事(15日朝執筆分)

17日(木)から、住宅についての意向調査・相談会が始まります。

住宅危険度診断で「危険」(「赤」)と判断された人を対象として、各避難所で17日(木)午前9時半ころから開催されます。

継続してその家に住むために修理を望むか、全面的建て直しを考えているか等、それぞれの方の意向を調査するようです。そして、その後、個別の相談会も実施されます。担当するのは県の建設部の職員です。

―栄村ネットワーク関係者 現地からのメール記事