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栄村復興への歩み
2011年3月に震度6強の地震で被災した長野県栄村で暮らす松尾真のレポートを更新しています。

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明日1日、フジTV系で栄村震災の報道が流れます

 今日、東京からフジTVが取材で村入りしました。
 「結いのしょ」として支援活動に入られた方がフジTVにご縁があり、栄村の取材を強く働きかけられ、実現したものです。

 栄村のことが全国ニュースではまったくと言っていいほど、取り上げられていない中で画期的なことだと思います。
 放映は1日6時だと聞いています。是非、ご覧ください。

―栄村ネットワーク関係者 現地からのメール記事

GWに復興支援のさまざまな企画を

 例年、5月のGWには私が勤務する京都精華大学の学生がフィールドワークで村を訪れるなど、さまざまな交流活動をやってきました。また、昨年からは“むらたび”の企画を模索してきました。

 今年は、「震災でそれどころではない」と思ってしまいがちです。私自身、そのように思い、5月GWのフィールドワークは中止といったん決めました。しかし、ここ数日、考えが変わってきています。
 あまり危険なことはできませんが、例年、フィールドワークの一環として水路普請や古道整備をやってきたのですから、震災の今年はもっと力を入れて、普請の支援を強める形でやるべきではないかと思うのです。


春の道普請


水路普請

 ただし、例年、楽しみの1つのポイントだった農家での昼食やお茶のみの様相を変えることになるでしょう。農家の方々のお世話になるのではなく、訪れるものが支援者として自ら昼食をつくり、集落の人たちにふるまい、応援メッセージを届ける場として、農家の軒先や野外などで昼食やお茶のみを行う。そんな工夫が必要だと思うのです。

 また、フィールドワーク等での宿泊拠点となっていた栄村ゼミナール館が震災で使用不可能になっています。栄村周辺の方々には、支援に入る学生やボランティアの人たちに格安での宿泊施設の提供を是非、お願いしたいと願っています。

 「結いのしょ」に登録されている方々は、色んなアイディアを提案してください。むら側の実情に照らして、実現可能・不可能の判断をさせていただきますが、メールのやりとりの中で、色んな工夫が生まれてくるものと思います。

―栄村ネットワーク関係者 現地からのメール記事



“にほんの里”を復興させよう!


雪消えの頃の小滝集落を望む(09年撮影)

 私自身の復興についての考えの提起をします。栄村は「にほんの里100選」に選ばれています。栄村は本当に“にほんの里”そのものだと私は思っています。
 それは、端的には、栄村のあちこちに点在する集落の佇(たたず)まいに端的に現われています。が、里の景観はただ単なる景観にとどまるものではありません。そこで営まれている暮らしの内実がすばらしいものであるからこそ、素敵な景観も生まれ、維持されるのです。
 先日、震災後のむらを見て廻られた知人から今日送られてきたメールの一節を紹介します。

「皆さんが生きてゆく、暮らしてゆくために発揮するエネルギーには、驚かされました。
車庫を独力で解体する70ん歳。
家を片付けつつ早速お茶飲みする、日常性のたくましさ。
本当は帰れるけど、高齢者ばかり避難所に残せないから一緒に泊まるよ、という精神も、都会ではあり得ないですね。
避難所を皆さんが清潔に使っておられるのにも、感心しました。」

 これが“にほんの里”栄村というものです。
 この“にほんの里”を地震で傷ついた姿から復興させ、より素晴らしいむらとして再興させていくこと、これが復興の基本方向ではないかと考えます。その基本は、集落を守り、高齢者が若者と共に安心して暮らせる集落の復興を図ることです。

 具体的には、4つの柱を考えています。
1. 住宅復興のために、公的な支援制度の隙間、足らざるところを埋める、市民の知恵、技、そしてお金の支援を結集する
2. 田んぼと水路を修復し、山間地の農業を復興させるために、専門家の知恵とボランティア(結いのしょ)の力を結集する
3. 復興への取り組みを都市住民との共同作業とし、都市との交流、“むらたび”(むららしい暮らしを五感で体験する旅)を大いに発展させ、復興の力とする
4. 復興への取り組みを少しでも新しい雇用を村に創り出すものとする
 
 今後、この4つの柱を中心に、むらの人たちの声を集め、色んな創意工夫をして、活発な復興活動を展開していきたいと思います。

―栄村ネットワーク関係者 現地からのメール記事

栄村復興支援機構「結い」、明日から新たな体制へ

 3月19日に正式スタートした栄村復興支援機構「結い」、今日31日で支援活動参加者数が述べ1,000人を超えました。
 「半日帰宅」に合わせた家の片付け作業の手伝いからスタートしましたが、多くの家で片付け作業もほぼ終わり、状況は緊急支援から復興支援へと大きく変わりつつあります。
 そこで、「結い」では30日夜の会議で、4月1日から復興段階の支援へと活動内容を転換、ステップアップすることを決め、それに伴って、体制も新たなものとして整えることを決めました。
 活動の軸が、個々の家の片付け支援から、復興の軸となる集落の支援に変わります。

 体制的には、緊急支援を担う日本青年会議所(JC)長野ブロック協議会、みゆき野青年会議所は復興イベントの支援等にまわり、県社協の組織としての応援も4月中旬までとなります。ここからは、地元のNPO(栄村ネットワーク、GO雪共和国)が軸となり、これと「結いのしょ」にご登録いただいた方たちが力を合わせて、復興支援を担っていくことになります。

 「結い」のそもそもの名称「復興支援機構」にふさわしい活動の段階に入っていくわけです。ここでは、中越大震災からの復興を今日に至るまで支え続けている中越防災安全推進機構が強力なアドバイザー、助っ人として味方についてくれています。
 また、「結い」の事務所も、役場から森宮野原駅交流館2F に移ります(今日までの事務所はじつは栄村議会の議場でした。いつまでの占有し続けるわけにはいきません)。

 以上に伴い、「結いのしょ」の支援活動内容も大きく変わっていきます。4月1日から12日までは過渡期として、従来の個別世帯の片付け支援を受け付けながら、各集落での復興にむけての動きを見つつ、集落支援の活動内容を模索していくことになります。

 一気にスパッと「こんな活動内容になります」と具体的に示すことはできませんが、次第に具体的な方向性、活動内容を提示していきますので、緊急支援の段階に増して、いっそうのご支援、ご協力をいただけますよう、お願いいたします。

―栄村ネットワーク関係者 現地からのメール記事

青倉公民館再建基金の記事に大きな反響

 
 朝8時16分、ネットワークの携帯電話が鳴りました。登録のない番号だったので、何だろうと思って出ると、「青倉公民館の記事を読みました。口座番号を教えてください」と。

 昨日、信濃毎日新聞の取材を受けていましたので、「えっ! そんなに早く反応があるの?!」と思いながら、口座番号をお伝えしました。その後も2本、3本と電話が入りました。記事には問合せ先としてネットワークの携帯番号が書かれていたからです。何人目かの方は、「これから募金活動をやって、集まったものを送る」とのことでした。
 本当に有り難いことです。

 私は、このことから、震災復興をめぐって2つのことを考えました。
 1つは、義捐金一般ではなく、使途・目的を明確にした基金の訴えの大事さということです。
 今日、お電話下さった方の中のお一人も言っておられましたが、「義捐金というのは何に使われるの?」という疑問、さらに不信の念をお持ちの方もおられます。正直にいえば、じつは私自身も「義捐金」というものがあまり好きではない人間なのです。当初、栄村ネットワークの義捐金受付をHPで発表した後、行政が義捐金口座を発表しましたが、ネットワーク独自の義捐金口座を堅持したのは、義捐金をお寄せ下さったご厚意を本当に必要かつ有益な目的に使えるようにしたいという思いがあったからです。

 そして、屋上屋を重ねかねないのに、ネットワークの義捐金口座に加え、青倉公民館再建基金の独自受付を設定したのもそれゆえです。

 今日のお電話でのお申し出では、いずれも公民館の集落にとっての重要性を熟知しておられる方からのものでした。
 都会にお住まいの方は、「公民館」と言われてもピンとこないかもしれません。しかし、長野県は今でも公民館活動が盛んな地域が多く、理解が得られやすいようです。

<集落にとっての公民館の大事さ>
 私は1年半にわたって1ヶ月に1回の頻度で村を訪ねた後、2007年4月に村に移り住みました。通っているだけではわからないむらの様子が色々とわかるようになってきましたが、最も驚いたことの1つが公民館で集落の寄合が開催される頻度の多さでした。区(集落)の評議員会、常会(集落の中の小組織単位)の集まり、中山間地域等直接支払制度の集落協定に関する会合、消防団の集まり、祭りに関する打ち合わせ会合、……挙げればキリがありません。だいたい、平日の夜7時や7時半からのものが多いようです。みなさん、昼間の農作業や勤めを終えた後に集まり、9時過ぎまでは真剣に議論をされます。勤め先からの帰宅は午後9時以降が当たり前という都会の暮らしでは想像もつかない世界です。

 こうした営みによって、集落が維持され、豊かな自然・景観を有する山村が生きたものとして日々再生産されているのです。しかも、その寄合の議論は、近代的な都市型社会の会議などに比べてはるかに民主的だという印象でした。
 震災からの復興にとって、全壊した青倉公民館の再建が重要だと考えた所以です。

<震災復興は集落復興が軸>
 2つ目は、今回の震災からの復興は集落を基軸にするものになるということです。
 「むら=集落」ということは以前に書きましたので、ここでは繰り返しません。
 震災復興で最重要の問題は住宅の復興ですが、それは「個人の私有財産としての住宅」を復興することではないのです。人びとの暮らしの基礎単位としての集落を成り立たせているものとしての家々を復興させるのです。それは高齢者という視点からみれば、高齢者が集落の支え合いによって安心して暮らせるということです。

 また、震災という非常事態の中で一見したところ、悠長な話と思われるかもしれませんが、「にほんの里100選」に選ばれた栄村の景観の素晴らしさは、じつは集落の暮らしの営みの中で維持されているものです。

 そして、この〈高齢者〉という視点と〈景観〉という視点は不可分のものとしてつながっています。まさに“むららしい”景観である、元々は茅葺きであった古い民家の多くは高齢者の住まいとして維持されているのであり、かつ、今回の震災で家の復興をめぐって最も大変な状況に立たされているのが高齢者の人たちなのです。

 今後、ネットワークに寄せられた義捐金の使途の1つの柱となり、また、今後ご協力・ご支援をお願いしたいことの中心となっていくのは、こうした集落の復興に関わる問題になっていくと考えています。

関連記事:→青倉公民館再建基金ご協力のお願い

―栄村ネットワーク関係者 現地からのメール記事

千曲川の水量


東京電力の最大限取水によって、昨日、今日と、水量が極度に減っています。

生活再建へ、部屋を整える


 「家の片付けー応急措置の進展に感心」で紹介したお宅、今日訪れると、部屋の整理がさらに進み、障子には新しい障子紙が貼られていました。すべて外れていた硝子障子も全部、きちんとはめられていました。

―栄村ネットワーク関係者 現地からのメール記事


 このお宅、大柱の修理など、大きな修復工事が待っていますが、このように部屋を整えると、落ち着いた雰囲気になり、復興への意欲が湧いてきます。

―栄村ネットワーク関係者 現地からのメール記事

被害の記録 3月30日

 小滝集落の倒壊した牛舎のすぐ傍に、ほぼ集落全戸のお墓が集まっています。そのお墓が激しく倒れ、損傷している様子を今日、見てきました。





中条川上流の様子


 一昨年から青倉・西山田の棚田で稲作にチャレンジされている東京の木村薫さんが今日、やって来てくれました。その案内の過程で中条川上流の土砂堆積現場に数日ぶりで行ってきました。
 「トマトの国」の前面では土嚢づくり・積み上げの作業が行われていたため、「トマトの国」の裏側にまわって、土砂堆積現場に近づきました。この接近ルートは初めてです。

 すると、土砂で埋め尽くされた、元々は深い沢だった所に入ることができました。じつは「トマトの国」に至るはるか手前の地点で「立入禁止」になっているため、係員にでも出くわしたら排除されるかもしれないと思っていたのですが、上のような看板が目に飛び込んできました。「調査のための立入は自己責任」だというのです。

 土砂堆積現場はまだかなり雪に覆われていたため、あまりよくわかりませんでしたが、昨日の県の資料にもあったように、かなり大きな穴などを確認することができました。


ワイヤーセンサーがはっきり見える

 先日も書いたとおり、この土砂をある程度掘りだし、水が流れる道筋を確保することが望ましいのではないかと改めて強く感じました。専門家の判断をお聞きしたいところです。

―栄村ネットワーク関係者 現地からのメール記事

栄村の状況 3月30日

  今日は数回、かなり強い揺れを感じる余震が数回ありました。一昨日あたりは体感するようなものがなかったように記憶しているのですが、なかなかしつこいですね。12日のような大きな被害を引き起こす地震はもうないだろうと思っているのですが、甘いでしょうか。

 さて、今日は、栄村復興支援機構「結い」の会議が夜にあり、9時半近くまでやっていました。大きくは〈復興〉を軸とする活動への切り替えということを主題とする会議でした。その内容は追ってまたお知らせするようにしますが、明日は栄村ネットワークの会合をもちます。局面の転換点ですので、連夜の会議もやむをえないと思います。

 そういうわけで、今日はレポートのスタートが午後10時50分頃。無理をすると長続きしませんので、今日は短くならざるをえません。ご了承ください。

―栄村ネットワーク関係者 現地からのメール記事