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栄村復興への歩み
2011年3月に震度6強の地震で被災した長野県栄村で暮らす松尾真のレポートを更新しています。

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平素のT型集落点検が震災時にも役立つ

 今日、熊本大学の徳野貞雄さんからメールをいただきました。その中に、「T型集落点検が少しでも役に立っていればと思います」と書かれていました。ここではT型集落点検の詳しい説明は省略しますが、一言でいえば、集落の持続可能性を探るために、他出者も含めて家族構成とその動態を調べるものです。
 今回、私が小滝集落について、みなさんがどういう事情を抱えておられるかを瞬時に理解し、ささやかながらアドバイスできるのは、昨年夏に小滝集落のT型集落点検をしていたからです。こういう学問が必要なのだと強く感じています。

<後記>
 上記の徳野さんから、「松尾さんのムラレポートは大変貴重な記録です。今しか書けないと思います。大変でしょうが、続けてください」という励ましをいただきました。こう持ち上げられると、頑張るしかないですね。
 それから、今日は行政等に対して少々辛口のことを書きました。こういう時ですから、批判や対立を煽るような言動は慎みたいと思っていますが、同時に、「言うべきは言う」というスタンスももたないと真の復興はできないと考え、あえて書いた次第です。ご理解をお願いします。
 いまの時間、午後9時51分。驚異的に早い時間です。
 瞼がもつかどうか、わかりませんが、今夜は好きな時代小説を読みながら、眠りにつきたいと思います。

―栄村ネットワーク関係者 現地からのメール記事

「結いのしょ」の活動(23日)

 今日23日は比較的ニーズ(出動要請)が少ない日でしたが、ニーズ15件、「結いのしょ」57名、スタッフ27名でした。明日24日は震災ごみの搬出が始まり、ニーズは「結い」が始まって以来、最高の件数になると思われます。
 「結いのしょ」への登録は今日も増える一方です。
 登録された方への当方の対応は、つぎのような手順になっていますので、ご理解の程、お願いいたします。

【登録のメールが届く】 → 【登録一覧表に書き込む】
    ↓
【急ぎのニーズにマッチする方へ優先的に連絡】
    ↓
【何度かのやりとりで支援出動が決まる】

 その他の人には、なかなか返信が出せない状態です。
 今日からスタッフを増員しましたので、返信できていない方々に個別のメールを出せるよう、努力したいと考えています。

―栄村ネットワーク関係者 現地からのメール記事

住宅再建で貴重なアドバイスをいただきました

 今朝、ブログで「家の建て直し」に関する記事を読んだという方から、貴重なアドバイスのメールをいただきました。以下に紹介させていただきます。
 
「栄村ネットワーク(被災情報ブログ)」の家の建て直しの記事を拝見しましたので、ご連絡させていただきます。
私は、中越大震災の震源地だった新潟県の旧川口町(現長岡市)の田麦山という地域で、ボランティアの受け入れ窓口(田麦山ボランティア事務局)を運営していた伊坂という者です。

伝統的な日本建築の耐用年数は600年近くあり、その構造は免震になっています。たとえ45度くらいまで傾いたとしても、立て直すことができるのは記事で紹介されていた通りです。
それは、曳き家とよばれる方法で、一般的な農家であれば全壊と評価されたものでも数百万円程度で元に戻ります。この程度ならば、被災者への支援金や各種補助金で、お年寄りにも可能なものです。

中越大震災のとき、たいへん残念だったのは、被災した家屋の取り壊し費用を期限をきって町が全額負担すると早くに発表したため、十分直せる立派な家が次々と取り壊されたことです。二度と手に入れることのできないような見事な材が使われていた家もありました。
誰でも長年住んでいた家が大きく傾けば、もうダメだと思い判断を誤まることがあります。

栄村はこの後雪融けを迎えるわけですが、その時に改めて被災の状況を見て取り壊しを考える人が出てくると思います。傾いていても、折れた柱を取り替えるく らいで直ること、そして、家を新築すると新たな固定資産税がかかることなどを、ぜひ今回の被災者の方々にお伝えください。

そしてもう一つ。たとえ壊れた家であっても、室内に入るときは土足で入らないように。必ずスリッパか、危険ならば室内用のズックなどに履き替えて入るようにしないと、家に対する愛着が見る見るうちに薄れてくることは、いままでの経験から指摘する人が多い点です。」

 震災復興体験者の非常に貴重なアドバイスです。伊坂さんとは、この後、何回かメールのやりとりをさせていただきました。
 こういうアドバイスをどんどんお寄せいただけますよう、お願いいたします。

―栄村ネットワーク関係者 現地からのメール記事

小滝集落で住宅再建問題についてお話

  今朝7時過ぎ、小滝の樋口利行さん(ネットワーク理事長)から電話。「いま、どこにいる? いま、避難所の朝食前で、みんな集まっている。昨夜話したような住宅再建の考え方、展望を話してもらえないか」との依頼。さっそく北信小の避難所に駆けつけ、朝食の弁当を食べているみなさんにお話をしました。
 話の内容は、以前の二つの記事(「むら復興のビジョンを集落から積み上げていこう!」「全壊は必ずしも解体・建て直しが必要とは限らない」)に書いたことと重なるので繰り返しませんが、みなさん熱心にお聞きいただき、「いやあ、ちょっと気持ちが明るくなったよ」というお言葉をいただきました。
 
「まず仮設、その後で集合住宅などのことは考えればよい」という考えは、住民を不安のどん底に突き落とす間違った考え方
 前項の小滝集落での話の続きになりますが、住宅再建問題についてさらにもう少し。
 被害が一番ひどかったといってよい青倉集落のAさんが今日、役場の幹部を訪れて、「住宅再建の明確な展望を村として出してほしい」という趣旨の話をされたそうです。
 そのやりとりの中で、高齢者のための集合住宅を建設する方針の提示を求めたところ、その幹部から、「まず仮設住宅を建てる。仮設は2年間の期間があるから、仮設が立ってからゆっくり考えればいい」という発言が飛び出したというのです。

 これは驚きというか、何と言うべきか、言葉も見当たらないほどの、とんでもない発言です。感情も露わにいわせてもらえば、「おい、仮設に2年間、自分が住んでみろ」と言ってやりたくなります。
 冷静にいえば、「先の展望なき仮設は、人を不安に追いこむもの」ということをしっかり認識すべきだということです。「1年後には、元の集落で暮らせる集合住宅に入れるんだ」という展望が見えていてこそ、仮設は仮設としての意味をもつのです。そうでなければ、仮設は人をいわば「宙づり」状態のままにするものになってしまうのです。

 いま、いちばん必要なものは、家を失った人たちに住宅再建の展望を明確に提示することだということを重ねて強調したいと思います。

―栄村ネットワーク関係者 現地からのメール記事

飯山線の復旧工事が急ピッチで進む


 国道117号線を長野方向から来て、青倉トンネルを抜けてすぐのところに共同駐車場があります。その一角が青倉米の倉庫になっています。そこで一昨日からでしょうか、重機が入って大規模な除雪が始まりました。「何なのだろう?」と思っていたら、路盤が崩落した飯山線の復旧工事のための仮設道路づくりだとわかりました。

 先に一度、報告したことがあるかと思いますが、JR東日本は「飯山線を1ヶ月以内に復旧させる」方針だとのこと。仮設道路づくりの様子を見ていると、「これはどうも、本当に1ヶ月で復旧させそうだ」と思われてきます。

<都市と農山村の関係を考察する興味深いケース>
 みなさん、集中豪雨等による土砂崩れなどで過疎地域のローカル線の路盤が流されたした場合、半年、1年の単位で不通になるのが当たり前になっていることをご存じではないでしょうか。
 飯山線も栄村地区まで来る列車は1日に7〜8本。潜在的には観光面で相当に価値ある路線ですが、現状は典型的な赤字線です。
 その飯山線を1ヶ月で復旧させるという異例の措置は、まことに不思議なものです。
 しかし、ここ2年のこの地域での出来事を振り返ると、事態の真相・本質が見えてきます。

 じつは、この路盤崩落地点から車で20〜30分ほど十日町方向に走ると、JR東日本の宮中ダムがあります。ここで取水した水でJR山手線など首都圏の電車を走らせるのに必要な電力の約半分が発電されています。

 ところが、一昨年の3月、JR東が宮中ダムで違法取水をしていたことが発覚し、水利権が取り消されました。昨年春、新たな水利権について地元との合意が成立し、取水‐発電が再開されましたが、当面の5年間は試行期間という位置づけです。

 そのため、JR東日本はこの地域への地元対策に神経をとがらせています。今冬、栄村のすぐそばの津南町寺石踏切でJR社員の誤誘導で列車と乗用車が衝突し、車の運転者が死亡するという事故がありました。この時も、すぐにJR東の社長が事故現場を訪れるという異例の対応がとられました。

 これまで、都市(企業、工業)は農山村の資源を一方的に収奪してきました。ところが、宮中ダム違法取水‐水利権取り消しは、もはやそういう一方的な収奪関係が成り立たない時代になっていることを突き出したのです。

 飯山線復旧工事への早期の着手も同様のことを示しているといってよいでしょう。
 ただし、この仮設道路づくり現場周辺の地権者への説明が事後説明となり、しかも一片の文書によるものだけだったことは、本質の転換にはいまだ至っていないことを示しているようでもあります。

―栄村ネットワーク関係者 現地からのメール記事

給水場所が17ヶ所に

 避難指示が解除されて3日目の今日から、給水ポイントが17ヶ所に増やされました。
 当初の方針は各集落で避難所まで取りに行くというもの。集落が広い範囲にわたって分散している栄村の実情にまったく合わない方針でした。
 17ヶ所への拡大になぜ3日も要したのか。これは一定の段階できちんと究明しなければならない問題だと思います。

―栄村ネットワーク関係者 現地からのメール記事

青倉の10世帯に避難勧告

 昨夜(22日夜)、青倉集落の中の10世帯に対して避難勧告が出されました。
 これは中条川上流の山崩れによる土石流が、この10世帯の家がある部分にも流れ込む危険があると判断されたことによるものです。
 該当地域は、中条橋から青倉集落に入ってすぐのところで、中条川の近くに位置しています。
 避難指示解除から一転、また避難勧告で、対象世帯の落胆には大きいものがあります。

 
 この写真は、中条川に架かる貝立橋から青倉集落を望んだもの。雪の中での撮影で見づらいが(今日は昼過ぎまで降雪)、左真ん中に中条橋、上に栄大橋、右に青倉の家屋が見える。


 この写真は中条地区を望むもの。下の写真は同一地点から、山崩れのあった山の方向を撮影したもの。山崩れ現場は写真右の上方にあたる。白い部分は田んぼ。まだまだ積雪が多い。




―栄村ネットワーク関係者 現地からのメール記事

本ブログについて

  • -
  • 2011.03.23 Wednesday
2011年3月12日未明、長野県栄村で震度6強、新潟県中越で6弱、群馬県北部と新潟県上越で5強と、東北地方太平洋沖地震に誘発されたとみられる地震が相次ぎました。
幸い亡くなった方こそいませんでしたが、反面、東北・関東方面に甚大な被害が出たことで、当初長野県内を除きこの地震に関する報道や支援はほとんど行われず、栄村をはじめ、現地は「忘れられた被災地」となりました。

被害は、人口2000人あまりの栄村だけで、避難者1600人以上、全半壊51棟、多くの地区で停電・断水、道路のひび割れ・陥没・通行止め、JRの不通など、のどかな農村が独力で復旧することなど不可能なレベルに達していました。

本ブログでは、「栄村の復興」を目的として、それにご協力いただける方や、栄村に関心のある村外在住者の方、及び栄村村内の方を対象に、地震に関する被害や復興状況をお知らせしてきました。

皆さまの温かいご支援のおかげで、栄村は今、当初の緊急事態を脱して本格的な復興への道を歩みはじめています。しかし、被災に伴う村の人口流出、仮設住宅の建設問題や、雪解け作付けに伴う田畑の被害の判明など、未だ問題は山積しております。

これらの問題を解決するため、今後も本ブログが栄村と皆さまを繋ぐ一助となり、少しでも復興に役立てられることを願っております。

どうか引き続き、ご協力・ご支援のほど、よろしくお願いいたします。tag:information

青倉公民館再建基金ご協力のお願い


  すでにご存じのように、青倉の公民館が全壊しました。
  公民館は“集落の命”といっても過言ではありません。集落の人たちが復興にむけて寄り合いをする場が公民館なのです。
  そのため、公民館を一刻も早く再建することが青倉集落の復興にとって決定的に重要となります。
 
  通常、集落の公民館は各世帯がそれぞれ20万円ほどを出資して建設されますが、いまは、みなさん、ご自宅の再建に手一杯で、とても公民館再建に出資する余裕はありません。
  そこで、これまで青倉に少しでもご縁がある方、また、公民館再建の必要性をご理解くださる方々の寄付で、再建資金を集めたいと思います。少なくとも300万円ほどの基金を確保できればと考えています。

  基金の口座を下記のとおり設けますので、振込でお願いします。
  みなさまのご理解、ご協力をよろしくお願いします。

●呼びかけ人
青倉米直売担当者・松尾真、渡邉加奈子
駒場保育所父母OB・木村薫
京都精華大学・中尾ハジメ

●振込先
金融機関名:北信州みゆき農業協同組合
支店名:栄出張所
種別:普通
口座番号:0006465
名義:青倉公民館基金 広瀬明彦

―栄村ネットワーク関係者 現地からのメール記事

千曲川の水量


 福島原発の事故の影響は、遠く離れた栄村にも影響を及ぼしています。東京電力が電力確保のために信濃川水力発電所の発電量を最高にするため、西大滝ダムでの取水量を上限一杯にし、下流への放流量を魚道を維持するためでけの毎秒0.2トンに減らしているのです。

 ところが、昨日21日から水量が非常に増えています。19日朝までの雪が融け、上流の水量が増えているため、西大滝ダムで毎秒171トンの水を取っても水が余るためだと思われます。

―栄村ネットワーク関係者 現地からのメール記事