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栄村復興への歩み
2011年3月に震度6強の地震で被災した長野県栄村で暮らす松尾真のレポートを更新しています。

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「結いのしょ」への支援要請が広がる

 今日の「結いのしょ」は、支援要請が数字データが手元にないのですが、村民の「結いのしょ」に対する認知度が高まり、住民から「結い」本部へ電話で支援の要請が届く件数が増えてきました。これには、本部で発行し始めた「かわらばん」が重要な役割を果たしているようです。

 また、集落へ「調査チーム」を派遣し、高齢者世帯などの様子を把握し、支援の必要な世帯を把握する作業も進んでいます。

 なお、「結いのしょ」の日々の詳しい活動の様子は、栄村復興支援機構「結い」のサイトをご覧ください。(注:WEB更新担当)

―栄村ネットワーク関係者 現地からのメール記事

中条川土砂堆積、県が住民に説明

 県が、今日、中条地区と青倉地区住民(避難勧告対象世帯)に対して、説明を行いました。写真や図を入れたA3判4枚の資料を示しての説明でした(資料はスキャニングでき次第、紹介します)。資料の文言部分のみを紹介します。

【地震時の災害】
発生源  地震動によって出尾根が山崩れ(崩壊性地すべり)を発生
下流域  雪と土砂が混じって谷を流下する雪泥流が発生

【現在の状態】(3/24〜26)
発生源  山崩れ(崩壊性地すべり)の土塊がせき止め池(天然ダム)を形成
     土塊前面の急崖での表層崩壊、落石
下流域  雪泥流の雪が溶けて、地中に穴を作りながら沈下している
*雪泥流土中の雪塊が溶け、地表に穴(深さ2m、直径3m)
*地表を流れる沢水が再び地下へ流入(伏流)

【考えられる災害の形態】(雪解け初期3月末〜4月中旬頃まで)
発生源  1.余震や雪解けによって山崩れ(崩壊性地すべり)の背後が
      さらに崩れる
     2.せき止め池があふれたり、土塊から水が湧き出し、
      前面の急崖が崩壊、地すべりを発生
     ⇒1.2.単独や複合して、土石流が発生
下流域  土石流は谷底の水を多く含んだ雪泥流堆積物を巻き込んで、
     下流に大きくなりながら流下する

 これに対して、専門家による24時間監視態勢をとり、土石流センサー、監視カメラ、サイレン、回転灯を設置している。
 いま現在は、土石流発生の差し迫った危険はないようである。
 住民には昼間の帰宅が許される模様です。

―栄村ネットワーク関係者 現地からのメール記事

多くの住宅が修復可能!

 今日は県の建築士会のみなさんによる現場調査・相談の2日目。
 被害がひどい森宮野原駅前商店街のN商店のご主人に道で出会い、「調査の結果はどうでしたか?」と尋ねると、「住んでいいと言われました」と明るい顔で答えてくださいました。N商店は「赤」が貼られ、私のような素人が見ても、地盤が大きくずれ、下がっていて、「これはダメだろう」と思っていたものです。余震のおそれが強い段階での応急危険度判定と、補強・補修すれば使えるかどうかの判断とは、判断の性質、基準が違うのですね。
 
 N商店のご主人とお会いしたのは、今日、新潟市から村を訪ねて来て下さった長谷川順一さん、長岡技術科学大の先生と一緒に歩いているときでした。
 長谷川さんは「住まい空間研究所」の主宰者で、「たてもの修復支援ネットワーク」の代表を務められている方。『地震震災建物 修復の道しるべ』という著書など、貴重な資料も
ご提供くださいました。


調査中の長谷川順一さん

 今日教わったばかりの判断方法を整理するだけの能力はありませんが、印象的だったことをいくつか紹介します。
 みなさん、下の写真のような光景を見たとき、どう感じますか。私は12日以降、もういやになるほど、この種の光景を見てきました。そして、その家の主も、私も、「土壁はダメだな。こんなに壊れてしまったのでは、もうこの家はダメだな」と思いました。


 しかし、長谷川さんは違う見方を提示されます。
 土壁は「自らが壊れることで(地震の)エネルギーを吸収して、地震力が直接骨組みに伝わり破壊されないように守ってくれる。土壁は車で例えるならば、さながらバンパーの役割を果たしていると言えるだろう」(『地震震災建物 修復の道しるべ』、p.10)。


 さらに、土壁の内部の秘密を教えて下さいました。
 土壁が剥がれ落ちると、もともと表に見えている柱以外に、土壁の内部に上写真の左中央から真ん中にかけて見える、横向きにわたされた板上の材があるのが見えます。これを「通(とお)し貫(ぬき)」と呼ぶそうです。
 これが柱と柱の間に、あばら骨のようにあって、「地震の際には例えて言うなら、竹で編まれた籠などをギュッと押し潰そうとしても元に戻るように、復元力を持って働く」(前掲著、p.11)のだそうです。
 さらに、こういう貫が確実に働くように、「隙間をかしめ留める貫楔(ぬきくさび)が打ち込まれ、その地震時における働きを確かなものにしてくれる」(同上)そうです。

 
楔の実例1


楔の実例2

 その他、大柱に亀裂が入った場合の修復の可能性、方法も、実際の事例を示しながら、教えてくださいました。下の写真中央の柱には、亀裂が入っています。




亀裂

 しかし、これも補強し、修復することが可能だといいます。
 森、青倉を見て廻った後、小滝集落を訪れ、「赤」判定された高齢者世帯3軒を見ました。いずれも「充分、修復可能」という判断でしたが、そのうちの1軒では、つぎのような会話になりました。
「壁が破れたりしているのを撤去して、この家の骨組みがすべて見える状態にしたら、とても素晴らしい姿が見えますよ」
「こんな時に、ちょっと不謹慎な言い方かもしれませんが、修復作業を楽しいものにしましょうよ」

 多くの素晴らしい伝統的な家屋を救い、被災者の負担を可能なかぎり少なくする修復・復興の展望が見えてきた一日でした。

―栄村ネットワーク関係者 現地からのメール記事

いま必要なもの――復興の知恵、長期戦ボランティア、復興基金(義捐金)の3つ

 連日、多くのボランティアの方々が「結いのしょ」として駆けつけて下さっています。また、専門的知識・技術をお持ちの方も遠方からお出でくださっています。また、メールでの情報提供もいただいています。義捐金は新たな集計は行っていないものの、着実に増えているようです。
 さて、今日は、レポートの冒頭で、「いま必要なもの」についてお知らせします。
 
1. 復興の知恵
家屋の修復・再建が最も重要な問題です。後に報告しますが、今日は新たな展開がありました。
必要な知恵は2種類あります。

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後記 3/25

  • -
  • 2011.03.26 Saturday
 今夜も比較的早く、11時前にレポートを書き終えることができました。
 でも、書きたいが書けていないこと、あるいは調べなければならないことがまだまだ沢山あります。とくに、T型集落点検の手法を応用して、少なくともいくつかの集落について、高齢者の状況を調査し、今後の支援の課題を明確にしていくことが強く求められています。
 昨夜の風邪気味は、薬を飲んで早く寝たおかげか、もうすっきりしています。

―栄村ネットワーク関係者 現地からのメール記事

「結いのしょ」の今日の活動

 今日25日は、支援に出た「結いのしょ」38名、スタッフ32名の計70名が活動しました。
 明日は今夕段階で12件のニーズが出ていて、40名の支援が求められています。
 昨日お伝えしたとおり、栄村ネットワーク(aokura@)にボランティア登録をしていただいている方々からは1日20名程度の方に出動をお願いする計画で連絡させていただいています。

―栄村ネットワーク関係者 現地からのメール記事

被害の記録 3/25

  木村先生と一緒に高橋彦芳前村長(青倉)のお宅を訪ねました。お宅はほとんど被害がなかったのですが、お宅の裏側の崖が崩落しているとのこと。初めて知り、写真撮影してきました。


左下の庇が高橋彦芳さん宅、写真真ん中にブルーシートをかけたところが見える。
そのブルーシートがかけられている地点が下の写真。

 
道路の左側が落ち込んでいるのがわかる。さらに道路の右手の様子は次の写真。
 

道路脇の山が押し出されてきている。大きく地面が動いたことがわかります。

―栄村ネットワーク関係者 現地からのメール記事

中条川上流の土砂堆積問題 ―― 堆積土砂の除去作業はできないか

 木村先生の一行の中には砂防が専門の先生もおられました。そこで、中条川上流の土砂堆積現場が見える地点まで行き、実地検分していただいて、意見を伺いました。
 その先生の意見は、「いまのうちに、堆積土砂を少しでも除去する作業を進める方がいい」というものでした。
 県や国でも、その可能性について、是非、検討してほしいと思います。


土砂堆積現場には岩・石がゴロゴロしている


崩落現場の中腹をクローズアップ


中条川下流にはすごい色の濁流が流れている

―栄村ネットワーク関係者 現地からのメール記事

* 田んぼの被害は相当に大きそう ―― 信州大学・木村和弘教授らが現地調査

 信州大学農学部の木村和弘教授ら5名の調査班が今日、村を訪れました。
 木村先生は、これまでに1984年、1991年、1997年、2004年の4回、栄村の全田んぼを調査されたことがあり、「栄村の田んぼで木村先生が知らない田んぼはない」というほど、栄村の田んぼを熟知されている方です。
 田んぼの被害状況は雪が消えないと判明しませんが、「とにかく、まず一度見てみよう」ということで、南信の南箕輪村から来て下さいました。
 木村先生は腰が悪くて杖を使っておられますが、どんどん歩きまわって、精力的に状況を観察して下さいました。

 
木村和弘先生


調査班の一行


道路と畔の間に隙間が


田んぼを覆う雪に亀裂

 道路と畔の間の隙間に融雪水が入り込むと、田んぼが動いてしまうそうです。また、上の写真のようなかなり目立つ亀裂は田んぼにクラックが生じていることを示しているといいます。


 さらに、上の写真のように、本来は平らであるはずの根雪の表面が波打っています。これは雪の下の田んぼが均平ではなくなっていることを示していると考えられます。下の写真は上の写真の一部を拡大撮影したものですが、雪が割れて断層ができていることを示しています。これはそもそもの田んぼの段差によるものではなく、田んぼの中に段差が生じた可能性を示しています。



 木村先生らは中越大地震で被害をうけた棚田の調査も行っておられます。単に1枚、1枚の田んぼの修復というレベルではなく、何枚もの田んぼから成る団地全体をどのように修復するかを検討しなければならないようです。
 木村先生は県とも連絡をとりながら、全力で栄村の田んぼの復旧・復興に力を尽くすと固く約束をして下さいました。雪が消える頃に村を再度訪れ、本格的な調査に取り組む準備を進め、その過程でも村のみなさんと頻繁に連絡を取り合って下さいます。
 村でも、田んぼの被害状況の調査、復旧作業にむけて取り組みを開始しなければなりません。

―栄村ネットワーク関係者 現地からのメール記事

小滝集落、「家に戻れる人も交替で避難所に泊まる」と決定

 今日、小滝集落の全員集合の寄り合いが避難所で行われました。そして、家に戻れるようになった者も交替で避難所に泊まり、帰れない人が寂しくならないようにすることを決めました。

 この決定の背景にはつぎのような事情があります。
 小滝はわずか17世帯の小さな集落。修理は必要だが、ともかく住めるという家を含めて、家に帰れる世帯が9世帯。それに対して、これまでの家には戻れない世帯が5世帯(残りのうち、1世帯は村外の仮住居へ。2世帯は入院または村外避難)。家に帰れる世帯がいずれも50〜60歳代が世帯主であるのに対して、戻れない5世帯はいずれも世帯主が70〜80歳代(うち1世帯のみ40歳代の長男が同居)。

 このままいけば、避難所には高齢者夫婦世帯のみが取り残されることになってしまいます。そこで、60歳代の提唱で、家に戻れる人も当番で避難所に泊まるようにしたのです。

 これで問題がすべて解決するわけではありませんが、非常に大切な決定だと思います。家を失ってしまった高齢者を孤立させないこと、これがいま、いちばん大切なことになってきています。

―栄村ネットワーク関係者 現地からのメール記事