プロフィール

profile
栄村復興への歩み
2011年3月に震度6強の地震で被災した長野県栄村で暮らす松尾真のレポートを更新しています。

カテゴリー

categories

サイト内検索

Search

カレンダー

calender
     12
3456789
10111213141516
17181920212223
24252627282930
<< September 2017 >>

最近の記事

selected entries

最近のトラックバック

recent trackback

月別アーカイブ

archives

栄村関連リンク

links

携帯用QRコード

mobile
qrcode

ブックマーク & RSS

Bookmark&RSS

訃報

  小滝集落の長老、樋口良男さんがお亡くなりになりました。享年89歳でした。
 良男さんは、地震まで元気にされていましたが、避難の過程で体調を崩され、急性肺炎で入院中でした。

 良男さんは第二次大戦中、応召され、択捉島で終戦を迎え、シベリアに連行・抑留され、帰国されたのは昭和23年だったとお聞きしています。その後は西部農協の組合長を務められるなど、村のリーダーとして活躍されました。

 私がお付き合いをさせていただいたのはこの1年のことですが、学生らがお訪ねすると、即席の「ロシア語講座」をなさるなど、たいへん素敵なおじいちゃんでした。江戸時代の寛政年間に志久見街道を旅して小滝の十二社で一泊した人が書いた落書きの文言を暗誦されていたのも良男さんでした。

 お顔を見たいと思いましたが、こういう状況の中ですので、ご長男がお住まいの長野市で近親者のみの葬儀が行われ、後日、集落でのお別れ会が行われることになると聞いています。
 天寿をまっとうされたと言っていいと思いますが、本当に残念です。

―栄村ネットワーク関係者 現地からのメール記事

高校生が「結いのしょ」で活躍


 今日は、柏崎工業高校防災エンジニア科の生徒さん13名が引率の先生やご父兄と共に、「結いのしょ」として駆けつけてくれ、主にごみ集積所で活躍してくれました。
 大型ごみの所では、廃棄されたものを解体処理する作業を素早く行ってくれ、「さすが、柏工の生徒さん」という評判だったそうです。

―栄村ネットワーク関係者 現地からのメール記事

修復事例の紹介


 長谷川さんからいいただいたチラシに能登半島地震での修復事例の写真がありましたので、紹介しておきます。

―栄村ネットワーク関係者 現地からのメール記事

古いが素晴らしい家がいっぱいある

 ご紹介するのは、私が村に住むようになった時からお世話になっている知り合いのお家です。外観は、下の写真のような感じで、こういう言い方をしては失礼になりますが、そんなに「立派なお家」とは見えません。


 平素は別棟の作業所で話をするので、この母屋に入ったのは昨年2月にお父様がお亡くなりになった弔いのときだけです。べつに家の観察をしたわけではありませんが、「古いお家だ」という以上の感想はありませんでした。


 ところが、今日訪れてみてビックリ。仮住居に引っ越しされるため、家具などをすべて運び出されていたのですが、その結果、家の構造がはっきりと見えます。上の写真に見える横柱(というのでしょうか)の立派さを見てください。また、下の写真は2階を見上げて撮ったものです。この家はもともとは茅葺きの家。築90年くらいになるそうですが、その茅葺き部分を取って、2階部分を載せたそうです。そこに見られる梁もまたじつに立派なものです。


 この家を修復するか、建て替えるか、知人はまだ最終判断を下してはいませんが、ご本人も「いやあ、立派な家だ」と言っておられました。

 昨日、長谷川さんがその素晴らしさに惚れ込み、「こんな時に、ちょっと不謹慎な言い方かもしれませんが、修復作業を楽しいものにしましょうよ」と言われた家といい、とにかく、古い民家に素晴らしい家がたくさんあるのです。
 こういうお家をどうするのか。それは個々人の問題を超えて、村のこれからのあり方、社会のあり方を左右するテーマであると思います。

―栄村ネットワーク関係者 現地からのメール記事

家の片付け‐応急措置の進展に感心

 昨日の「多くの住宅が修復可能」の報告の継続で、写真紹介したお宅の1軒に今日も伺い、片付けとひとまず暮らせる環境を整える応急措置の進展ぶりに驚き、感心しました。
 15日などに撮った写真と今日の様子を対比させてレポートしたいと思います。


 これは15日午後に撮影したものです。玄関に入ったところから撮ったのですが、写真真ん中に食器棚のようなものが見えますが、そこが居間です。廊下的な部分と居間の間の障子はすべて外されています。敷居が下がったりして障子が動かないためです。


 こちらは、その居間を今日、居間の中から撮ったものです。
 右半分は元の障子がはめ込まれています。あとの2枚はダメになったので、居間と座敷の間の帯戸(写真左側のような板づくりの戸をいいます)で生き残ったものを使っています。
 これで玄関・廊下と居間の区切りができ、部屋を暖かく保つことができます。これ自体がなかなかの知恵だと思うのですが、このような応急措置ができた裏には、さらにもう一つの知恵・技が隠されていました。
  

 上の写真の中央に灰色がかった色の材が1本立てられています。また下の写真でも写真中央に周りの材とは色が違う、同様に灰色がかった材が入っています。


 いずれも障子を入れる部分の鴨居を支えるための応急措置です。これによって障子を入れ、動かすことができるようになったのです。これはこの家の主(78歳)が一人でおやりになったことです。


 また、居間と座敷の外に面した戸の部分をご覧ください。
 上は15日の一時帰宅(30分間)のときに外側から撮影したもの。サッシ戸が外れ、無残な姿を晒しています。下は、今日写真の左部分を内側から撮ったもの。破れた障子紙がきれいに取り除かれています。


 私が訪れた時、奥さんは買い物に出ておられたのですが、その買い物の1つが障子紙を購入すること。障子を貼りかえられるそうです。そのひとつでグッと落ち着いた雰囲気が戻り、地震の衝撃から立ち直る安らぎの空間が蘇ってきます。


 さらに、もう一つ。  
 上の写真に写っているのはこのお宅の物置。もともとは鶏を飼っていた建物だそうです(24日撮影)。はっきりと傾いています。ご主人は一時帰宅の15日の時点から「これは取り壊す」と言っておられました。ところが、昨26日、この家を訪れた長谷川順一さんが、「すぐに壊さない方がいいですよ。母屋を修復する時に、母屋から運び出した家具などを置く場所として使えますから。倒れないように、つっかえ棒を入れればよい」とアドバイスされました。今日、訪ねてみると、早速、下の写真のようにつっかえ棒が入れられていました。「昨日来てくれた先生が言っていたからさ」と、ご主人。


 こういう応急措置を自力でどんどんやってしまう力(知恵と技)に私は感心させられること、頻りでした。
 村の高齢者、さらには百姓仕事をやっているような“わけしょ”は、話していて、家のつくり(構造)についてかなり詳しいことがよくわかります。住宅についても“消費者”になってしまい、建築のことは建築屋のまかせっきりの都会の暮らしとの違いを強く感じます。

―栄村ネットワーク関係者 現地からのメール記事

何なの?! この雪


 これは今朝8時少し前に役場前で撮影したものです。
 今朝は起きてみてビックリ。今日は3月27日ですよ。お天道様はいったい何を考えているのやら。地震で集落内道路などの除雪作業が難しい中、午前中は、この雪のために復旧活動にずいぶんと影響が出ました。家が危険な家屋では早めに雪を下ろすお宅も散見されました。
 ただし、この時期の雪はそんなに残りません。夕刻には、少なくとも道路は昼過ぎまでの雪がウソのような感じになっていました。

―栄村ネットワーク関係者 現地からのメール記事

後記 3/26

  • -
  • 2011.03.27 Sunday
 今日はほぼ一日中、雪でした。かなり激しく降る時間もあり、復旧活動の妨げですが、それでも皆さん、頑張って片付けや復旧作業に取り組んでおられます。明日も、午前中は雪の予報です。

 記事の執筆は、0時を過ぎてしまいました。最後の20分ほど、猛烈に眠いです。今日は夕方ころから肩が詰まります(「凝る」というよりも「詰まる」という感じ)。
 でも、今日の長谷川さんのお話にはずいぶんと勇気づけられました。

 明日もがんばりますよ〜。

―栄村ネットワーク関係者 現地からのメール記事


「結いのしょ」への支援要請が広がる

 今日の「結いのしょ」は、支援要請が数字データが手元にないのですが、村民の「結いのしょ」に対する認知度が高まり、住民から「結い」本部へ電話で支援の要請が届く件数が増えてきました。これには、本部で発行し始めた「かわらばん」が重要な役割を果たしているようです。

 また、集落へ「調査チーム」を派遣し、高齢者世帯などの様子を把握し、支援の必要な世帯を把握する作業も進んでいます。

 なお、「結いのしょ」の日々の詳しい活動の様子は、栄村復興支援機構「結い」のサイトをご覧ください。(注:WEB更新担当)

―栄村ネットワーク関係者 現地からのメール記事

中条川土砂堆積、県が住民に説明

 県が、今日、中条地区と青倉地区住民(避難勧告対象世帯)に対して、説明を行いました。写真や図を入れたA3判4枚の資料を示しての説明でした(資料はスキャニングでき次第、紹介します)。資料の文言部分のみを紹介します。

【地震時の災害】
発生源  地震動によって出尾根が山崩れ(崩壊性地すべり)を発生
下流域  雪と土砂が混じって谷を流下する雪泥流が発生

【現在の状態】(3/24〜26)
発生源  山崩れ(崩壊性地すべり)の土塊がせき止め池(天然ダム)を形成
     土塊前面の急崖での表層崩壊、落石
下流域  雪泥流の雪が溶けて、地中に穴を作りながら沈下している
*雪泥流土中の雪塊が溶け、地表に穴(深さ2m、直径3m)
*地表を流れる沢水が再び地下へ流入(伏流)

【考えられる災害の形態】(雪解け初期3月末〜4月中旬頃まで)
発生源  1.余震や雪解けによって山崩れ(崩壊性地すべり)の背後が
      さらに崩れる
     2.せき止め池があふれたり、土塊から水が湧き出し、
      前面の急崖が崩壊、地すべりを発生
     ⇒1.2.単独や複合して、土石流が発生
下流域  土石流は谷底の水を多く含んだ雪泥流堆積物を巻き込んで、
     下流に大きくなりながら流下する

 これに対して、専門家による24時間監視態勢をとり、土石流センサー、監視カメラ、サイレン、回転灯を設置している。
 いま現在は、土石流発生の差し迫った危険はないようである。
 住民には昼間の帰宅が許される模様です。

―栄村ネットワーク関係者 現地からのメール記事

多くの住宅が修復可能!

 今日は県の建築士会のみなさんによる現場調査・相談の2日目。
 被害がひどい森宮野原駅前商店街のN商店のご主人に道で出会い、「調査の結果はどうでしたか?」と尋ねると、「住んでいいと言われました」と明るい顔で答えてくださいました。N商店は「赤」が貼られ、私のような素人が見ても、地盤が大きくずれ、下がっていて、「これはダメだろう」と思っていたものです。余震のおそれが強い段階での応急危険度判定と、補強・補修すれば使えるかどうかの判断とは、判断の性質、基準が違うのですね。
 
 N商店のご主人とお会いしたのは、今日、新潟市から村を訪ねて来て下さった長谷川順一さん、長岡技術科学大の先生と一緒に歩いているときでした。
 長谷川さんは「住まい空間研究所」の主宰者で、「たてもの修復支援ネットワーク」の代表を務められている方。『地震震災建物 修復の道しるべ』という著書など、貴重な資料も
ご提供くださいました。


調査中の長谷川順一さん

 今日教わったばかりの判断方法を整理するだけの能力はありませんが、印象的だったことをいくつか紹介します。
 みなさん、下の写真のような光景を見たとき、どう感じますか。私は12日以降、もういやになるほど、この種の光景を見てきました。そして、その家の主も、私も、「土壁はダメだな。こんなに壊れてしまったのでは、もうこの家はダメだな」と思いました。


 しかし、長谷川さんは違う見方を提示されます。
 土壁は「自らが壊れることで(地震の)エネルギーを吸収して、地震力が直接骨組みに伝わり破壊されないように守ってくれる。土壁は車で例えるならば、さながらバンパーの役割を果たしていると言えるだろう」(『地震震災建物 修復の道しるべ』、p.10)。


 さらに、土壁の内部の秘密を教えて下さいました。
 土壁が剥がれ落ちると、もともと表に見えている柱以外に、土壁の内部に上写真の左中央から真ん中にかけて見える、横向きにわたされた板上の材があるのが見えます。これを「通(とお)し貫(ぬき)」と呼ぶそうです。
 これが柱と柱の間に、あばら骨のようにあって、「地震の際には例えて言うなら、竹で編まれた籠などをギュッと押し潰そうとしても元に戻るように、復元力を持って働く」(前掲著、p.11)のだそうです。
 さらに、こういう貫が確実に働くように、「隙間をかしめ留める貫楔(ぬきくさび)が打ち込まれ、その地震時における働きを確かなものにしてくれる」(同上)そうです。

 
楔の実例1


楔の実例2

 その他、大柱に亀裂が入った場合の修復の可能性、方法も、実際の事例を示しながら、教えてくださいました。下の写真中央の柱には、亀裂が入っています。




亀裂

 しかし、これも補強し、修復することが可能だといいます。
 森、青倉を見て廻った後、小滝集落を訪れ、「赤」判定された高齢者世帯3軒を見ました。いずれも「充分、修復可能」という判断でしたが、そのうちの1軒では、つぎのような会話になりました。
「壁が破れたりしているのを撤去して、この家の骨組みがすべて見える状態にしたら、とても素晴らしい姿が見えますよ」
「こんな時に、ちょっと不謹慎な言い方かもしれませんが、修復作業を楽しいものにしましょうよ」

 多くの素晴らしい伝統的な家屋を救い、被災者の負担を可能なかぎり少なくする修復・復興の展望が見えてきた一日でした。

―栄村ネットワーク関係者 現地からのメール記事