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栄村復興への歩み
2011年3月に震度6強の地震で被災した長野県栄村で暮らす松尾真のレポートを更新しています。

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マスミばあちゃんに会いました!(19日の様子2)


 長野市の息子さんの家に避難されていた阿部マスミさん(茅葺き民家のばあちゃん)が、今日、息子さんと共に、家の片付けに帰って来られました。
 お家に訪ねて、お話してきました。左の写真は厳しい表情のものですが、お話した時はいつも通りのにこやかな表情でした。
 
 マスミばあちゃんの宝物である、みなさんが訪ねた時に記帳したノートはしっかり保管されていました。
 応急危険度判定は「赤」。しかし、その判定理由は「壁の落下あり、危険です」というもので、私が見た感じでも復興は可能だと思われました。
 みなさんがマスミばあちゃんのお家を訪ねた時に「お茶のみ」をする居間は、壁がすっかり落ち、無残な姿でした。でも、あの太い柱は健在です。


 江戸年間に建てられた貴重な文化財(県宝)、なんとしても復興させたいと思います。

―栄村ネットワーク関係者 現地からのメール記事

栄村復興支援機構「結い」の活動がスタート(19日の様子1)


受付登録後、待機する「結いのしょ」のみなさん

 復興へのボランティア支援を行う「栄村復興支援機構『結い』」の活動が今日から始まりました。
 第1日目は、果たしてどの程度の応援依頼があるかもわからない状態でのスタートでしたので、栄村からあまり遠くない地域の人たちに駆けつけていただきました。

 朝からはJC(青年会議所)の人たちに救援物資の受付・仕分け作業に入っていただくことからスタート。家屋の片付け作業をお手伝いする集落支援チームに参加予定の方々には午後の「半日帰宅」に合わせて、午前10時〜10時半の間に集合していただき、午後1時から集落に入っていただきました。
 JC、県社協、中越防災安全推進機構、NPO法人GO雪共和国、そして栄村ネットワークの呼びかけにお応えいただいた方々、総勢40名が3つのグループに分かれ、㈰雪坪、柳在家、極野、㈪森、横倉、小滝、㈫大久保、野田沢の各集落に入りました。

 むらのみなさんからは歓迎していただき、壁土の運び出しや家の中の整理などをお手伝いすることができました。(今日はお手伝いの様子を撮影する余裕がありませんでした)
 すでに明日20日の応援依頼もかなりの数、入っています。19日夕の集約で、1軒3人として約50名の「結いのしょ」が必要になっています。


<「赤」判定の家の支援をどうするか>
 今日の活動から浮き彫りになってきた悩ましい問題があります。応急危険度判断で「赤」と判定されたお宅への支援の問題です。
 震災復旧ボランティアの活動原則の1つに、「『赤』判定の家には立ち入らない」おいうものがあります。
 しかし、実際に集落に入ると、腰の曲がったおばあちゃんが一人で瓦礫の始末をしているという場面に遭遇します。高齢者の独居世帯あるいは高齢者夫婦世帯が「赤」判定されているケースが多いのです。
 「赤」だからといって手をこまねいて見ていることはできません。しかも、「黄」だが非常に危険だと思われるものがあるの対して、「赤」判定だが立ち入って危険だとは思われない家も結構あります。
 事務局の総括会議で検討しましたが、建築士などの専門家に改めて診断していただき、OKが出れば、「結いのしょ」が入る、という仕組みを作れないか、という意見でまとまりました。そのためには、県などの協力で、建築士を一定数派遣してもらうことが必要です。県でも検討してほしいと思います。

―栄村ネットワーク関係者 現地からのメール記事

活動余話

 メール等で私への激励をいっぱい頂いています。一つ一つに返信することができませんが、有難うございます。

 昨日までは車の中で原稿を書いたりしていましたが、「栄村復興支援機構『結い』」の発足に伴い、役場の中の部屋で作業できるようになりました。今日は日中も原稿書きを少し進めることができましたが、昼間の活動の軸は「結い」の集落支援の活動になります。いま、午後10時20分過ぎで、だいたい11時ないし12時に作業が終わるという感じです。

 緊張感があるせいか、あまり疲れてはいません。

 贅沢をいえば、缶コーヒーではない、ホンモノのコーヒーを1日に1回でいいから飲みたい、急須で入れたお茶を飲みたいというようなところでしょうか。コーヒーにせよ、日本茶にせよ、お茶のみというのは人間にとって大事なことなのだと思います。
 栄村でなにが楽しいといって、お茶のみに勝るものはありません。ゆっくりとお茶のみができるむらを取り戻すために頑張りたいと思います。
 あともうひとつ。TVのニュースを見る時間も、新聞を読む時間もままなりません。今回の大震災、原発災害をめぐって、世の中、こういう議論がされているよ、というメールをいただけると助かります。

―栄村ネットワーク関係者 現地からのメール記事

除雪と片付け(18日の様子4)

 <午前中は除雪作業から>
 今朝方まで雪が続きました。かなりの積雪量で、午後の「半日帰宅」にむけて、集落内道路の確保へ、消防団などが懸命に除雪しました。

 
消防団の除雪作業(青倉)


 朝のゼミナール館前
 
<午後は4時間の帰宅で片付け作業進む>




―栄村ネットワーク関係者 現地からのメール記事

小滝レポート(18日の様子3)

 午後1時少し前、樋口利行さん(NPO法人栄村ネットワーク理事長)から電話が入った。
「これから小滝に入りま〜す」ちょうど、青倉に社協の人たちを送るところだったので、「じゃあ、後から行きます」と約束。1時半過ぎに小滝に向かいました。


小滝には写真中央に見える道を通って入る


 朝からの除雪作業で1車線が確保されていた
 

<樋口利行さんのお宅へ>

 集落に入ると、集落内の道路は各世帯の車や支援の農協関係者の車で一杯。苦労しながら、まず利行さんの家へ。


 家の前の駐車スペースに見慣れない物体の山が

 利行さんに、「あれ、何だい?」と尋ねると、「ビンから出したキノコ」との返事。電気も切れて、ダメになったエノキを培養ビンから出したもの。この時は気づかなかったが、後にエノキ工場の中に入ると、異様な臭いが。キノコが大量に腐ってしまったのですね。家の中に奥さんがおられるとのことで、閉まっている玄関を開けた瞬間、びっくり。


玄関を入ったところ


座敷の壁

 
2階への階段

 これまでに古道歩きなどで小滝を訪れ、利行さん宅でお茶のみや昼食のお世話になった人は、その時のことを思い出しながら、下の2枚の写真を見てください。



 
 

<中沢謙吾さんの牛舎>
牛たちは、13日にすでに救出されているが、この2つの牛舎は再建不可能でしょう。でも、1棟だけ使用可能な牛舎がありました。一筋の光明といえるかもしれません。

 
公民館前道路に面した牛舎


その後ろの牛舎


使用可能と思われる牛舎の内部
 

<小滝の水道は生きているようです>
 樋口武夫さんと中沢強さんが簡易水道のタンクを見に行っていると聞いたので、その後を追うことにしました。集落内の道路から雪の斜面を100mほど登ったところにあります。左の写真の奥に見える建屋がタンクのあるところです。





 こんな時に不謹慎かもしれませんが、きれいな景色でしょう。逆方向で集落を見下ろす風景も。地震がなかったら、本当に最高なんですが…。


タンクの内部を上部から覗いた
(底に溜まり始めた水が光って見える)

 タンクのある建屋に着くと、樋口武夫さんがタンクの中に下りていて、間もなく、「水がたまり始めているぞ」という声が。集落への配水のバルブを閉めたところ、水が貯まり始めたとのこと。水源とタンクをつなぐ箇所には破損は起きていないということです。
 

<小滝の被害はやはり相当深刻>
 地盤をやられて「赤」判定になっている家、基礎がかなりずれてしまった家。でも、みなさん、除雪や片付けに元気に取り組んでおられました。結束力の強い小滝集落。集落の力で復興にむかって前進してほしいものです。
 
―栄村ネットワーク関係者 現地からのメール記事

青倉集落の水道もOK。森集落は応急措置へ(18日の様子2)

 青倉集落の水道は水源に問題がなく、タンクに水も貯まっていることが確認されました。今日から、集落内の配水管の漏水調査が始まりました。
 森集落は、水源が中条川上流の山崩れによる土砂堆積で使用できない状態。配水槽(塩素殺菌をするところ)の近くに湧水があるので、その湧水と配水槽を結ぶ応急措置をとることになりました。ただし、これだけでは約100世帯があり、役場などもある森の水需要を満たすことは困難で、より根本的な対策が必要となります。

―栄村ネットワーク関係者 現地からのメール記事

社協の人たちが支援(18日の様子1)

 長野県社協の人たちが連日、炊き出し等の支援に入ってこられましたが、栄村震災復興支援機構「結い」の発足に伴い、「結い」の中軸として活動して下さることになります。
 今日の午後、状況調査の意味で「一時帰宅」実施中の青倉集落に入りました。すると、「ちょっと手伝って」という声がかかり、家の片付けなどをお手伝い。
 「結いのしょ」の支援活動がどんな感じのものになるか、イメージを掴むいい機会になりました。

―栄村ネットワーク関係者 現地からのメール記事

仮設住宅建設へ全力を ―― 住民自治の蓄積を生かして

 「半日帰宅」も始まり、村民のみなさんは、大変ではあるが、復旧・復興にむけて力強く歩みだしている。復興にむけて、いま、切実に求められているのが仮設住宅の建設について具体的な方針を明確にすることだ。

 1つは、1ヶ所集中型ではなく、各集落に仮設住宅を建てることだ。むらの力の根源は集落(の絆)にある。
 2つ は、建設場所を早急に決め、整地作業などに一刻も早く着手することだ。被害状況から、かなりの数の仮設住宅が必要な集落がどこかは誰の目にもあきらか。役場だけで対処しようとせず、集落の意向を聴き、住民と一体で進めていけば、事をスムーズかつ迅速に進めることができると思われる。役場の中堅・若手職員は いろんな分野で凄い力を発揮している。集落‐住民とそういう役場職員が力を合わせれば、打開できない困難はないと言っても過言ではない。
 「道直し」や「田直し」の経験を思い起こすことが有益だと思う。住民がどんどん考え、議論し、役場はその意見を吸い上げて、事を進めていくことだ。

―栄村ネットワーク関係者 現地からのメール記事

県による住宅についての説明、意向調査、相談(17日の様子5)


森・青倉集落対象の説明会

  今日17日午前、県による住宅についての説明会がありました。
  「応急危険度判定」で「赤」と判定された世帯を対象とするものです。
  説明会は、「赤」「黄」の判定理由を、事例写真を示しながら説明するものでした。この後、個別の相談会が開かれています。

  説明会では質問も受け付けられましたので、一つ、質問しました。「一時帰宅で建物に入ってみると、余震の影響でどんどん様子が変わっている。実際に家の修復などをやろうとする場合、本当に修復可能なのかどうかをどう判断すればよいのか」と。回答は、「建築士などの専門家に診てもらうことが必要でしょう。今日、県の建築士の団体が会議をやっています」というものでした。
  建築士の方などがボランティアで協力・支援して下さるだろうという推察はつきますが、やはり公的な支援が必要だと思います。

  「応急判定」とは異なり、1〜2週間くらいかかってもいいので、県が責任をもって専門家の知見を生かしながら、個々の世帯の診断を行い、再建の方策について指導・アドバイスする仕組みが必要だと思うのです。
  実際、相談会の後、TVのインタビューに答えて、「『責任をもてない』と言われたが、直して住みたい」と言う高齢者がおられました。こういう思いを大事にしながら、住宅の再建に取り組む姿勢が大事だと思います。

  不幸中の幸いというべきか、激甚被害は長野県内で栄村だけ。しかも、深刻な状況の世帯数はどんなに多く見積もっても数百世帯程度ではないでしょうか。だとすれば、県が各世帯毎に診断・相談に応じ、親身の再建指導に当たることは十分に可能だと思うのですが…。


<個別相談の内容>
  個別の相談会は、県営住宅への仮入居を希望するか、仮設住宅への入居を希望するか、という2点の意向調査でした。
  県営住宅への仮入居は1年間限定。たしかに、仮設住宅入居までの一時的住まいの確保としては有効です。ただし、県営住宅があるのは近いところで飯山市、遠くは長野市なので、村から車で40分〜2時間の距離です。せいぜい利用できるのは飯山市、中野市が限度ではないかと思います。

*夜9時前のNHK県内ニュースで、「県営住宅への引っ越し(移転)」と表現していましたが、これは不適切だと思います。これでは、一時的なものではなく、「離村・移転」という感じに聞こえてしまいます。こういうニュアンスは、とても大事なことだと思います。メディア関係者はよく注意してほしいと思います。

  仮設住宅については、「入居まで1ヶ月」とのこと。急ピッチでやれば半月くらいでも可能なのではないでしょうか。人口の少ない村ですから、抽選方式などではなく、希望者全員入居を実現してもらいたいと思います。

―栄村ネットワーク関係者 現地からのメール記事

明日は「半日帰宅」(17日の様子4)


夜8時、役場前に駐車中の車


仮設トイレの屋根にも積雪

 今日も雪が続き、平時のようなスムーズな除雪ができないため、「一時帰宅」はなし。明日は午後1時から「半日帰宅」になります(午前中は集落内道路の除雪)。時間は4時間。

  かなりじっくり落ち着いて、片付けに手をつけることができるのではないかと思います。
  また、19日(土)以降も「半日帰宅」が予定されていますが、19〜21日は三連休。親戚の人たちもたくさんやって来るようです。
  いよいよ、避難から復旧・復興へ、歩を進める段階に入っていきます。

―栄村ネットワーク関係者 現地からのメール記事