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栄村復興への歩み
2011年3月に震度6強の地震で被災した長野県栄村で暮らす松尾真のレポートを更新しています。

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栄村復興への歩みNo.363(7月21日付)

 

 

 21日午後4時半少し前、甲子園出場を決めた飯山高校野球部の選手たちが母校に凱旋。
 写真は、マイクロバスから降り、同校玄関前での優勝報告会に向かう吉池監督(列の先頭)、大川主将(2番目、優勝旗を持つ)ら。玄関前の広場には飯山市民ら数百名が出迎え、朝日新聞と信濃毎日新聞の号外や野球部全員の集合写真が入り「祝甲子園出場 飯山高校」と大書されたポスターなどが配られました。
 優勝報告会では吉池監督、大川主将が挨拶。大川キャプテン(下写真)からは〈雪国飯山〉を甲子園でアピールするという力強いメッセージが発せられました。

 

 

 飯山高校の甲子園出場は飯山市のみならず、飯水地域・岳北地域にとって歴史的な快挙。大感動です。栄村を挙げて飯山高野球部を応援しましょう!


ゲート全開の西大滝ダムを見る

 

 「『グウァオー』という轟音(ごうおん)が全身を包み、歩くコンクリート道は揺れている。」7月1日夕刻、西大滝ダムの堰堤の上を東大滝側から西大滝側へ進んだ時の様子です。
 6月下旬に西大滝〜桑名川の千曲川沿いを走った時に、西大滝よりも上流の水位がとても下がっていることに気づいたのですが、それが西大滝ダムのゲート全開による事態だとは、その時点では知りませんでした。1日、野々海祭の会場で知人から「ゲート全開」を聞き、夕刻、その様子を見に現場に向かった次第です。当日は工事休止でダム堰堤の上の道は歩行者のみ「通行可」でした。
 7月13日付の妻有新聞の報道によれば、5月29日にゲートの不具合が発見され、6月4日からゲートを全開にして改修工事が行われているとのこと。最長の場合、9月末までのじつに4ヶ月間にわたって、西大滝ダムのゲート全開が続く可能性があるわけです。

 西大滝ダムのゲート全開をめぐる重要な問題点の1つ、東京電力から栄村役場への直接連絡の有無をめぐる問題は情報が錯綜しているため、今回は取り上げません。今回は長期間にわたるゲート全開が引き起こす河川環境の変化について写真をまじえて見てみたいと思います。

 


 上写真は7月17日、ダム上流の様子を国道117号線脇から撮影したものです。
 まず第1に、ダム上流の水位は非常に下がっています。ダム運用時は大量の水が満々とたたえられ、湖のように見えるのですが。第2に、左岸の河岸がかなり広範囲にわたって干上がっています。つぎに、西大滝地区側から見た千曲川の様子を示します。下の写真(7月14日撮影)です。

 


 野々海川が千曲川に合流する地点です。写真向こう側の岸(右岸です)を見ると、草が生えていない地肌むき出しの部分が見えます。これが平素は水に覆われている部分です。いかに水位が下がっているかがよくわかります。
 もう1枚、紹介します。

 


 7月1日にゲート脇からダム上流側の様子を撮影したものです。前日の雨で水量が多かったのですが、ダム直前のところで水位がガクッと落ち込んでいる箇所が斜め線状に生じているのが確認できます。ダムという川には本来は存在しない人工構築物に川の水が当たり、その構築物の間にあるゲート部が全開になっていて、そこに川の水が幅を狭められながらすべて下っていくという時に、何か普通の川の水の流れとは異なることが起こるのではないでしょうか。
 写真5枚目として7月1日午後5時前の村内・月岡集落大巻地区付近の千曲川の様子を紹介します。

 

 

 かなり水位が上がっています。6月30日〜7月1日の村内の降雨量だけではここまで水位は上がりません。上流域での降雨と西大滝ダムゲート全開の影響が出ているのです。
 この水位では大巻の田んぼが水を被るまでには至りませんが、もう少し水位が上がれば危険です。
 


7月の景色だなあ!

 今年は梅雨期が長く、すっきりしない天候が続いていますが、そんな中でも、「やはり7月だなあ」と思うものに出会います。
 7月17日、秋山郷・上野原で配達している最中に今年初めて、花豆の花がきれいに咲いているのに出会いました。高齢のおかあさんが毎年、丁寧に育てておられるのが印象的です。

 

 

 

 お家の前の畑に入らせていただいて、よく観察すると、すでに実をつけているものがありました。実がつくということは花はその役目を終えて萎れていくことになるわけですね。1年に一回、ほんのわずかな期間だけ見られる花が萎れるのは残念ですが、美味しい花豆がいただけるようにもなってほしい。人間の身勝手さですね。

 


ササユリ
 昨年もご紹介しましたが、今年は7月18日に撮影できました。

 


 その週のはじめ頃に開花したようですが、なかなか日程がとれず、この日になりました。もう数日早く撮りたかったなあと思っています。
 ササユリは「本州中部以西〜四国・九州に分布」とされていて、野山の自生花を熱心にレポートされている方が「新潟・妙高でササユリに出会った」という記事で「おそらく、この辺りが北限ではないか」と書いておられます。
 栄村では以前は当たり前のように咲いていたようですが、いまや自生のササユリは貴重な存在。守っていきたいと念じています。

 

ヤブカンゾウ(薮萱草)

 

 

 この季節になると、村の野原のいたるところで見られますが、名前をご存じない方も多いようです。
 似た花にノカンゾウがありますが、見分け方は花が一重か八重咲かにあるそうです。写真のものは八重に花開いていますので、ヤブカンゾウだと思います。別名「ワスレグサ」というそうですが、「ワスレナグサ」とはまったく関係ありません。
 種としてはワスレグサ属(別名キスゲ属)に区分され、高原植物として有名なニッコウキスゲと同属だそうです。
 写真は7月18日に坪野のお宮の近くで撮影しました。


この景色をどう評価するか

 

 12日昼頃に撮った一枚です。
 この写真を地元の人に見せて、「これ、どこなのか。わかりますよね」と言うと、意外にも「えっ、どこ?」と答えられ、驚きました。
 撮影の数日前、この景色を望むところで大きなキャンバスに絵を描いておられる人の姿を見ました。4年ほど前でしょうか、やはり絵を描くという方を村内各所にご案内した時も、この地点の景色に非常に感動されたことを覚えています。まだ雪がある時期でしたが、棚田の形がくっきりと現れていて、とても素敵な眺めでした。もちろん、あと1ヶ月半ほどで訪れる黄金色の稔りの季節の景色は最高級品だといえるでしょう。
 もうすでにお分かりの人が多いと思いますが、月岡集落から小滝集落にむかう道路から月岡集落大巻(おおまき)地区を眺めたものです。

 

● じつは維持管理がとても大変な田んぼ
 写真に見える田んぼをやっている人たちにお話を聞きました。お話を聞いて、大変な苦労がある田んぼであることがわかってきました。
 まず第1に、千曲川の縁(へり)にあるこれらの田は砂地で、水持ちが悪く、管理にとても手がかかること。第2は、千曲川が増水すると川の水やごみが大量に流れ込むことです。一昨年、大巻で千曲川が増水し、排水ポンプ車が出動したことがありましたが、その時の爪痕がいまもここの農道に残っています(下写真)。

 


 この一帯の田んぼ、是非とも維持してほしいと思うのですが、村を離れた人の田があり、それを耕作していくには圃場整備も必要なようです。集落営農で維持してもらうには、維持コストを賄えるだけのお金が必要。私は工夫すれば中山間地直接支払制度を活用できるのではと思うのですが、相当の研究と議論の積み重ねが必要になるだろうと思います。
 もう少し積極的な言い方をすると、農業(稲作)が産業(人が食べていける生業)として成り立つようにすることと村の(自然)資源を活かして観光を産業として形成していくことの接点が、この1つの景色をどう考えるかの中にあるように思います。

 

 大巻の田んぼのすぐ近くに熊野社があります。昨冬の雪で社が壊れ、いま、新しいお宮を建造中。なかなか素敵なスポットです。
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栄村復興への歩みNo.363
2019年7月21日発行 編集・発行人 松尾真
連絡先:電話080−2029−0236、 mail;aokura@sakaemura.net
ゆうちょ銀行 11100−01361481 栄村復興への歩み協賛寄金 ながの農協栄出張所 普通0009390 栄村復興への歩み発行協賛金松尾眞


栄村復興への歩みNo.362

 

あじさい寺・高源院から

 

 7日午前に撮影したものです。
 6月23日、28日、そして7月7日と3回通って、ようやく“あじさい本番”の1枚を撮ることができました。
飯山の人のFacebookへの投稿で飯山に“あじさい寺”があることを2〜3年前に知りましたが、てっきり飯山の寺町街にあるものと思い込んでいました。今春、飯山の観光スポットを調べている中で「戸狩温泉の高源院」というお寺であることを知り、あじさいの開花期になったら是非訪れたいと思っていました。6月下旬を迎え、ネット検索をしたところ、「6月下旬〜7月上旬が見ごろ」という紹介だったので、6月23日に初めて訪れたのでした。結果は見事にはずれ。6月28日もまだだめでした。その日は新潟市の老人クラブが大型観光バスで訪れておられたのですが…。
 今回の写真を撮った7月7日も新潟県から大型観光バスが来ていました。
 「長野県のあじさい寺」で検索すると、「信州で最も遅く開花するあじさい寺」と紹介されています。また、北信地域で「あじさい寺」と呼ばれるのは高源院だけのようです。

 

あじさいとお寺の鐘楼。その先には千曲川沿いの景色が遠望できます

 

● 飯山の観光スポットの取り込み
 私の問題意識は「飯山の観光スポットと栄村を飯山線で結び、栄村の宿泊客を増やす」というところにあります。飯山のお寺めぐり、七福神めぐり、そして飯山線の旅。これは私たちが思う以上に魅力的なコースだと思います。
 本紙No.357(5月11日付)で「春の風景」の1枚として「千曲川沿いの菜の花畑」を紹介しましたが、あれもやはり栄村の宿泊客増加の戦略の中に取り込むべきものだと思います。
 「信越自然郷」という観光エリア圏を設定し、栄村も参加しているのですから、飯山市−戸狩温泉の観光スポットについて積極的に研究し、まさに《信越自然郷》としての観光力を磨き上げていくことが必要だと思うのです。

 

 この項の最後に、エゾアジサイの写真を1枚紹介します。

 


 高源院にもエゾアジサイがありますが、写真は泉平のあるお宅で撮影したもの。前号で紹介した日出山線の自生するエゾアジサイの群生はとても魅力的ですが、1株から何本ものアジサイが咲くケースが少ないのが難点。家近くに移植されたと思われるものは何本もの花を咲かせ、これはこれでなかなか得難い良さを持つと思います。


久しぶりに山古志を訪ねました

 

 上の写真をご覧になって、「懐かしいなあ」と思われる村民の方もおられるのではないでしょうか。山古志の農家民宿三太夫(さんだゆう)さんです。
 栄村の震災から間もない頃、復興住宅を見学するために山古志を訪れ、昼食の場として世話されたのが三太夫さんでした。
 今回は、「山古志の肉と野菜のおはなしvol.5〜ランチプレートの上の山古志の暮らし“夏編”〜」という企画に参加するために訪れました。三太夫さんでは農家民宿だけでなく、手作り野菜の料理をメインとする「農cafe三太夫」をやっておられます。

 


 農cafe三太夫の長島さんご夫妻の「野菜のプレート」。プレート右から時計回りで、かぐらなんばんとズッキーニと豚肉のいためもの、ぜんまいの五目煮、夏野菜のラタトゥイユ、きゅうりとディルのサラダ、関牧場さんのお肉のカレーです。
 ラタトゥイユとは、野菜をトマトとオリーブオイルで炒め煮にした料理のこと。また、かぐらなんばんは山古志の伝統野菜として有名ですが、ディルというのはハーブの一種です。

 


 上写真が長島さんご夫妻。この日の催しのタイトルに「山古志の肉と野菜のおはなし」とあるように、野菜づくりの様子や小学生と保育園年中さんの二人のお子さんたちの姿などを写真で示しながら、たっぷりお話くださいました。


 つぎは、関さんご夫妻の「肉のプレート」。

 

 

 「山古志産にいがた和牛 サーロインステーキ」と「山古志産にいがた和牛 外モモのサイコロステーキ」、そして「インゲンとジャガイモとペンネ、ジェノベーゼソース」、「グリーンサラダ」です。ステーキにはかぐら南蛮で作られたソースも添えられています。
 関さんは中越地震の後、山古志肉用牛生産組合の一員として肉牛生産の復興に取り組んでこられました。「山古志産黒毛和牛」の生産に励み、農林水産大臣賞などを受賞し、「にいがた和牛肥育名人」に選ばれています(現在新潟県内8名)。この日の参加者には「黒毛和牛子牛登記書」が配られ、「鼻紋」というものを初めて見ました。

 

             関さんご夫妻
(長島、関両ご夫妻の写真は山古志住民会議Facebookから引用)

 

● 山古志で感じたこと
 食事が美味しいとともに、会話がとても充実した企画でした。
 長島さんも関さんも小さなお子さんを子育て中の若いご夫婦。そういう若い人たちが主役でこういう企画(イベント)が開催されていること、中越地震から15年を経てなお、たえずフレッシュな復興への取り組みが展開されていることに大きな感銘をうけました。「栄村と山古志で何が違うのか?」、じっくり考えてみたいと思います。
 もう1点。山古志のみなさんは口々に「人口減少が止まらない。若い人が長岡の市内へ出て行く」という問題を話されました。それは厳然たる事実のようです。しかし、そのことを口に出して語られること自体が山古志の底力を示しているとも言えるのではないでしょうか。関さんの牛舎を訪ねさせていただきましたが、山古志の地形・環境にピッタリ合った産業だなあと感じました。山古志はたしかに「人口減少」していますが、現代、そして未来の山古志らしい暮らしの営みの姿を創造されつつあるように感じました。
 


ミズタビラコという花

 6月29日に中条川2号崩壊地の谷止工工事現場の様子を見に行き、不動滝の様子を撮影しようと滝壺に近づいた時、足元に見たことがない小さな花が咲いていました。

 


 上の写真は7月11日に再撮影したものです。花は直径2〜3伉度の本当に小さな花です。
 よく似た花にキュウリグサというものがあるそうですが、キュウリグサが「畑や道ばたに普通に見られる」のに対して、ミズタビラコは「山地の渓流ちかくの水辺や湿地などに生育する」ものです。また、花の真ん中がキュウリグサは黄色なのに対して、ミズタラビコは白いという違いもあるようです。
 ミズタビラコが咲いている場所は下の写真に見られるように、滝壺のすぐ近くで、沢水が流れているところです(写真ので囲ったところ)。

 

 

 この花が何という花なのか? 当初、ある別の花ではないかと思っていたのですが、花や生き物に詳しい知人に問い合わせたところ、ミズタビラコが浮かび上がってきました。漢字では「水田平子」と書くそうです。
 ミズタビラコをWebで検索する中で、コシジタビラコというものもあることを知りました。果実の分果の周辺部が白っぽい突起した部分で縁(ふち)取られたようになっているのがコシジタビラコビラコで、ミズタビラコにはそういうものは見られないとのこと。そこで、11日の昼、もう一度、現場に見に行った次第です。

 

ミズタビラコの果実。右上の黒いのは果実が熟したもの


 上写真が果実を撮影したものですが、「分果の周辺部が白っぽい突起した部分で縁取られている」という様子は見られませんでした。
 しかし、コシジタビラコの「コシジ」の漢字表記は「越路」、そして分布地は「近畿〜東北の日本海側」とされ、野花に関するブログでコシジタビラコとミズタビラコを紹介されている人は両方がすぐ隣り合わせに咲いている状況を確認したと報告されているので、コシジタビラコもあるのではないかとまだ期待しています。ただ、その観察は来年のことになるでしょう。


《前号のコシジシモツケソウについて》
 前号のTOPで紹介したコシジシモツケソウについて、複数の方から「トリアシショウマのことか?」と尋ねられました。たしかに、形は似ていますね。しかし、まず遠くから見ても色の違いが明瞭です。コシジシモツケソウは濃いピンク色であるのに対して、トリアシショウマは白っぽいですね。
 また、分類でいうと、コシジシモツケソウはバラ科シモツケソウ属、トリアシショウマはユキノシタ科チダケサシ属で、まったく異なる種です。
 いまの時期、コシジシモツケソウは終わっていますが、トリアシショウマは山に入るとまだまだ咲き始めで、とてもきれいですね。


国道117号線虫生での工事について

 ここ2ヶ月ほどでしょうか、国道117号線を飯山方面に向かうと、市川橋への分岐点を越え、急坂を上っていくと、ガソリンスタンドの手前のところで片側交互通行(信号機設置)になっていますね。

 


 注意して見ると、「道路の無散水融雪設備を設置しています」と書かれた看板があります。冬期間、この坂の雪を消し、凍結を防ぐ設備なのですね。同様の工事は405号線の結東集落から前倉方向に上がる急坂でも施工されているのを見たことがあります。
 先日、工事が休みの日に、近くの駐車場に車を停めて、工事現場の様子を撮影してみました。下の写真ですが、地中に埋め込まれている何本ものパイプ状のもの、これが無散水融雪設備の要となるもののようです。

 


 じつは、栄村内の国道117号線の平滝付近(下の写真の付近)についても、この無散水融雪設備の設置を要望しています。しかし、現段階では国道117を管理している北信建設事務所では予算付の見通しがたっていないようです。

 


 北信地域の国道117号線の改良・整備に関しては、栄村のほか飯山市、中野市、木島平村、野沢温泉村で構成する「一般国道117号線整備期成同盟会」で県への要望活動が行われています。栄村からの声をもっと高めていかなければならないと思います。
 


中条川トマトの国近くの床固工が完成

 トマトの国のすぐ傍の中条川で積雪期もぶっ通しで工事が行われてきた床固工が7月初めに完成しました。

 

 

 写真手前に見えるのがこのたび完成した床固工の堰堤です。
 冬季はまず現場の除雪から始まる大変な工事。工事関係者のみなさんのご苦労に心から感謝申し上げたいと思います。
 この付近では、間もなく、この堰堤の下流にもう1基、堰堤が造られ、さらに上写真の右端に見える大型土嚢のあたりからトマトの国のすぐ近くまで側堤が造られる予定です。いずれも今年度予算の工事で、間もなく着工されるものと思われますが、冬をまたぐ工事になるのではないかと思われます。


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栄村復興への歩みNo.362
2019年7月11日発行 編集・発行人 松尾真
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栄村復興への歩みNo.361

コシジシモツケソウ
1日昼、スキー場内道路沿いにて撮影。

 

今年も見事!天代のお花畑(6月25日撮影)

 

来年4月、中山間地直接支払はどんな制度になるのか?
 栄村の農業、とくに稲作にとって欠かすことができないものになった中山間地域等直接支払制度、第4期は本年度で終了です。国で、県で、来年4月からの第5期にむけて準備が進んでいます。栄村でも来年度以降の見通しが早く立てられるよう、現在の状況を紹介します。

 

◇国や県で進められている作業の現況

● 来月(8月)中に第4期の最終評価がまとめられる
 以前に説明したとおり、「中山間直接支払」は平成27年度から法制化されています。したがって、来年4月からの第5期のスタートは既定事項です。
 第5期の制度設計のために、第4期であきらかになった成果や課題を明らかにすべく、現在、第4期の最終評価のとりまとめ作業が進められています。第4期は来年3月31日までですので、第4期の最終評価は来年以降に行われると思っている方もおられるかと思いますが、そうではありません。今、行われているのです。
 全国の市町村は今年3月31日までに市町村としての最終評価を各県に提出しました。栄村もすでに提出済です。さらに、各県は5月末までに県としての最終評価をまとめ、国(農水省)に提出済です。
 長野県の場合、県農政部が「最終評価(案)」をとりまとめ、5月10日、「中山間地域農業直接支払い事業検討委員会」という法定の第三者委員会の第28回会合で検討されました。この会合の議事録はまだ公表されていませんが、「最終評価(案)」は県のHPで公表されています。
 国レベルでは8月末までに国としての最終評価を取りまとめる作業の真っ最中です。

 

● 栄村のすぐ近くに「中山間直接支払」のモデル的取組地域があります!
 国・農水省では、6月10日、「中山間地域等直接支払制度に関する第三者委員会」の第8回会合が開かれました。「第三者委員会」は農業や中山間地域に詳しい研究者等が委員となっている法定の第三者機関です。
 公開されている議事次第と資料によれば、「中山間直接支払」制度に取り組んでいる集落協定代表・市町村担当者、さらに都道府県担当者からの意見聴取が行われました。意見を聴かれたのは、新潟県・上越市・櫛池(くしいけ)農業振興会、高知県・本山町・吉延集落協定。上越市の櫛池地区とは、関田山脈を挟んで栄村に隣接する上越市清里区の中山間地域です。栄村のすぐ近くに「中山間地直接支払」のモデル的な取組地域があるのです! 驚きました。近いうちに丸一日かけてお話を聴きに行こうと思っています。

  *「くしいけ」の「くし」の字は木へんに「節」と書きますが、PCの

   フォントの関係で上記のように表記されていまします。

 

櫛池11集落の1つ、青柳集落の田んぼ


◇「耕作放棄の防止に役立った」という評価について
 長野県内、全国いずれにおいても、「中山間直接支払」が「耕作放棄の防止に役立った」という評価が圧倒的に多くなっています。長野県の場合、「耕作放棄地の発生が防止された」と評価しているのが65市町村にのぼっています。県内全市町村のじつに91.5%にあたります。
 「耕作放棄の防止に効果があった」要因の1つとして、第3期から導入された「体制整備のための前向きな活動」(略して「体制整備」)のC要件=「集団的かつ持続可能な体制整備」があります。
 県の「最終評価」では、「C要件は、農業生産活動が困難となった農用地が発生した際に、当該農用地を引き受けるサポート体制が事前に確立されていることにより、農業生産活動の維持が可能となり、耕作放棄地発生防止に
一定の効果があったと言える」としています。しかし、同時に「課題」として、「高齢化等により農業生産活動が困難となる農用地が発生し続けているが、『集落ぐるみ』型を選択している集落においては、集落内で余力のある特定の個人への作業負担が増大している」という問題を指摘しています。
 そのため、県の「最終評価」の総合評価で、「農地の将来的な維持管理の見通しが共有できた」のは23市町村(県内全市町村の32.4%)にとどまっていて、「高齢化が著しく進んでいる集落においては、依然として5年間の協定農用地の維持に関する不安や事務負担を感じており、次期対策へ移行する協定の廃止や協定農用地の大幅な減少が危惧される」と記しています。

 

◇ H31年度の試行措置に見られる第5期の方向性
 このように第4期の最終評価の作業が進行中ですが、同時に、国は第5期の方向性をすでにある程度明らかにしています。H31年度予算における「地域営農体制緊急支援試行加算」というのが、それです。これは、H29年度に実施された「中間評価」で明らかになった中山間地域における喫緊の課題に対応しようとするもので、農水省担当者は「H31年度からモデル的な加算措置などを実施し、この成果を検証して次期(=第5期)対策を検討していく」と述べています(今年1月の「第三者委員会」での発言)。

 

●「中間評価等において提示された課題・方向性」
 5つのことが「課題」として示されています。

 

協定の取組体制の強化に向けた集落間連携(広域化)や、棚田など特に条件

 の厳しい農地の保全を更に推進する必要。
中山間地域では、高齢化の進行等による担い手不足、耕作放棄地増加に対応

 するため、担い手への農地集積を進めることが急務。
高齢化や協定参加者の減少、担い手不足を補い、将来にわたり協定農用地を

 維持管理していける体制づくりに向けた積極的な支援が必要。地域おこし協

 力隊や新規就農者をはじめとする外部人材の積極的な受入に向けた条件整備

 が必要。
担い手が地域農業の中心的役割を継続するためには、協定が農業生産活動の

 継続だけでなく、生活環境、定住条件整備など地域活性化の中核を担う体制

 整備を図ることが必要。
高齢化の進展により協定参加者の減少が危惧されることから、少人数でも営

 農や施設管理に取り組める、省力化に向けた活動を行うことが重要。
 

● すでに打ち出されている加算措置
 以上の「課題・方向性」にむけた施策として、すでに打ち出されている施策を次に示します。いずれも第4期の交付金への加算措置として試行されています。

 

 

《第4期ですでに措置されているもの》
イ) 集落連携・機能維持加算
ロ) 超急傾斜農地保全管理加算
  傾斜1/10以上の超急傾斜地が対象
ハ) 個人受給額の上限緩和
  上限250万円→500万円(H31年度拡充)

 

《H31年度導入の地域営農体制緊急支援試行予算》
ニ) 人材活用体制整備型
   協定活動に参加する新たな人材の確保・活用を進めるための取組や体制

   整備、それらを通じて担い手が営農に専念できる環境整備等を支援
   加算額:3千円(10a当たり) 200万円(1地区当たり上限)
ホ) 集落機能強化型
   主として営農を実施してきた集落が、地域の公的な役割を担う団体(地

   域運営組織等)を設立するなど、集落機能を強化する取組を支援
   加算額:3千円(10a当たり) 200万円(1地区当たり上限)
ヘ) スマート農業推進型
   省力化技術を導入した営農活動や農地、施設の管理等、少人数で効率的

   に営農を継続できる環境整備を支援
   加算額:6千円(10a当たり) 400万円(1地区当たり上限)

 

 *イとロは「課題・方向性」の,紡弍、以下、ハ−◆▲法櫚、ホ−ぁ

  へ−イ箸いβ弍関係にあります。

 


 これらの加算措置は、H30年度以前から導入されているもの、今年度から「緊急支援試行」として新たに加えられたもの、いずれも栄村ではほとんど知られていないと思います。
 イ)〜ハ)の加算措置を受けられる該当地区(者)は栄村にもあると思われますが、適用されていないようです。地域と行政(役場)の双方がちょっと踏み込むだけで可能になるはずです。
 他方、ニ)〜へ)の「緊急支援試行」は第5期のメイン施策になっていくと思われるものです。その核心は、集落協定が狭い意味での営農活動だけにとどまらず、地域づくりに踏み出すことにあります。「そんなこと、出来るだろうか?」と思われる人が多いかと思います。しかし、そうではありません。比較的大きな集落であれば、従来、区の活動としてやってきた活動と「中山間」の集落協定をどう結合していくかが大事だと思われ、ポイントになるのは第4期ですでに推奨されている「集落戦略」というものの作成に踏み出すことにあります。他方、小さな集落では、「中山間」の集落協定の広域連携への取り組みが重要になるでしょう。
 いずれの場合にも、《地域マネジメント》という考えを導入し、その中心を担う人材を獲得・確保していくことが重要になります。

 

◇ 勉強会などの第5期準備作業をすぐに始めましょう!
 栄村にとっては、これまで経験したことがない課題への挑戦になります。でも、それは栄村だけでなく、全国の多くの地域にとっても同様だと思います。この挑戦によって、「持続できる地域」とそうではない地域の分岐が進むのだと思われます。
挑戦にあたっては、農水省など役所の言うこと(制度)に窮屈に対応することばかり考えていてはダメだと思います。地域の側から積極的な意見を出して、制度の柔軟な運用や拡充を求めていく姿勢が必要です。

 

 このように、第5期への取り組みはすでに始まっています。第4期までの経験からすると来年春頃になると思われる役場の説明会を待つのではなく、地域(集落)横断的な勉強会などを積極的に行い、ただちに準備を始めることが大事だと思います。