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栄村復興への歩み
2011年3月に震度6強の地震で被災した長野県栄村で暮らす松尾真のレポートを更新しています。

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復旧の進み具合

公民館の再建
 村は21日から始まった6月村議会で震災で倒壊または損傷した公民館の復旧方針をあきらかにしました。
 それによれば、森、青倉の2地区は国の補助事業で新築。横倉、小滝、泉平など13地区は修復に対する村の補助率を嵩上げするとのこと。いずれも地元負担があり、森、青倉では1世帯あたり7.8万円、修復地区では5万円程度と見込まれます。義援金の第3次配分(コミュニティ配分)で集落に配分される資金で自己負担分のかなりの部分を賄える見通しだと説明されています。
 震災から3ヶ月半。ようやく公民館再建の方策が村から出されたことは、遅きに失したとはいえ、一歩前進です。しかし、集落の関係者からは、「なぜ、集落への説明が真っ先にないのか」という批判の声が出ています。
 7月5日に集落の代表への説明を役場で行うと聞いていますが、これも遅いと思いますね。
問題はここからです。どこの敷地に、どのような間取り、外観の建物をたてるのか。地元集落主導で自治的に進めることが大事です。集落の復興力が試される機会になると思います。
 なお、青倉公民館再建基金をどのように活用させていただくかについては、青倉の地元との話し合いを行なったうえで、基金にご寄付下さったみなさまのご意見もお聞きしながら決めていきたいと考えています。 

中条橋架け替え
 中条橋の架け替え計画については、レポートNo.45(6月22日)で報告しました。しかし、これは村の計画で、国が認めるかどうかは査定次第です。
 青倉の人とお話すると、「中条橋は青倉の生活道路。あれを早く直してもらわないと困る」と必ず言われます。
 4億円かかると言われていますが、この架け替えは絶対に必要です。 青倉集落で住民全員の要望署名を集めるなどして、架け替えが査定で認められるよう、集落として要望活動を強化することが必要だと思います。

公民館の再建は緊急の課題

 さて、今日は公民館の再建・補修について考えてみたいと思います。
 今回の地震で少なくとも3つの公民館が倒壊等によって使用不能になっています。森、青倉、横倉です。また、小滝の公民館は基礎等にかなりの損傷があり、数百万円を要する修復が必要だと聞いています。
 公民館の再建は急務です。
 第1に、公民館が使えなければ、集落の寄合等の場所を確保できません。
 第2に、本来、公民館は災害等の緊急時の避難場所に指定されていることが多いはずですが、公民館が使用不能となれば、緊急時に集落内で避難することができません。
 公民館の再建は、個々の世帯の住宅の再建と同時、あるいはそれに先行する最優先課題として位置づけることが必要です。

●都市の人たちには説明が必要なこと
 私は、地震直後から、青倉公民館の再建に必要な資金を集める基金活動に携わっています。直接の理由は、私が村を訪れるようになった時から青倉の公民館にお世話になったこと、「青倉米」を1つの結び目とする村と都市民の交流の場として何度も活用させていただいてきたことにあります。基金活動には東京、京都の交流関係者が関わって下さっています。
 ところで、公民館再建基金の活動を始めた当初、都市の人たちから「なぜ、住宅再建ではなく、公民館再建なのですか?」とよく尋ねられました。今も、取材にやって来るマスコミ関係者からは、「公民館というのは村民にとって、どんな意味があるのですか?」と質問されます。

 栄村の人にとって、公民館の必要性・重要性は当たり前のことですが、都市で暮らす人たちには公民館という存在は縁遠いものなのです。たしかに「コミュニティ・センター」というような名称の施設は都市にもありますが、住民が頻繁に利用するものではありません。ましてや、ある町内の人たちが頻繁に町内会の集まりをもつというようなことはほとんどありません。私は京都市の出身ですが、町内の行事といえば、京都独特の夏の子どもの祭り・地蔵盆というものがあるだけで、村の集落の区総会に当たるようなもの(町内会総会)はまったくありませんでした。町内に公民館などはなく、地蔵盆の集まりは町内の大きな家を利用させていただいていました。

 ですから、震災復興で公民館の再建を最優先課題の1つとすることについては、村外(とくに都市部)にむけて、その必要性・重要性を説明していくことが必要となります。
 逆に、都市部の人たちにとって「物珍しい」公民館の問題は耳目を集め、復興支援の1つの目玉ともなりうるといえます。

 
●公民館再建資金の確保のメド
 森、青倉、横倉は公民館の再建=新築が必要だと思われますが、現在のところ、県の「復興支援メニュー」では
「木造公共施設の建設を支援するため、国等の補正予算編成の動向を注視しつつ必要な支援を講ずる」

とあるだけで、具体的な財政支援の内容は出ていません。また、村の方針もまだ具体的には出ていません。
 そういう中で、青倉公民館再建基金は現在700万円を超える寄付金が寄せられています。都市の人たちの公民館に対する関心が高まっていることが如実に示されています。目標額は1,500万円。もうひと山もふた山も越えないと目標額には達せません。
 さまざまな方々からの寄付金をお願いすると同時に、国・県等への働きかけを強めていくことが必要です。そのとき、財政援助を得られやすくするために、〈どんな公民館が必要なのか〉について私たち自身が議論を深め、イメージを具体化していくことが必要だと思います。

青倉の仮設公民館。レンタル方式で年間約300万円


●避難所として機能した箕作公民館

 ここで注目したいのが箕作の公民館です。
 箕作公民館は昨年建て替え工事に着工、今年になって竣工し、3月11日に建物検査が終わったばかりでした。そして、3月12日の地震。新築の公民館はいきなり避難所として使用されたのです。


箕作公民館の避難所の様子 (保健師さんの指導で足を伸ばして体操)   

 このことは、青倉で起こった事態と比較すると、その意義が鮮明に浮かび上がります。青倉の公民館も避難所に指定されていました。青倉のみなさんがそれぞれの家を飛び出して集落内で集合、「外は寒いので、公民館に入ってもらおうか」と考え、電気をつけようということで公民館の中に入ろうとした矢先、「メリメリ」という音がして公民館が倒壊したのでした。
 老朽化のために避難所が避難所として機能しなかった、それどころか、とんでもない人的被害を出しかねなかったわけです。

 もう1つ、今回の震災と公民館の関係でみておかなければならない事例があります。
 小滝のケースです。小滝集落は月岡と小滝の間の道路が雪崩等で通行不能となり、除雪作業も困難であったため、京都市消防局のヘリコプターで北信小学校(当時)に避難しました。
 この場合、集落内で避難していた人たちに、中越大震災のときの山古志村のように洪水・土石流の危険が迫っていたわけではありません。集落の中にある公民館が耐震強度の十分にあるものであれば、少なくとも数日は公民館で避難することができたはずです。

 このことは多くの集落に当てはまることです。地震直後、集落間を結ぶ道路の多くで雪崩が起きていて、一時は通行不能になりました。公民館さえしっかりしていれば集落から外に出る必要はなかったのです。

 
●防災センターとして機能する公民館を作ろう
 そこで、今回、復興事業として公民館を再建するにあたっては、〈避難所として使える公民館を〉ということを前面に押し出すことを提案したいと思います。
 いま、一般的にはこういう施設を「防災コミュニティセンター」と呼ぶようです。
 〈避難所として使える公民館〉に求められる要件として考えられるのは、次のようなものではないかと思います。
イ. 耐震基準を満たすものであること。
ロ. 高齢者が避難集合しやすいように、1階部分に集会所が設けられていること。
ハ. 停電に備えて自家発電装置が備えられていること。
ニ. 炊き出しができる設備を備えていること。
ホ. 合併処理浄化槽があり、1日分程度の水が入る貯水タンクが付属していること。

 こういう施設を備えた公民館があれば本当に安心できると思います。

箕作公民館、正面からの姿


側面からの姿
(写真は箕作の方からの提供)


●建設資金をどう確保するか
 問題は建設資金です。
 箕作の場合、総額約3,800万円、うち半額が「県産材利用」での県(国)補助、残り半額は村と集落負担で、集落は各世帯20万円の負担でした。
 集落の自治の施設ですので、「自己(世帯)負担をするのは当然」というご意見があると思いますが、今回は震災で各世帯とも住宅復興等で多額のお金を要しているときですので、100%を助成金等で賄えることが必要だと思います。

 県の方針は先に書いたとおり、まだ確たるものはありません。
 いろいろ調べたところ、財団法人自治総合センターが、宝くじ社会貢献広報事業費として受け入れる受託事業収入を財源とする「コミュニティセンター助成事業」というものがあります。「総事業費の5分の3以内、1,500万円を上限」というものです。これは是非活用すべきものだと思います。ただし、難点は「各都道府県原則3件」という制約があることです。

 これを活用するとして、箕作の事例から考えれば必要額には到底達しません。総額の半額を県(国)の助成で賄えるように県(国)に要請し(補助率の嵩上げも要請すべきでしょう)、地元負担額に上記の「コミュニティセンター助成事業」を活用するということが考えられます。
 このように建設資金の問題はまだまだ調べたり、要望したりしなければならないことが多々ありますが、大事なことは、いますぐに行動を起こすことです。まず、それぞれの集落で公民館再建の企画書を作成し、県等への要望を行なう用意を整えることが大事だと思います。



青倉仮設公民館を開設――青倉区の通常総会、開かれる

 29日、震災で延期されていた青倉区の通常総会が午前8時半から開催されました。これに合わせて、青倉公民館再建基金が建設した仮設公民館を青倉区に無償で貸与する手続きを行ない、総会も仮設公民館で開催されました。

 これもひとえに基金に多額の寄付金のお寄せ下さった全国の皆さまのご支援・ご協力のおかげです。ここに改めて御礼申し上げます

 青倉はこれによって復興への大きな一歩を踏み出しました。しかし、復興本番はこれから。今後ともより一層のご支援をいただけますよう、お願い申し上げます。


写真中央が仮設公民館本体2階建。左手前は区の重要文書等を格納する倉庫。その奥にもう1つのコンテナ。右側に仮設トイレ。2階建本体の1階には炊事場もあります。


朝早くから総会会場に集まってくる住民


総会の模様(前席の左側が前区長・島田哲氏、右が新区長・島田秀夫氏)
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公民館敷地に鉄板敷きの作業

 今日は一日中雨。かなり肌寒い一日でした。
そうした中、朝8時40分頃、鉄板を積んだ大型トラック2台が青倉集落の仮設公民館予定地近くに到着。敷地内に鉄板を敷きつめる作業が始まりました。
 
鉄板を敷く作業が今日1日で終わり、明日以降、組み立てるコンテナが運び込まれ、組み立てられる予定です。
敷地はすでに報告したとおり倒壊した公民館のすぐ近くですが、積雪が1m以上あったため、17日(日)に高橋健さん(青倉受託作業班、オペレーター)がユンボで除雪、さらに地面
  
に固くくっついている20cmほどを18日に広瀬明彦さんがほぼ1日かかってロータリーで飛ばして、敷地を整えて下さいました。

ロータリーでの除雪作業
            

除雪後の仮設公民館敷地

鉄板を敷くことは当初予定していなかったのですが、除雪後の敷地を見て、建物の安定性を確保するため、敷くことになったものです。
仮設公民館の開設へ秒読みに入ってきました。これも、ご支援くださっているみなさんの基金の賜物です。本当に有難うございます。


青倉公民館の仮設建設へ、急進展


建設予定地(手前2本の電信柱の向こう側)

<基金が500万円超に!>

 青倉公民館基金がじつに500万円を突破しました。これは驚異的な金額です。呼びかけ人の一人である私自身、信じられないような金額です。ここに栄村復興への確かな手がかりを見ることができます。
 
 500万円突破に至った要因はいくつかあると思います。
 1つは、個人で300万円という大金をご寄付下さった方がおられることです。ご連絡を受けた当初は正直なところ信じられませんでした。ご本人のご希望もあり匿名とさせていただきますが、けっしてお金持ちの方ではないようです。「今後に備えて貯めてきたお金」だと言っておられます。そして、「お金の使いどころを見つけた」とも言っておられます。本当に有り難いご決断です。

 2つは、トマトジュースの販売による義援金のような創造的な方法がここにきて一気に広がりつつあることです。

 3つは、そしてこれが最も重要な要因かと思いますが、公民館の再建という目的が多くの方にご理解いただけ、共感をもって受けとめられたことだと思います。
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いま改めて、青倉公民館再建へのご協力を訴えます

 <4月10日の青倉集落評議員会>
 4月10日、青倉集落の評議員会が開催されました。4月29日に集落の総会を開くことを決めるとともに、集落の復興委員会と公民館再建委員会を設けることが決められたと聞きました。また、仮設の公民館を建てる敷地の候補地について具体案が出され、地権者(不在地主)との交渉を進めることも決められたようです。
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青倉公民館基金の状況

 今日の夕方現在、おかげさまで84万円に達しています。
 公民館は復興の鍵を握ります。
 より一層のご支援をお願いいたします。

―栄村ネットワーク関係者 現地からのメール記事

フジTVの報道に早速の反響

 昨日のレポートで触れたとおり、今夕6時15分からフジTVで栄村の震災についての特集が放映されました。残念ながら、今回は首都圏限定だったようですが、取材関係者のお話では「長野エリアでも後日放映される」とのことでした。

 放映直後、東京の知人から「放送されたよ」という電話をもらったのですが、18時50分、18時59分とたてつづけにメールが入ってきました。1件目は「青倉公民館再建基金の件」、2件目は「公民館にニュースを見て」という件名のものです。さらに、19時55分に「4月1日のフジテレビ見ました」というメールが入ってきました。
 メールに記されていた内容を少し紹介させていただきます。

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スキーなどの様々な人のつながりで長野県の友人が多く、今テレビでは東北の被災地ばかり(こちらもとっても大変ですが…)の報道の中、長野市の友人がポロっと栄村もホントひどいんだよ…とこぼしたのを聞いて、色々ボランティアなどできないかと探していてここにたどり着きました。
 実生活で公民館のかかわりというのは薄いのですが、5〜6年前長野の友人宅へ泊めてもらったときに、そのお宅のおばちゃん、おじちゃんがよく行くのを見て身近なものなんだなぁとびっくりした思いがあります。(他の地区ですが…)
 色々な義援金がある中、あまりに被害が広域で大きすぎるため、実際募金はしてもいつどういう形で被災者の為に使われるのかが見えないのがちょっと疑問に思うところでした。それでも重要だと思うのですが。
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私は新潟県上越市の出身です。野沢温泉には子供の頃良く遊びに行きました。
栄村の存在はあまり存じませんでしたが、とても美しいところと知りました。
早く雪が溶けて復興が順調に始まることを祈っております。
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栄村さんも大変でしたね、先ほど公民館の義援金口座とメールアドレスを探せたので、メールです。
母の願いでして、今出来る限りの費用ですが、明日にでも振り込ませて頂くつもりにいます。皆さんの大事な公民館の建て直しに少しでもお役にたちたくて。
お金の使い道がハッキリ分かっているのはとてもいいです!
姉が新潟に嫁さんに行ってます。中越地震の時、県や市に義援金の使い道を見せてと、お願いしてもだめだったそうです。事情もありましょうが、明確な使い道ですと、単純な私はそれならと思います。
長野のりんごが大好きです。
どうぞ、お忙しくお疲れでしょうが、お身体大切になさって下さいね。お名前も、お顔も存じ上げませんが、人生の大先輩がたと笑いあえる日がきますよう願っています。
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 いずれもお心の温かさが伝わってくる素晴らしいメッセージです。
 これらのメッセージから、私は2つのことを読み込みました。

<“にほんの里の復興”というキャッチフレーズ>
 1つは、みなさん、「ふるさと」を思う心、華やかな都会ではない「僻地」の山村をおもう心をお持ちになっているということです。ここには、今回の東日本全域を襲った地震被害であきらかになった現代文明社会の行きづまりをのりこえていくとっかりがあるのではないかと思います。その意味で、栄村の復興は「にほんの里の復興」ということをキャッチフレーズにしていくべきだと思っています。

<義捐金をめぐって>
 2つは、義捐金についてです。
 先日も一度、言及したかと思いますが、義捐金の行方について疑問を持たれ、義捐金を拠出することについて躊躇されている方が思った以上に多いことにある種驚いています。

 義捐金の使途について考え抜くこと、使途を事後公開することの2点が重要だと思います。中越大震災の教訓としては、依然として「個人私有財産としての家屋の修復・再建に公的資金は投入しない」という国の復興支援策の限界を埋めるものとして義捐金が重要な役割を果たしたということがあります。しかし、そのことが栄村も含めて各自治体で理解されているかといえば、心許ない状況があります。

 よく言われることに、「義捐金を出す以外に自分になにかできないか」ということがあります。そのお気持ちは有り難いものです。そして、言われようとしていることもよくわかります。

 そのうえで、私は目的・使途を明確にした義捐金・基金の重要性を改めて強調させていただきたいと思います。ストレートに言えば、500〜1,000万円×50〜100件=2億5千万〜10億円の住宅復興基金があれば、少なくとも住宅をめぐる不安、とくに高齢者の不安は大きく取り除くことができます。お一人1万円として2万5千人から10万人です。お一人が月千円を10カ月拠出して下されば可能です。あくまでも数字上の計算ですが。

 もちろん、「何かを手伝いたい」というお気持ちは大事にしたいと思います。村の人たちへの支援と交流の機会を創るツアーとワンセットでの住宅復興基金へのご協力をいただくというようなことも構想してよいのかな、などとも思います。
 みなさんのご意見をお聞かせいただけると幸いです。

―栄村ネットワーク関係者 現地からのメール記事

青倉公民館再建基金の記事に大きな反響

 
 朝8時16分、ネットワークの携帯電話が鳴りました。登録のない番号だったので、何だろうと思って出ると、「青倉公民館の記事を読みました。口座番号を教えてください」と。

 昨日、信濃毎日新聞の取材を受けていましたので、「えっ! そんなに早く反応があるの?!」と思いながら、口座番号をお伝えしました。その後も2本、3本と電話が入りました。記事には問合せ先としてネットワークの携帯番号が書かれていたからです。何人目かの方は、「これから募金活動をやって、集まったものを送る」とのことでした。
 本当に有り難いことです。

 私は、このことから、震災復興をめぐって2つのことを考えました。
 1つは、義捐金一般ではなく、使途・目的を明確にした基金の訴えの大事さということです。
 今日、お電話下さった方の中のお一人も言っておられましたが、「義捐金というのは何に使われるの?」という疑問、さらに不信の念をお持ちの方もおられます。正直にいえば、じつは私自身も「義捐金」というものがあまり好きではない人間なのです。当初、栄村ネットワークの義捐金受付をHPで発表した後、行政が義捐金口座を発表しましたが、ネットワーク独自の義捐金口座を堅持したのは、義捐金をお寄せ下さったご厚意を本当に必要かつ有益な目的に使えるようにしたいという思いがあったからです。

 そして、屋上屋を重ねかねないのに、ネットワークの義捐金口座に加え、青倉公民館再建基金の独自受付を設定したのもそれゆえです。

 今日のお電話でのお申し出では、いずれも公民館の集落にとっての重要性を熟知しておられる方からのものでした。
 都会にお住まいの方は、「公民館」と言われてもピンとこないかもしれません。しかし、長野県は今でも公民館活動が盛んな地域が多く、理解が得られやすいようです。

<集落にとっての公民館の大事さ>
 私は1年半にわたって1ヶ月に1回の頻度で村を訪ねた後、2007年4月に村に移り住みました。通っているだけではわからないむらの様子が色々とわかるようになってきましたが、最も驚いたことの1つが公民館で集落の寄合が開催される頻度の多さでした。区(集落)の評議員会、常会(集落の中の小組織単位)の集まり、中山間地域等直接支払制度の集落協定に関する会合、消防団の集まり、祭りに関する打ち合わせ会合、……挙げればキリがありません。だいたい、平日の夜7時や7時半からのものが多いようです。みなさん、昼間の農作業や勤めを終えた後に集まり、9時過ぎまでは真剣に議論をされます。勤め先からの帰宅は午後9時以降が当たり前という都会の暮らしでは想像もつかない世界です。

 こうした営みによって、集落が維持され、豊かな自然・景観を有する山村が生きたものとして日々再生産されているのです。しかも、その寄合の議論は、近代的な都市型社会の会議などに比べてはるかに民主的だという印象でした。
 震災からの復興にとって、全壊した青倉公民館の再建が重要だと考えた所以です。

<震災復興は集落復興が軸>
 2つ目は、今回の震災からの復興は集落を基軸にするものになるということです。
 「むら=集落」ということは以前に書きましたので、ここでは繰り返しません。
 震災復興で最重要の問題は住宅の復興ですが、それは「個人の私有財産としての住宅」を復興することではないのです。人びとの暮らしの基礎単位としての集落を成り立たせているものとしての家々を復興させるのです。それは高齢者という視点からみれば、高齢者が集落の支え合いによって安心して暮らせるということです。

 また、震災という非常事態の中で一見したところ、悠長な話と思われるかもしれませんが、「にほんの里100選」に選ばれた栄村の景観の素晴らしさは、じつは集落の暮らしの営みの中で維持されているものです。

 そして、この〈高齢者〉という視点と〈景観〉という視点は不可分のものとしてつながっています。まさに“むららしい”景観である、元々は茅葺きであった古い民家の多くは高齢者の住まいとして維持されているのであり、かつ、今回の震災で家の復興をめぐって最も大変な状況に立たされているのが高齢者の人たちなのです。

 今後、ネットワークに寄せられた義捐金の使途の1つの柱となり、また、今後ご協力・ご支援をお願いしたいことの中心となっていくのは、こうした集落の復興に関わる問題になっていくと考えています。

関連記事:→青倉公民館再建基金ご協力のお願い

―栄村ネットワーク関係者 現地からのメール記事

青倉公民館再建基金ご協力のお願い


  すでにご存じのように、青倉の公民館が全壊しました。
  公民館は“集落の命”といっても過言ではありません。集落の人たちが復興にむけて寄り合いをする場が公民館なのです。
  そのため、公民館を一刻も早く再建することが青倉集落の復興にとって決定的に重要となります。
 
  通常、集落の公民館は各世帯がそれぞれ20万円ほどを出資して建設されますが、いまは、みなさん、ご自宅の再建に手一杯で、とても公民館再建に出資する余裕はありません。
  そこで、これまで青倉に少しでもご縁がある方、また、公民館再建の必要性をご理解くださる方々の寄付で、再建資金を集めたいと思います。少なくとも300万円ほどの基金を確保できればと考えています。

  基金の口座を下記のとおり設けますので、振込でお願いします。
  みなさまのご理解、ご協力をよろしくお願いします。

●呼びかけ人
青倉米直売担当者・松尾真、渡邉加奈子
駒場保育所父母OB・木村薫
京都精華大学・中尾ハジメ

●振込先
金融機関名:北信州みゆき農業協同組合
支店名:栄出張所
種別:普通
口座番号:0006465
名義:青倉公民館基金 広瀬明彦

―栄村ネットワーク関係者 現地からのメール記事