プロフィール

profile
栄村復興への歩み
2011年3月に震度6強の地震で被災した長野県栄村で暮らす松尾真のレポートを更新しています。

カテゴリー

categories

サイト内検索

Search

カレンダー

calender
 123456
78910111213
14151617181920
21222324252627
28293031   
<< July 2019 >>

最近の記事

selected entries

最近のトラックバック

recent trackback

月別アーカイブ

archives

栄村関連リンク

links

携帯用QRコード

mobile
qrcode

ブックマーク & RSS

Bookmark&RSS

季節の変化に圧倒される!

 

 

 

 6月20日午後、議会6月定例会を終えて、久々に村の中を走り回り、季節の変化に圧倒されました。
 最初に驚いたのは、月岡で目にした多彩な色どりで咲き誇るタチアオイの姿(上2枚目写真、ただし撮影は23日)。たしか議会初日(17日)の朝、自宅前でタチアオイが咲き始めたのは見ていましたが、「まだ咲き始めたばかり」と思っていたのです。つづいて、夕刻近くに森集落の開田の様子を見に上った時、開田のかなり上の方で道沿いのアジサイが満開になっていて、これにはさらに驚かされました。
(上1枚目写真は23日朝、月岡・雨引で撮影)

 議案や資料に没頭していた議会前の数日間を含めて約1週間、自然界の様子の変化に目が行っていなかったのです。まるで都会人の暮らしのような状態になっていたのですね。栄村で暮らすようになって13年目、こんなに季節の変化に驚き、圧倒されたのは初めてのことのように思います。
 そんな訳で、翌21日は午後、日出山線から秋山林道へと車を走らせました。さらに22日は朝から月岡の山(雨引(あまびき))、そしてスキー場から貝立山の裏を廻って野々海へ。21日午後も22日午前も3〜4時間の山道ドライブ。結構疲れましたが、色んな景色を楽しみました。

 

この写真は6月11日撮影です(原向にて)

 

 


栄村の農業と農地をどうしていくか?

 大きな問題です。
 村議会の6月定例会でも議論になりました。そこでのやりとりを1つの手がかりとして、少し問題提起をしてみたいと思います。

 

当部集落の田んぼ

久しぶりに撮影しましたが、作付されていない田の増加に衝撃を受けました。

 

● 中山間地域等直接支払制度の統計から見る
 保坂良徳さんが一般質問で、「栄村平成30年度農林業統計」を取り上げ、中山間地域等直接支払の集落協定に減少傾向が見られるのではないかと問いかけを発しました。
 たしかに集落協定数は、第1期51協定(最終年の2004年)、第2期24協定(最終年の2009年)に対して、第4期3年目の2017年は20協定なのです。参加農家数は658人→658人→361人と推移しています。第2期の開始にあたって、国から基本的に「1集落1協定」となるように協定の統合が指導されましたので、「51協定→24協定」の変化には大きな問題はないと言ってよいでしょう。「24協定→20協定」の減少には何か問題が潜んでいると受け止めるのが自然だと思われます。さらに、参加農家数の減少はあきらかに深刻な問題が生じていることを示唆しています。ちなみに第3期は参加農家429であり、「658人→429人→361人」と参加農家数の減少が急速に進んでいることはあきらかです。
 保坂さんの問いかけに対して、産業建設課参事(課長級の農林業担当責任者)は、集落協定の対象面積と交付金額がほぼ横ばいであることを指摘し、「集落協定は維持できている」という見方を示しました。


   対象面積の推移
    2004年 2,106,695
    2009年 2,103,260
    2014年 2,089,337
    2017年 2,000,995屐 2004年(第1期最終年)比、約5%の減少

 

 私は、減少傾向を指摘した保坂さんの見方の方が事態を正しく捉えていると思います。そのことをより明確に示すデータを見てみましょう。「基幹的農業従事者」の人数とその年齢構成です。

 

● 「基幹的農業従事者数」から見えてくること
 農業従事者に関する統計には、「農業就業人口」と「基幹的農業従事者」の2つがあります。農林業センサスでの定義を見てみましょう。
 「農業就業人口」は「15歳以上の農家世帯員のうち、調査期日前1年間に農業のみに従事した者又は農業と兼業の双方に従事したが、農業の従事日数が多い者をいう」と定義されています。他方、「基幹的農業従事者」とは「農業就業人口のうち、ふだんの主な状態が『仕事が主』の者をいう」とされます。
 この定義から、農業の“担い手”の実態を知るには「基幹的農業従事者」の人数、その推移を見るのが妥当だと言えます。だからこそ、「栄村平成30年度農林業統計」も「基幹的農業従事者数」を掲載しているのでしょう。

 

  基幹的農業従事者数の推移

        総数   男   女
  平成7年   459        251      208
     平成12年      387        195      192
     平成17年      379        210      169 
     平成22年      372        204      168
     平成27年      273        154      119
  (平均年齢)(72.2) (72.3)(72.7)

 

 ここに記されている年は農林業センサスの統計調査が実施された年です。平成7年(1995年)から平成27年(2015年)の20年間で約40%も減少しています。深刻です。
 さらに重要なのが平均年齢です。栄村の基幹的農業従事者の平均年齢は72.2歳です。全国平均は67.0歳、長野県平均は69.1歳です。全国平均よりも5.2歳、県平均と比較しても3.1歳も高いのです。厳しいデータですが、直視しなければなりません。

 

● “待ったなし”の状況
 「平均年齢72.2歳」ということは、70歳代後半(さらには80歳代)の基幹的農業従事者がかなり多くおられることを意味します。しかも、70(〜80)歳代の人たちが最も分厚い層なのです。逆に言えば、この分厚い世代が引退となれば、栄村の基幹的農業従事者がごそっと減り、栄村の農業の持続が著しく困難になるということです。

 

● 集落営農の法人化、村の「人・農地プラン」の抜本見直し等へ
 栄村の農業に“先はない”のでしょうか。
 いえ、けっしてそんなことはありません。ただ、対策が圧倒的に立ち遅れていることは間違いないと思います。
 こういう日がやって来ることに備えて進められてきた集落営農化はかなりの地域で進んでいます。そして、近い将来に訪れる事態に対処しようと、いろんなことが模索されています。しかし、なかなか“次の一歩”に進めていないことも否めません。知恵を出し合って、決定的な次への一歩を踏み出すことが必要だと、多くの人が考えておられるようです。
 1つの鍵は、村が作成している「人・農地プラン」を抜本的に見直すことではないかと思います。そして、それは来年春に取り組む中山間地域等直接支払制度第5期の集落協定の内容をどのようなものにするかという問題と直結していると思います。
 そのあたりのことを次号以降で考えていきたいと思います。

 

月岡集落の山の田んぼ

月岡集落では集落営農の法人化が実現されました。法人化の取り組みが

耕作の維持を可能にし、さらに前へ進む可能性を拓いているようです。


心配されている道路の復旧状況

 「野々海から松之山にぬけることは出来るんかい?」、こんな質問をよく受けます。関係者に問合せをしたり、現地を見に行ったりして判明した状況をお知らせします。

 

● 野々海と大厳寺高原(〜松之山)を結ぶ林道
 下の写真、6月22日に深坂峠で撮影した野々海〜大巌寺高原林道の様子です。バリケードで封鎖され、通行できません。

 


 もう数年にわたって通行止め状態が続いています。落石があり、それを防止する工事が行われているための通行止めです。ただし、1年間に実施される工事量はわずかで、なかなか工事が完了しません。
 6月初旬、ある会合で知り合った新潟県の県議さんに十日町市への照会をお願いしました。県議さんからは、その翌日に早速のご返事をいただきました。十日町市の返答は「本年度、最後の工事を予定している(吹付工事)。来年は安全確認の期間としたい」というものだったとのことです。
 私の実感としては、本年度の工事が完了すれば、融雪後の状況確認をしっかりすれば、来年度からの通行再開も可能ではないかと思います。十日町市への働きかけを行っていきたいと思います。

 

● 日出山線
 6月初めだったと記憶していますが、「日出山線で崩落があり、通行止め」というお知らせが村内告知放送で流れました。6月21日午後、歩いて現場に行ってきました。写真は現場で復旧工事に従事されている人の許可を得て撮影しました。

 


 この路線は、秋山郷と栄村千曲川流域部の往来に不可欠ですし、秋の紅葉観光にとっても重要なものです。
 場所は、日出山線と鳥甲牧場への道の分岐点から約1辧∩袷匳戸遒ら上がってくる道路との交点から約500mの地点です。
右写真の「ぬけた」部分に下方から順次、生コンを打ち込む等の工事が間もなく始まるとのことでした。橋の下の沢にはバックホーが入っていました。

 


 道路を管理する津南町では「夏、お盆前後の復旧をめざしている」とのことです。

 

● 野々海峠に通じる林道
 野々海のキャンプ場横から上越市菖蒲地区に通じる林道(温井野々海線)は現在、通行止になっています。
 併用林道(森林管理署が管理する林道だが、地元も使えるもの)ですが、栄村が災害復旧予算を組み復旧工事を実施することになりました。秋の紅葉観光の時期には間に合うと思われます。

 

路肩が崩落している現場
車が上に載ればさらに崩れる危険な状態です!


野々海から写真2点

 

モリアオガエルの卵塊です。
水面上にせりだした木の枝に、粘液を泡立てて作る泡で包まれた卵塊を産み付けます。
今年は雪消えの後に見られなかったので、「観察が遅かったか」と思っていたのですが、6月22日にバッチリ見ることができました。

 

 

野々海ゼンマイがたくさん出ています。また、赤コゴミも見られます。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
栄村復興への歩みNo.360
2019年6月23日発行 編集・発行人 松尾真
連絡先:電話080−2029−0236、 mail;aokura@sakaemura.net
ゆうちょ銀行 11100−01361481 栄村復興への歩み協賛寄金 ながの農協栄出張所 普通0009390 栄村復興への歩み発行協賛金松尾眞


栄村復興への歩みNo.359(6月3日付)

 

水面に映るブナの木々

 

 6月2日午前の野々海池です。
 池の雪がかなり消え、対岸のブナが水面に映る姿が綺麗だなあと思って撮った1枚です。
 この日は野々海水路の普請の日。野々海池に上がった人たちは小屋を開け、池周辺でのさまざまな準備作業を終えて、通水の開始にむけて、白鳥や平滝・横倉の幹線水路の普請作業が完了したという報告が届くのを待っていました。陽気がよかったので、小屋の中ではなく、小屋の外で腰をおろしての待機でした。そのとき、ある人が「綺麗だなあ」と言って写真を撮ろうとされたのが上の1枚の様子でした。
 ただ、その方がカメラを向けられた時は、水面に映るブナの木々の姿が少し揺れているような感じ、あるいは少しぼやけた感じになっていました。私たちにはさほどに感じられない微風が水面に吹いたのです。
 紅葉期も木々が水面に映る姿は最高です。
 でも、その瞬間を撮るのはなかなか難しいものです。この日の私はラッキーだったのですね


野々海のミズバショウ

 野々海のミズバショウの写真を3点、ご紹介します。いずれも6月2日午前の撮影です。

 


 「野々海最大のミズバショウ群生地」として私が紹介しているところで撮ったものです。

 


 同じ場所で、ようやく雪が消えてミズバショウが咲き始めたばかりの部分を周りの景色とともに撮りました。

 5月24日にここに行った後、ブログに「6月1日、2日頃が見ごろになるのではないか」と記しました。その予測は当たっていたと言えるかと思います。ミズバショウが生える場所が一斉に雪消えするわけではないので、すべての場所での開花を待って「見ごろ」とすると、初期に咲いたものがもう見ごろを過ぎたものになってしまっています。いつを「見ごろ」と言うのか、なかなか難しいです。

 


 3枚目は、野々海峠にむかう道のそばにある群生地です。今年の場合、この場所の方が近づきやすいです。写真の場所は斜面を少し上ったところですが、道路のすぐそばのミズバショウはまだ小さなものが少し見られるとう状況でした。

 

 


秋山郷三山の山開きと初夏の観光客の訪れ

 6月1日、苗場山、鳥甲山、佐武流山の山開きが小赤沢・苗場神社で盛大に行われました。
 今年は山の残雪が多いのですが、この日、多くの登山愛好者が苗場山に登られました。私は山開き神事に参列していましたので、登山者の人たちを直接に目にしたわけではありませんが、神事の後、登山口に行くと、多くの県外ナンバー車が駐車していました。
秋山郷観光の柱の1つは山岳観光です。今季も多くの登山者が訪れることを願うものです。
 高い山にはまだまだ残雪があるとはいえ、10日ぶりに訪れた6月1日の秋山郷はすっかり初夏の様相に変わっていました。
 秋山林道にも少し行ってみましたが、多くの車、オートバイ、サイクリング車に出会いました。次の写真をご覧ください。恰好いいスポーツカーがミズノサワを走り抜ける姿です。

 


 べつに私はスポーツカー好きというわけではありません。このスポーツカーを操る人とちょっとしたやりとりがあったので印象に残っているのです。
 切明温泉から秋山林道に上がっていったところ、三叉路でこのスポーツカーの人が車から降りて、自分が持つ地図と案内看板とを交互に見つめられているのに出会いました。
  「何か、お困りですか?」
  「この道を行けば、志賀高原にぬけられるでしょうか?」
 私は、「たしか何日か前の村内放送で、奥志賀公園栄線は6月7日開通と言っていたな」と思い起こし、その旨をお話ししました。しかし、私は不安でした。未開通ならば「この先、志賀高原には通り抜けられません」という表示があるはずなのに、それがなかったからです。結局、たまたま志賀高原方向から走ってきた車があったので、合図して停まっていただき、「どこから走って来られましたか?」とお尋ねし、「志賀高原から走って来ましたよ」というお答えをいただき、スポーツカーの人にお伝えしました。
 後で聞いたところによれば、奥志賀公園栄線は5月24日に繰り上げ開通したとのこと。
 多くの人びとに秋山郷観光を楽しんでいただこうと思えば、「通り抜けできません」という時の告知板だけでなく、「奥志賀公園栄線開通。志賀高原方面はこちらをお進みください」というような案内板を出してほしいなあと思いました。ちょっとした気配りが大事なのだと思います。
 


野々海池と野々海水路について

 1頁に記したとおり、6月2日、野々海水路の普請が行われました。
 野々海水路の春の普請は通常、6月の第1日曜日に行われます。野々海水利組合の共同作業で、野々海水路の水を使用する白鳥、平滝、横倉、青倉、森の5つの集落から必要な人数が出ます。
 今年の普請をめぐって関係者は大きな不安を抱いていました。というのも、今春は野々海の雪消えが遅く、1週間前の段階では、十分な普請の作業ができるかどうか、なかなか確信をもてなかったからです。ちなみに5月24日の野々海池は次の写真のような状況でした。

 

 


 池のほとんどはまだ雪に覆われていました。上2枚目写真は池のそばにある水番小屋の入口の様子です。小屋の扉は上に開けるものなので、この雪の状態では開けられません。「6月2日には残雪は減って、開けられるだろう」とは思いましたが、他にも、標高が高いところの水路がまだ雪の下にあって、十分な作業ができないのではないかという不安は拭(ぬぐ)えませんでした。
 幸い、24日以降の1週間、気温の高い日が多く、随分と雪が消えてくれました。下の写真は普請当日、小屋の扉を開けた後の様子です。おかげで2日の普請は求められる作業を概(おおむ)ね終えることができましました。

 


 さて、今号と次号の2回にわたって、この野々海池と野々海水路について基本的な事柄、野々海池・水路の維持をめぐる諸問題をご紹介したいと思います。

 

● 野々海池の貯水量はオリンピック用プール545個分
 野々海の話をすると、「野々海池って、貯水量はどれくらいですか?」と尋ねられることがしばしばあります。私自身はデータを見たことはありますが、スラスラと数字を口にすることができません。数字よりも何よりも、10年以上にわたって野々海に頻繁に足を運んでいて、その水量の凄さは体感として感じとっていて、数字にはあまり関心をもたないからです。でも、野々海について人に伝えるには、やはり数字がスラスラと出てこなければいけませんね。今回、改めて文献にあたってみました。『栄村史水内篇』です。
 あくまでも計画値ですが、「有効貯水量 136万582?」とあります。しかし、こういう数字だけ見ても、どんな量なのか、実感をもって理解することができません。面積を表すのに「東京ドーム〇個分」という言い方がよくされるので、こんなことを調べてみました。「オリンピックで使用できるプールの水量って、どれくらいなんだろう?」と。
 オリンピックサイズのプールは長さ50m×幅25m×深さ2mで、2,500?の水が入るそうです。すると、1,360,582÷2,500=544.2328で、野々海池の貯水量はオリンピックプール約545個分となります。なんとなく「凄いなあ」と思えるかなと思いますが、いかがでしょうか。

 

● 野々海水路はどれくらいの長さがあるのか?
 野々海池の水は先に記したとおり、水内地区の5つの集落の水田に野々海水路で送られます。野々海池は標高1,020mに位置しています。そこから標高300〜500mにある水田まで山の中を通って水を送るのですから、野々海水路は相当の長さに達するだろうと容易に想像されます。でも、数字を見てみましょう。
 「幹線水路総延長19,502m(4路線、隧道4か所)、支線水路9,209m(内隧道4ヶ所)」とあります。

 

 

 


 これは『栄村史水内篇』259頁に掲載されている計画地図です。
 「溜池」と記されているのが野々海池。「隧道(ずいどう)」はトンネルのことです。手掘りされました。
野々海池を出てすぐにある1号隧道を出た直後、1号幹線水路から3号幹線水路が分岐します(第1分水点)。3号幹線は白鳥に向かいます。次の写真が1号隧道出口の6月2日の様子です。

 


 1号幹線はその後、4号幹線水路を分岐します(第2分水点)。4号幹線は平滝と横倉に向かいます。下の写真で手前に見えるのが第2分水点、先に延びる道の下に1号隧道を出た水路が流れています(水路を木で蓋しています)。

 


 この後、1号幹線は第2隧道に入り、円筒分水点に至ります(下写真)。ここで森集落に至る水と青倉集落に至る水(2号幹線水路)が分かれます。

 

 


 この後の1号幹線と2号幹線の特徴の1つに、途中、自然河川を水路として使用していることがあります。森に至る途上での東入沢川と、青倉に至る途上での西入沢川上流です。
 冬の期間は止められていた水を以上の幹線水路に通せるようにする作業が、今年は6月2日に行われた野々海水路の普請なのです。

 

 幹線水路だけで全長約20km。その維持・管理は大変なことです。

 野々海池の築堤工事と水路掘削は国の事業として行われ、その所有権は事業を国に代行して実施した長野県にありました。その後、栄村に譲渡され、現在は通常の維持・管理は関係農民で作る野々海水利組合が行っています。水利組合が維持管理を続けていくうえでの課題は何か。それを次号で考えてみたいと思っています。

 


木の花の写真二点

 

ナナカマドが花を咲かせている姿です。
秋の真っ赤な実は有名で、写真もよく紹介されますが、春の花が取り上げられることはあまりないのではないでしょうか。私も今回初めてカメラをむけました。花のクローズアップも紹介します。

 

 

 もう1枚、5月15日に野々海に向かう途中で撮ったものです。前々から「不思議な花(木)だな」と思っていましたが、樹木図鑑を調べると「ウワミズザクラ」というそうです。似たものとして「イヌザクラ」というものがあるそうで、もう少し厳密に確認作業をしなければならないと思っています。

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
栄村復興への歩みNo.359
2019年6月3日発行 編集・発行人 松尾真
連絡先:電話080−2029−0236、 mail;aokura@sakaemura.net
ゆうちょ銀行 11100−01361481 栄村復興への歩み協賛寄金 ながの農協栄出張所 普通0009390 栄村復興への歩み発行協賛金松尾眞


松尾まことの議員活動報告No.35

ふるさと納税−お米加算金をめぐる問題
〜6月定例会の質疑から〜

 

松尾:「これは一種の災害であり、財政出動してでも、今年度に限

   り、農家に昨年と同じ所得が保障されるように村が責任もっ

   て対処すべきだ」
村長:「今年度に限り、作付が終わったものについては保障。仮渡金
   の支払を農家が不安に陥らないように対応する。」

 

 

 6月17日から20日までの定例議会は、一般会計補正予算審議など多くの案件を扱いましたが、最大の関心は、直前に村のチラシで明らかになった「ふるさと納税問題」、すなわち「昨年度のような上乗せ金はできない」という問題でした。そのため、一般質問が平素以上に重要な意味をもつことになり、8名の議員中3名(保坂良徳、松尾、上倉敏夫)が一般質問で「ふるさと納税問題」を取り上げました。一般質問1日目(18日)に保坂議員の質問で村の対応方針の概要があきらかにされたことをうけて、私は2日目(19日)、村長に重要な決断を求めました。その核心部分が上に大文字で示したものです。
 今年度産米について、昨年度の「栄村概算金額16,200円(内共計概算金13,372円、ふるさと納税上乗せ2,828円)」(JA通知書より)を絶対に保障することを村に約束してもらうことが質問の狙いでした。森川村長の答弁はこの求めに真正面から答えてくれたものと評価します。金額の詰め等、具体化作業にもう少し時間を要しますが、基本方針は明確になったと思います。

 

 以下、本号では、「ふるさと納税の制度変更」と言われているものの具体的内容、今年度、稲作農家に昨年同様の支払を保障するための具体的方策などについて記していきます。


◎ そもそも「ふるさと納税」とは何か?
 「返礼品が高価すぎる」、「返礼品競争が過熱化」、あるいは「寄付する人はわずか2千円の負担で高価な商品を得られる」というようなことばかりがマスコミで伝えられていますが、そういう「報道」はふるさと納税制度の正しい理解と発展を妨げる、歪んだ「報道」だと言わねばなりません。正しくは、どういう制度なのでしょうか。

 

■ 納税者が納税先を自由に選べるシステム
 国民には納税義務があり、所得税、住民税を納めることが求められます。しかし、「同じ税金を納めるのならば、自分が育った故郷に納めたい。あるいは、お世話になった自治体に納めたい」と思う人もいます。その思いを叶えるのがふるさと納税制度なのです。
 たとえば、都会で暮らす給与収入が500万円のサラリーマンで「夫婦+子2人」の場合、3万円のふるさと納税をすると、「所得控除による軽減5,600円」、「住民税の税額控除で2,800円」、「住民税の税額控除(特例分)で19,600円」の計28,000円を税控除されます。
 これは、その人の税金納入額が28,000円少なくなったということではありません。28,000円を自分が現に暮らす場所で納めるのではなく、自分の故郷ないし世話になった自治体に納めるという納税先の変更なのです。ふるさと納税者は、28,000円を現に暮らす自治体ではなく、ふるさと等に納税しているのです。受け取る側の「ふるさと」の方では「寄付金をいただいた」と言いますが、その本当の内容は都会などで暮らす人たちから税金を納めていただいたということなのです。
 国民が納める税金が国や大都市に集まりやすく、地方の自治体は慢性的に財源不足に困っているという現実を変えていく第一歩としてふるさと納税制度は考案されたのです。ここが肝(きも)です。
 その後、返礼品がクローズアップされるようになり、テレビ番組などで「ふるさと納税を活用すると、たった2千円(上記の税額控除方法で、「ふるさと納税3万円−控除額計2万8千円=2千円」)で高級品を手に入れられる」と喧伝(けんでん)されたため、ふるさと納税制度の趣旨が大きく誤解される事態が生まれました。
 しかし、「財政格差を縮めるためのふるさと納税」という本来の趣旨は何も変わっていません。
 以上のことをしっかり押さえたうえで、今回、国・総務省が打ち出した「ふるさと納税の制度変更」の内容をみていきます。


◎ 総務省による制度変更の4つのポイント
 6月1日からふるさと納税制度が大きく変わりました。

 

■ 指定団体
 制度変更の第1のポイントは「指定団体」制の導入です。
 国・総務省に認められた自治体でなければふるさと納税制度を活用できないのです。この変更点はテレビのニュース等では「泉佐野市(大阪府)など4自治体は指定外」ということで伝えられています。「指定外」になると、そこにふるさと納税しても、前頁で説明した「税額控除」が認められないのです。
 わが栄村は本年5月15日付の総務省告示で「指定団体」として認められましたが、本年6月1日から令和2年9月30日までの間について認められたということで、令和2年10月1日以降については改めて申出書を提出して総務省の「審査」を受けなければなりません。本年6月以降来年9月までの期間に、この後に紹介する3つの「基準」に栄村が違反すると「指定団体」となれない事態が発生する危険があるのです。
 20世紀末の地方制度改革を経て、「国と自治体は対等」という原則が確立されていますから、国が一方的に基準を設け、それに基づいて自治体を選別する「指定団体」制度にはじつに大きな問題があります。

 

■ 3つの基準:「募集経費5割以下基準」、「返礼品3割以下基準」、「地場産品基準」
 「指定団体」制以外の制度変更点は、上のタイトルに記した3つの「基準」です。ニュースでは「返礼品3割以下基準」のみがクローズアップされていますが、より深刻なのは「募集経費5割以下基準」というものです。
 まず、「返礼品3割以下基準」を簡潔に説明したうえで、「募集経費5割以下基準」を説明します。
 「返礼品3割以下」というのは、栄村が特A米を返礼する場合、栄村がその特A米を手に入れるために現に支払った金額(消費税を含む)が「3割以下に収まっている」ことが求められるということです。もっと具体的に言うと、JAが精米し、「こころづかい」の名称が入った袋にお米を入れ、何処ででも売り出せる状態にしたものを栄村が手に入れるのにいくらのお金を支払わなければならないかということです。村がJAに求めた見積額から判断すると、昨年度までのように「寄付金1万円に対して特A米15kg」は「3割」を大きく超える、「特A米5圈廚ギリギリだというのが村の見解です。(私は工夫をすれば9〜10圓諒嵶蕕可能だと試算していますが)
 さて、「募集経費5割以下」という基準です。「募集経費」というのは、「返礼品に要する経費」も含め、「栄村はふるさと納税を募集しています」という告知、ふるさと納税して下さった人への領収書や証明書の発行・郵送、返礼品の箱詰作業、宅急便で送るための送料などの経費すべてを合計したものです。
 寄付金1万円の場合、返礼品で約3千円、送料で千円強、もうこの2つの費目だけで4割を超えます。「5割以下は無理だ」という悲鳴が多くの自治体からあがっています。場合によっては返礼品率を2割レベルに下げることで「経費5割以下基準」をクリアするという苦渋の選択をせざるをえない場合もあります。
 また、寄付金の多少にかかわらず要する経費(たとえば、ふるさと納税の情報入手と手続きが簡単にできるインターネット上のポータルサイトへの委託料)が寄付金に占める割合は、寄付金総額が少ないと高くなります。私の一般質問への答弁では「少なくとも寄付が1千万円集まると、経費率を5割に抑えられる」とのことでした。
 「地場産基準」については、栄村は栄村産特A米を返礼品にしていますので、クリアしています。そのため、ここでは詳しく記しません。

 

◎ 栄村は何を考え、何を工夫しなければならないか
 国・総務省による制度変更の結果、全国的に見て、ふるさと納税が大きく後退するのか、これまでの水準を維持できるのか。これはまだ見通せません。しかし、栄村が使っている「ふるさとチョイス」というサイトを含むふるさと納税ポータルサイトを見ると、多くの自治体は総務省の規制をなんとかクリアしながら、6月1日以降、積極的なキャンペーンを展開しています。率直に言って、栄村の対応は立ち遅れていると思います。
 では、栄村は、何を考え、何を工夫しなければならないか。そこを考えたいと思います。
 第1は、ここ数年のふるさと納税額=1億2千万円〜1億5千万円という水準を簡単に諦めず、本年度もその水準の実現をめざす姿勢を明確にすることです。「戦う前から戦意喪失」では話になりません。
 第2は、,佞襪気版疾任鬚靴堂爾気訖佑咾箸紡个垢訛爾隆脅佞竜せちのお伝えの仕方・内容、また、頂いたふるさと納税が栄村の農業の振興にどのように活用されているのかのお知らせ、これらにおいて根本的な改善を図ることです。
 私はふるさと納税で頂いたお金の農業振興への活用のしかたが、「返礼品に特A米を使い、その特A米の元となる玄米をJAに出荷した農家への支払金に上乗せ金する」という方法が最適の活用法だとは思いません。もっと良い方法があると思います。しかし、そのことをおさえたうえで、現在の「米価上乗せ金」方式で稲作農家の耕作継続にとって、どれほどに大きな意味を有しているか、したがって、ふるさと納税が栄村の農家にとってどんなに有難いものであるかを、ふるさと納税して下さった人たちに具体的にお伝えすることが必要です。
 都市で暮らす人たちは、お米を作るのに、どれほどの多額の経費がかかるか、基本的にご存じありません。だから、ふるさと納税のおかげで、なんとか赤字に陥らずに、農業を続け、栄村の田んぼと豊かな自然環境を守ることができていることを、もっと具体的にお伝えする必要、いや義務があります。
 でも、栄村のHP(ホームページ)等を見ても、そういうお知らせ(記事)は見当たりません。ちなみに、お隣の津南町では、米作りの様子や津南の暮らし・食文化などをわかりやすく、しかもかなり良いデザインでお伝えする冊子を作成し、ふるさと納税をして下さった人たちに送っています。
 第3は、ふるさと納税の恩恵を受けている村民一人ひとりが、ふるさと納税を維持する仕組みに積極的に関わるようにすることです。
 現状では、農家はお米を栽培し、刈り取り、ライスセンターに運び入れるところまでの関わりです。《乾燥したお米の調整(籾摺り)、玄米の保管、精米、袋詰め→箱詰→発送》――これらのプロセスはすべてJAへの委託です。ありていに言えば、JAへの丸投げです。
 これではダメですね。
 返礼品のお米は農家自身が自ら精米し、袋詰めし、宅急便に出すまでを自らやるようにするのが本来ではないでしょうか。このことを実際に実現するには、仕組みの制度設計等、議論を重ねなければなりませんが、不可能なことではありません。現に、集落営農団体からそういう取り組みをしようという声があがっています。
 とにかく、もっと工夫と努力が必要です。栄村の明日を考えて、みんなでズクを出し合いましょう!

 

◎ 「財政出動で農家への保障を」とは
 さて、以上のことをふまえて、農家のみなさんの関心がいちばん高いと思われる、1頁の冒頭に記した「財政出動を」、「農家に昨年度と同じ所得の保障を」ということをもう少し具体的に説明します。
 6月初め、村からの通知文書だけでなく、米出荷者にはJAからも通知文書が送られてきました。JAの通知は、端的にいえば、昨年の「栄村概算金額16,200円(内共計概算金13,372円、ふるさと納税上乗せ2,828円)」のうち、「2,828円の上乗せ」はほとんど出来ないということですね。さらには、ふるさと納税返礼品量が減った場合の、栄村産米の販売先の確保が大変だということも言っています。
 こんなことを通知されたら、誰しも不安になります。生産意欲が萎(な)えてしまいます。

 

 そこで、私は一般質問の最後に村長に提案したのです。
 「財政出動」とは、村が非常の際の資金として積み立てている財政調整基金を取り崩してでも資金を確保し、農家の米所得が昨年度並みに確保されるように村が支援するということです。今年度に限ってのことです。課長答弁では、寄付金で賄えるのは最大500万円ということなので、昨年並みの支援規模(2千万円を超える)を確保するために村の財政資金を使うということです。
 村長の答弁の冒頭の言葉は、「応援の言葉を頂いて有難うございます」というものでした。その言葉を聞いた時、私は「?」と思いましたが、村長の答弁はつぎのように続きました。「令和元年度に限ってですが」(これは当然の限定だと思います)、「作付が終わったものについては保障。仮渡金の支払を農家が不安に陥(おちい)らないように対応する」。村民が望む回答を得ることができたと思いました。
 財政出動の規模は質問の中でも言いましたが、かなり大きな規模になります。もちろん、ふるさと納税による寄付金が増えれば、財政出動必要額は少なくなります。ですから、どういう規模の補正予算を組むかの最終調整には今少し時間を要しますが、大事なのは、村の農家のみなさんに対するメッセージです。村長の答弁はそのメッセージだと私は信じます。
 みなさんも、リピート放送で私と村長のやりとりを聴いてみてください。私の質問時間は約1時間に及びましたが(質問順番は6番目)、この重要なやりとりは、私の質問開始から40分30秒後から44分30秒頃までの約4分間です。是非、お聴き取りいただき、これを全村民が共有する栄村の政策にしていければと願うものです。

 

 

6月定例会、あと3つの重要論点
 6月定例会には、専決処分の承認を求める案件6件、補正予算6件(最終日の追加1件を含む)、条例改正案4件など、計14件の議案が提出されました(うち、2件は請願・陳情をうけての議員提出の意見書案)。
 これらの議案審議で浮かび上がった重要な論点が3つあります。

 

■ 専決処分が許されるのは、どういう場合か
 今回は専決処分の承認を求める案件が6つもありました。通常はあまり見られない多さです。
 問題になったのは、専決処分第3号=「平成31年度一般会計補正予算(第2号)」です。
 内容は、のよさの里への692万円、雄川閣への756万円の投入、災害復旧費550万円などです。
 専決処分とは、本来、議会での審議と採決を要することを、議会を開かないで村長が決めることです。地方自治法第179条第1項で認められているのですが、その179条1項には専決処分を許す条件が書かれています。すなわち、「特に緊急を要するため議会を招集する時間的余裕がないことが明らかであると認めるとき」です。専決処分3号はこの要件に合致していません。というのも、専決処分がなされた4月26日の前日=4月25日に議会全員協議会(村長の要請によるもの)が開催されていて、「議会を招集する時間的余裕がない」とは正反対の状況だったからです。
 採決の結果、専決処分第3号は「賛成多数」で承認されましたが、私はこの専決処分は許されるものではないと今でも確信しています。

 

■ のよさの里をどうするのか
 補正予算審議で、そして一般質問で最も盛んに議論された問題です。
 上に記した4月26日村長専決の補正で、のよさの里を村直営するのに必要な人件費、物件費などで692万2千円、さらに6月定例会提出の「令和元年度一般会計補正予算(第3号)」でのよさの里の修繕費等に294万5千円、計986万7千円です。
 こんなことをしていたら、「振興公社への指定管理料が不要になり5千万円が浮いた」(3月議会での村長発言の趣旨)という5千万円はあっという間に消えてなくなります。
 補正予算審議、一般質問を通して明らかになったことが2つあります。
 第1は、「村の直営」と言いながら、本年度の「のよさの里事業計画」というものが無いということです。本年度、のよさの里の管理を担当するという秋山振興課の福原洋一課長がそのように答弁しました。信じられないことです。予算を使う前提はしっかりした事業計画の策定です。「お金だけ使う」は許されません。
 第2は、村による観光施設管理の杜撰(ずさん)さです。
 6月定例会提出の「のよさ」関係の補正予算では「源泉配管」や「給湯設備修繕」が目立ちます。担当課長は、「施設開設から30年、配管の中をまったく点検していなかった」という趣旨の答弁をしています。とんでもないことです。
 同様のことは昨年の北野天満温泉の天井・屋根の破損でも問題となっていますし、トマトの国の浴槽をめぐる問題も同様の性格を有する問題だと思います。指定管理者にしっかり管理してもらうと同時に、施設所有者として村が定期的に施設の状況をしっかり点検・把握することが求められます。
 のよさの里の今後のあり方について、村長は「まず秋山郷の旅館や民宿の経営者の意見を聴くことから始める」と答弁していますが、ちょっと違うと思います。のよさの里は秋山郷観光にとって戦略的なポイントとなる施設です。
 村は秋山郷観光をどういう方向にもっていくのか、のよさの里でどういう事業を柱にすえ、どういう施策を展開するのか。村の方針の明確化こそが、いま、求められているのです。
 私は、のよさの里の活用方法・運営方針、さらには秋山郷観光の方向性について議会主導の議論に踏み出す必要があると考えます。

 

 

村民が希望を持てる村政へ
 「2020年4月」を意識した話がいろんなところから聞こえてきます。
 私は、ふるさと納税問題−米農家所得保障の問題での積極的政策提案、専決処分第3号やのよさの里補正予算をめぐる現村政への厳しいチェック・批判、その両方を同時に進めながら、村政をめぐる議論を村民総ぐるみで深め、村民が納得のいく選択をできる環境づくりに努めていきたいと考えています。村民のみなさんの議論がさらに活発になることを期待して、今号の筆をおきます。 (了)