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栄村復興への歩み
2011年3月に震度6強の地震で被災した長野県栄村で暮らす松尾真のレポートを更新しています。

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松尾まことの議員活動報告No.41(3月31日付)

3月定例会での森川村長との質疑内容を全文紹介します

 

 村議会3月定例会の一般質問で、私は財政、農業、地方自治法の3点について、森川浩市村長と質疑応答をしました。その全内容を紹介します。
   なお、議事記録に基づいていますが、発言の語尾部分の表記

   は煩雑さを避けるために一部整理しています。たとえば、

   「〜してございます」を「〜しています」と簡略化しています。
   また、を付けた箇所で、解説を加えます。

 

村の財政状況について
松尾 村長への質問で通告しているのは財政、農業政策、地方自治法に関すること、3つですが、まず財政です。
 実務的な事柄で総務課長にお尋ねします。令和2年度の予算が原案通りに成立したと前提した場合に、財政調整基金の残高は幾らくらいになるか。それから、令和2年度の予算が執行された場合、栄村震災復興特別基金が令和2年度末に幾らくらい残る見通しなのか。
 令和3年度以降の公債費は令和2年度当初予算と同じ程度に収まる見通しなのかどうか。それよりもはるかに異なる額なのか、お聞かせください。

 

総務課長 財政調整基金の残高の見込みですが、令和元年度の最終補正の予算ベースで考えて、元年度には8億9,400万円くらいの残高になるのではないかと予想しています。
 令和2年度の予算案においては、取り崩し額が1億7,450万円見ています。ただ、元年度の決算による余剰金の積み立てを約5,000万円ほど見込みまして、令和2年度末の残高、予算ベースでございますが、約7億7,000万円程度になるのではないかと予測しています。
 栄村震災復興特別基金ですが、2年度予算において取り崩し額を約1億1,700万円余り見込んでいます。そうしますと2年度末の予算ベースの残高見込みについては、1,700万円程度になろうかという予想です。
 公債費の見通しですが、今後どのような借り入れを組んでいくかというところに掛かってくるわけですが、基本的には例年程度の見込みで行きたいと考えています。向う10年間は元利償還見込みは約3億円台で推移していくのではないかと見込んでいます。借入をどの程度見るかは、その年の事業の内容にも大きく左右されますので、これからどのように見込むかというのはかなり難しいことか考えています。
  ☜ 財政のデータをしっかり確認しました。

 

松尾 ここからは村長にお尋ねしたいのですが、私、先月21日に令和2年度の予算書をいただいた時に、率直に申し上げてある種の衝撃を受けました。1年前くらいかもしれませんが、「栄村の財政規模というのは、震災から8年、9年経って、通常の財政規模に戻して行かなければならない。それはだいたい30億円を少し超えるくらいか」という認識を村長お示しになっていた。ところが、令和2年度の予算書をいただいたら総額が29億円台だった、30億円を切ったことにある種の衝撃を受けました。
 そこから色々と考えたのですが、これを家計に例えますと非常によく分かると思うのです。例えば、月30万円の給与所得があるという場合に、その30万円を丸々そのご家庭で1か月間消費できるのかというと、そうではない。ローンがあれば、そのローンを返済しなければいけない。家計で必要なお金があれば、新たなローンが組めたら新たなローンを組む。それから、手元に預金があれば、その預金を一部取り崩す。そして自分の家で1か月間どれだけのお金を回せるかを考えるわけです。でも、よくよく考えると、ローンを返して、もう一方で新しいローンを組む。これは差し引きゼロみたいになってしまう。それから、預金の取り崩しというのは、その瞬間は消費に回せるお金が増えるからいいけども、結局先々心細くなってくる。
 そういう考え方を村の財政について当てはめて、財政調整基金からの取り崩し、地方債の発行によって確保されている財源、それから、逆に今まで借りた地方債を返済するために出さなければいけない公債費、こういうものがどれだけ令和2年度の予算の中にあるかという事を計算してみますと、約7億4,900万円になります。
 そうすると、村税とか、地方交付税交付金、国庫県支出金などの純収入額で実際に村が何らかの日常的な政策、事業を実施するのに使える金額というのは、22億1,000万円ちょっとという金額なのではないか。これが栄村の現在の本当の財政力なのではないかと私は思うのです。しかも、今、総務課長から紹介いただいた本年度においては財源として1億1,700万円確保できた復興基金が、来年度にはもう1,700万円しか残っていない。この復興基金がどういう予算に使われているのかというのを見ると、かなり村の基本的な施策の実施にこの基金が使われている。
 そういうことを見ると、令和3年度以降の村の財政運営というのは、相当厳しくなってくるのではないか。これは誰かれの責任というものではなくて、客観的な現実の問題として私はそういう認識を持たなければいけないのではないかと思うのですが、その点について村長はどのようにお考えかということが第1点です。
 2点目は、文書で通告したものを少しかみ砕いてお尋ねします。
 昨日の上倉議員への答弁で、村長自身が、「従来通りの事業実施がかなり厳しくなってくる」、「工夫が必要だ」、「例えば、今までだったら単年度でやっていたものを2〜3年かけてやる」等々認識を示していましたが、それは言いかえると、「村民の皆さんに対してこれまでと同じようにはいかないものが出て来ます」ということをお伝えしなければならないということなのではないかと私は受け止めました。そういう認識で間違いがないかどうか
 そういうことを村民の皆さんにお伝えしていかなければならないとなれば、皆さんのご納得をいただくには、その予算財政と不可分の関係にあります諸施策の決定プロセスが透明で村民の大多数が納得できるものになっていることが不可欠になってくると思います。
 そういう点から見ますと、現在の村政の運営は透明性とか、住民に対する説得性という点で不十分な状況にあるのではないか。
 村長は初日の施政方針で、こう言いました。「第6次栄村総合振興計画に基づいて主要事業を設定する」と。ところが、こういうふうに言われても、総合振興計画が過去3年間で、何がどこまで進んで、何が課題として残っているのか、その残っている課題を実現していくために令和2年度はこういう予算を編成したのですということが丁寧に示されないと、多くの方は、なかなか予算や施策の妥当性を判断できないのではないか。私はそういう認識を持つのですが、村長はどういうふうにお考えか、それをお尋ねしたいと思います。

 

森川村長 議員の言われる通り、財政的には厳しいものがかなりあります。震災後、復興財源で色んな事業ができました。ところが、それがもう令和3年度でゼロになってしまう、ここで財布のひもをしっかりと締め直さなければならない
   ☜ 村長自ら、財政の危機を認めました。
 そして、総合振興計画は10年の方針であるだけなので、3年の実施計画において、毎年ローリングしたり、また見直しをかけておりますので、そちらの方にかなり力を注がなければならないだろう。
 今回、職員においては、例年の査定のやり方、単年度事業とお金だけを見るのではなくて、3年間の実施計画をまず出していただきたい、その計画によって次の査定、第2回目に入るというような取り組みをさせていただきました。できるかぎり30億円前後まで下げさせなければならない。
 今後は、私は30億円前後で行かなければ村の一企業も潰れていってしまうのではないかと危惧しております。震災前の22〜23億円まで下げる、それを急激にやってしまいますと村の流れが変わってしまう。村の今の福祉政策から全て、まず冬期のスキー場、そして今のデマンドバス関係全て狂いが出ないようにしなければなりません。村民に負担をかけることは私にはできないということで、今回査定も厳しいのですが、職員にもその流れを分かっていただかなければならない。
  ☜ 今後の予算規模は30億前後か、それともそれを下回るか、

   重要な論点です。
 

 今回、財政調整基金においては、先ほど申した通り、8億9,000万円、なから9億円ほど。この2年間、29、30年度ですが、そこに積んであった約6億円、それを減債基金の方に振り分けをしました。ですから総体的に財政調整基金は15億円ほど残っていることになります。ただ、借金の返済のための減債基金についてはみておかなければならないだろうということで、ゼロ円の基金のところへ6億円を振り分けました。できる限り財政を絞るところに入らなければならない時代に入ってきたということで、職員と一緒になって今後の予算も見直しをするというところで取り組んでおります。
 村民に周知する、その前に、実施計画をしっかりとしたものにしておかなければ村民にも間違いが出てしまう。数字または事業名だけが村内を回ってしまう、また予算的な面で「今年はうちの事業をやるのではないか」と、そういうトラブルになってしまいます。そういうことの無いように処置したものを今後は村民と共に近年中には考えなければならないだろうという考えでおります。
 そして、同じような事業については一本化しなければならない。過疎債から辺地債の流れも*、もし取り組めれば取り組んでいかなければならない。少しでも有利な方向へもっていかなければならないだろうということで職員と共に考えを進めているところであります。以上です。
   *過疎債は従来、村が使っている地方債で、元利返済

    の7割が国の地方交付税で措置される。それに対して、

    辺地債は国が「辺地」と認める地域での事業をめぐ

    って発行できる地方債で、元利返済の8割が地方交付

    税で措置される。栄村の場合、「中央」、「北野」、

    「秋山」の3地域が「辺地」に該当する。


松尾 当村が置かれている財政的な状況の厳しさについては共通の認識が持てたのではないかと思います。これは、この議会の議場において村長と議員、あるいは傍聴者が共有しているというだけでは不十分で、村民の皆さんに、この厳しい現実というのはお伝えしていかなければならないと私は思います。
 今、村長が答えられたことについて、私は2点指摘をさせていただきたい。
これから実施計画をしっかり立てるということについては勿論異論はございませんが、総合振興計画はスタートしてから既に3年経っているという中で、やはり振り返りがもっとキチンと行われなければいけないのではないか。この3年間、その計画を何処まで前に進めるのかということで毎年予算を付けてやってきて、それがその予算を付けただけに値する成果を実現できているのか。それとも、予算を投じた割には効果が無かったのか。そこの検証をしないと、今後の実施計画についても本当のことは分からない。「実施計画を下手に村民に公表すると、事業名と数字だけが独り歩きして、誤解を生じかねない」、それは村政の最高責任者として担当しておられる方のご心配として分からなくはないですが、やはり日ごろから行ってきた事業についての評価、これがキチンと提示されていれば、今後の実施計画について「村に潤沢な資金があって実施計画に載った以上は必ずされる」、まだ役場の中で揉んでいる最中のものについて下手に公表すると、「全部が全部実現される」という誤解が村民の中に生じるという心配は、私は無くなってくると思います。
 村長の施政方針及び昨日の様々な方の一般質問への答弁の中で、ある種の施策について「思ったようにいかなかった」ということも率直に言っていた。で、あれば、その「上手くいかなかった」というのは何故なのか。ここについてもっとキチンと掘り下げて提起をしていただきたいということが一つです。それについて村長のお考えをお聞きしたいと。
   ☜ この点について、村長は結局、答えてくれませんでした。
 それから、財政調整基金についてですが、減債基金の6億円は公債費に充当されるものだと思いますが、仮に、この減債基金と財政調整基金を併せて、今、村長が言ったよう15億円から16億円くらいなるということを前提にして私は考えたのですが、ある首長経験者からこういうお話を聞かせていただきました。「自治体の財政を見る場合に、非常に分かり易い目安としては、基金の残高と公債残高、これを比べてみる。その場合の基金残高というのは、財調と減債基金を合わせて、これと公債残高というものを比較するのがいいのではないか。この比率が100を上回るとあまり健全な財政状況とは言えない。やはり100以下に収まっていてほしい」というお話を聞きました。
 平成30年度の決算で見ると、栄村の基金残高は財調と減債基金を合わせて10億3,856万円です。他方、公債残高は28億9,448万円。比率は188%になります。これと対照的なケースとして、長野県内の小川村の数字を紹介いただいたのですが、こちらは平成30年度の予算ベースですが、基金残高が29億8,400万円、公債残高が21億8,800万円で、比率は73.3%です。
 震災以降、6〜7年は通常とは違う財政状況だったことは十分承知していますが、栄村が震災から9年、10年を経て通常の財政ベースに戻していくという場合に、もう一つの手法として、この基金残高と公債残高の比率というのを一つの目安として頭に置くべきではないか。ちなみに小川村は人口が2,600人で、一般会計規模は当初予算で26億3,800万円です。私は一つの参考になると思うのですが、その辺のことも含めて今後財政の運営について考えていっていただけるかどうか。村長のお考えをお尋ねします。

 

森川村長 まず、最初の総合振興計画の検証、これは必要です。やはり、色んな事業をその中で実施計画等持っておりますので、その実施計画についても職員ではPDCAサイクルを使って評価をしなければならないだろう。できる限りそれを各担当部署で、各課の中で進めていただきたい。それをまた含めて総合振興計画の検証を進めなければ、またそれについては各委員の検証関係をやるのですが、数字的なものをしっかりと出したものについて、それで職員が1つ1つの事業についてPDCAサイクルの、その評価をしたものについてまた研究できるように考えていきたいと考えます。
   ☜ PDCA=計画・実行・評価・改善のこと。
    これを行うのは職員であるかのように村長は言って

    いるが、検証を行うべき責任者は村長自身です。森

    川氏はこのことの認識が致命的に弱い。
 財政調整基金と減債基金を足したものと公債残高、やはり資料関係については、職員にも色んなものを作れといって頼んでおります。また今言った関係の資料については、データにして、過去から始まって今後の推計もある程度のところで作ってありますので、それを含めて考えていけばしっかりとした議員の言われるものが出てくるのではないかという考えでおります。
   ☜ 職員に「資料を作れ」という問題ではありません。

    「基金と公債残高の比率」など村長自らすぐに計算

    できるもの。問われているのは、「188%」という

    栄村の危機的な比率に対する森川氏の認識です。

 

松尾 厳正に議論を進めたいと思いますので、今のやり取りを私は記録に残して、次の質問に参りたいと思います。

 

 以上が、一般質問での村の財政に関する質疑の全容です。

 

森川氏は、なぜ、自分のチラシで村の財政状況について一言も触れないのでしょうか?

 

 議会という公の場で、「議員の言われる通り、財政的には厳しいものがかなりあります」と明言した森川氏が、この1ヶ月半ほどの間に「栄村長 森川浩市」という署名を入れた村内のほぼ全世帯に配ったチラシでは村の財政状況に一言も触れていません。何故なのか? これが不思議でなりません。
 4年間、村長職を務めてきて、「村長就任後は、重責に身の引き締まる思いで、村民皆様の大きなご期待と信頼に応えられるよう、全力で取り組んでまいりました」(チラシ「森川こういちのお約束」より)とまで言っているのですから、自らの村政運営の結果として、村の財政状況がどうなっているのかを村民のみなさんに報告することが、真っ先にやるべきことだと思うのですが、森川さん、どうなのでしょうか。
 森川さんが議会の場で、「財政は心配ない。松尾議員の言っていることはデタラメだ」と言ったのだったら、話は別ですが、あなたは「(松尾)議員の言われる通り、財政的には厳しいものがかなりあります」とはっきり言っているではありませんか。
さらには、「財布のひもをしっかりと締め直さなければならない」とも言っているではありませんか。
 それでいて、「こんなことを実現しました」、「あれも実現しました」、そして、「次はこれをやります」、どうしてこんなことを無責任に言えるのでしょうか。

 

役場を明るい雰囲気に変え、ムダをはぶき、村民の叡智を結集すれば、25億円規模でも村はやっていけると、私は考えます

 森川さんは、「予算は30億円前後で」と言っています。でも、令和3年度には「栄村震災復興特別基金」がほとんど無くなる(R2年度は約1億7千万円)のですから、「30億円前後」の財源は確保できません。仮に公債発行で「財源を確保」とすれば、村の借金が増えるばかりです。
 森川さんは、30億前後にしないと、福祉、スキー場、デマンド交通などが「今まで通りには出来ない」と言っています。本当でしょうか? 福祉、とくにいわゆる「総合事業」(デーサービスなど)のあり方について、厚労省のガイドラインなどを研究してみました。その結果、もっと少ない経費で、より利用しやすい・村の活力を使えるサービスが可能となることがわかってきています。
 また、スキー場も、もっと効率的な経営・運営方法があります。
 デマンド交通については、さまざまな継ぎ足しによって複雑で費用がかさむものになっている現状を、一度、じっくり見直す必要があるでしょう。

 役場職員が変な気遣いをせずに済む役場となれば、そして、村民がもっと自由に参加できる行政に変われば、村の底力が湧き出てきて、財政の危機をのりこえていくことができると思います。
 まずは、役場の雰囲気から変えていくことが大事だと思います。

 

(農業、地方自治法に関する質疑は次号にて)