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栄村復興への歩み
2011年3月に震度6強の地震で被災した長野県栄村で暮らす松尾真のレポートを更新しています。

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栄村復興への歩みNo.376(2月2日付)

 

千曲川緊急治水対策プロジェクト、栄村の治水対策を読みとり、考える
 2月1日、信濃毎日新聞で台風19号災害をうけての「緊急治水対策プロジェクト」について予算規模、対策工事実施箇所等が報道されました。お読みになった方も多いと思います。
 信毎はかなり紙面を割いて詳しく報道してくれていますが、記事を読んでも栄村域内の千曲川の対策はほとんどわかりません。1頁冒頭の図をご覧ください。
 これは国交省北陸地方整備局が1月31日に発表した「緊急プロジェクト最終とりまとめ」の中にある対策工事等の「位置図」から栄村に関係する部分を切り抜いたものです。図の中の印の意味はつぎのとおりです。

 

 

 

 この図(と関連文書)から、栄村での対策は、箕作・月岡地区での堤防整備*、大巻川・天代川・北野川・志久見川での災害復旧工事、中津川(屋敷)での災害復旧工事、中津川での砂防堰堤工事であることがわかります。箕作・月岡での堤防整備はH27年度策定の河川整備計画にある堤防整備計画の実施であり、その計画からのさらなる延長や嵩上げは入っていないと見られます。
    *なお、図では箕作・月岡の堤防整備箇所のすぐそばに

     「×」印が入っていますが、これが示す災害復旧工事が

     何であるのかは、この原稿を書いている段階では未判明

     です。すでに国の査定が済んでいる平滝の農地・農道崩

     落箇所での護岸工事を指している可能性があると思いま

     す。


● 災害対策と地域メディアの重要性
 「信毎を詳しく読んでも栄村域内での対策の内容が分からない」というのは、信毎の責任だとは私は思いません。信毎は長野県全域を対象とする新聞ですから、紙面にも限りがあって、今回のような場合、栄村域内の対策内容までは掲載できなくてもやむをえないからです。
 そこで重要になるのがもっと狭い地域範囲を対象とする地域メディア、ミニコミです。栄村で地域紙といえば妻有新聞が思い浮かびます。でも、妻有新聞でも、本紙今号の1頁の図などを掲載することが難しいことはありえるかと思います。やはり栄村には栄村の地域メディアが必要になってきます。私は9年前の震災以降、そういう思いもあって本紙「栄村復興への歩み」を発行し続けてきました。役割を充分に果たせているとは言えないと思っていますが…。

 私はじつはスマホを使っていません。ガラケイのままです。それなりの理由があってのことです。私がfacebookやtwitterに発信する場合はパソコンからのものです。ただ、これからの災害を考えると、スマホを駆使しての地域メディアの情報発信も必須かなと思います。ただ、今から私がその役割を果たすことには躊躇があります。若い世代の人がそういうことにチャレンジしてくれるといいなあと思っています。どなたか手を挙げていただけないでしょうか。
 こんなことを言うのは、台風19号災害を振り返る中で、ある問題提起を目にしたからです。その問題提起の趣旨を簡潔にまとめると、「災害時、テレビやラジオでは視聴者が暮らす地域の緊急情報が充分に伝わらず、逃げ遅れなどの問題が生ずる」ということです。「緊急治水対策プロジェクト」でも「逃げ遅れ」をなくすために情報発信・伝達をどう改善するかが重要課題の1つとして取り上げられています。なかなか難しい問題ですが、真剣に検討する必要があります。

 

● 台風19号での栄村での災害・被害の状況を詳しく検証し、住民全員共有の認識にすることが大切
 村民のみなさんは、台風19号の際、千曲川の水位が百合居橋付近でどのように上昇していったのかをご存じでしょうか。百合居地区の人も含めて、詳しくはご存じない方が多いのではないでしょうか。
 次の数字をご覧ください。

 

  日付   時刻   水位(cm)
  12日  23:00   320
  13日   0:00          360

                   0:30          375

                   1:00          400

                   1:30          420

                   2:00          450

                   2:30          480

                   3:00          500

                   3:30          550

                   4:00          610

                   4:30          660

                   5:00          700

                   5:30          750

                   6:00          800

 

 これは百合居の排水門のところにある水位計で10月12日夜から13日朝にかけて1時間毎ないし30分毎の水位の変化を記録したものです。月岡の関係者がメモされていたものを教えていただき表にしました。
 午前3時以降、30分間で水位が50センチ上がっていることがわかります。12日午後11時〜午前3時の間よりもいっきに水位上昇のテンポが速くなっています。
 この水位観測データを基に、箕作の人たちは浸水が予想される倉庫から農機具等を移動・避難させること、月岡の人たちは暗闇の中での避難行動を避け、夜明け近い時間帯での避難行動を選択することが可能となりました。
 これは現場で警戒にあたっていた消防団の、長年の経験をふまえた沈着冷静な判断が導いたものだと思います。この他にも、減災のために、災害発生時前に箕作や月岡で実施されたさまざまな措置があります。
 こうしたことを記録として留め、地域の住民全員が共有するものとすることが大事です。それはまた、他の地域の人たちにも役立ちます。実際、津南町の人は「足滝では収穫したばかりのお米や農機具がダメになってしまったのに、栄村の箕作・月岡ではなぜ農機具などの被害を防げたのですか」と尋ねてこられています。記録集をお見せし、「こういう行動をするといいんだよ」とアドバイスできるようになると良いと思います。

 

10月13日午前6時の百合居橋付近の水位状況(写真右に百合居橋が見える)

 

● 2月13日の箕作公民館での話し合いに注目
 県北信建設事務所職員を招いて、箕作・月岡での堤防改修についての話し合いが2月13日(午後6時半)に開催されます。元々は地区住民を対象とするものですが、村議会議員にも案内されています。
 これは「説明会」ではありません。「話し合い」です。
 建設事務所から「緊急プロジェクト」等についてしっかり聞くと同時に、地元側が台風19号の被害の実相と地元がとった避難行動・減災対策等をしっかり説明することが大事だと思います。それによって国・県にとってもらわなければならない対策(堤防の延長、内水排水、大巻の農地の洪水流入防止対策等)を浮き彫りにして、建設事務所の理解を得られるようにしていくということです。2年前にも話し合いの機会があったようですが、建設事務所は「災害時、いっぱい写真を撮っておいてください」と言っていたようです。大巻の田んぼ・畑への洪水の流入の様子など、リアルに伝えることはとりわけ重要だと思います。
 2月13日の話し合いに注目したいと思います。

 


大巻地区の田畑への洪水の流入。赤ラインの左は、平時はすべて田畑。