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栄村復興への歩み
2011年3月に震度6強の地震で被災した長野県栄村で暮らす松尾真のレポートを更新しています。

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千曲川の災害、国交省はどう対応しているのか

 抒情的な話題から一転して、厳しい現実に話題を転じます。千曲川の災害の話です。

 

● 信毎1月12日記事の衝撃
 本紙No.374(1月11日付)を発行した後、12日付の信濃毎日新聞に紙面2頁ぶち抜きの「流域見直し 大河と向き合う」という特集記事が掲載されました。紙面全体を使った大きな地図に《主な被害》が書き込まれています。

 


 ここには栄村百合居地区での氾濫・越水・浸水は書き込まれていません。私は危機感を抱き、「声を大にしないと、栄村の災害の事実が消されてしまう!」というチラシを主に月岡・箕作地区でNo.374と共に配布しました。村全体へのお知らせは今号が初めてとなります。
 じつは11月下旬だったと思いますが、やはり信毎で千曲川流域の被害一覧の地図から「月岡」が消えていました。10月中旬の地図でははっきり「月岡 越水」が書き込まれていたのですが。

 

● 国交省の「令和元年台風第19号等による被害状況等について(第52報)」
 その後、さらにweb検索で「令和元年台風第19号等による被害状況について(第52報)」という国交省の1月10日付の文書を見つけました。A4判で143頁もあるものです。(下写真)

 


 百合居地区での千曲川の氾濫・越水・浸水、たしかにこの国交省文書には書き込まれています。下に国交省の文書の中の該当箇所を示します。

 


 この表の各項目の意味はつぎの写真を見てください。

 

 

 栄村での千曲川に関わる被害は「浸水家屋」が床上2戸、床下2戸で、その浸水の原因は「越水」であること、「田畑等浸水」は空欄のまま、そして「被害状況」としては「浸水解消」となっています。栄村欄の上欄や下欄にある東御市や佐久市の被害箇所では「田畑等浸水面積」の項が「調査中」となっているもの、「被害状況」の欄に「緊急復旧中」と記載されているものがあります。
 とにかく、「田畑等浸水」の記録がないこと、「応急復旧中」の記載もないこと、まったく納得がいきません。
 そして、千曲川の水位がかつてなく上昇し、大巻の田畑が完全に川の一部と化して、大量の土砂等が流入したこと(県(国)はその復旧工事の必要性を認め、予算措置をしたのだが)、さらに平滝の明石大橋(建設中)のすぐ下流の左岸で千曲川の増水で田んぼと農道が崩落したこと(これも田と農道の復旧経費は予算化された)、こういう被害状況が国交省の被害データにまったく反映されていません。これも納得し難いことです。

 

● この事実は今後にどのような悪影響をもたらすか
 このような状況では、第1に、百合居での今回の越水が、既存の千曲川整備基本計画にある堤防計画の見直し(嵩上げ・延長等)につながらない可能性が大ということになります。別の言い方をすれば、前号で紹介した「緊急治水対策プロジェクト」の対象にならないということです。
 第2に、大巻の田畑の増水による水没は治水対策の検討対象にすら上がらない可能性が大だということ。

 

大巻の田畑が完全に水没し、千曲川の濁流は住家のすぐそばで渦巻いている。10月13日午前9時16分撮影。これが「被害」として認知されていないとは、一体、どういうことなのか?!


 第3は、平滝の田・農道の崩落箇所について、台風19号レベルの水害に耐えうる護岸工事はなされない可能性が高いということです。

 

● 問われているのは栄村行政の力、もう1つは住民力
 村行政はこういう状況をきちんと認識し、危機感を抱いているのでしょうか。台風19号災害以降の議会や議会全員協議会での村長の発言・答弁を聞くかぎりでは、そういう危機感は私には感じられません。森川氏はよく「国との太いパイプ」ということを口にしますが、昵懇の関係にある国会議員がいるかどうかという問題ではありません。国の関係役所にきちんと被害データを示し、対策措置の必要性をしっかり訴えていけば、それは必ず通じるものです。私は戯言(たわごと)を言っているのではありません。震災等の際の自分自身の経験に基づいて言っています。また、これは首長の政治的行政的指導力の問題であって、断じて「役場担当職員の責任」という次元の問題ではありません。首長の災害に対する感受性、村民への思い、そして政治的判断力・行動力が問われているのです。
 もう1つの問題は住民自身がどのように声を出すのかということです。前号でも「国(県)待ちではダメ」と書きましたが、住民自身が国や県に直接訴えていくのでないと、栄村の千曲川の対策は進みません。長年にわたって住民が主体となって堤防強化等に取り組み、要望を実現してきたお隣の桑名川に学ぶことが必要だと思います。是非、頑張りましょう。