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栄村復興への歩み
2011年3月に震度6強の地震で被災した長野県栄村で暮らす松尾真のレポートを更新しています。

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栄村復興への歩みNo.374(1月11日付)

1月10日午前10時すぎ、月岡集落から。9日夜〜10日朝の降雪、平地部ではほとんど見られなかったですが、山の上はそれなりに降ったようで、陽がさしてくると同時に樹々に新雪がのった姿がきれいでした。

 

 栄村での千曲川治水対策への取組が急務です
 台風19号で栄村でも千曲川が氾濫し、大きな被害を出したことは周知のとおりですが、千曲川治水対策についての村内での議論が弱いなと感じます。国・県の対策検討の現状のレポートも含めながら、議論と取組を呼びかけたいと思います。

 

● 「県待ち」(「国待ち」)ではなく、住民から動き出そう
 越水・浸水の被害をうけて月岡・箕作集落などが被害直後から役場に対策を要望しています。大巻の水没した田んぼの被害復旧予算はすでに決まりましたが、越水等の災害をどう防ぐかをめぐっては、村の基本姿勢は「県の方針待ち」と言わざるをえない状況だと思います。
 たしかに栄村を流れる千曲川の管理者は長野県ですので、「県の方針待ち」というのにはそれなりの合理性があるとも言えます。
しかし、この点から考え直す必要があると思います。
 千曲川を管理する主人公は誰でしょうか。県でしょうか、国でしょうか、それとも村でしょうか。いえ、そのいずれでもなく、流域で暮らす住民だと思います。もちろん、住民は日々、千曲川の管理業務に専念できるわけでなく、また専門知識も十分ではありません。そこで、県や国、その河川管理部署が登場するわけです。彼らは専門知識や権限を有していいます。しかし、栄村を流れる千曲川の様子を日常的に見聞しているわけではありません。台風19号の災害も彼らは事後的にデータなどで知るのであって、氾濫し被害を引き起こしている状況をリアルタイムで見ているわけではありません。現場を最もよくリアルに知っているのは流域住民なのです。
 以上は当たり前のことを書いただけなのですが、驚きをもって受け取られる人もおられるかと思います。だからこそ、この点を明確にして、“住民自ら動き出そう”ということを地域の合意にしていくことが大事だと思います。
 私は、月岡集落の住民であり、元消防団長で千曲川災害対応の経験が豊かな保坂良徳さんから台風19号時の百合居での千曲川氾濫等の災害状況について詳しくお話いただき、先日、それをA4判12頁のレポートとして編集しました。「住民自ら動き出す」ことに役立ちたいという思いからです。(ご希望の人にはお分けします)

 

● 気候変動は深刻。今年の梅雨期、夏秋の台風期に備える対策を早急に
 今冬は雪が少ないですね。栄村だけでなく、全国の雪国地帯のほとんどが同様の傾向。直接には寒波が弱いことが原因ですが、一つの異常気象といってよいのではないでしょうか。やはり気候変動(温暖化)との関係が心配されます。
 気候変動を考えれば、今年の梅雨期、夏秋の台風期に大きな災害が発生する危険は高くなっていると言わざるをえません。そして、時はあっという間に過ぎ、すぐに梅雨、台風の季節がやって来ます。台風19号被害の復旧だけでなく、千曲川の台風19号クラスの災害に対する備えを早急に進めることが必要です。

 

● 「治水緊急対策プロジェクト」の動き
 昨年末、12月27日付の信濃毎日新聞2面に「千曲川流域治水対策プロジェクト 国・県・市町村会議 中間まとめ」というタイトルの記事が出ました。記事本文が読める大きさで写真を掲載しますので、新聞で読まなかった方はご一読ください。

 


 この国・県・市町村の会議は11月29日に開催され、その後は国交省北陸地方整備局主導で緊急対策案が練られ、12月26日に中間まとめが発表された次第です。記事では千曲川流域のことのみが報道されていますが、北陸地方整備局では新潟県においても同様の国・県・市町村緊急対策プロジェクトを進めていて、やはり12月26日に「信濃川水系(中流)」の治水緊急対策プロジェクト中間まとめを発表しています。対策の具体的箇所については1月中にも示されるとも報道されています。
 さらに、信毎1月11日の報道では、北陸地方整備局は2014年に決定した信濃川(千曲川)水系河川整備計画そのものを2020年度中に変更する方針を表明しています(次頁写真参照)。
 このような国レベルでの千曲川治水対策について、いま、栄村の住民は信毎の報道だけが頼りという状況にあります。村役場からはほとんど情報が出てきません。北陸地方整備局や県建設部河川課などのHPを閲覧すると、新聞報道よりも詳しい情報が入手できますが、アクセスしている村民は数少ないと思われます。
 いま、私たちにとって最も大事なことは、このような情報を入手し、国や県の対策決定に間に合うテンポで地元の声を国や県に届けることです。もちろん役場とも話し合うことが必要ですが、役場の体制(村幹部の姿勢、人員配置状況等)を考えれば、国・県との直接対話を試みることが是非とも必要だと思います。

 


● 「中抜け」問題への対応
 千曲川については、いまひとつ重要な問題があります。いわゆる「中抜け」問題で、湯滝橋から栄村、さらに県境を超えて津南町まで河川管理者が国(国交大臣)ではなく、県管理となっていることです。こうした区間は「指定管理区間」と呼ばれます。
 地元は長年にわたって「大臣直轄管理への変更」を要望していますが、国からの対応はありません。指定管理区間=県管理と大臣直轄管理とでは河川改修等への予算配分も異なり、「中抜け」は栄村等の台風19号被害対策、さらに今後予想される災害に対する予防対策の実施にとって大きな障害となっています。私たちはいまこそ声を大にして「大臣直轄管理化」を求めていくことが必要です。
 と同時に、当面する「戦術的判断」という観点から考えると、先に紹介した「治水緊急対策プロジェクト」への栄村ゾーンでの対策の盛り込みに全力をあげることを優先すべきではないかと考えます。というのも、台風19号は国から激甚災害とともに非常災害というものに指定されました。非常災害に指定されると、本来は県や村が行う工事を国が権限代行で行うことが可能になります。現に、野沢温泉村七ケ巻地先の千曲川護岸崩壊地点は国の権限代行による応急復旧工事が11月に実施され(下写真)、今後、本格改良復旧工事も予定されています。この七ケ巻の工事に際して北陸地方整備局では栄村ゾーンについても関心を示していたという情報もあります。

 

 

● 箕作・月岡、さらに森・平滝の築堤・護岸等について「緊急プロジェクト」「流域委員会」にどんどん働きかけ ていこう
 以上に述べてきたことから、私は被害を受けている箕作・月岡、さらに森・平滝の住民が自ら直接に「緊急プロジェクト」や「流域委員会」に働きかけることを提案したいと思います。
 「国→県→村→住民」という国を最上位とする上下関係があるわけではありません。国と住民は直接に話し合ってよい対等な関係にあります。県とも同様です。現に「緊急プロジェクト」では「中間まとめ」の発表に際して、「問い合わせ先」(事務局の責任者、代表電話番号)を公表しています。
 大事なことは地元で区の役員や有志が頻繁に会合し、地元の意思・要望をまとめていくことです。いまこそ、栄村の住民の底力を発揮していこうではありませんか。