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栄村復興への歩み
2011年3月に震度6強の地震で被災した長野県栄村で暮らす松尾真のレポートを更新しています。

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栄村復興への歩みNo.371(12月1日付)

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  • 2019.12.24 Tuesday

 

からむし織の里を訪ねてきました
 議員視察研修の一環なのですが、11月29日、福島県昭和村の「道の駅からむし織の里しょうわからむし工芸博物館」を訪ねてきました。上の写真は、そこで入手した昭和村の観光パンフレットの中の見開き2頁をスキャン*したものです(そのため、写真真ん中に頁の折り目が入っています)。
   *「スキャンする」とは、原稿を光学的に読み取り、電子データ化する

    こと。印刷された写真を加工できるデータにすることができます。
 そのパンフレット(全18頁)、帰りのバスの中でじっくり読んだのですが、一般に見られる「観光パンフ」とは一味も二味も異なる、類(たぐい)稀(まれ)な優れもの。一言でいえば、からむし織をはじめとする昭和村の豊かな自然と暮らしの営みにスーッと惹き込まれていくのです。そういう訳で、今号の冒頭にスキャンした写真を掲載させていただきました。


● 最寄りJR駅からバスで35分、人口約1300人の山奥の村
 今年の研修のメインは福島県猪苗代町の見祢(みね)集落というところの中山間直接支払への先進的取組を学ぶことだったのですが、「せっかく福島まで行くので、もう1ヶ所」ということで選んだのが昭和村です。以前、何かで「からむし織の織姫体験をやっている村」ということを知り、興味を抱いていたところです。
 私たちは森宮交通のバスで行ったのですが、常磐道の会津坂下(ばんげ)インターから国道252号線を進み、戦後高成長の電力源として開発されたダム湖のそばを走って会津川口というところへ(インターから35辧法そこで国道400号線に入るのですが、「えっ、こんな狭い道に入っていくの?」という感じです。そして20kmを走って昭和村に入りました。

 


 昭和村は周囲を山に囲まれていますが、比較的平地が多いと感じました。野尻川という川に沿って平地がひらけています。
 役場ホームページによれば、平成27年3月1日現在の人口が1,375人ですが、「平成32年予測人口」は1,056人とされています。「一番多い年齢層は、男性75〜84歳、女性80〜84歳」とも記されています。人口的には栄村よりも少なく、より高齢化が進んでいるようです。でも、「12歳以下の子供たちは70人」で栄村とあまり変わりません。総人口の割に子供が多くいるのには、今回紹介する「からむし織の織姫体験」が関係しているように思います。

 

● 11ヶ月間のからむし織体験「織姫・彦星」、希望者はさらに3年間の研修、そして24年間で113名 が体験、うち31名が昭和村に定住
 からむしとは、苧麻(ちょま)とも呼ばれ、イラクサ科の多年草です。栄村でも山に普通に自生しています。昭和村は昔からイラクサが栽培され、越後上布や小千谷縮の原料として出荷されてきました。
 昭和村自体でもからむし織が行われてきましたが、昔は越後への原材料出荷が主。そんな中、からむしを村のアイデンティティとして位置づけ、村の活気を取り戻そうとする努力の中心事業として1994年(平成6年)に始められたのが「からむし織体験生『織姫・彦星』事業(通称・織姫事業)」です。
 村外の若い人に村の暮らしを体験しながら、からむしの栽培から機織りまでの一連の工程を学んでもらうというものです。宿舎は村が合宿所を提供し、体験生は食費などの生活実費のみを負担します。雪が消える5月から翌年3月までの11ヶ月間です。
 体験生が希望する場合は、さらに3年間、研修生として昭和村でからむし織のマスターを中心に暮らすことができます。研修生には村から手当も出ます。私が今回参照した記事は2年前の1917年に書かれていますが、体験生事業開始以来24年間で113名が体験生としてやって来て、うち31名が昭和村で家庭を築いたり、職を得たりして暮らし続けているそうです。村のホームページでは1期生の舟木容子さんという方が紹介されていますが、現在は道の駅「からむし織の里しょうわ」の駅長さんを務めておられます。(29日の昼はその道の駅にある郷土食伝承館『苧(ちょ)麻(ま)庵(あん)』で伝統食料理「苧麻膳」をいただきました。)

 

からむし織の里フェアでの着物ショー(昭和村観光協会HPより)

毎年7月に開催。からむし織の着物をモデルさんが着用するショー

 

●学ぶべきは、丁寧な村づくりの追求だと思います
 私は昭和村のことを学び始めたばかりですが、パンフレットやWeb上の記事、また29日に訪れたからむし工芸博物館の学芸員さんの説明、昼食をいただいた『苧麻庵』のスタッフの対応などから、“いまどきの流行り”を追っかけるのではなく、村の歴史・暮らしを大事にする、とても丁寧な村づくりを追求されていると感じました。
 栄村でも平成の大合併に抗して、そういう丁寧な村づくりが追求されてきたと思いますが、大震災以降、復興事業等で大きな財政資金が入ってくる中、丁寧な村づくりが疎(おろそ)かになっているように思います。昭和村の取組を学びながら、栄村の村づくりの原点をもう一度捉え直し、栄村らしい村づくりを追求し直すべき時を迎えているように思います。