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栄村復興への歩み
2011年3月に震度6強の地震で被災した長野県栄村で暮らす松尾真のレポートを更新しています。

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中条川の現在の様子

 8年前の地震・山腹崩壊による土石流、さらに6年前の台風で第2次土石流が発生した中条川では、いま現在も治山治水対策工事が行われています。
 今回の台風19号、中条川では大きな問題は起こりませんでしたが、一度大きな災害が起きると、その対策に5年も10年もの年月を要するのだということをみなさんに知っていただけるよう、現在の状況を報告したいと思います。

 

● 現在の工事状況

 

 

 上の写真はトマトの国の近くで中条川の上流方向を撮影したものです(11月27日撮影)。
 写真右側に土を積み上げた高い堤が見えます。堤の奥の方の法面には植生シートが貼られています。
 この堤は導流堤で、土石流が発生した場合、土石流がトマトの国の方へ流れ出さないようにするものです。
 導流堤はさらに写真手前の方まで延長される予定ですが、この写真で見える場所の少し下流に床固工(とこがためこう)の堰堤をもう1基今冬から来年にかけて建設するため、写真右手前に見えるように工事車両の進入路が開けられています。導流堤の延長・完成は来年度になります。
 これらの工事の他に、今年は上流の1号崩壊地で法面工事が行われています。下写真ですが、これは11月10日撮影で、
工事が始まって間もなくの様子です。また、1号崩壊地直下の川の中に一昨年建設された谷止工の副堤が施工される予定でしたが、来年度に繰り越しになりました。

 

 

● すでに完成した堰堤の現在の状況は深刻
 この8年間で中条川には多くの堰堤が建設されました。一般的には砂防ダムと総称されているもので、少なくとも8基あります。その現在の状況をいくつか見てみます。

 


写真イ

 

写真ロ

 


写真ハ

 

写真ニ

 

 写真イとロは国道117号線からトマトの国に向かう途中、白山神社の近くにある砂防堰堤(県建設事務所担当)の現在の様子です。イは11月14日、ロは27日の撮影。台風19号等で出た土砂で一杯になりましたが、11月下旬、千曲川七ケ巻地先の護岸応急復旧工事に使用する土砂として掘削・搬出されたため、一定の流路が確保されています。
 写真ハは昨年度完成した1号崩壊地直下の谷止工を上流(1号崩壊地)側から撮影したものです。写真ニの青色の〇で囲んだところにあります。1号崩壊地では写真ハの手前左手に見えるように礫や土砂が落ちてくる状況がありますので、この谷止工の意義は非常に大きいと私は考えてきました。しかし、台風19号の後の11月10日に現状を見て、ショックを受けました。台風19号等の土砂が溜まっていて、土石流が発生した場合にその勢いを抑える能力がかなり大きく削がれているのではないかと思われるからです。

 

 

 

 上の写真は4頁で紹介した導流堤建設場所の近くです。既設の堰堤の裏側に重機やダンプが見えます。堰堤の裏側=ポケットに溜まった土砂を掘削・搬出している様子です。このような堰堤ポケット部に溜まった土砂の掘削・搬出が行われるのはあまり一般的ではありません。この箇所の場合、H30年度予算で施工された床固工(実際の施工は30〜31年度に実施)の予算に少し余剰が発生したことと近くに土砂利用場所があること(写真ハの谷止工の副堤の建設に使用)から、こういう掘削・搬出が可能になったようです。写真ハの谷止工の裏側の溜まった土砂も撤去・搬出してもらえると有難いのですが、写真ニに見られる1号崩壊地直下の中条川上流の渓流部に入る必要があるため、なかなか難しいと思われます。
 台風19号の災害対策として各地で、砂防ダムの建設がすでに打ち出されていますが、砂防ダムが土砂を止める能力は2〜3回の大規模水害で失われてしまい、さらには水害被害をひどくする場合すらあることを忘れてはならないと思います。

 

● 1号崩壊地右岸の状況

 

 

 上の写真は1号崩壊地の中を流れる中条川の右岸の様子です。8年前の山腹崩壊の後、崩壊堆積土砂を均(なら)したところが、ここ数年、大雨のたびに崩れてきています。さらに大きく崩れ、土石流の原因となる可能性があります。
 しかし、|枠廚不安定で土砂撤去工事が困難であること、国費での中条川の治山治水事業が本年度で終了であることから、この1号崩壊地右岸の対策の見通しはありません。

 

 久しぶりに、少ししつこいくらいに中条川のことを書きました。治山治水という事業がいかに大変なことかを少しでも理解していただければと思います。また、砂防ダムを中心に据えた手法だけでは本当の治山治水とはならないことも理解していただけると幸いです。
 震災から今日まで、中条川の土石流対策は国費で直接には県の責任で進められてきました。村行政は、率直に言えば、それを横から見ているだけで、中条川問題を主体的に考えることなく過ごしてきたと言わざるをえません。しかし、来年度からは村が声を上げないかぎり、国(県)が面倒を見てくれることはありません。中条川から水を得ている森集落の人たち、大雨が予測される場合は避難しなければならない中条地区の人たちは中条川の現状に関心をもたざるをえませんが、他地区の村民のみなさんも是非、中条川の問題に関心を深めてください。そのことがそれぞれの地区が抱える水害や土砂災害への対策の強化につながると思います。