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栄村復興への歩み
2011年3月に震度6強の地震で被災した長野県栄村で暮らす松尾真のレポートを更新しています。

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栄村復興への歩みNo.370

写真は七ケ巻(野沢温泉村)の旧渡し舟乗り場付近(記事は4頁)


◇  次々と出てくる難しい課題、どう取り組むか
 台風19号の災害が加速している面がありますが、いま、村ではさまざまな課題が次々と浮上してきています。いずれも、かなり打開が難しいものです。
 でも、打開しないと、村の暮らしが成り立たなくなる性質の問題です。今回はそのうちの2つの課題について考えてみます。

 

● 農協栄出張所の縮小・移転をめぐる問題
 1つは、百合居にある農協の栄出張所の建物を閉鎖し、役場内に縮小移転するという話が台風19号災害を契機として「来年度にも」という話になってきているという問題です。
 この話は、もともとはJAながのが支所・出張所の整理統合を進める方針として浮上してきました。「令和4年度に百合居の出張所建物を閉鎖し、役場内に部屋を借りて職員4名程度の出張所にする」という話でした。「千曲川の箕作〜月岡間の堤防嵩上げに伴い用地買収の対象になっている」ことが閉鎖の理由だと理解されている方もおられるかもしれませんが、そもそもは日本銀行のマイナス金利政策で苦しくなった農協経営(とくに金融部門)の合理化策として農協が考えたものです。各支所・出張所の預金額を基準として整理統合するという考えです。栄出張所の場合、預金額だけを基準とすると「出張所廃止」となるのですが、農協にはもう1つ、「各行政区に1つの支所ないし出張所を置く」という原則があることから栄出張所そのものは存続させる、しかし、規模縮小ということになったものです。

 

写真左手が栄出張所、右手はアグリサポート栄


 今回、台風19号で百合居の農協栄出張所も床上浸水の被害をうけました。
 栄出張所の隣のお店(農協の施設を借りて、地元の人が運営)は浸水で冷蔵庫などが使えなくなり、新しい冷蔵庫を購入する資金確保が難しい等の問題があり、11月下旬をもって地元の人たちから惜しまれながら、「閉店やむなし」となりました。
 と同時に、台風19号以降、被災のため休業になっている出張所そのものについても、地元地域では、「このまま閉鎖されるのでは」という不安が一気に広がりました。
 そこで、私は農協野沢温泉支所の運営委員という役を仰せつかっているので、11月18日、栄出張所長さんをお訪ねし、地元の不安の声を伝え、農協の方針を聞いてきました。
 「『また水害が発生したら…』という不安があり、役場内への移転を急ぎたい」というのが返答でした。「役場内にスペースを借りたい」という話自体、まだ正式には栄村役場に申し出ていないそうですので、「今日、明日にも移転」という話ではありませんが、事態が「百合居から撤収」という方向で動いていることは間違いないと言えます。(なお、営農関係の「アグリサポート栄」の施設・営業は存続します。)

 この問題、地元地域の人たちにとっては、「年金が入っても引き下ろしができない」という切実な問題等があり、西部地区の拠点施設がなくなるという深刻な問題です。

 

● 中山間直接支払、第5期には「集落戦略」の作成が必要という課題
 10月24日、役場で中山間地域等直接支払制度の第5期(来年度から5年間)に関する説明会が開かれました。
 参加者の話では、「説明会」とは言っても、ただ県から下りてきた文書の読み合わせが行われただけで、村の考え・方針のようなものは出なかったとのことです。
 各集落協定から出席された人たちが一番心配になったのは、「交付金10割交付には『集落戦略』(10〜15年後の集落の姿を描くもの)が必要」ということです。私は本紙で、第4期の最終評価をめぐる国の委員会での議論を紹介しながら、「第5期では『集落戦略』が求められる」と紹介してきました。ですから、10月24日の説明会が初耳ではないという人もおられたと思いますが、役場からそういう説明をされると、やはり「これは大変だ」となります。「いま、協定に参加している人で『10年後もオレは田んぼやっている』と言える人は少ないのに、どうやって『10年後の集落の姿』なんて書けるんだい?」と言う人もいます。
 第5期は来年4月スタート、どんなに遅くても来年夏頃までには「集落戦略」を作成しなければならないことになるでしょう。
これもまた、地域にとってとても難しい課題の浮上です。

 

● 地域のイニシアティブが鍵となる
 いずれの問題も、村(役場)がきっちりした方針・対策を打ち出すことが求められるものです。ただ、率直に言って、現在の村政にそれだけのものを期待できないというのも、多くの村民の思いだと言えます。
 大事なのは地域のイニシアティブ(開始・先制・率先・先導などの意味)だと、私は考えます。
村(役場)には当然のことながらしっかりした対応をとってもらわなければならないのですが、住民が「役場にお願いする」という域を超えて、「自分たちはこうしたいと思う。役場は自分たちの考え・プランに賛同して、さまざまな支援をしてくれ」というふうに話を先導・主導していくことが大事だと思うのです。
 住民がこういうイニシアティブを発揮するうえで、集落単位では難しいと思います。村の地区の姿を考えると、水内、西部、東部(又は旧志久見校区と旧北野校区の2つ)、秋山の4〜5つの地区単位で考えるのが適切ではないでしょうか。
 実際、中山間直接支払の第4期ですでに集落戦略の作成を進めた地域は、旧小学校区や旧町村を基本単位とする広域連携の集落協定を結んでいます。国の「第4期最終評価」によれば、集落戦略を作成した協定は2,812で全国全協定の11%ですが、協定面積は全国全協定面積の48%にのぼっています。つまり、広域化を実現している集落協定だということです。そして、そういう広域の集落協定では、農地の維持管理・耕作だけでなく、農協店舗閉鎖後、その施設を活用して住民運営の店舗を開設する、高齢者宅の雪下ろしサービスに取り組むなど、集落運営そのものに取り組むようになっています。そして、そういうことは中山間地域の「農村協働力(集落機能)の向上」と呼ばれ、第5期の目指す方向性とされています。

 

 「平成の大合併」の時代、「小さくても輝く自律の村」をめざして合併しなかった栄村。自律宣言から早や4半世紀(25年)、本当の自律がいま問われているのだと思います。


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