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栄村復興への歩み
2011年3月に震度6強の地震で被災した長野県栄村で暮らす松尾真のレポートを更新しています。

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栄村復興への歩みNo.366

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  • 2019.11.14 Thursday

 これは9月16日に発行したレポートです。

 

 

 

 「復興への歩み」のお届けがしばらく滞っていました。申し訳ありません。この間のことを少しご報告します。
 8月8日〜10日、飯山高校が出場した甲子園に自車で行ってきました。帰村後、その報告を含むNo.365を発行しました。しかし、限られた地域にしか配達できませんでした。
 8月中旬以降、|羯慨崢樟椹拱Ю度の調査・研究、観光商品の企画づくりへの協力、現地調査での遠出ドライブ(何回も)に時間を費やしていました。そして、9月が近づくと、9月定例議会のための議案の精査等に没頭。体調は悪くありません。8月末に熱中症の症状の1つに陥った日がありましたが、薬を処方していただき、すぐに回復しました。
 今回、No.366と共に、中山間直接支払制度の事例研究(12頁)をお届けします。また、No.365未配達地域では、1ヶ月以上の遅れになりますが、No.365もお届けします。よろしくお願いします。
(冒頭の写真は5頁以降の記事で説明します)

 

 

国が第5期を始動、私たちはどう取り組むべきか
  〜中山間直接支払制度について〜

 

◇ 農水省が第5期の予算を概算要求、第4期の最終評価も発表
 国の来年度予算編成が始まっていますが、農水省は8月下旬、財務省に概算要求を提出、その中に含まれる中山間地域等直接支払制度第5期1年目(R2年度)の概算要求の内容を8月30日に公表しました。同時に中山間直接支払制度第4期の最終評価も全文公開しました。

 

● 「体制整備単価要件を『集落戦略の作成』に一本化」が最大の特徴
 概算要求は、「第5期対策(令和2〜6年度)を実施します」と明記し、1年目の予算として263億4千万円を要求しています(対前年4億5千万円増)。
 交付単価は、「基礎単価8割、体制整備単価2割」という点は変わりませんが、「体制整備単価」の要件が第4期のものから新しいものに変わります
 第4期では、「農業生産性の向上(A要件)、女性・若者等の参画を得た取組(B要件)、集団的かつ持続可能な体制整備(C要件)」の中から、各集落協定が1つを選択することになっていましたが、第5期ではこれが「集落戦略の作成」に一本化されます。
 「集落戦略」というものがどんなものなのか。詳しいことはまだ発表されていませんが、概算要求の中には「6〜10年後を見据えた集落の将来像の明確化」と記されています。「6〜10年後」とは直接支払制度の第6期期間(令和7〜11年)まで見通して自分たちの集落の将来像を描くように求めているということです。
 「いやー、大変なことになったな。6〜10年後のことなんて、オラ、分かんねえぜ」と思われる人も多いのではないかと思います。いや、もっと厳しく、「そんなものを出せなんて、無理だぜ。力のない集落の切り捨てじゃないのか」とすら感じる人もおられるかもしれません。

 

● 高齢化、担い手減少が進む地域の実状への認識を深めた制度設計が見られます
 私も「集落戦略の作成に一本化」というのを見て、最初は「大変だなあ」と思いました。
 でも、同時に発表された第4期の最終評価も読むことで、その不安は和らぎました。高齢化の更なる進展、担い手の減少、直接支払制度が求める事務量の煩雑(はんざつ)さ、そして期間途中で耕作できなくなった時の交付金の遡及(そきゅう)返還(その期の交付金全額の返還)への不安。こうしたことがかなり強く意識されています。そして、概算要求の中にも「農業者・市町村の事務負担の軽減」、「遡及返還措置の緩和」が謳(うた)われています。
 なお、「集落戦略」についての詳しい説明は未公表ですが、第4期で集落戦略作成を希望する協定にむけて示された「集落戦略の記載例」を示しておきます(右写真)。

 

 

◇  私たちはどう取り組めばよいのか
 農水省は地域の実状をかなり理解しているようではありますが、やはり不安は消えません。私たちは「集落戦略の作成」にどう取り組めばよいのでしょうか。

 

● 村は10月下旬に説明会を予定、村民の動きも始まる
 お隣の津南町では8月下旬に第5期についての説明会が開催されました。北信地域の他町村でも開催されているようです。
 栄村は稲刈りが終わるのを待って、10月下旬頃に説明会を開催することを決めました。9月議会で産業建設課参事が明言しました。
 他方、村民の中にも動きがあります。西部地区では、稲刈りが終わった後、直接支払制度に取り組む4つの集落協定が会合し、意見交換等を行うと聞いています。

 

● まず、自分たちが実現していることを明確にし、言葉(表現)にする。他の集落協定と意見交換する
 農水省のHPで紹介されている先進地域の事例を見ると、「進んでいるなあ。うちの村ではそんなこと、簡単にはできない」と思ってしまうことがしばしばです。
 でも、栄村でやっていることをよーく観察すると、かなり凄いことを実現しているという面があります。少し事例を挙げてみましょう。

 

 


 これは森集落の開田のいちばん標高が高いところの田んぼと作業道です。ここはあきらかに傾斜度が10/1以上だと思われます。第4期の途中から加わった加算措置「超急傾斜農地保全管理加算金」(10aあたり6,000円)の対象に十分になると思われます。
 この森開田の超急傾斜地は超急傾斜ゆえの大変さがあります。作業道の傾斜度の凄さを見てください。法面の維持も大変です。この田んぼの耕作者はそういう大変さを克服して農業生産活動を維持しているのです。村内を廻っていると、これと同様に「超急傾斜地」に該当すると思われるところが他にもあります。
 そういう超急傾斜地での農業生産活動の大変さを写真と言葉で表現し、さらに、今後の継続の見通しを語ることができれば、「集落戦略の形成」の重要な内容ができます。

 

 各集落協定を見ると、他集落に拠点を置く法人や任意団体の人が受託している田んぼがかなりあります。しかし、協定あくまでもその集落の協定にとどまっていて、集落をまたぐ広域的な取組を明示した協定は見られないように思います。広域連携は4期でも加算措置の対象とされていましたが、5期ではまさに「集落戦略」の重要な柱になることです。集落側、受託者側それぞれがよく議論し、自分たちが実現していることを「集落戦略」という視点から整理し、正しく表現していけば5期への対応がばっちり出来ると思います。

 

 また、集落内での機械の共同化はかなり進んでいます。さらに、農作業の時期の集落間での微妙なずれを活かし、集落間で農業機械を貸し借りすることも一部で行われています。これは集落間の広域連携(の端緒)です。第5期の協定にしっかり取り込んで記述すべきでしょう。

 

 「復興への歩み」ではしばしば野々海池・水路のことを取り上げてきました。野々海の水路は水内地区の大半の田んぼを支える基幹水路です。その野々海の基幹水路の普請は水内の5つの集落の共同作業として行われています。まさに第5期が重点課題としている広域連携です。このことを直接支払制度の協定にどう取り込んでいくか、真剣に検討することが望まれます。

 

 以上、いくつかの具体例を見てきましたが、栄村での取組には見るべきものが多数あると思います。しかし、「おれの集落ではこんなことに取り組んでいるぞ」という情報交換・意見交換の機会は非常に少ないのではないでしょうか。
 稲刈りが終わったら、役場の説明会を聴くだけでなく、さまざまな機会を設けて、集落内、集落間でワイワイガヤガヤ、いろんなことを話すことが大事だと思います。
 また、そういう話し合いの場に、出来れば外部の人にも参加していただいて、話し合われたことをうまく整理し、文章化することに協力してもらうと、「集落戦略の作成」や事務負担の軽減につながると思われます。
 今年の冬は忙しいけれど賑やかなものにできるといいなあと思います。

 


資源とニーズの調査、そして商品企画と広報・営業
 〜栄村の観光に求められているもの〜

 

 1頁冒頭の写真は栄村村内ではありません。写真右下の切込み写真であきらかなように、お隣・松之山(十日町市)の大巌寺高原キャンプ場です。
 久しぶりに訪れたのですが(施設そのものを訪れたのは震災以降は初めてかもしれない)、雰囲気がすっかり変わっているので驚きました。とても良くなっているのです。

 

◇  大巌寺高原の素敵な取り組み
 写真では池にカヌーのみが見えていますが、“スタンド・アップ・パドルボート”というものも用意されています。「大きめのサーフボードに立ち、パドルで水面を漕ぐウォータースポーツ」だそうです。
 希望館という宿泊もできる施設(この施設自体は以前からあるもの)を訪ねてパンフレットをいただきました。A4判1枚両面刷のものですが、内容はしっかりしていて、素敵なものです(下写真がパンフレットのオモテ面)。

 


 私はこの大巌寺から野々海の深坂峠に向かうコースの紅葉がとても気に入っていて、震災の前年には東京の大手旅行社のツアーをガイドしたこともあります。大巌寺高原〜深坂峠間の林道野々海天水越線がこの何年間も通行止めになっていて、その解除を働きかけるための情報収集の一環として大巌寺キャンプ場を訪ねたのですが、林道の一部を自転車で下る「バックカントリーバイク」というアクティビティも用意されています。
 私が訪れたのは9月11日午前ですが、まだ夏休み期間中の大学生でしょうか、多くの若者の姿がありました。
 大巌寺高原では、その立地条件(=資源)を活かし、お客のニーズを調査し、素敵なプログラム(=商品企画)を用意しています。パンフレットは簡便なものですが、内容が一目でわかる優れものです。一流アウトドアブランドがプログラムを監修していることもさりげなく提示してあります(=広報・営業)。
 9月の栄村には夢灯という素敵なイベントがあります。でも、一日限りで、シーズンを通して楽しめるプログラムの提案がほとんど出来ていないと思います。ごく身近なところにある大巌寺高原のような取組に学んでいくことが必要だと強く思います。

 

◇  野々海の素晴らしい紅葉をどう活かすか
 次頁の写真2枚をご覧ください。紅葉の真っ盛りと落葉期の野々海池です。

 

 


 「復興への歩み」での紹介は初めてかもしれませんが、2016年(紅葉の盛り)と2015年(落葉期)の撮影です。
 SNSで発信してたいへん好評をいただいているものです。
 栄村ではこういう素敵な風景(=資源)の紹介が圧倒的に少ないですね。さまざまなメディア、チャンネルを活用して発信するだけで、誘客力はぐっと上がると思います。
 私はいま、今春にリスタートしたトマトの国の秋紅葉シーズンの商品企画づくりに参加させていただいています。商品づくりのために、こういう素敵な風景写真はすべて無償提供しています。

 

 野々海の紅葉風景は超一流のものだと言えます。
 しかし、「ただそこに綺麗な紅葉風景がある」というだけでは観光誘客にはなりません。
 山道に慣れないお客さまのためにはガイドサービスも用意しなければならないです。
 また、遠くからお出でくださる方には半日〜1日をたっぷりと楽しんでいただけるコースをご紹介することが必須です。
 そこで思い立ったのが「野々海の紅葉を楽しみ、日本海を見よう」という周遊コースの提案です。次頁で2枚の写真を紹介します。1枚は野々海峠から見える日本海です。もう1枚は伏野峠近くの不動滝です。栄村のお隣・藤沢集落から国道403号線で伏野峠を越え、雪だるま高原〜菖蒲高原を廻り、野々海峠に上がって野々海池〜トマトの国に至るという周遊コースを追求する中で、この滝に出会いました。紅葉期にもう一度行きたいと思っています。足で資源を調べ、懸命に商品企画を練り上げる。これがいま求められていることだと思います。

 


野々海峠近くから日本海を眺める(8月26日撮影)

 

不動滝(上越市安塚区、伏野峠から車で約5分に入口。かなりの急坂を下ります。9月12日撮影)

 


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