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栄村復興への歩み
2011年3月に震度6強の地震で被災した長野県栄村で暮らす松尾真のレポートを更新しています。

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栄村の農業と農地をどうしていくか?

 大きな問題です。
 村議会の6月定例会でも議論になりました。そこでのやりとりを1つの手がかりとして、少し問題提起をしてみたいと思います。

 

当部集落の田んぼ

久しぶりに撮影しましたが、作付されていない田の増加に衝撃を受けました。

 

● 中山間地域等直接支払制度の統計から見る
 保坂良徳さんが一般質問で、「栄村平成30年度農林業統計」を取り上げ、中山間地域等直接支払の集落協定に減少傾向が見られるのではないかと問いかけを発しました。
 たしかに集落協定数は、第1期51協定(最終年の2004年)、第2期24協定(最終年の2009年)に対して、第4期3年目の2017年は20協定なのです。参加農家数は658人→658人→361人と推移しています。第2期の開始にあたって、国から基本的に「1集落1協定」となるように協定の統合が指導されましたので、「51協定→24協定」の変化には大きな問題はないと言ってよいでしょう。「24協定→20協定」の減少には何か問題が潜んでいると受け止めるのが自然だと思われます。さらに、参加農家数の減少はあきらかに深刻な問題が生じていることを示唆しています。ちなみに第3期は参加農家429であり、「658人→429人→361人」と参加農家数の減少が急速に進んでいることはあきらかです。
 保坂さんの問いかけに対して、産業建設課参事(課長級の農林業担当責任者)は、集落協定の対象面積と交付金額がほぼ横ばいであることを指摘し、「集落協定は維持できている」という見方を示しました。


   対象面積の推移
    2004年 2,106,695
    2009年 2,103,260
    2014年 2,089,337
    2017年 2,000,995屐 2004年(第1期最終年)比、約5%の減少

 

 私は、減少傾向を指摘した保坂さんの見方の方が事態を正しく捉えていると思います。そのことをより明確に示すデータを見てみましょう。「基幹的農業従事者」の人数とその年齢構成です。

 

● 「基幹的農業従事者数」から見えてくること
 農業従事者に関する統計には、「農業就業人口」と「基幹的農業従事者」の2つがあります。農林業センサスでの定義を見てみましょう。
 「農業就業人口」は「15歳以上の農家世帯員のうち、調査期日前1年間に農業のみに従事した者又は農業と兼業の双方に従事したが、農業の従事日数が多い者をいう」と定義されています。他方、「基幹的農業従事者」とは「農業就業人口のうち、ふだんの主な状態が『仕事が主』の者をいう」とされます。
 この定義から、農業の“担い手”の実態を知るには「基幹的農業従事者」の人数、その推移を見るのが妥当だと言えます。だからこそ、「栄村平成30年度農林業統計」も「基幹的農業従事者数」を掲載しているのでしょう。

 

  基幹的農業従事者数の推移

        総数   男   女
  平成7年   459        251      208
     平成12年      387        195      192
     平成17年      379        210      169 
     平成22年      372        204      168
     平成27年      273        154      119
  (平均年齢)(72.2) (72.3)(72.7)

 

 ここに記されている年は農林業センサスの統計調査が実施された年です。平成7年(1995年)から平成27年(2015年)の20年間で約40%も減少しています。深刻です。
 さらに重要なのが平均年齢です。栄村の基幹的農業従事者の平均年齢は72.2歳です。全国平均は67.0歳、長野県平均は69.1歳です。全国平均よりも5.2歳、県平均と比較しても3.1歳も高いのです。厳しいデータですが、直視しなければなりません。

 

● “待ったなし”の状況
 「平均年齢72.2歳」ということは、70歳代後半(さらには80歳代)の基幹的農業従事者がかなり多くおられることを意味します。しかも、70(〜80)歳代の人たちが最も分厚い層なのです。逆に言えば、この分厚い世代が引退となれば、栄村の基幹的農業従事者がごそっと減り、栄村の農業の持続が著しく困難になるということです。

 

● 集落営農の法人化、村の「人・農地プラン」の抜本見直し等へ
 栄村の農業に“先はない”のでしょうか。
 いえ、けっしてそんなことはありません。ただ、対策が圧倒的に立ち遅れていることは間違いないと思います。
 こういう日がやって来ることに備えて進められてきた集落営農化はかなりの地域で進んでいます。そして、近い将来に訪れる事態に対処しようと、いろんなことが模索されています。しかし、なかなか“次の一歩”に進めていないことも否めません。知恵を出し合って、決定的な次への一歩を踏み出すことが必要だと、多くの人が考えておられるようです。
 1つの鍵は、村が作成している「人・農地プラン」を抜本的に見直すことではないかと思います。そして、それは来年春に取り組む中山間地域等直接支払制度第5期の集落協定の内容をどのようなものにするかという問題と直結していると思います。
 そのあたりのことを次号以降で考えていきたいと思います。

 

月岡集落の山の田んぼ

月岡集落では集落営農の法人化が実現されました。法人化の取り組みが

耕作の維持を可能にし、さらに前へ進む可能性を拓いているようです。


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