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栄村復興への歩み
2011年3月に震度6強の地震で被災した長野県栄村で暮らす松尾真のレポートを更新しています。

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中山間地域等直接支払制度の現在の狙いは?――山村が抱える課題の解決をめざすチャレンジへの支援

 前々号(No.354)で「中山間地域直接支払制度は来年度以降も続く」という記事を掲載し、多くの人たちから「いい企画だった」とご評価をいただきました。それに続いて、今回は、現在の第4期(H27年度〜H31年度)に続く第5期にむかって、国レベルでどういうことが課題だと考えられ、議論されているかを紹介したいと思います。

 

● 中山間地域等直接支払制度の現在の状況
 H29年度に中山間地域等直接支払制度の〈第4期中間年評価〉というものが実施されました。制度に取り組む全協定に中間年評価の提出が求められましたので、「たしかに、そういうものが実施されたなあ」とご記憶がある方もおられるかと思います。
 その中間年評価の結果が昨年6月にまとめられ、農林水産省から発表されています。それによれば、
    ・996市町村25,868協定(集落協定25,320、個別協定548)で

     直接支払制度が実施され、その対象面積は66.3万ha

      ←全国津々浦々で実施されていて、凄い数字ですね!
    ・協定、市町村へのアンケート結果によれば、本制度の効果を評

     価する声が多数。
                     (協定) (市町村)
       耕作放棄の防止に効果があった  82%   95%
       協働意識が高まった       81%   94%
       集落の話合いが維持・増加した  98%   ――
    ・効率的な農業生産体制の整備や所得向上など構造改革にも寄与
       ただし、この点は「担い手への農地集積等が増加した」38%、

      「生産組合や法人を設立又はその機運が高まった」19%、「新

       規就農者やオペレーターを確保又は目処が立った」13%とい

       うアンケート結果であり、全協定の3割強ないし2割未満にと

       どまっている。
という結果が出ています。
 「本制度の効果を評価する」という点は栄村の各協定においても同じと言えるでしょう。しかし、3点目の「効率的な農業生産体制の整備や所得向上などの構造改革にも寄与」という点では、栄村の場合、上記の全国データを下回るのではないかと思われます。
 その背景にあるのは、直接支払制度において、「’清叛源些萋暗を継続するための活動:基礎単価(単価の8割を交付)とともにある「体制整備のための前向きな活動:体制整備単価( 椨△粒萋阿砲茲蠱渦舛10割を交付)」を受けられる要件として設定された3つの選択肢(A要件、B要件、C要件の中から1つを選択)のうち、C要件(=協定参加者が活動等の継続が困難となった場合に備え、活動を継続できる体制を構築)を選択している協定がほとんどだということではないかと思われます。
 因みに、A要件は「農業生産性の向上(ゝヽ・農作業の共同化、高付加価値型農業、生産条件の改良、っ瓦ぜ蠅悗稜醒禄言僉↓ッ瓦ぜ蠅悗稜精邏箸琉兮、の5つの中から2つ以上を選択して実施)」、B要件は「女性・若者等の参画を得た取組(協定参加者に、女性、若者、NPO等を1名以上新たに加え、以下の項目から1つ以上選択して実施。/卦就農者による営農、農産物の加工・販売、消費・出資の呼び込み)」です。

 

● 第三者委員会での議論と第5期にむけての課題
 「直接支払制度」では、中間年評価、最終評価(本年度実施)、第5期の制度設計のいずれについても、農林水産省の担当部署(=農村振興局農村政策部地域振興課)だけで行うのではなく、研究者等による「第三者委員会」(正式名称:中山間地域等直接支払制度に関する第三者委員会)での議論が重視されています。
 では、第三者委員会では、どんな議論がされているのでしょうか。そして、第5期(来年度からの5年間)にむけてどういうことが「直接支払制度」の課題とされているのでしょうか。
高齢化・協定参加者の減少、農業の担い手不足、活動の核となる人材不足 ―― これを超えていく取組の強化
 「中間年評価」では、約4割の協定が今後「荒廃化を危惧する農用地を除外して取り組む可能性がある」と回答しています。高齢化・協定参加者の減少、農業の担い手不足が原因です。したがって、これらの問題を解決する取組が第5期には求められます。
そこで、第三者委員会では、「産業政策(農業政策)だけでは対応できない時代になっているのではないか。地域政策、そこの地域の人々の暮らしそのものにどう対応していくのかということまで踏み込んでいかないと」という意見が出ています。また、そういうことへの対応において、「現場の相談に乗るとか、サポート役の機能をもう少し高めることができないか」ということが議論されています。
 そして、〈情報〉の重要性が指摘されています。直接支払制度の活用で〈効率的な農業生産体制の整備〉や〈所得向上〉を実現している地域(協定)の事例が各地から農水省に集まり、農水省のHPで紹介されています。しかし、農水省の担当者自身、「HPに掲載しているだけでは伝わらない」と反省していて、第三者委員から「人が間に入り、対話形式で情報を伝える」ことが必要だ、「中間支援組織、NPO、地域の組織、中山間の直払いの事務をサポートするような動きが出てきている」、「今まで行政ベースでやるところも、そういう中間支援組織が地域振興の部分も担えればよい」などの意見が出ています。
・ 第5期にむけて、各協定で、また協定間連携で研究と議論を深めよう!
第5期では、第4期までの取組を超える新次元の取組が求められることになってきていることはご理解いただけると思います。集落営農の法人化や若い担い手の確保など、栄村の村づくりの全体像と絡めながら、さまざまな地域での議論を進めてほしいと思います。

 

早くも田起こし(28日、青倉・西山田にて)

 

29日午前中晴れた秋山・小赤沢でも色んな作業が行われていた

 

 


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