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栄村復興への歩み
2011年3月に震度6強の地震で被災した長野県栄村で暮らす松尾真のレポートを更新しています。

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「小さな町や村でも安心して暮らしつづけられる地域づくり」――栄村こそがモデルを発信できるようにしたい!

 19日に告示された県知事選挙。その第一声が栄村(森宮野原駅前)で発せられました。
 この事実に大きな衝撃を受けたのは私だけではないと思います。多くの村民が駆けつけておられましたが、「ニュースで初めて知った」という人たちも一様に驚いておられます。

 


 私は7年前の震災直後から阿部守一知事とはいろいろお話をさせていただいてきていますが、その私も「栄村は知事としての歩みの原点」という言葉には改めて強い衝撃と感銘を受けました。
 この記事のタイトルに阿部さんの演説の一節を引用しましたが、「小さな町や村でも安心して暮らしつづけられる地域づくり」――これこそ地方自治が目指すべきものです。

 

● 「村の人たちから色々学ばせていただいた」
 「小さな町や村でも…」ということ、抽象論・一般論として言うのは簡単だと思います。でも、彼は19日の演説でこんな具体的なことを話しました。
   「地震の直後、栄村を訪れ、村の人たちから『村の暮らしは

    集落があってのもの』ということをお聞きし、復興公営住

    宅は希望者が暮らしてきた集落の中につくるようにさせて

    いただいた。」
 この経緯は私も鮮明に記憶しています。
 最近の西日本豪雨災害をめぐって「住み慣れた土地を離れざるをえなくなった」というニュースをしばしば耳にしますが、行政のトップが地域に暮らす人たちにどれだけ寄り添う視点を持てるかが災害復興において非常に重要なのだと強く感じます。

 

スキー場頂上から見る小滝集落と復興公営住宅

「集落に復興公営住宅を」という話のきっかけになったのは小滝の高齢者被災世帯に住

宅を保障する話でした。写真中央に見える白壁と落下式屋根の建物が復興公営住宅。

 

● 栄村が果たすべき責務
 そういう意味で、栄村は7年前の震災においてとても恵まれた環境にあったといえます。
 だからこそ、栄村が果たさなければならない責務というものがあると私は思っています。
 阿部さんは当時、「栄村の震災復興を中山間地域再生のモデルにしたい」と言っていました。上述の集落ごとの復興公営住宅もそういう思いがあればこそのものです。
 さて、あと3年で震災10周年となりますが、栄村は果たして「中山間地域再生のモデル」と誇り得るような村づくりをこの7年間、進めて来られたと誇りをもって言えるでしょうか?
残念ながら、そうは言えない現状だと言わざるをえません。
 「小さな町、村」の中のさらに小さな集落。暮らしが成り立たなくなりつつあるものも出てきています。交通アクセス、水路の維持管理、里山の荒廃と有害獣問題の深刻化、…。課題はいっぱいあります。いきなり格好いい解決策というのではなく、まずは課題をじっくり観察し、地域の人たちの声に耳を傾け、5年後、10年後をみすえた施策を考えなければならないと思います。

 

● 観光施設の経営問題に村民の英知を総結集しよう!
 いま、栄村で大きな問題になっている観光施設の管理運営−経営の問題。これは、単に観光(業)をめぐる問題というのではなく、「小さな村でも安心して暮らしつづけられる地域づくり」の試金石だと思います。
 4つの温泉宿泊施設をめぐって、「秋山の2つは観光客用、下の2つは住民福利用で、秋山の施設と下の施設は別経営にする方がよい」という考えがあるそうです。
 そういう2種への切り分け、本当に正しいのでしょうか。私はそうは思いません。〈住民福利〉と言うと、村の人たちの共通入浴券での入浴が多い「下の2つ」(トマトと北野)を想起する人が多いかもしれませんが、秋山の2施設だって、秋山で暮らす人たちにとっては重要な福利施設です。高齢の一人暮らしの人が増えている中で、雪に閉ざされる長い冬、温泉施設の車が秋山の集落を巡り、村の人たちが温泉に浸かり、お茶のみする機会と場を提供することも重要ではないでしょうか。また、秋山の集落を温泉施設の車が巡るというのは、集落間を往き来する路線バスがない秋山における新たな交通アクセスの開拓にもなりますし、いわゆる〈見守り活動〉の充実にもつながるでしょう。
 しかも、そういうことをやることの効果は住民福利だけにとどまるものではありません。冬の雄川閣やのよさの里を訪ねたら、村のばあちゃんやじいちゃんと一緒にお茶のみが楽しめる。これは《冬の秋山観光》の大きな売りになること、間違いないです。それがさらに進めば、 「小一時間程度だったらお茶のみに寄ってもらってもいいよ」という人も出てくるでしょう。そうすれば、冬の秋山郷を訪れる人たちが秋山の集落を巡り、豪雪地の冬の暮らしというものを垣間見ることができます。これまた、《冬の秋山観光》の大きな売りになります。

 

雪に埋もれる秋山の民家と屋根の雪下ろし

秋山郷の雪は都会人の想像を超えるもの。手間がかかる企画ではなく、

雪下ろしの様子を見る、お茶のみするという企画が人を呼びます。


 観光は観光、福祉は福祉、とバラバラに考えるのではなく、「小さな村でも安心して暮らしつづけられる地域づくり」という太い一本の線を貫いて考えることが大事でしょう。
 今回は秋山の2施設のことを主に考えましたが、同様のことは「下」の地域でも言えます。栄村の5年後、10年後を左右する問題として観光施設の経営問題を村民一人ひとりの英知を総結集して考えていきましょう。


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栄村復興への歩みNo.342 2018年7月22日発行 編集・発行人 松尾真
連絡先:電話080−2029−0236、mail;aokura@sakaemura.net


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