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栄村復興への歩み
2011年3月に震度6強の地震で被災した長野県栄村で暮らす松尾真のレポートを更新しています。

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明石大橋の橋脚工事の様子を見てみましょう

 昨秋11月16日の箕作平滝大橋の開通は多くの村民に感動をもたらしましたね。橋を利用する人も徐々に増えています。
 あれから1ヶ月半強、もう一本の大橋、明石(あかいし)大橋の橋脚建設の工事が本格化しています。
 まず、1枚の写真をご覧ください。

 


 これは、橋脚の最も基礎(底)になる部分(6頁の図を参照)の鉄筋を組んでいるところです(12月22日撮影)。
 注目は写真中央に見える2つの穴です。左の穴は作業員の人が地中に入っていくためのもの。右の穴は地中で掘削された土砂を地上に運び出すものです。

 

● ニューマチックケーソン工法
 じつは、明石大橋の橋脚は川底から水が湧き出ている所にたてることから、橋脚の最も土台となる部分をオープンカット工法(地表面から掘削していく方法)で造ることができません。そのため、ニューマチックケーソン工法という方法が採られています。次の図のような方法です。

 


図1 ニューマチックケーソン工法の概念図
この図面は蠡臻楞箸HPから引用しました。www.ohmoto.co.jp/rovo/matic1_1.html

 

 図の最も下、地中深い所(川の底よりも下)で人が重機を使って掘削作業をしている様子が描かれていますね。この場所、作業用の函(はこ)なのですが、じつは高圧空気になっています。その高圧の空気圧によって水が湧き出ることを抑え、掘削作業を可能にしているのです。これをニューマチック(Pneumatic=「空気の」)ケーソン(caisson=潜函)工法と呼びます。

 

 現場事務所で撮影させていただいた橋脚の全体像図を示します。

 

図2 橋脚の全体像の図面


 一番上が橋桁を載せる部分ですね。図面の左側に「7ロット」〜「1ロット」と書かれていますが、4ロット〜1ロットの部分が今シーズンに工事が予定されている部分です。
 現在は、図面の一番下、「1ロット」の部分の工事中。4頁に示した写真は「1ロット」の部分のいちばん上を撮影したことになります。
 図面の1ロットの中に白く描かれている台形状の部分がありますね。ここは空洞になっていて、図1で作業員が掘削をしているところ(=函)です。
 明石大橋の建設現場では12月29日に1ロットにコンクリートが入れられ(図2の灰色部分)、現在、養生中。この後、空洞部分=函内部で底面の掘削作業が行われます。底面全体を均等に掘削していくと、ある時点で1ロットのコンクリート
部分の重さで1ロット全体が沈みます。予定された沈下が実現すると、次に第2ロットを構築し、さらに掘削・沈下−次のロットの構築を繰り返していきます。そのようにして、最終的には川よりも12.5m深いところに橋脚の土台が到達します。空洞になっていた部分には最後に打設管を通してコンクリートが入れられます。

 

 橋脚建設が行われている現場全体の様子は次の写真です。

 

 

 上写真の中央、白の幕で囲まれているところが橋脚建設の現場。写真奥に国道117号線白鳥大橋が見えます。写真左手奥に見える赤い屋根は明石集落の家です。写真手前は平滝集落から千曲川まで下る工事用仮設道路。写真左側の積雪と積雪の間にわずかに千曲川の流れが見えます。


● 私が工事現場などを取材・撮影・報道する理由
 明石大橋の橋脚建設工事は北野建設蠅元請で、ニューマチックケーソン工事を担当しているのは丸十(まると)工業蠅箸いΠγ慮の会社です。これまでに300事例以上のニューマチックケーソン工事の実績を有しているそうです。
 ここまでに紹介した写真の撮影等には、北野建設の現場責任者・中野慶久さんのご協力をいただきました。4頁で紹介した写真撮影にあたっては、ヘルメット等を着装したうえで、中野氏にご案内いただき、現場作業員の人たちには中野氏の指示でクレーン操作の一時中断などのご協力をいただきました。
 現場関係者には大変ご負担をおかけするわけですが、そこまでして私が取材するのは、私たちが日常不断に当たり前のように利用している「生活インフラ」と呼ばれる道路や橋がどんなふうにして、どんな苦労を重ねて造られているのかを利用者である私たち自身が知るべきだと考えるからです。こういう考えを元々もっていたわけではありません。震災の災害箇所の復旧工事、そして種々の復興工事を見る中で、現場の人たちの苦労、そして創意工夫を知り、学び、考えるに至ったことです。
 また、その中で、現場の工事関係者ご自身が、「完成した構築物(橋など)を見せるだけでなく、工事のプロセスを一般の人たちに紹介(公開)したい」という気持ちをもっておられることを知りました。建設業関係者が県知事との懇談会の場で、その思いを伝えられ、県も工事プロセスの紹介に積極的に取り組む方針になったとも聞いています。
   *過日、「新建新聞」(長野市本社の建築・住宅・危機管理の専門紙)の

    箕作平滝大橋開通特集号を見ましたが、施工者6名の方々の談話が掲載さ

    れていました。みなさん、大変な苦労と創意工夫されたことが伝わってく

    るものです。
 私たちの4代前、5代前の世代は村の道路や水路を自身の手でつくりました。現代は科学技術が発達し、また道路・橋・水路なども巨大化し、素人の手に負えるものではなくなり、専門業者に委(ゆだ)ねるように変わっています。しかし、だからと言って、地元民が工事を業者に任(まか)せっきりにしているのではいけないと思います。業者の人たちも、施工箇所の地元の人しか知らない気象の事象や地形の特徴などの知恵を知りたいと思っておられます。地元の人たちとの何気ない立ち話、お茶のみでの会話を楽しみにしている現場関係者も多くおられます。
 私は、現場で施工業者を代表されている現場代理人ときちんとお話をさせていただきながら、こういう取材をこれからも続けていきたいと考えています。


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