プロフィール

profile
栄村復興への歩み
2011年3月に震度6強の地震で被災した長野県栄村で暮らす松尾真のレポートを更新しています。

カテゴリー

categories

サイト内検索

Search

カレンダー

calender
 123456
78910111213
14151617181920
21222324252627
28293031   
<< January 2018 >>

最近の記事

selected entries

最近のトラックバック

recent trackback

月別アーカイブ

archives

栄村関連リンク

links

携帯用QRコード

mobile
qrcode

ブックマーク & RSS

Bookmark&RSS

栄村復興への歩みNo.317(10月3日付)

栄村を訪れる人たちは何を求めているか
栄村が何を打ち出せば、人びとは栄村にやって来てくれるか

 

 栄村にとって、多くの人たちが栄村を訪れてくることは死活的に重要です。こんなことは私が今さら言わなくても、わかりきったことだとも言えます。でも、なぜ、そうなのか? 改めて整理・確認しておきたいと思います。
 1つは、栄村(の住民)が生きていくうえで、外貨の獲得が必要だということです。
 「外貨」という言葉を聞いて、「ドル」や「元」(中国の通貨)を意味していると錯覚して、声を荒げた人を最近、議会で見かけましたが、そうではないですね。村外の人(企業)からお金を受け取るという意味です。人が栄村に来て、飲食したり、宿泊したり、買い物をしたりしてお金を落としてくれる。あるいは、栄村の農産物などを産直で購入して下さるケースもこれにあたります。
 “外貨”が入ってくれば、村民の家計の増収につながり、さらに村税の増収につながります。
 2つは、栄村の人口を一定数以上に維持するには、かなりの移住者が必要だということです。
 とくに、これから結婚する、子育てをするという世代の人たちに栄村に移り住み、暮らしていただくことがどうしても必要です。
 次の写真は9月30日に開催された保育園の運動会の一コマです。

 


 ここには親御さんが6名写っていますが、純粋の村生まれ・村育ちの人はお一人のみ。5名は栄村生まれ・育ちの人と結婚されて栄村で暮らすようになられた人、仕事の関係で栄村に来られている人です。たしかに栄村生まれ・育ち同士のカップルのご結婚が最近も1組ありましたが、村外の女性が栄村育ち・暮らしの男性と結婚されるケースが増えています。

 

● 「平成28年生まれのお子さんを育てておられるご夫婦、是非、栄村へお越しください」
  ――こんな移住者募集も必要だし、いいんじゃないでしょうか

 保育園運動会会場での会話の一コマを紹介します。
   「あら、こんにちは。」
   「二人はたった二人の同級生になるのよね。しかも、男の子同士

    だわ。」
   「じゃあ、もっと同級生を増やせばいいじゃない。」
   「今さら無理よ。」
   「いや、そんなことないでしょう。いま、一歳児を育てているご

    夫婦の移住を実現すれば、同級生が増えますよ。」
   「そうか、そんな方法もあるか。」
 こういうピンポイントでの移住者確保はそう容易ではないでしょうが、まったく可能性がないというわけでもないと思います。

 


育真くん(1歳)


● 栄村を訪れる人は何を求めているか
 さて、1頁の見出しに戻ります。「栄村を訪れる人たちは何を求めているか」です。
 いま、いちばん多くの人が訪れてくれている場所は「道の駅」−「直売所」です。紅葉期の10月は、5月連休と8月お盆と並んで、お客さま数がグッと伸び、売上も増える時期です。訪れる人が求めるのは、「新鮮で品質が良くて、しかも安い野菜」です。一昨年度にゼロからスタートし、1年目の2015年度(実質期間は10ヶ月程度)に3千万円、2年目の昨年度は約4千万円の売上を実現しました。この事実はとてつもなく大きな意味をもっています。
 「安い」というのが気になるかもしれませんが、「ダンピング」(不当に安い価格で売ること)をしているわけではないです。これまでは自家消費しかしなかったもの、あるいは、収穫せず、放置していたものが商品になり、消費者から歓迎されているのです。いまの季節でいえば、ヤマグリやクルミはその典型ですね。
 観光という面では、どうでしょうか。
 「このあたりは、いいところですねえ!」。 これは9月9日、最初はミズノサワで、そして2度目は切明・雄川閣でお会いした人の言葉です。この人は、都会から長野市に移住され、この日は「高原シャトル便」で訪ねて来られました。9月9日はまだ紅葉からはほど遠く、「目玉観光商品」に当たるようなものはない時期でしたが、この言葉を出されたのです。迫る高い山並み、川底が透けて見える渓谷の清流、人を圧倒する勢いで迫ってくる巨大な沢、騒音がいっさい無い静寂さ…。こういうものが素敵なのでしょうね。私自身も配達活動で村のいろんなところを走っていて、「なんと贅沢な空間なのか!」と思うこと、度々です。そこは、言いかえれば、村の人たちが、「ここには何もないよ」と言われるようなところです。
 もちろん、「何もない」わけではありません。

 


 上の写真は9月9日、「高原シャトル便」の人とミズノサワで出会った時のものです。上記の人と、木島平村のガイドさんのお二人が写っていますが、お二人ともカメラを構えておられます。たしかに撮るだけの価値がある景観なのです。この場所の7月17日と10月1日の様子をご覧ください。夏になっても雪渓が残る様子と紅葉が始まっている姿です。

 

 

 

 栄村を訪れる人が何を求めているかの一端をご理解いただけるのではないかと思います。

 

● 問題は〈栄村が何を打ち出しているか〉です
 ところで、栄村関係の観光パンフレット等を開いてみて、たとえば前頁で紹介したミズノサワの素敵な景色を大きく紹介しているものがあるでしょうか。
 「無い」のです。
 率直に言うと、私が栄村を知るようになった10数年前から栄村のパンフレットに出てくる写真はほとんど変わっていません。10年ほど前に栄村が「にほんの里100選」というものに選ばれました。今でも時々思い出したように、「栄村は〈にほんの里〉に選ばれています」というセリフが村から出されることがありますが、〈にほんの里〉らしい写真の1枚でも発信しているかとなると、かなり心許(もと)ない状況が続いているように思います。最近、青倉集落が「ふるさと復興支援金」を活用して、『青倉百景』というリーフレット(下写真)を発刊したのが〈にほんの里〉らしい景色をまとまった内容で紹介している数少ない事例だと思います。
栄村には昨年度1億8千万円のふるさと納税が寄せられました。震災時には栄村単独に10億円を超える義援金が寄せられました。東北の被災地でも類例をみないすごい出来事です。栄村を応援して下さる人がたくさんおられるのです。
しかし、たとえば〈ふるさと納税〉、返礼に美味しい栄村のお米を贈るのはいいのですが、せっかくの機会、さらに栄村を売り込むべきでしょう。隣の津南町ではふるさと納税返礼品発送時に一緒に入れるパンフレット「雪国つなんだより」を制作しています。
以上は、栄村の宣伝、とくに観光の宣伝に限定した話です。

 


 以上のことに加えて、村外から訪れて下さる人たちにおカネを落としていただく機会、商品・場をつくり、売り出していくことが必要です。
 先に書いた〈直売所〉はそういう意味で自慢できるものです。前号で紹介した切明・雄川閣の予約昼弁当もそうです。さらに、10月の紅葉まっさかりの時期には雄川閣の前で、地域おこし協力隊のメンバーがカレー店のテントを出されると1日に聞きました。
 これらの事例に繋がる形で、どんどんやっていかなければならないことがあります。たとえば、1日夕、「トマトの国」で雄川閣の板前さんに出会いました。キノコを求めて来られたそうです。「キノコはよくわかるよ」という村の人がちょっと半日・一日、山に入ってキノコを採る。その一部は自分が食べるが、残りはたとえば雄川閣の弁当の食材として有償でお分けする。そんなことから、栄村を訪れる人たちに満足していただき、おカネを落としていただく〈プラスの連鎖〉が始まるのだと思います。

 

 今回はここまでとしますが、栄村を元気にする策をみんなで考え、そして実行していきましょう。


この記事のトラックバックURL
トラックバック