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栄村復興への歩み
2011年3月に震度6強の地震で被災した長野県栄村で暮らす松尾真のレポートを更新しています。

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松尾まことの議員活動報告第19号

5つの重要なことが決められました
    〜9月定例議会の報告〜

 

 9月5日から13日まで、栄村議会の第3回定例会が開催されました。9月の定例会は「決算議会」とも呼ばれますが、今年の9月定例会では、決算のみならず、5つの重要案件の審議・決定が行われました。
 まず、その骨子を報告します。

 

1. 一般会計2,508万8千円、特別会計2,588万6千円の補正予算が成立
 この補正予算に盛り込まれた重要施策については8頁で紹介します。
2. 来年8月から、中学生以下、医療費窓口支払いなしに(福祉医療費給付金条例改正)
 現在は窓口で3割負担を支払ったうえで、後に村から同金額が支払われるという方式ですが、これが来年8月から窓口での支払いが不要となります。長野県下の全市町村で一斉に実施されます。ただし、県外の医療機関で受診の場合は窓口支払いが必要になります。
 また、レセプト料300円も無料になります。
3. 平成28年度決算を認定
 決算特別委員会を設置し、11日、12日の2日間、徹底審議を行いました。
 13日の本会議で村長提出の平成28年度決算(一般会計と特別会計)を認定しましたが、審議の中で多くの問題点があきらかになりました。費目によっては到底、「認定」し難いものもある中での、いわば「条件付き認定」とでも言うべきものです。詳しいことは2頁以降で報告します。
 また、決算審議の過程で、議案書の一部が頻繁に差し替えられるという事態がありました。厳格に言えば、「議案撤回→新議案提出」という手続きを必要とするほどのものでした。村議会議長から村側に厳重な注意が行われました。
4. 観光施設に関する特別委員会を議会に設置
 正式名称は、「栄村観光レクリェーション施設管理運営に関する調査研究特別委員会」です。
設置の趣旨は、振興公社指定管理施設等について、村の議案提出の際の審議だけでは充分な審議ができないため、特別委員会を設置し、議会閉会中も含めて充分な調査や議論を行える場を設けることにあります。
5. 温泉条例改正案を賛成少数で否決
 これは新聞報道等でご存知の方も多いと思います。
 村長提案の核心は、「振興公社指定管理施設の温泉は、栄村温泉条例第26条の対象からはずす」ことにありました。私を含め過半数の議員がまさにこの点に反対し、否決に至りました。
 共通入浴券料金の値上げに関しては住民合意がある程度出来ていると思いますが、今回の争点は料金値上げではなく、上記のように振興公社に温泉運営のフリーハンド(自由裁量権)を与えることの是非でした。5頁以降で詳しく報告します。

 

 

◎ 平成28年度決算について
●そもそも決算審議とは
 私が決算審議に臨むのは昨年9月に続き、2回目です。正直に言いますと、昨年は初めての経験のため、手探り状態での審議となってしまい、充分な職責を果たせなかったと反省しています。
 そこで、今年は、決算議会に臨む前に、『議員必携』の「決算」に関する章を読み直しました。そこで強く印象づけられた箇所を紹介します。
   「町村長は、決算を議会の認定に付するに当たっては、

    決算書のほかに、
     (1) 歳入歳出決算事項別明細書
     (2) 実質収支に関する調書
     (3) 財産に関する調書
     (4) 会計年度における主要施策の成果説明書
    の各書類の提出を義務づけられている。」

    (同書265頁、下線強調は松尾)
とあり、さらに、議員の決算審議における仕事として、
   「『成果』とは、予算執行の単なる実績、データではなくて、

    施策の実現を目指して措置された予算執行によって成し遂げ

    た効果であることに着目して、決算審査のしめくくりにこの

    説明書を大いに活用したいものである。」(同書270頁)

 

●担当部局によって姿勢の差がはっきり出た「成果の説明」
 村長から提出された書類の中に、「決算説明書」(一般会計、特別会計各1冊)というものがあり、その表紙に「地方自治法第233条第5項の規定により、平成28年度の一般会計に係る主要施策の成果、その他の予算執行の実績を次のとおり報告します」と書かれています。これが『議員必携』で「会計年度における主要施策の成果説明書」と記されているものに当たるというわけです。
 しかし、「主要施策の成果」が本当に記されているかどうか、担当部局によって随分と違いがありました。「成果」と言えるものが具体的かつ詳細に記されていたのは教育委員会事務局所管のものというのが私の印象です。農林関係や土木関係は成果を判断するのに資するデータがいちおう出されていたと言えると思います。
 最もひどかったのは商工観光課所管の観光費関係です。
 たとえば、振興公社への指定管理料と出捐金に関して、1,060万円と5,000万円を支出したことが記されているのみで、どのように使われたのか、成果は何かについてはまったく書かれていません。しかも、先に書いた議案書類の差し替えが最も目立ったのが商工観光課関係でした。率直に言って、議会審議において商工観光課から出される数字等について、俄(にわ)かには信用することができないという悲しむべき現実があります。

 

●商工観光課は「委託料や補助金が適正に使われているか」をきちんと検査していないのではないか?
  ――振興公社や観光協会への委託費、補助金の明細が示されていません
 村は予算執行において、様々な事業を役場以外の企業・団体等に委託したり、民間団体に補助金を支払ったりします。
 委託先ないし補助対象団体におカネを渡したら、「後はご自由に」というわけにはいきません。たとえば、集落で「ふるさと復興支援金事業」を活用した経験をお持ちの方がたくさんおられると思いますが、事業終了後、役場から細かな書類の提出を求められ、事業現場の検査を受けますね。そして、役場に提出した事業計画書と合致しない点等があることが判明した場合、支援金の一部をカットされるということもありえます。
 ところが、振興公社への委託料支払いや出捐金、観光協会への補助金に関してはチェック(検査)が行われた形跡がまったく見られないのです。
 たとえば、振興公社への指定管理料1,060万円(平成29年度は1,850万円に増額)。
 「決算説明書」には、「委託料調」という一覧表が48頁にわたってあり、それぞれの委託料について「完了年月日」と「検査年月日」が記されています。しかし、振興公社への指定管理料については、これが記載されていません。検査していないということです。
 その結果はどうでしょう。振興公社の平成28年度決算書を調べると、平成28年度段階では指定管理の対象になっていなかった施設にも指定管理料が分配されていたのです。これはあきらかに不適正会計処理であり、本来ならばこの一点で、村は委託料の返還を求めなければならない事柄です。
 また、観光協会に対する補助金910万4,800円についても決算説明書には支出したことしか書かれていません。観光協会への補助金は「掴(つか)み金」として予算承認されたものではなく、内訳を示して予算提案されたものです。したがって、予算での内訳と比較照合して、補助金がどのように使われ、どのような成果を上げたのかを説明する義務が商工観光課にはあるのです。本年6月議会で観光協会への補助金をめぐって補正予算案の減額修正という事態に至った背景には、商工観光課の仕事のこういう杜撰(ずさん)さがあるのです。

 

●振興公社への出捐金5千万円はどう使われたのか?
 振興公社への出捐金5千万円、これが大きな問題となったのは「つい昨日のこと」という感がしますが、本年1月と3月のことだったので平成28年度決算の対象となります。
 これについても、決算書説明書には計5千万円を支払ったことしか書かれていず、その後、どう扱われたのか(扱われているのか)について一切の記述・報告がありません。
 1月に公社に出した出捐金2,100万円は、「2月、3月の支払いが出来ない」ということでの緊急出資でしたから、当然、その結果を報告する義務が公社と商工観光課にあります。公社の決算を調べると、2〜3月の支払いに2,100万円全額を使う必要はなく、残余があったようです。
 「定期預金に入れて、それを担保として金融機関から資金を借りる」とされていた追加の出捐金2,900万円。こちらは、公社の決算書を見ると、定期預金に入れられたのは1千万円のみ。1,900万円は普通預金に入れられています。私は8月の全協と今回の決算議会とで、この点について質しました。
 商工観光課長の答弁は、8月全協では、「公社のことが新聞に書かれたので、金融機関からお金が借りられない」、そして、今決算議会では、「金融機関は担保がある2,900万円までしか貸せないと言っている」というもので、答弁内容が変わっています。また、普通預金は担保たりえないのが常識ですが、その点を質しても、答えは返ってきませんでした。

 

 以上、決算審議でとくに重要だった点の報告です。
 認定し難い点が多々あるわけですが、ひとまず、役場に猛反省を促すべき点は明確にしたということで、採決では「認定」に同意しました。来年の決算では徹底的な改善を求めるものです。

 

 

◎ 温泉条例改正案の否決について
 今回の定例議会提出の当初議案には入っていなかった温泉条例改正案、9月13日の最終日に追加提案されました(議案書の議員への配布は12日)。
 内容は8月21日の全協で村が示した案と同じ。共通入浴券が利用できる施設から振興公社管理の4つの温泉を外すというものです。また、条例案の中には書かれていませんが、口頭説明では振興公社は公社独自で発行する年間入浴券の価格を3万円とするということでした。

 

●「入浴に係る公社の収支は赤字」から「70万円の黒字」に説明が変わった
 村は、7月18日、8月9日、21日の3回にもわたる議会全員協議会では、「共通入浴券関係で振興公社は約500万円の赤字」と説明してきました。しかし、今回の審議では、この点が180度ひっくり返りました。8月21日の全協に提出した資料で、温泉入浴客から支払われた料金の収入をいっさい収支計算に入れていないことが指摘され、さらにその後、議員側が具体的に計算して「黒字である」ことをあきらかにしてきたからです。
 商工観光課長は「70万円の黒字です」と認めながら、なお、「振興公社の利益を増やすために、独自入浴券の発行、料金値上げが必要」と言うのです。
 こんな馬鹿げた話があるでしょうか。
 「取れる人から取って稼ごう」ということではないですか。私は、「本当の営業努力をしなければいけない。たとえばスキー大会の団体、これを1シーズン3つ増やせば、200万円の増収は可能だ」という趣旨の質問・提案をしました。これに対する課長の答弁は、「武蔵村山市の修学旅行を受け入れたいが、トマトの国の収容力を超える人数で受け入れられない」というもの。団体は武蔵村山市だけではないでしょう。60〜80人規模のスキー大会、営業努力をして探せば、2つや3つ、容易に見つけられるでしょう。

 

●「公社の自立のため」という詭弁
 村長が強調したのは、「公社を自立させる必要がある」ということでした。
 「取りやすい人から値上げでお金を取る」――これが「自立」でしょうか?! 否、です。
 いま、村(長)は、振興公社に出捐金を新たに出したり、指定管理料をさらに増額したりすることは困難であると判断しているようです。そこで、出捐金や指定管理料以外で、振興公社におカネを入れる方策として、公社指定管理の温泉を温泉条例で定める共通入浴券の対象から外し、それらの温泉への入浴料金の決定権を振興公社に渡そうという考えが浮かんできたものと思われます。
 審議で、村長は「公社には暴走させません。公社が料金を上げたいと言ってきたら、議会全協に報告します」と発言しました。ここがミソです。「全協に報告」とは、議会に審議権・採決権はないということです。ここがポイントなのです。

 

●温泉条例の基本は「住民福祉の増進」、そして村と公社の指定管理協定は「村の目的に沿った事業運営」が基本
 村長が言う「公社の自立(性)」、どうも「議会に縛られない」というところに本質があるようです。
 しかし、温泉条例は第1条で「住民の福祉増進」を目的だとしています。また、公社に指定管理委託している観光レクリェーション施設について、同設置条例は第2条で「村民の保健保養に供する」と規定しています。さらに、村と振興公社が指定管理について結んでいる協定では、第2条で「指定管理の意義」として「(公社は)地域の交流並びに文化、産業振興の推進による地域活性化を図ることを認識する」と定め、また第3条で「(公社は)施設の公共性を十分に理解し、その趣旨を尊重するものとする」と定められています。
 こういう条例の目的や指定管理の意義を担保するものが条例や指定管理協定の議会での審議・採決なのです。
 振興公社は、「議会の審議・採決に縛られているから、営業努力ができず、赤字になる」のではありません。私を含め、議員は振興公社の経営改善のためのアイディアを具体的に提案しています。公社施設の改善や誘客のための努力をしています。公社理事長にはもっとそういう提起を受けとめ、経営努力に努めていただきたいと思います。

 

●「共通入浴券利用者は村人口の7%にすぎない」――こんな村民分断を許してはなりません
 村長は審議の中で、「共通入浴券を利用している人は145人で、村民の7%にすぎない」と発言されました。私は審議の中でも言いましたが、こういう村長の発言はじつに悲しい。村民の中に分断を持ち込もうとするものと言わざるをえません。
 9月議会の会期中でしたが、共通入浴券の利用者ではない村民から私はこんな話をされました。
   「先日、むらの友だちとミオン(十日町市中里の温泉施設)

    に行ってきました。温泉に入って、お昼を食べて、半日ゆ

    っくりしたんです。でも、栄村に温泉があるのに、「日帰

    り入浴は午後2時から」というので、わざわざ中里まで行か

    なきゃならないというのは変じゃないですか?」
 まったくそのとおりです。
 温泉条例問題は単に共通入浴券だけの問題ではないのです。村民全体の福祉、保健保養に関わる重要問題なのです。

 

●問われる公社理事長の判断・対応
 今回の温泉条例改正案審議をめぐって、多くの村民から尋ねられたことに、
   「どうして商工観光課長が説明・答弁するの? 公社の理事長が

    どうして議会に出てこないの?」
ということがあります。
 「振興公社管理施設を温泉条例に基づく共通入浴券の対象から外す、公社独自の3万円の入浴券を発行したいというのならば、公社理事長から説明があって当然」と思うのはもっともなことです。議会に参考人という形で出席して発言することが可能です。
 高橋規夫理事長は昨年5月の理事長就任直後に公社の新聞『なじょだね』で村民への挨拶をされました。それから1年数ヶ月、次々と村民の利益に関わることで重要決定をされていながら、村民への直接説明はありません。矢面にたたされる公社職員が気の毒です。
 公社理事長ご自身が自らの口で村民と対話されること、ここに温泉問題、公社問題の根本的打開の鍵があると思います。

 

 

◎ 補正予算の内容について
 もう紙幅に余裕がなくなりました。村民生活に直結する事項のみ、ひとまずの報告をします。
 第1に、「山村活性化支援交付金事業」として「特産品開発事業」134万1千円。長野県伝統野菜に認定された「ししこしょう」などの加工品開発などが行われます。
 第2に、屋敷地区の林道川西線などの維持改修費708万9千円。「みずとや食堂」の近くの大雨時、道路が浸水する箇所の改修などです。
 第3に、「観光のあり方研究委員会の開催」費48万6千円。委員20名で年度内3回開催とのことです。
 第4に、観光協会への補助金追加710万2千円。人件費の補正がようやく実現されました。
 第5に、「中山間地域介護サービス事業提供体制モデル事業補助金」90万2千円。これは移動距離が長い中山間地の状況を考慮した介護サービスのモデル(介護者が移動に要する経費や手当の支給)を栄村で実現しようという県の事業に対応したもので、半額が県から出費されます。


<おわりに>
 書かなければならないことはまだまだあるのですが、もう8頁を使い果たしました。
 5月議会で産業社会常任委員長に就任したことから、これまでは知らなかった会合に出席する機会が増えています。そこで初めて知りえたことなども報告したいと思っています。10月号には是非、書きたいと思います。

 

 9月議会が終わって間もないですが、19日に村長提出の全協があります。協議事項は秋山の路線バスの問題。南越後交通が10月1日からのダイヤ改正で「朝の第1便と夕の最終便を見玉止まりにする」と、突然、通告してきたのです。来春には見玉〜和山間の全面廃止も考えているようです。秋山住民の足の確保のため、議員・議会は村と協力し、全力で対処していきます。

 

 


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