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栄村復興への歩み
2011年3月に震度6強の地震で被災した長野県栄村で暮らす松尾真のレポートを更新しています。

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松尾まことの議員活動報告第16号

   補正予算の減額修正について

 

 村議会の6月定例会が6月16日(金)〜21日(水)に開催されました。「信毎」等の新聞報道ですでにご存じの人も多いかと思いますが、今次定例会の最重要議案である一般会計補正予算案をめぐって、減額修正の動議を可決しました。観光協会への補助金増額補正445万円のうち295万円を削減するというものです。
 今号はこのことに絞って、みなさんにご説明・報告をします。

 

◎ 予算の減額修正とは、どういうことか?
 まず、予算減額修正の意味を説明します。

 

■ 予算の編成権と決定権は別
 年度当初予算であれ、年度途中での補正予算であれ、村の予算の編成権は村長のみにあります。議会には予算を編成したり、予算案を発議したりする権限はありません。
 しかし、このことは「予算は村長が決める」ということを意味するわけではありません。
村長が編成した予算案を審議し、決定するのは議会です。
 議会は、村長が編成・提案した予算案を審議して、適切なものだと判断すれば、それを可決し、予算が決まります。
 しかし、村長が提案した予算案に不明な点や不適切と考えられる内容があれば、議員はそのことを審議の中で指摘し、村長の考えを質します。
     *議員の質問に対して担当課長が答弁することもあります

      が、担当課長が答弁する内容も含めて村長の考え・判断

      をあきらかにするものです。
 そして、村長(+課長)の答弁に納得がいかない場合は、議員はそのことをはっきり意思表示します。議員の多数が村長答弁に納得がしないという事態になれば、村長は自らが提案した予算案をどう扱うか、判断することを迫られます。


■ あくまでも原案に固執か、原案撤回・新議案の提出か
 村長が迫られる判断は二者択一の選択です。
 1つの選択肢は、予算案が否決されることを覚悟で、あくまでも原案に固執することです。もう1つの選択肢は、予算案(原案)を撤回し、議員の納得が得られるように内容を改めた新しい予算案を提出することです。
 村長には、原案を議会に提出したままの状態で、その予算案の一部を修正する権限は法律上認められていません。

 

■ 議会もまた選択を迫られる
 議会は、村長が原案撤回−新予算案提出という選択をする場合は、その「新予算案」の提出をうけて改めて審議します。
 しかし、村長があくまでも原案に固執するという選択をする場合は、議会も二者択一の選択を迫られます。1つの選択肢は予算案を否決することです。しかし、「原案否決」となれば、必要だと考えられる予算も含めてすべての予算が成立しないことになります。
 そこで、もう1つの選択肢が浮かび上がってきます。
 それが減額修正動議の提出です。すなわち、村長提出の予算案のうち不適切だと判断される部分のみ減額する(削る)という動議を提出するのです。
 今次6月定例会で私を含む多数の議員が選んだ選択肢はこれだったのです。

 

■ 予算案の表決よりも先に修正動議が表決される
 さて、修正動議が提出された場合、議会会議規則により、村長提案の予算案の表決に先立ったって、まず修正動議の表決が行われます。
 そして、修正動議が可決された場合は、村長提案の原案の表決は行われず、議会が修正した予算案が予算として成立します。他方、修正動議が否決された場合は、村長提出の原案の表決が行われます。
 今回は、修正動議が可決されましたので、議員の提案で修正された予算が成立しました。

 

◎ 修正に至る経緯
 6月定例会には一般会計の補正予算案(第1号)と5つの特別会計の補正予算案が提出されました。


■ 6月補正予算案の基本性格
 6月定例会には毎年、補正予算案が提出されます。役場職員の4月人事異動との関係で予算補正が必要になるからです。
 みなさんは、「広報さかえ」に掲載される村予算のお知らせをご覧になったことがあると思います。そこには、「総務費」とか「民生費」、「農林水産業費」という費目はあっても「人件費」という費目はありませんね。役場職員の人件費は、たとえば役場総務課に配置されている人の給料については「総務費」の中に、産業建設課で農業部門の仕事を担当している人の給料は「農林水産業費」の中に入れられています。
 そのため、勤続年数が長く、給料が比較的高い人が3月までは総務課のある係に在職したが、4月1日付でこの人が他の課に異動し、その替わりに勤続年数が短く給料が低い人が入ったとなれば、総務課の予算を減らし、給料が比較的高い人が異動した先の部署の予算を増やすことが必要になります。

 他方、政策的な経費については、1年間の予算を3月に決めてから日が浅いですから、6月定例会に提出される補正予算に新規事業が計上されることは例外的な事態だといえます。

 

■ 今回、異常に大きかった商工費の補正額
 6月定例会に提出された一般会計の補正予算案は歳入・歳出ともに6,850万5千円増額するというものでした。(補正後の一般会計予算総額は36億2,850万5千円)
 そのうち、商工費の補正額は4,519万3千円。異常に大きいです。商工費の補正額の中にも人事異動にともなう補正が入っていますが、「商工費」の中の「観光費」で人事異動関係以外の補正が多くあったためです。主なものを書き出してみます。
    秋山地区二次交通事業          155万6千円

                       (当初予算は0円)
       *7〜10月の間、誘客のため、森宮野原駅〜切明間に

        周遊バスを走らせるというもの)
    苗場山自然体験交流センター改修工事   930万8千円

                       (当初予算1,061万8千円)
    切明温泉給湯ポンプ設置工事       668万9千円

                       (当初予算0円)
    栄村秋山郷観光協会補助金        445万円

                       (当初予算804万3千円)
 これはちょっと大きすぎます。当初予算編成時にわかっていたはずのものが当初予算に盛り込まれていなくて、6月補正で継ぎはぎをしたという感が否めません。こういう予算編成は基本的にやってはならないとされています。その点は後ほど改めて説明します。

 

■ 観光協会への補助金に不透明な点が多数出てきた
 6月定例会提出の議案を議員は6月9日に受け取りました。16日に定例会が始まるまでに議案を十二分に検討し、的確な質疑を行なえるように開会の1週間ほど前に受け取るのです。
 私はすべての議案(補正予算案以外に条例改正案などもありました)をしっかり読み込み、質疑の準備をしました。
 とくに注目したのは観光協会への補助金です。観光協会への補助金をめぐって、2つの不可解なことがあることに気づきました。
      村の当初予算にある観光協会への補助金約804万円

      について、その使途が村の予算書に書かれているもの

      と、観光協会の予算書に書かれているものの間に食い

      違いがあること。
        村予算では、「人件費補助(2名)554万3千円、雪ん子

        まつり開催補助100万円、観光誘客活動補助150万円」。
        観光協会予算では、「人件費補助691万円、イベント等

        活動補助金113万円」。
        なお、4月25日の観光協会総会では「雪ん子まつり補助

        金が得られていない」との説明がありました。
      観光協会では4月に職員が1名増えて人件費予算の増額が

      必要になっているのに、6月補正案の観光協会への補助金

      について補正予算説明書には「活動補助金(イベント・広

      告宣伝等経費分)」と書かれていて、人件費補助の補正は

      ないと思われること。
        観光協会の職員が1名増えたのは観光協会が勝手に決め

        たことではなく、役場商工観光課に勤務していた臨時職

        員の人について、村長自らが「4月1日以降は観光協会に

        移す」と決めたことによるものです。今議会で村長がそ

        のように説明しました。

 

 私は6月16日の補正予算案審議で、このことを質しました。他の議員も質問しました。
 質問への答弁の中で商工観光課長からとんでもない発言が飛び出しました。課長は補正予算額445万円の内訳についての説明の中で「雪ん子まつり開催補助100万円」と言ったのです。「雪ん子まつり開催補助100万円」は上に書いたように3月定例会で成立した当初予算にすでに計上済みなのです。つまり、二重計上(重複計上)ということです。あってはならないことです。
 議員はすぐさま、そのことを指摘しました。
 村当局は説明できなくなりました。そこで、村長が「後刻、観光協会の要望、村の予算査定を時系列で説明するものを提出します」と発言し、観光協会への補助金関係の審議は6月定例会の会期内の後日に持ち越されることになりました。

 

■ 二転三転する説明
 次頁に1つの表を示します。村の当初予算で決まった観光協会への補助金の内訳、観光協会が4月25日の総会で決めた観光協会予算のうち、村からの補助金に係るもの、6月19日に議会運営委員会に商工観光課長が示した観光協会への補助金の補正予算の内訳、さらに20日の議会全員協議会に示した内訳の4つを表にまとめたものです。
 前項で「二重計上(重複計上)」を指摘した「雪ん子祭り補助」は、16日議会での100万円という説明に対し、19日には81万2千円、20日には20万円と説明がクルクル変わっています。
 また、車両費、燃料費、修繕料、車検委託料、保険料は19日までの説明にはなかったのに、20日になって突然出てきています。しかも、それらは観光協会が村当初予算での補助金を財源として4月25日に総会で決定した予算ですでに計上しているもので、今さら補助を村に求めるようなものではありません。要は、16日には100万円、19日には81万2千円とした「雪ん子祭り補助」を20万円に減らすために「辻褄合わせ」をしているのです。
 こんな二転三転する、デタラメな説明に納得するとしたら、議員失格、議会失格だと言わなければなりません。
 だから、もう間近に迫っている「夏祭り」と「無茶フェス」への補助金150万円を除く245万円について、今回の6月補正予算から削り、もう一度きちんとした検討をして、次の議会に補正予算を出し直してくださいという「修正動議」が提出され、私たちはそれを可決したのです。

 

 

◎ そもそも補正予算とは
 予算の減額修正というのは、そんなに頻繁にあることではありません。栄村では少なくともここ10年の間には一度もなかったことだと思います。(ただし、長野県内の他市町村議会ではちょこちょこ事例があるようです。)

 そういう稀なケースなので、ここまで詳しく経緯等を報告・説明しました。
 そのうえで、ここでは、そもそも補正予算とは、どういう場合に編成するものなのかについて説明します。

 

■ 災害時、国の補助金の確定など限られた場合のみ補正
 栄村では昨年度、一般会計予算の補正がなんと13回にもわたって行われました。これはあまり正常なこととは言えません。
 私がよく引用・紹介する『議員必携』という本では、
    「当初予算は、年間の一切の経費を計上し、計画的に支出する

     建前になっているのであるから、物件費や人件費等の経常経

     費の補正は、特別の事情がある場合を除いて、みだりに行う

     べきではない。」
と記されています(同書239頁)。「特別の事情」とは、天災・災害の発生や、当初予算決定後に国の交付金・補助金等の額が確定した場合などです。
 栄村で昨年度、補正の回数が多かった原因としては、当初予算を島田茂樹村長(当時)が編成した後に、森川新村長が誕生したため、予算を補正する必要がしばしば生じたということがある、と私は解していました。
 しかし、本年度は森川村長が自ら当初予算を編成したのですから、「もともとわかっていたはずの経費を当初予算に計上していなかった」ことが根本原因と思われる今回の観光協会への補助金をめぐる補正予算のようなことはあってはならないのです。
 しかも、補正予算の算出根拠についての説明が二転三転したという事実は、予算編成作業、村長による予算査定がきちんとなされていないことを示しています。これは村の行政の土台を揺るがしかねない大問題だと言わねばなりません。

 

■ 議員も問われる
 上に引用した『議員必携』には、こんなことも書かれています。
     「補正予算は、必要とする費目の追加や削減の経費のみが提案

      されることから、予算を審議する側の議員にとっては、予算

      を総体的にとらえることが困難になりがちである。」

     (同書同頁)
 議員は、補正予算案を各人が持っている当初予算書と突き合わせ、補正予算案がどういう意味をもっているのか、適切な補正なのか、しっかり見極めることが求められます。さもないと、今回の補正予算案のように二重計上(重複計上)を見逃してしまいます。さらに、補正予算の審議が甘いと、当初予算の際に時間をかけて慎重に審議したことが無意味になりかねません。
財政赤字−財政再建が大きな課題になっている国政の場合、当初予算では財政赤字が増大しないように努めていながら、補正予算で公共事業等への大盤振舞(おおばんぶるまい)が行われ、財政赤字が膨(ふく)らんでいくということが問題になっています。
 栄村も財政事情が明るいわけではありません。
 議員はそれぞれの議会で提出される議案だけを見ているのではなく、当初予算、さらには前年度予算や決算も見ながら、しっかり補正予算をチェックしていく責任を負っているのです。

 

◎ 観光協会を真に主体的な団体として育てよう
 栄村の観光協会は、かつては各集落も参加する組織でしたが、現在は観光業関係者を主たる会員とするものになっています。ただし、個人加盟も可能で、私も今春、入会させていただきました。
 私は、栄村の観光を活発なものとするために、観光協会をもっともっと村民が主体的に参加し活動する団体として育てていく必要があると考えています。
 観光協会そのものは基本的に営利活動をするわけではありませんので、お金がほとんどありません。村の観光を発展させるために村が補助金を出すことは当然に必要だと考えます。しかし、村が補助金を出すということは、村(長)が観光協会に「口も出していい」ということを意味するわけではありません。「お金は出すが、口は出さない」が正しいあり方なのです。
 そして、いま、協会の事務局で頑張っている若い職員を大事にし、村民の思いが反映される観光協会の主体的な活動を促進していくことが、いま、とても大事になっているのだと考えます。
 今回の減額修正をマイナス・イメージで捉えるのではなく、観光協会の主体的な発展を実現していく第一歩にしたいと思います。

 

(6月定例会の他の審議内容については改めてご報告する予定です。)

 


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