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栄村復興への歩み
2011年3月に震度6強の地震で被災した長野県栄村で暮らす松尾真のレポートを更新しています。

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「グワーン」というクマの警戒音で撤収

 

 

  1枚目の写真では残雪がきれいな苗場山の姿が正面に見えます。2枚目はスキー場のゲレンデの上方を望んだもの。
 好天ということもあって、いずれも素敵な景色です。さかえ倶楽部スキー場のDコースからの今日6月6日午後の撮影です。


 いまの季節は、山菜採りの人が数多く入ってきます。4日の日曜日もこのあたりでワラビを採る人をたくさん見かけたと地元の人から聞きました。山菜採りに入って来ている人たちは地元の人ではなく、村外から来た人たちです。
 この場所近辺でワラビやゼンマイのいいものが採れる場所を知っている地元の人は、最近、この場所には入りません。なぜなら、5月2日にゼンマイ採りに出かけた青倉集落の女性Bさんがクマの穴と思われるものに遭遇し、クマの唸り声らしきものを聞いて、逃げてきたという経験があるからです。

 

「対策を強化するには実地調査から」ということで現場へ
 今日6月6日午後、私は、有害獣対策に取り組んでいるA氏に同行していただいて、5月2日の事件があった場所付近に調査に出かけました。下の写真のようなところです。

 

 

 手前に池が見えます。その先は、もう木の葉が繁り、鬱蒼とした森になっています。
 この池の近くでBさんが遭遇した5月2日の事件はありました。

 A氏と私は慎重に森の中に進みました。
 足場も悪くて、いい写真が撮れませんでしたが、この森の中の木々の間から「トマトの国」の建物が真正面に見えました。下の写真は「トマトの国」の一部が見えているものです。

 


クマの生息が確認できるものが多数
 4月27日に「トマトの国」の対岸の崖に出た大きなクマが逃げて行った先にあたるところには、クマの通り道と思われるものがありました。下の写真です。

 

 

 この通り道には、クマが爪で引っ掻いた痕、足跡、さらに大きな糞が見られました。
 私はA氏に教えられて分かるというレベルで、しかも足場が悪いので、いい写真は撮れていませんが、爪の痕、糞は撮れています。

 

 

 うまくピントが合っていませんが、木の幹に白っぽく見えるのが爪の痕です。

 

 

 これはクマの糞です。少し崩れていますが、かなり大量のもの。大人のクマのものでしょう。
 このすぐ近くで小さな糞がいくつかあるのも見ました。子クマのものかもしれません。


 このすぐ下はいっきに崖になっています。「トマトの国」から見える崖です。

 

「グワーン」という音を耳にして撤収
 そして、A氏が「こういう緑色の濃い木の下なんかにもクマはいるんですよ」という話をしてくれて、私が次に示す写真を撮った直後だったでしょうか、「グワーン」という音を耳にして、ちょっと気になりました。すると、A氏も「いま、音がしましたよね」と言います。私の空耳ではなく、あきらかにクマが警戒音を発したのです。

 

 

 「間違いないですね。クマがいますね。警戒音を出したのだから撤収しましょう」と話し、すぐに撤収しました。


 現場から下り、貝立橋の近くで車から降りてA氏と話している時に、5月2日の事件を私に教えてくれたBさんのご主人と出会いました。6月4日にもこの現場近くのゲレンデでワラビ採りをする人が多くいたという冒頭に書いた話を彼から聞きました。


現場地図と、ただちにとるべき緊急措置

 

 

 現場を示す地図です。
 水色はスキー場Dコース。赤丸が私が今日行き、クマの警戒音を聞いたところ。緑色は4月27日に大きなクマが崖を登って逃げたところです。
 水色で示したスキー場Dコースと村道が交差していますね。2ヶ所で交差していますが、より上の方、ここにはワラビ採りのためと思われますが、人が登った足跡がはっきり見られました。Dコースの中には今日はカヤがかなり伸びている箇所もありましたが、まだまだ採り頃のいいワラビも多数見られました。

 そこで、ただちにとるべき緊急措置は、この村道とDコースの交差する場所付近に、かなり大きな警告看板をただちに設置することです。
 この看板にはただ「クマ出没注意」と書くのではなく、
     「ここはスキー場のDコースで、いいワラビが出ていますが、

     このすぐ近くでクマの巣があることが確認されました。ここ

     からコース内に入ること、この近辺で山菜採りをすることは

     非常に危険です。この場付近で山菜を採ろうと思って来た人

     はただちにこの場を離れて下さい」
という具体的かつ緊迫したメッセージを書くことが必要です。
 私は村役場に緊急措置をとるように申し入れます。

 

今後、とるべき措置
 今回、クマの警戒音を聞いた場所は、昔は田んぼがあったところです。また、さらに昔は炭焼き窯もあったところのようです。その意味では「人間エリア」だと言えます。
 しかし、炭焼きが行われなくなり、田んぼもやられなくなって、いまは「クマのエリア」になっていると考えるべきゾーンです。
 この場所を「人間のエリア」に戻すのか、それとも「クマのエリア」として認知し、人は近づかないようにするのか、これから検討し、決定しなければなりません。
 「人間のエリア」に戻すという場合は、ただ観念的に「ここは人間のエリアだぞ」と思い、「クマを見つけたら撃って駆除する」というのではダメです。草刈り、森(林)の手入れ、そして人間が日常的に活動するエリアとすることが必要です。現在およびこれからの地元住民がそこまでやる気があって初めて、「人間のエリア」に戻すことができるでしょう。
 生半可なことでは出来ないことです。ただ、いい山菜は出るし、景色もいい(冬はスキー場のコース)。放っておき、「クマのエリア」とするのは残念だというのも事実です。

 当面は絶対に近づかない、上述のように緊急告知の看板を立てる。
 そのうえで、ひとまず、地元の古老たちから、昔、人びとがこのゾーンでどういう暮らしの営みをしていたのかを聞き取り、たとえば炭焼き窯の所在地(かなりの数があるはず)を地図上に落とし込んでいくというような作業をしたいと思います。
 そして、「人間のエリア」として回復する場合に必要な措置、エリアの活用方法などの検討に進んでいきたいと思います。
 冬の狩猟期間になれば、狩猟許可を所持している人にこの現場近くの様子を見ていただくこともありうるかと思います。


 ここに記したことは、この場所だけに限られた課題ではありません。この間、クマが出没している地点をめぐって、同様のことを追求していく必要があると考えます。

 

(了)


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