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栄村復興への歩み
2011年3月に震度6強の地震で被災した長野県栄村で暮らす松尾真のレポートを更新しています。

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中条川の現在の状況とこれから

 

 

 村の人ならば、この2枚の写真をパッと見ただけで、どこを撮影したものか、すぐにお分かりいただけるでしょうか。
 1枚目の写真は、「トマトの国」から中条川に下りて、上流方向を撮影したものです(7月31日撮影)。2枚目は、その地点から中条川を遡り、1号崩壊地の手前まで進んだ地点で撮影しました(7月18日撮影)。
 1号崩壊地手前には、ご覧いただけるように、大きな岩がドーンと居座っています。5年前の地震の時、あるいは3年前の土石流の時に1号崩壊地の方から流れてきたものが今もそのままなのです。また、1枚目写真には、壊れて錆ついた構造物がたくさん見えます。震災の翌年から設置工事が進められていた床固工(とこがためこう)というものが2013年9月の土石流で壊れた残骸です。
 以上のことから、まず確認していただきたいことは、地震から5年半が過ぎた今も、中条川上流の山腹崩壊と土石流の災害はまだ全く終わっていない、ということです。


 久しぶりに中条川の問題を取り上げます。
 じつは7月27日、中条川の見学会がありました。主催者は、中条川上流の1号崩壊地でいま、2つの工事を行なっているフクザワコーポレーション。


現在行われている工事

 

 

 1号崩壊地の崩壊斜面です。手前の看板は見学会用に27日だけ立てられたもの。
写真の左上に注目してください。小さく写っている黄色のものがあります。そこを望遠で撮ったものが下の写真です。
 崩壊斜面の縁(へり)で重機が作業しています。

 


 「落ちないのか?」 心配しますが、じつはワイヤーで吊られていて、しかも無線で操縦されている無人の機械なのです。
この日の見学会でフクザワコーポレーションさんが一番見せたかったものはこれのようです。
 「セーフティークライマー工法」というそうです。深沢工務所という会社が担当しています。「この工法でなければ手が出せない」ということで、深沢工務所さんは熊本地震で阿蘇大橋が落ちた現場近くにも間もなく行かれるそうです。
 中条川1号崩壊地での写真に見える作業は、崩壊斜面の大半にモルタル吹付工を行なう前段作業として、斜面上のオーバーハング(積雪屋根で言えば雪庇(せっぴ)のようなもの)を除去するものです。
 1号崩壊地では、この他、2号崩壊地との間で6号谷止工の建設工事が行われています(本紙No.288、6月30日付で紹介)。また、前頁の上右写真で示した中条川が1号崩壊地から下った直後のところに、作業道をつくり、川に面した法面の保護をする工事が間もなく始まるようです。この工事で写真に見られた大きな岩は姿を消すことになるだろうと思います。

 

工事はさらに数年続くようですが…
 2011年の地震の後に立てられた中条川の土砂災害の対策工事計画があります。2013年9月の土石流をうけて、工事計画は追加され、現時点では工事の実施はまだその計画の半分にも達していないといえます。
 もう1枚写真をご覧ください。

 


 「トマトの国」の裏手から中条川に入ったところで撮ったものです。
 大型土嚢から草がたくさん出ています。この大型土嚢が積まれてからの歳月の長さがわかります。
 土石流が発生した場合に「トマトの国」方向に流れるのを防ぐためのものです。しかし、土嚢は仮のもの。最終的には恒久的な導流堤をつくる計画です。しかし、それまでに写真に見える減勢工(鉄製の円筒形のもの)と1号崩壊地の間に3つの谷止工をつくり、 さらに、先の写真に見られる、壊れた床固工に替わる新たな床固工を行なう計画になっています。それらが完了するのに何年を要するでしょうか?

 

 私は、ここ半年ほどの間に、中条川問題について、考えが大きく変わってきました。その1つは、「1号崩壊地の崩壊斜面が新たに大きく崩れることは、大きな地震でもないかぎり、ないのではないか」ということです。現に、継続されている1号崩壊地斜面の動きを観察する高度な方法を用いた専門調査では「地盤は安定している」という結果が出ている、と県林務課は話しています。
 もう1つの変化は、「中条川と崩壊地は“自然の治癒力”に委ねたほうがいいのではないか」というものです。もともと、私はいわゆる「砂防ダム」的なものをいくつも、いくつも造ることには違和感がありました。そして、「トマトの国」よりも下流にある「砂防ダム」は2013年9月の土石流の際には「災害を防ぐどころか、むしろ災害をひどいものしたのではないか」というのが地元民の多くが共有する思いです。
 「一度決めた工事計画は変更しない」というのではなく、ここらあたりで一度、中条川について全面的な見直し作業をする必要があることを、私は提起したいと思います。


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