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2011年3月に震度6強の地震で被災した長野県栄村で暮らす松尾真のレポートを更新しています。

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松尾まことの議員活動報告No.48(9月26日付)

 

議会・議員はやるべき仕事を充分にしているか?

 

 議会9月定例会が9月7日〜14日、開催されました。今回は上に記したタイトルのとおり、《議会・議員がきちんと仕事できているか》ということに焦点をあわせて、報告を記していきたいと思います。

 

◎ 9月定例会の最重要の仕事は決算の審査
 9月定例議会は通常、「決算議会」とも呼ばれます。村から前年度(今回の場合は令和元年度)の歳入歳出決算書(一般会計と特別会計)が提出され、議会がそれを審査するからです。

 

■ 軽視されがちな決算審査
 3月定例会の予算審議が「脚光を浴びる」のに対して、9月の決算審議はややもすれば軽視されがちな傾向があります。と言うのも、「すでに済んだこと」の審査だからです。私たち議員が議員活動を行ううえで1つの指針とする『議員必携』でも、このことが問題とされ、次のように指摘されています。
    「決算審査は、ややもすれば執行済みのものとして

    軽んじられる傾向にあるが、議会が決定した予算が

    適正に執行されたかどうかを審査するとともに、各

    種資料に基づいてその行政効果や経済効果を測定し、

    住民に代わって行政効果を評価する、きわめて重要

    な意味があることを再認識すべきである。」

 

■ これからの行政のあり方を大きく左右する
 「行政効果を評価する」ことは、来年度以降の予算編成や行政のあり方を方向づけることにつながります。「成果があった施策」→「もっと強化しよう」、「成果が上がっていない」→「施策はいいが、やり方がまずいのか。それとも、そもそも無駄な、あるいは不適切な施策なのか」を見極める、…ということです。
 そこで大事になってくるのが、「会計年度における主要施策の成果説明書」というものです。これは地方自治法で首長に提出が義務づけられているものです。「決算書」は予算の金額と決算金額、すなわち数字しか書かれていないのに対して、「成果説明書」は「予算執行の単なる実績、データではなく、施策の実現を目指して措置された予算執行によって成し遂げた効果」をあきらかにするものなのです。
 栄村では、昨年まで「決算説明資料」というものが提出されていましたが、「予算執行によって成し遂げた効果」をきちんと説明するものにはなっていませんでした。一昨年、昨年の決算議会で私たちが繰り返し、「きちんとした成果説明書を出すように」と要望し、今年初めて、「令和元年度 主要事業の実績及び成果説明書」と題する文書が村から議会に提出されました。
 今回提出された「成果説明書」はけっして充分なものとは言えませんが、提出されたこと自体が大きな前進だったことは間違いありません。今期議会(H29年4月選出)の重要成果と言ってよいと思います。

 

◎ 今回の決算審査の特異性
 今回の決算審査の対象となったのはH31年4月1日から令和2年3月31日まで、すなわち令和元年度の予算執行です。森川村政4年目、いいかえれば森川前村政の集大成が審査の対象となったのです。ただし、5月に村長が宮川幹雄氏に代わっていますので、9月定例会への決算書提出は宮川村長の名で出されています。宮川氏が「村を変えなければ」と主張して出馬・当選したことからすると、変則的な事態といえます。

 

■ 決算の流れ
 決算は次のような流れで行われます。〔鮠譴硫餬彜浜者の下で、「決算書の調製」が行われます。△修痢峽荵蚕顱廚和篠垢膨鷭个気譟村長はこれを監査委員に送付します。4萄紺儖はこれを十分に審査し、村長に意見書を提出します。ぢ篠垢牢萄紺儖の意見書を付して、決算書を議会に提出する。

 

◎ 決算審査で着眼すべきポイント
 先に挙げた『議員必携』には「決算審査の着眼点」が16項目挙げられています。その中でもとくに重要と思われるのが、つぎの4点です。
    支出は適法適正であるか
    補助金の効果があがっているか
    主要施策の成果説明書の検討
    「財産に関する調書」の検討
 少し説明を加えます。,療世賄たり前のことに思えますが、行政が予算を執行する場合、「予算があるから」と言って無条件で支出していいわけではないのです。きちんとした手続きを経ることが必要で、この手続きがきちんと行われていないと、たとえ予算にある費目の支出であっても不適正ということになります。そして、その手続きは当然のことながら決裁文書として、文書記録が保存されていることが必要です。
 つぎに、△補助金。栄村では多くの補助金が出されています。主だったものとしては社協や観光協会があります。『議員必携』では、「従来の惰性に流れ、今後減額なり、むしろ中止するのが妥当なものはないか」、「補助を受けている団体の運営が、補助金のみに 頼っていることはないか」、「村長が補助金支出の結果や成果を精算書等の書面によって確実に把握しているか」などに留意するように促しています。
 また、い痢嶌盪困亡悗垢訥棺顱廚箸いΔ里和燭の人にとって聞き慣れない言葉でしょう。行政の財政は単年度主義で、「歳入歳出決算」は1年間の金銭収支しか捉えていません。企業等の決算における「貸借対照表」、いわゆるバランスシートがないのです。そこで、金銭収支に加えて財産、物品、債権、債務を含めた総合的な決算を見るべきだという考えから「財産に関する調書」が作成されています。

 

◎ 浮かび上がってきた問題点
 決算審査で議論(問題)になった点は多くあり、すべてについて書くことはできませんので、いくつかの大事な点に絞って報告します。

 

■ 支出の適正性はどうか、必要な手続きがなされているか
 まず、支出の適正性に疑問があるものが指摘されました。
 「起業支援事業」というものがあります。字のとおり、「新しい業を起こす」ことに対する支援金です。R元年度、予算は200万円であったのに、実際は325万1千円も支出されています。対象は、(有)栄村物産センターと(一社)きぼう。いずれもR元年度に起業されたものではありません。「物産センター」の場合、設立から20年を超えています。「起業支援事業」の対象には「既存の企業が異なる業種に進出する場合」も対象としていますが、この物産センターの場合、「トマトジュース事業の振興公社からの引継に関わる経費」が対象とされていて、とても「異なる業種への進出」には該当しません。
 また、「きぼう」の場合、新しい施設の開所に伴う「備品費」への支援となっていますが、じつは県から出された補助金4,353万6千円のうち、724万8千円は「開設準備(備品等)補助金」とされています。一般的には同じ費目に県と村が二重に補助金を出すことはありえません。
 いずれも「支出の適正性」に疑問符がつきます。

 

 また、支出に必要な手続きがきちんと行われていない可能性が大きいものも出てきました。議会が予算審議で減額修正した賃金に関するものです。当時の森川村長は「義務的経費にあたり、減額は承服できない」として、議会の再議にかけました。しかし、再議でも、議会は減額修正を是と決定しました。この場合、首長は「あくまでも義務的経費」だと主張して、自らの権限で減額分を予算に計上することができます。ただし、その額を「予算に計上」という手続きをしなければならず、その手続きをしていれば、それが文書記録として残ることになります。
 しかし、決算審査で質(ただ)したところ、そのような手続きをすることなく、他の予算からの流用で支出したとのこと。これは適正なことではありません。森川村政が法令に則(のっと)ったきちんとした手続きをせずに、予算執行をしていたことが明らかになったのです。けっしてあってはならないことです。

 

■ 補助金支出のルーズさ
 R元年度、栄村秋山郷観光協会に1,900万円、栄村社会福祉協議会に6,415万円の補助金(他に委託費211万3千円、指定管理料3,748万9千円)が支出されています。
 観光協会の場合、新型コロナ感染症対策でイベントが中止となり、約350万円の予算が余ったのですが、決算では全額執行になっています。「実績及び成果説明書」を見ると、「ウッドテーブル・イスの購入」(天池)、「かまくら用バルーンの購入」など、予算にはなかったものに支出されているのです。これは財政の「予算主義」(=財政は予算に基づいて執行すること)に反するもので、あってはならないことです。担当課長の答弁によれば、当時の森川村長が「承認」したとのこと。村長といえども、予算にないものを執行することは許されません。
 他方、社協への補助金の中に「相談支援事業等 724万8千円」というものがあります。ある議員が「この相談支援事業って、どういうもの?」と質したところ、民生課長は「心配ごと相談事業、……、団体事務局代行事業」と答えました。ところが、それらの項目は「委託費」に計上されています。議員が「二重じゃないの?」とさらに質すと、「委託費は経費分で、人件費が入っていないので、その分を補助金で出した」と答弁。たとえば、近年は金婚式の事務を社協が受託していますが、その時の事務的経費は委託費、人件費は補助金というのです。多くの議員は一瞬、狐につつまれた感じになりました。ありえない支出のしかたです。
観光協会にせよ、社協にせよ、その組織の性格上、村は必要な補助金は出さなければなりません。しかし、「いったん補助金予算が決まったら、用途が違っても支出してよい」とか、「補助金と委託費を使い分けて、先方の言う額を満たす」というようなことがあってはなりません。

 

■ 「財政調書」に対する無関心・無頓着
 R元年度決算の「財政に関する調書」で金額的に一番大きな変動は、「栄村振興公社出捐の証」が「前年度末残高 8千万円」から「決算年度末残高 0円」へと8千万円の減となっていることです。
 私は、「振興公社の清算について、現金・預金等の流動資産だけでなく、物的財産(一定額以上の備品等)についても、きちんとチェックしたのか」と、監査委員に質しました。答えは「していない」でした。「失念していた」、すなわち「そういう問題意識がなかった」ということでした。
 もっとも、これは監査委員だけの責任ではないと思います。振興公社への出捐金については、「権利の放棄」として、本来は議会の同意を得るべきものであったにもかかわらず、森川村政が「公社解散は村が与(あずか)り知らないこと」と言って、きちんとした手続きをしなかったことに根本的な問題があります。

 

■「成果説明書」の改善・前進点と残された問題点
 2頁で書いたとおり、今回の決算では「主要事業の実績及び成果説明書」というものが作成・提出されたこと自体が画期的な前進、改善点です。
 3頁から5頁にかけて指摘した支出の適正性や補助金支出のルーズさなどの問題点が決戦審査で浮き彫りになったのも、「実績及び成果説明書」で以前よりも詳しい事業内容・支出額の記述が手がかりになったからです。
 他方で、たしかに「成果の説明」はなされているものの、既述内容は「成果の説明」と言うにはほど遠いものも数多くありました。たとえば、先に紹介した社協への補助金の説明での「相談支援事業 7,248,000円」という記述などは「成果の説明」とはとても言えないものです。議員が質して初めて問題点が明らかになったのです。
 また、「事業の本来目的をきちんと把握しきっていないのではないか」という疑問を抱く記述もあります。たとえば、「稲作農家への支援 特A米60キロ当たり2,828円の支援金を給付 1,034万2,232円」の「成果説明」で、「特A米出荷農家に支援金を給付することにより、米の品質や生産意欲の向上が図られた」としています。しかし、これは、ふるさと納税制度の変更に伴って村へのふるさと納税額が大幅に減り、従前の特A米への上乗せ金を出せなくなったことに対する緊急措置です。このことがまったくおさえられていません。役場の担当者の交代の際に事業(施策)の狙いがきちんと引き継がれていないことが透けて見えます。

 

■ 行政のたて直しへ、重要な一歩が刻まれた
 ここまで、決算(書)の問題点をいくつか指摘してきましたが、これは「重箱の隅をつっつく」ことでもなければ、誰かの揚げ足をとることでもありません。行政・財政はどうあるべきか、その本来あるべき姿を明らかにし、村の行政を立て直す作業の重要な一環です。
 国ではこの間、「公文書の改ざん・破棄」が大きな問題になっていますが、村でも行政は本来あるべき手続きに従って事業を進め、その記録を残さなければなりません。そうしないと、「なんでもあり」になったり、正しい施策の遂行が不可能になったりします。
 いま、栄村は、宮川村長を迎え、あるべき行政の遂行へ困難な、しかし、やりがいのある仕事に踏み出しているのだと思います。

 

◎ 議会の問題点も浮き彫りに
 決算審査の意義については1頁から2頁かけて書きました。それを前提として、以下の記述を進めます。


■ 決算審査で1回も質問しない?!
 決算審査は議員全員で構成する決算特別委員会を設置して2日間にわたって行われます。今回の場合は9月10日、11日の両日でした。
 ところが、この間を通じて、1回も質問しない議員さん、あるいは質問したとしてもわずか1回という議員さんがおられます。私は、これは大問題だと思います。議員としての職務を遂行していないと言われても仕方ないでしょう。「議員とは何をするものぞ」、とくと考えていただきたいと思います。

 

■ 「傍聴者がいないのは何故か」も議会が考えなければならない
 9月定例会、傍聴者はかなりおられました。しかし、決算特別委の日は基本的にゼロです。重要な審査だけに残念でなりません。
 しかし、傍聴者の立場にたてば、やむをえない側面もあると思います。傍聴者は現状では、決算書を見ることができません。役場から議案書ないし資料の配布がないからです。私も議員になる前に傍聴の経験がありますが、予算や決算の審議、数字が飛び交う中で、資料を持たない傍聴者は何が議論されているのか、さっぱり分かりません。
 決算や予算の議案を村民に公開して不都合があろうはずがありません。村は傍聴者に決算(予算)書や議案を資料として配布すべきです。議会はそのように行政に要請すべきです。今後、まず、議会運営委員会で議論したいと思います。

 

■ 議会は検査権を行使すべき
 地方自治法は第98条で議会の検査権を規定しています。
   「普通地方公共団体の議会は、当該普通地方公共

   団体の事務に関する書類及び計算書を検閲し、当

   該地方公共団体の長……の報告を請求して、当該

   事務の管理、議決の執行及び出納を検査すること

   ができる。」
 法律特有の難しい表現ですが、分かりやすく言えば、村長が法令に基づく「決算書」として議会に提出する書類だけでなく、種々の書類や資料の提出を求め、調べることができるということです。
 逆に言えば、そういう書類や資料がないと、決算書自体の審査が不十分なものになりかねないので、こういう規定が法律で定められているのです。
 ただし、この検査権は個々の議員に付与されるものではなく、議会に付与されている権限です。したがって、本会議で決議しないと検査はできません。
 じつは、今回の定例会において、決算特別委が終わり、最終日の本会議での決算の認定採決の前に、議員全員協議会で「決算の認定と同時に、決算審査で十分には解明しきれなかった点をさらに解明するべく、本会議で検査のための特別委を設置しよう」という提案がありました。しかし、「全会一致」に至らなかったため、今回は検査権の行使を断念せざるをえませんでした。
 いわゆる「百条委員会」のケースが典型的ですが、「検査」とか「特別委設置」というと、まるで政治スキャンダル事件のように扱う風潮が現存すると言わざるをえません。とくにマスコミにその傾向が強いとも言えます。そこは変わってほしいところです。
 議会は、自らの使命の遂行として、検査権の行使をためらってはならないと思います。そうしてこそ、透明で公正な行政(村政)が実現されます。

 

 

 9月定例会(決算議会)の報告はひとまず、ここまでです。
 私自身を含め、現在の議員の任期は残り半年ちょっとになりました。振り返ってみて、議員としての仕事が十分にできているのか。胸に手をあてて省(かえり)みると、内心忸怩(じくじ)たるものがないとは言えません。もっとやるべきことがあるし、やらねば、と思います。そして、村民誰もが議会・議員に関心を強く抱き、若い人、女性、そして勤めを持つ人が議員という仕事にチャレンジしやすい環境を創っていかなければなりません。これからの半年余、そういう思いで頑張っていく所存です。


【後記】
 9月議会の報告が遅くなりました。議会中から右腕の調子が思わしくなく、しばらく治療優先でパソコン作業をしないようにしていました。治ってはいないのですが、いつまでも放置できないので、少し無理をして執筆作業をしました。
 暑かった夏も過ぎ去り、秋がめっきり深まりつつあります。いい季節です。紅葉も楽しみですが、行財政についての勉強も深めていきたいと思っています。いろんな疑問などありましたら、どんどんお声かけください。

(了)


松尾まことの議員活動報告No.44(4月16日付)

農地・農業政策が重要
〜3月定例会での森川氏との質疑から〜

 

 栄村にとって農業は基幹産業です。農地が守られ、農業が生き生きと展開されていてこそ、栄村です。
 3月定例会の一般質問の2つ目の柱として農業施策、とくに中山間地域等直接支払制度の第5期をめぐる問題と、ふるさと納税を原資とする農業施策・コメ政策を取り上げました。
 その質疑の全容を、議事録を基に紹介します。
  (話言葉の煩雑さを避けるために言葉遣いについて

   は編集しています。)

 

◎ 中山間地第5期への村の対応は?
松尾 中山間地域等直接支払の第5期ですが、この制度が栄村の農業にとってどの程度の重要性を持っていると村長は認識されているのか。まず聞かせていただきたい。
 上倉議員への答弁の中で、「第5期について、県に問い合わせた」という事でしたが、それはいつ頃のことなのか、教えていただきたい。
 集落協定に係わる人たちの5期に対する不安ですね。これに対して、昨日産建課参事がお答えになった対応で十分な対応になっていると村長はお考えかどうか。とりわけ、第5期で新たな課題となっている集落戦略ですが、直接支払制度に係わる国の農水省の第三者委員会の議論の記録を読む限り、第4期で既に全国の協定の約1割が取り組んだ集落戦略と大きくは異ならないものになると私は思います。
 そこで、第4期において農水省から既に過去3年くらいにわたって告知されている「集落戦略の記載例」というものを、村長と参事はご覧になっているかどうかお聞かせ願いたい。

 

森川村長 中山間地域直接支払制度は、私どものような辺地のようなところと、整備された地域の標準化をできるようにする助成金であると認識しています。ですから、農業をどこにおいても同じことができるということのために取り組んでいるものだと私は考えています。
 県に聞いたのは、この質問が出てから直ぐです。そして、産建課参事の言った内容はその通りだということで解釈しております。
 あと、集落の・・・何でしたっけ?
← 私が質問要旨通告を出したのは2月14日。森川氏はその後、初めて、第5期について県に問い合わせたと言う。第5期への取組が圧倒的に遅い!


松尾 「集落戦略の記載例」

 

森川村長 見たかどうかですね。申し訳ありませんが見たことはありません
← 「集落戦略の記載例」も見ていないとは! これでは村の農業施策をまともに考えることはできません。

 

 

松尾 参事は如何ですか。

 

産業建設課参事 国の方から中山間地直接支払制度の冊子の中で、「集落戦略の記載例」というものが1ページだけですが載っているのは見ております。

 

松尾 直接支払制度が非常に有利な条件のあるところと、我が栄村のような条件の不利なところと平準化するためのものだというのはその通りだと思います。だからこそ傾斜地が多い栄村での農業にとっては、これは必要不可欠だということだと思います。
 村長がお答えになった「昨日の産建課参事の答えが十分だ」というのはどうにも納得いかない。要は、色んな集落協定の親方をされている方とか、事務局を担っている方は、「いったい第5期というのはどういうものが要求されるのだろう」、これが不安でしょうがないのです。私は色んなところで第5期のことについて書いたり、話したりしていたものですから、つい2週間から3週間ほど前、村のある方からこういう質問を受けました。「集落戦略というのは、集落の人口ビジョンまで作らなければいけないのか」と。これはもっともな不安だと思うのです。「一つの集落の10年後の姿を描け」と言われたら、あの地方創生計画では、「計画を立てる前に人口ビジョンを示せ」と言われた事例がありますから。
 そこで重要な役割を果たしていくのが、この「集落戦略の記載例」なのです。これのポイントは何処にあるかと言えば、「現状はどうですか」、「4期までやってきた人はそのままその田んぼをやり続けられるか」、「自分がやれないという場合、もう既に委託する先が決まっているか」、「委託を希望しているけれども、まだ委託先が決まっていないかどうか」。これをまず答えなさい、丸を付けて。
 「概ね10年、15年後に向けて、そのそれぞれの田んぼを維持しようとしたら、どういう課題がありますか」ということへの回答も求められます。これ端的に言えば、「うちの農業法人で必ずこれは引き受けますという約束をしてくれている農事組合法人なり何なりが、その集落で確保されているかどうかを答えてください」という話なのです。
 だけど、これは栄村にとっては厳しいです。栄村にはそんなにまだ農事組合法人等々できていないですから。栄村の中でどれだけの法人が確保できるのかという事を含めて検討しないとなかなか集落戦略は書けない。
 こうなってくると、集落の努力だけではどうにもならない。やはり村がある種の指導力を発揮して、栄村全体の中で法人化に取り組めるところをどれくらい育成するかを考えなければいけない。
 今日、直ぐにそういうことについて村がどういう施策をするつもりか、とお尋ねする気はありませんが、要は、村の人たちが何を心配しているのか。そのことをキチンと担当部署が受け止めて、それに対応することを求めたいのです。
 そうしたら、「4期にこういうものが1ページだけあったのは知っているけども」と言って、「集落戦略の記載例」というものが農林省から出ていることを村の人に教えていないのは、これはやはり役場の対応としては不十分でしょうと私は申し上げたいです。やはり農政を担当している役場の係と、現実にそれぞれの集落で踏ん張っている人たちの間で本当にお互いの気持ちが通じ合うようなやり取りができないと村民の不安というものは取り除くことができないのではないか。その点について村長がどうお考えか、一言だけお答えいただきたい。

 

◎ふるさと納税を原資とする農家支援について
 つぎに、それから、要旨通告の2点目です。
 村長の施政方針で、令和2年度の重点施策の一つだと位置づけられた「米栽培農家支援」、これが本当に重点施策と呼べる、十分に意義ある施策になっているかどうか、私は疑問に思うのです。
 「作付面積に応じて支援」ということで提示されているものをよく計算しますと、1俵当りでは僅か700円しかならない。ふるさと納税を原資として特A米に加算されてきた加算金は1俵当り2,828円でした。今まで2,828円加算されていたものが、僅か700円となったら、これは農家はやっていけません。
 この「作付面積に応じた支援金」にする根拠として、村民に対して行われたアンケートの結果を上げられています。
 しかし、私、実にトリッキーな話だと思います。「作付面積に応じた支援金」とした場合に、1俵当り幾らの収入になるかが、アンケート実施の際に全然示されていないのです。従来のふるさと納税を原資にした特A米への加算は、自分の作った米のほとんどが特A米になったという人は満足しておられたけども、1等米が多いという方は大変不満を持っておられた。そこで、特A米だけの加算ではなくて、作付面積に応じた支援に切り替えるというのだったら、こちらに丸を付ける人は当然増えるのです。
 だけど、その時に「1俵当り2,828円ではなくて僅か700円です」と言われたら、これに丸を付ける人が果たしてどれくらいいるか。そこはよく踏まえて、あのアンケート結果を読み込んでいただきたい。
 ただ、村が無い袖を触れないのも事実です。ふるさと納税が1億2,000万円ないし1億5,000万円あった時と、2,000万円から2,200万円しか来ないというのとでは、元手が無いわけですから、無い袖を触れないというのは十分分かります。しかし、無い袖を触れないのですから、仮に2,200万円留まったとしても、この2,200万円をどう有効に使うかを考えなければいけない
 仮に2,200万円きたとしますね、それを農業振興基金に積んで、それを農家支援に回す。繰り返し言っておられますが、「返礼品は30%まで。返礼品代を含めて経費は50%まで。そうすると村で自由に使えるお金は1,000万円だ」と。
 だけど、村が1俵3万円で買い上げてくれて、「発送作業は自分たちでやりなさい。袋だとか、袋ラベルだとか、中に入れる返礼のお手紙は村の方で統一させていただきます」となれば、農家は間違いなく1俵2万円は稼げます。返礼品代3割以内、発送経費5割以内に収めることができます。
← かなりややこしい話のように思われるかもしれませんが、要はすべてを農協に委託するのではなく、村が返礼米を農家から1俵3万円(精米)で買い取るということです。
 そして、村にはさらに1,000万円残る。これをどう有効活用するかです。今はふるさと納税が2,200万円だとすると、新年度予算に書かれているように返礼品に使えるお米はせいぜい220俵か230俵。村にいっぱいもっとお米ができている。これをどうするか。村が支援するから皆さん直売に力を入れようではないかと農家に呼びかける。そして、村が例えば武蔵村山市にキャンペーンに行く、横浜の栄区にキャンペーンに行くという時に、「皆さんも自分の自慢のお米を5埖沺△△襪い呂修ΔいΤ稿でキャンペーンをする場合には1埖泙箸2埖泙諒が持って帰りやすいという事だったらそういう形で用意してほしいと。そういうキャンペーンにあなたたち自分で足を運ぶのでしたらその時の交通手段については村で1,000万円の農業振興基金を基にして村が車を出しましょう。統一の宣伝ののぼりくらいは村で用意しましょう。だけどやはり自分たちで稼がなければいけない時代になっているのです」ということを村が村民の皆さんにお伝えしていけば、1,000万円がもの凄く有効に活用できるではないですか。しかもその時は別に米に限らず、山菜を持って行ってもいいし、野菜を持って行ってもいいし、あるいは秋であればキノコを持って行ってもいい。
 とにかくふるさと納税を使った農家支援と言えば、「返礼品を特A米で出す。それは全部農協にやってもらう」としているから農家に入って来るお金が減ってしまうのです。経費が必要以上に膨らんでしまうのです。
 いま、私が話したような工夫を考えていただけないか。これは私の提案ですので、全面的な回答はできないかもしれませんが、そういう検討はしてみる価値があるかどうか、お答えいただければと思います。

 

森川村長 議員から言われた、まず第5期の中山間の関係、地元の役員になった方が心配されてはいけないと思います。やはりこれを率先して村の方で指導または入る、または村の方で事細かく心配ない対策を取れるように産業建設課参事の方から、まず、各集落の取り組んでいるところに周知文を出しまして、遅れている内容等も含めて、そして今後は村が状況を見て指導に入りますということで取り組みをさせていただきたいという方向にしたいと思います。
← 議会で相当にしつこく質さないと、こういう取り組みも始まらないというのが実状です。森川村政では農業施策にまともに取り組んでいないと言わざるをえません。

 

 また、今の米の関係のお話なのですが、ここまでの話になると村の本当に総合的な米の将来計画を見通した計画に練り直さなければなりませんので、ただ、これを直ぐに取り組むという事ではなくて、また研究しないという事ではなくて、早急に関係の部署で研究し、そして農業委員会、またそういう関係の農政審議会とか、関係のところで諮って「いかようなものか」ということで研究を大至急取り組ませていただきます。それは8月以内に取り組みをしたいと考えます。
← 私の提案に対して、森川氏は「ここまでの話になると村の本当に総合的な米の将来計画を見通した計画に練り直さなければなりません」と答えています。
 それは、言いかえれば、森川氏は4年間、村長の職に就いていながら、「総合的な米の将来計画」をまともに考えてこなかったということです。

 

◎農業施策と商店施策の一体性
松尾 積極的な答弁をいただきまして、これが一つの突破口になればと思います。
 ついでに一言付け加えさせていただきますが、午前中の7番議員の商店に関する質疑の中で、「今、この村の中で、地域で小売商店をやるというのは経営的に無理だ」というお話が村長からも商工観光課長からもありました。今、栄村の中で、例えば西部地区に1軒、東部地区に1軒、秋山地区に1軒商店を設けるとなったら、それは民間でできないです。できないけれども、今のふるさと納税を使って米の支援をどうするのか、あるいは農業政策をどうするのかという問題と商店政策はワンセットです。いま、全国各地で主流になっているのは、農業をどう持続させていくか、法人をどう立ち上げるか、5期にどう対応させていくかということと、商店をどうするかというのはワンセットで考えられています
 そもそも農水省がなぜ集落戦略ということを言い出したか。中山間地の直接支払制度は農地を守るという事からスタートしました。だけども、第三者委員会で議論されていることは、「農地を守ると言っても集落が無かったら農地を守れないではないか」ということです。
 だから今はこの関田山脈の裏側の櫛(くし)池(いけ)で取り組んでいることは、直接支払制度とワンセットで農業に取り組む法人で雪下ろしをやることです。上越の方は雪害対策救助員制度が無いですから。そういうことも取り組める総合的な法人に農業関係の法人を育てていってほしい。国も農水省だ、総務省だと行政縦割りにやっているのではなくて、総合的にミックスしてそういう取り組みができるように応援しよう、それが今、国の基本スタンスです。ですから、商店のことは商店のこと、農業のことは農業のことというふうに分けて考えるのではなくて、総合的に考えてほしい。交通対策もそれとワンセットということだと思います。
← 農業施策は農業だけにとどまらない広がりをもつということです。
 森川村政で停滞した農業施策を抜本的に改め、農業施策と「暮らしやすい集落」づくり施策を一体的に展開できるようにすることが必要です。

 


議員として何をなすべきか

 長々と一般質問の質疑内容をお読みいただき、有難うございます。
 お読みいただいてお分かりいただけたかと思いますが、私は行政を厳しくチェックすると同時に、「どうすればよいか」の提案も行っています。
 昨年6月定例会での農家支援策についての質疑(ふるさと納税制度の変更に伴う問題をめぐる質疑です)以来、森川氏は私の提案に対して受け入れるかのような答弁をします。村の施策の足りないところをきちんと指摘し、対案を提起しているのですから、そのようにしか答弁できないのでしょう。
 しかし、その後の展開をみると、「やる」と言ったことをなかなか実行に移してしていません。
 よくわかっていないのか、それともやる気が十分ではないのか。
 でも、課題は「待ったなし」のことですから、いつまでも待つわけにはいきません。
 この間、森川氏を支持する人たちの名前で出されているチラシを拝見していますが、農業施策をめぐっては、「実績」を誇るものもなければ、「今後の施策」の提起もありません。困ります。

 

 季節は、すじ播きから田起こし−代掻き−田植えという時期を迎えています。
 農業施策を充実させ、子どもや孫に栄村の農業を引き継いで行けるようにする。そういう使命が議員にはあると思います。
 みなさんには、そういう視点から身近の議員の活動状況をチェックしていただければいいなと思います。

 

(了)


松尾まことの議員活動報告No.43(4月10日付)

村の財政をさらに詳しく見てみます
〜森川村政下で財政状況はどう変化したか〜

 

 前号(第42号)は大きな反響をいただいています。
 写真で示したものが「小さくて見えにくい」という声もいただきましたなので、「普通会計決算収支」を見やすく提示し、さらにより詳しい説明もしたいと思います。

 

(上記数字の単位は千円)
(△は赤字を示します)

 

 この表は、村が作成・公表している「普通会計決算財政分析」の平成27年度〜30年度分をまとめたものです。
 普通会計とは一般会計と特別会計(公営事業会計を除く)を合算したもので、両会計で重複している分は相殺済みの金額です。
 上の表をご覧いただければお分かりいただけると思いますが、普通会計の収支について、3種類の数字があります。


   e実質収支、f単年度収支、j実質単年度収支の3種です。


 eの実質収支は、「歳入歳出差引額から翌年度繰越財源(事故繰越、繰越明許繰越)を控除したもの」です。繰越になった事業の歳入は決算額に含まれているのに対して、歳出には含まれていないので、翌年度繰越分を歳入歳出差引額から控除しないと、黒字が実際よりも多く出ることから、当然の計算法です。ここで言う「実質収支」の「実質」というのは、歳入には計上されているが、執行は翌年度に繰り越され、決算の歳出には含まれないものを除外して「実質」の収支差引額を提示するという意味です。


 fの単年度収支は、「実質収支から前年度の実質収支を差し引いたもの」です。
 たとえば、H29年度の実質収支は1億7,252万9千円の黒字。対して、H30年度の実質収支は2億2,386万5千円。したがって、2億2,386万5千円−1億7,252万9千円=5,133万6千円の黒字となります。


 以上のe、fに比して、jの実質単年度収支は、非常に大きな意味を有しています。
 単年度収支の黒字要素である積立金等と、赤字要素である積立金取崩額を加減したものだからです。行政の財政は単年度主義ですが、企業会計における貸借対照表(バランスシート)に相当するものがやはり必要です。つまり、現金・預金財産の実際の増減をみるのです。それがjの実質単年度収支です。
 H30年度の場合、f単年度収支5,133万6千円+g積立金8,894万4千円+h繰上償還額0円−i積立金取崩額5億8,027万2千円=△4億3,999万2千円で、大きな赤字です。
 さらにH27年度まで遡って見ますと、H27年度(島田茂樹村政最終年度)が2,146万5千円の黒字であるのに対して、5月中旬に森川村政となったH28年度は277万2千円の赤字、そしてH29年度に赤字額が一挙に膨らみ、4億4,742万7千円もの赤字になります。さらに、上記のとおりH30年度は4億3,999万2千円の赤字。
 急坂を転げ落ちるように、財政状況が悪化していることがわかります。
 そして、その原因が「積立金取崩」にあることは明白です。

 

● 歳入は減っているのに、歳出を減らさなかった森川村政
 なぜ、森川村政下で、「積立金取崩」が増え、実質単年度収支が赤字化してきたのか?
 1頁の「歳入」欄と「歳出」欄を見てください。
 「歳入」はH27年度の約41億円から、H28年度=約40億円、H29年度=約38億円、H30年度=約39億円と減る傾向にあります。
 それに対して、「歳出」は、H27年度の約36.7億円と変わらぬ約36億円規模がH28〜30年度も続きます
 歳入が減っているのに、歳出を減らさなければ、財政が悪化することは必然です。

 

● 「資料作成」を職員任せにして、自らは財政のきちんとしたチェックをしていないのではないか
 ここまで紹介・説明してきた数字はすべて、村役場が作成した「決算財政分析」に示されているものです。
 毎年9月の決算議会(9月の定例議会)に提出されます。前年度の一般会計決算書、特別会計決算書と共に議会に提出されます。提出権者は村長です。
 ただし、「決算財政分析」は「資料」として議会に提出されるもので、議員が質問しなければ、村側が口頭で説明することはありません。

 

 問題は、森川氏がこのような「資料」を自らの権限・責任で提出していながら、ここに示されている数字の意味するものをしっかりと考えているのか、です。
 そこで、私が気になっていることを提示します。本「議員活動報告」第41号で示した本年の3月定例議会での私の一般質問に対する森川氏の答弁です。

 

私は、「財政状況を判断するには基金残高と公債残高の比率が大事だ」と指摘したのに対して、森川氏は、「財政調整基金と減債基金を足したものと公債残高、やはり資料関係については、職員にも色んなものを作れといって頼んでおります。また今言った関係の資料については、データにして、過去から始まって今後の推計もある程度のところで作ってありますので、それを含めて考えていけばしっかりとした議員の言われるものが出てくるのではないかという考えでおります」
 要は、「職員に資料を作れ」と言うだけなのです。
 職員は、村長にいちいち指示されなくても「決算財政分析」をきちんと作成しています。問題は、その「決算財政分析」を村長がどう受け止めるかです。

 

● 財政の再建を真剣に追求しなければなりません
 既報のとおり、新年度(R2年度)一般会計予算は30億円をきりました。森川氏が「財政状況の悪化」を真剣に考えて歳出規模を抑制したというよりも、「無い袖は振れない」というのが実際のところだったのだと思われます。
 私たちはすでに来年度(R3年度)のことを考えなければなりません。
 森川氏は私の一般質問に対する答弁の中で、「30億前後で行かないと企業が潰れる、今の福祉政策などすべてに狂いが出る」と言い、30億円規模の予算を維持すべきだとしています。
 しかし、どう逆立ちしても、基金取崩と公債発行を除く純歳入は23億円程度しかありません。私はいま懸命に考えていますが、ギリギリの事業見直し・節約をして、約25億円の予算規模が必要になるとみています。一定の借入(公債発行)を避けることはできませんが、絞りに絞る必要があると思います。

 

 非常に厳しい話ですが、「村には明日の希望がないのか?」と言えば、“明日の希望”はあります。村民が、そして役場職員が率直にモノを言えて、いろいろと知恵を出し合える環境が生まれれば、希望への扉は開かれると私は確信しています。
 新型コロナウィルス感染症の拡大防止に努めながら、村民みんなの力を合わせて、頑張っていきましょう。

 


松尾まことの議員活動報告No.42(4月5日付)

ウソをついてはいけない!

 

 私が「議員活動報告」No.39やNo.41に書いたことへの「反論」なのでしょうか、「栄村の財政は大丈夫です!!」というチラシが撒かれています。
 私は議会での森川村長との質疑に基づいて報告を書いています。森川さんは、「議員が言われる通り、財政的には厳しいものがかなりあります」と明確に言い切りました。ここで森川氏が言う「議員」とは私・松尾のことです。

 

 

 村が作成・公表している「平成30年度普通会計決算財政分析」(上写真)に基づいて、チラシのウソを明確にしましょう。

 

実質単年度収支は約4億4千万円の赤字
 チラシは、「3年連続黒字決算」、「平成30年度 実質収支:2億2,286万円の黒字 単年度収支:5,133万6千円の黒字」と書いています。これはそのとおりです。でも、これはまさに上掲の「決算財政分析」の3頁に掲載されている数字ですが、その後に何が書かれているか(下写真)を隠してはいけません。

 


 「実質単年度収支については、4億3,999万2千円の赤字となりました」
 「実質単年度収支」とは何でしょうか?
 単年度収支を見る場合、黒字要素と赤字要素を見極める必要があります。黒字要素は積立金等です。平成30年度の積立金は8,894万4千円でした。他方、赤字要素は積立金取崩です。平成30年度は5億8,027万2千円。その差引は4億3,999万2千円の赤字となります。
 要は新たな貯金よりも貯金取崩の方が大きいのです。


返済に使える基金残高15億4千万円
負債残高は約28億9千万円

 チラシは「将来への負担無し」、「負債額より基金等の額が上回るため、将来支払うべき負担金は無し!」と言います。
 ここまでくると、政治責任が発生するほどのウソになります。
 やはり村作成の「決算財政分析」を紹介します。

 


 平成30年度末の村債残高(負債)は28億9,448万3千円です。

 


 基金残高は平成30年度末22億7,911万3千円。この数字ですと、負債が基金残高を約6億円上回るということになります。
 しかし、本当はもっと深刻です。「基金残高」のうち、「特定目的基金」と「定額運用基金」は使途が指定されていて、負債の返済には使えません。負債返済に使えるのは「財政調整基金」と「減債基金」のみで、計15億3,838万5千円です。したがって、負債の方が約13億5千万円ほど多いことになります。


国の補助金は大事ですが、
ほぼ同額の村の負担金が発生します

 チラシは、「道路改修工事などは国や県の補助金で行っています」と書いています。
 これを読むと、「道路改修工事に村はお金を出さなくてもいいんだ」と思ってしまいますね。でも、それは大間違い!です。
 次の表は、「令和2年度栄村一般会計当初予算説明書」の68頁です。

 


 泉平への道路と野田沢集落内の道路の道路改良費の説明です。
 2件の合計で事業費1億4,664万3千円(上の表の最後の段)。
 注目していただきたいのは「歳入財源内訳」(表の右側)です。
   「国庫支出金」―― 7,865万円 (53.7%)
   「地方債」 ―― 6,440万円 (43.9%)
   「一般財源」 ―― 339万3千円 (2.3%)

 

 国からの補助金は事業費の53.7%、約半分だけです。事業費の残りの大部分は「地方債」。これは村の借金のことです。
 「やってますよ!」と恰好をつけて、じつは事業費の約半分を将来世代につけまわし。あまりにも無責任!です。

 

議員の仕事は行政をしっかりチェックすること
 おわかりいただけたことと思います。

 政治家(とくに政府責任者、村では首長)は、自身の業績を誇張し、とくに財政について「問題はない」と言う傾向があります。とくに、選挙を前にした政治家はその傾向が顕著です。

 

 政府責任者(村も自治体政府です)を日常的にチェックするのが議員の仕事です。(「政府」のチラシを配るのは議員の仕事ではありません!)
 この仕事、じつはかなり大変です。
 村の予算書や決算書は、それを職務とする人(いわばプロ)が年々もの経験を基礎に数カ月かけて作成します。議員は、それを議会開会の10日ほど前に受け取ります。村議員の場合、国会議員などと違って秘書もいませんし、政党の専門家スタッフもいません。一人でコツコツ読み込むしかありません。
 議員になって満4年。前の報告にも書きましたが、「4年目にして、初めて予算書をかなりしっかり読み込めるようになった」というのが正直なところです。

 

 森川さんは役場職員でしたし、村長職を4年務めてこられたのですから、私などよりもよほど村財政に精通しておられるはずです。「森川こういち後援会」名義で、「すぐにウソがバレてしまうようなことは書くな」と是非、スタッフさんにご注意・ご指導をお願いします。

 

(了)


松尾まことの議員活動報告No.41(3月31日付)

3月定例会での森川村長との質疑内容を全文紹介します

 

 村議会3月定例会の一般質問で、私は財政、農業、地方自治法の3点について、森川浩市村長と質疑応答をしました。その全内容を紹介します。
   なお、議事記録に基づいていますが、発言の語尾部分の表記

   は煩雑さを避けるために一部整理しています。たとえば、

   「〜してございます」を「〜しています」と簡略化しています。
   また、を付けた箇所で、解説を加えます。

 

村の財政状況について
松尾 村長への質問で通告しているのは財政、農業政策、地方自治法に関すること、3つですが、まず財政です。
 実務的な事柄で総務課長にお尋ねします。令和2年度の予算が原案通りに成立したと前提した場合に、財政調整基金の残高は幾らくらいになるか。それから、令和2年度の予算が執行された場合、栄村震災復興特別基金が令和2年度末に幾らくらい残る見通しなのか。
 令和3年度以降の公債費は令和2年度当初予算と同じ程度に収まる見通しなのかどうか。それよりもはるかに異なる額なのか、お聞かせください。

 

総務課長 財政調整基金の残高の見込みですが、令和元年度の最終補正の予算ベースで考えて、元年度には8億9,400万円くらいの残高になるのではないかと予想しています。
 令和2年度の予算案においては、取り崩し額が1億7,450万円見ています。ただ、元年度の決算による余剰金の積み立てを約5,000万円ほど見込みまして、令和2年度末の残高、予算ベースでございますが、約7億7,000万円程度になるのではないかと予測しています。
 栄村震災復興特別基金ですが、2年度予算において取り崩し額を約1億1,700万円余り見込んでいます。そうしますと2年度末の予算ベースの残高見込みについては、1,700万円程度になろうかという予想です。
 公債費の見通しですが、今後どのような借り入れを組んでいくかというところに掛かってくるわけですが、基本的には例年程度の見込みで行きたいと考えています。向う10年間は元利償還見込みは約3億円台で推移していくのではないかと見込んでいます。借入をどの程度見るかは、その年の事業の内容にも大きく左右されますので、これからどのように見込むかというのはかなり難しいことか考えています。
  ☜ 財政のデータをしっかり確認しました。

 

松尾 ここからは村長にお尋ねしたいのですが、私、先月21日に令和2年度の予算書をいただいた時に、率直に申し上げてある種の衝撃を受けました。1年前くらいかもしれませんが、「栄村の財政規模というのは、震災から8年、9年経って、通常の財政規模に戻して行かなければならない。それはだいたい30億円を少し超えるくらいか」という認識を村長お示しになっていた。ところが、令和2年度の予算書をいただいたら総額が29億円台だった、30億円を切ったことにある種の衝撃を受けました。
 そこから色々と考えたのですが、これを家計に例えますと非常によく分かると思うのです。例えば、月30万円の給与所得があるという場合に、その30万円を丸々そのご家庭で1か月間消費できるのかというと、そうではない。ローンがあれば、そのローンを返済しなければいけない。家計で必要なお金があれば、新たなローンが組めたら新たなローンを組む。それから、手元に預金があれば、その預金を一部取り崩す。そして自分の家で1か月間どれだけのお金を回せるかを考えるわけです。でも、よくよく考えると、ローンを返して、もう一方で新しいローンを組む。これは差し引きゼロみたいになってしまう。それから、預金の取り崩しというのは、その瞬間は消費に回せるお金が増えるからいいけども、結局先々心細くなってくる。
 そういう考え方を村の財政について当てはめて、財政調整基金からの取り崩し、地方債の発行によって確保されている財源、それから、逆に今まで借りた地方債を返済するために出さなければいけない公債費、こういうものがどれだけ令和2年度の予算の中にあるかという事を計算してみますと、約7億4,900万円になります。
 そうすると、村税とか、地方交付税交付金、国庫県支出金などの純収入額で実際に村が何らかの日常的な政策、事業を実施するのに使える金額というのは、22億1,000万円ちょっとという金額なのではないか。これが栄村の現在の本当の財政力なのではないかと私は思うのです。しかも、今、総務課長から紹介いただいた本年度においては財源として1億1,700万円確保できた復興基金が、来年度にはもう1,700万円しか残っていない。この復興基金がどういう予算に使われているのかというのを見ると、かなり村の基本的な施策の実施にこの基金が使われている。
 そういうことを見ると、令和3年度以降の村の財政運営というのは、相当厳しくなってくるのではないか。これは誰かれの責任というものではなくて、客観的な現実の問題として私はそういう認識を持たなければいけないのではないかと思うのですが、その点について村長はどのようにお考えかということが第1点です。
 2点目は、文書で通告したものを少しかみ砕いてお尋ねします。
 昨日の上倉議員への答弁で、村長自身が、「従来通りの事業実施がかなり厳しくなってくる」、「工夫が必要だ」、「例えば、今までだったら単年度でやっていたものを2〜3年かけてやる」等々認識を示していましたが、それは言いかえると、「村民の皆さんに対してこれまでと同じようにはいかないものが出て来ます」ということをお伝えしなければならないということなのではないかと私は受け止めました。そういう認識で間違いがないかどうか
 そういうことを村民の皆さんにお伝えしていかなければならないとなれば、皆さんのご納得をいただくには、その予算財政と不可分の関係にあります諸施策の決定プロセスが透明で村民の大多数が納得できるものになっていることが不可欠になってくると思います。
 そういう点から見ますと、現在の村政の運営は透明性とか、住民に対する説得性という点で不十分な状況にあるのではないか。
 村長は初日の施政方針で、こう言いました。「第6次栄村総合振興計画に基づいて主要事業を設定する」と。ところが、こういうふうに言われても、総合振興計画が過去3年間で、何がどこまで進んで、何が課題として残っているのか、その残っている課題を実現していくために令和2年度はこういう予算を編成したのですということが丁寧に示されないと、多くの方は、なかなか予算や施策の妥当性を判断できないのではないか。私はそういう認識を持つのですが、村長はどういうふうにお考えか、それをお尋ねしたいと思います。

 

森川村長 議員の言われる通り、財政的には厳しいものがかなりあります。震災後、復興財源で色んな事業ができました。ところが、それがもう令和3年度でゼロになってしまう、ここで財布のひもをしっかりと締め直さなければならない
   ☜ 村長自ら、財政の危機を認めました。
 そして、総合振興計画は10年の方針であるだけなので、3年の実施計画において、毎年ローリングしたり、また見直しをかけておりますので、そちらの方にかなり力を注がなければならないだろう。
 今回、職員においては、例年の査定のやり方、単年度事業とお金だけを見るのではなくて、3年間の実施計画をまず出していただきたい、その計画によって次の査定、第2回目に入るというような取り組みをさせていただきました。できるかぎり30億円前後まで下げさせなければならない。
 今後は、私は30億円前後で行かなければ村の一企業も潰れていってしまうのではないかと危惧しております。震災前の22〜23億円まで下げる、それを急激にやってしまいますと村の流れが変わってしまう。村の今の福祉政策から全て、まず冬期のスキー場、そして今のデマンドバス関係全て狂いが出ないようにしなければなりません。村民に負担をかけることは私にはできないということで、今回査定も厳しいのですが、職員にもその流れを分かっていただかなければならない。
  ☜ 今後の予算規模は30億前後か、それともそれを下回るか、

   重要な論点です。
 

 今回、財政調整基金においては、先ほど申した通り、8億9,000万円、なから9億円ほど。この2年間、29、30年度ですが、そこに積んであった約6億円、それを減債基金の方に振り分けをしました。ですから総体的に財政調整基金は15億円ほど残っていることになります。ただ、借金の返済のための減債基金についてはみておかなければならないだろうということで、ゼロ円の基金のところへ6億円を振り分けました。できる限り財政を絞るところに入らなければならない時代に入ってきたということで、職員と一緒になって今後の予算も見直しをするというところで取り組んでおります。
 村民に周知する、その前に、実施計画をしっかりとしたものにしておかなければ村民にも間違いが出てしまう。数字または事業名だけが村内を回ってしまう、また予算的な面で「今年はうちの事業をやるのではないか」と、そういうトラブルになってしまいます。そういうことの無いように処置したものを今後は村民と共に近年中には考えなければならないだろうという考えでおります。
 そして、同じような事業については一本化しなければならない。過疎債から辺地債の流れも*、もし取り組めれば取り組んでいかなければならない。少しでも有利な方向へもっていかなければならないだろうということで職員と共に考えを進めているところであります。以上です。
   *過疎債は従来、村が使っている地方債で、元利返済

    の7割が国の地方交付税で措置される。それに対して、

    辺地債は国が「辺地」と認める地域での事業をめぐ

    って発行できる地方債で、元利返済の8割が地方交付

    税で措置される。栄村の場合、「中央」、「北野」、

    「秋山」の3地域が「辺地」に該当する。


松尾 当村が置かれている財政的な状況の厳しさについては共通の認識が持てたのではないかと思います。これは、この議会の議場において村長と議員、あるいは傍聴者が共有しているというだけでは不十分で、村民の皆さんに、この厳しい現実というのはお伝えしていかなければならないと私は思います。
 今、村長が答えられたことについて、私は2点指摘をさせていただきたい。
これから実施計画をしっかり立てるということについては勿論異論はございませんが、総合振興計画はスタートしてから既に3年経っているという中で、やはり振り返りがもっとキチンと行われなければいけないのではないか。この3年間、その計画を何処まで前に進めるのかということで毎年予算を付けてやってきて、それがその予算を付けただけに値する成果を実現できているのか。それとも、予算を投じた割には効果が無かったのか。そこの検証をしないと、今後の実施計画についても本当のことは分からない。「実施計画を下手に村民に公表すると、事業名と数字だけが独り歩きして、誤解を生じかねない」、それは村政の最高責任者として担当しておられる方のご心配として分からなくはないですが、やはり日ごろから行ってきた事業についての評価、これがキチンと提示されていれば、今後の実施計画について「村に潤沢な資金があって実施計画に載った以上は必ずされる」、まだ役場の中で揉んでいる最中のものについて下手に公表すると、「全部が全部実現される」という誤解が村民の中に生じるという心配は、私は無くなってくると思います。
 村長の施政方針及び昨日の様々な方の一般質問への答弁の中で、ある種の施策について「思ったようにいかなかった」ということも率直に言っていた。で、あれば、その「上手くいかなかった」というのは何故なのか。ここについてもっとキチンと掘り下げて提起をしていただきたいということが一つです。それについて村長のお考えをお聞きしたいと。
   ☜ この点について、村長は結局、答えてくれませんでした。
 それから、財政調整基金についてですが、減債基金の6億円は公債費に充当されるものだと思いますが、仮に、この減債基金と財政調整基金を併せて、今、村長が言ったよう15億円から16億円くらいなるということを前提にして私は考えたのですが、ある首長経験者からこういうお話を聞かせていただきました。「自治体の財政を見る場合に、非常に分かり易い目安としては、基金の残高と公債残高、これを比べてみる。その場合の基金残高というのは、財調と減債基金を合わせて、これと公債残高というものを比較するのがいいのではないか。この比率が100を上回るとあまり健全な財政状況とは言えない。やはり100以下に収まっていてほしい」というお話を聞きました。
 平成30年度の決算で見ると、栄村の基金残高は財調と減債基金を合わせて10億3,856万円です。他方、公債残高は28億9,448万円。比率は188%になります。これと対照的なケースとして、長野県内の小川村の数字を紹介いただいたのですが、こちらは平成30年度の予算ベースですが、基金残高が29億8,400万円、公債残高が21億8,800万円で、比率は73.3%です。
 震災以降、6〜7年は通常とは違う財政状況だったことは十分承知していますが、栄村が震災から9年、10年を経て通常の財政ベースに戻していくという場合に、もう一つの手法として、この基金残高と公債残高の比率というのを一つの目安として頭に置くべきではないか。ちなみに小川村は人口が2,600人で、一般会計規模は当初予算で26億3,800万円です。私は一つの参考になると思うのですが、その辺のことも含めて今後財政の運営について考えていっていただけるかどうか。村長のお考えをお尋ねします。

 

森川村長 まず、最初の総合振興計画の検証、これは必要です。やはり、色んな事業をその中で実施計画等持っておりますので、その実施計画についても職員ではPDCAサイクルを使って評価をしなければならないだろう。できる限りそれを各担当部署で、各課の中で進めていただきたい。それをまた含めて総合振興計画の検証を進めなければ、またそれについては各委員の検証関係をやるのですが、数字的なものをしっかりと出したものについて、それで職員が1つ1つの事業についてPDCAサイクルの、その評価をしたものについてまた研究できるように考えていきたいと考えます。
   ☜ PDCA=計画・実行・評価・改善のこと。
    これを行うのは職員であるかのように村長は言って

    いるが、検証を行うべき責任者は村長自身です。森

    川氏はこのことの認識が致命的に弱い。
 財政調整基金と減債基金を足したものと公債残高、やはり資料関係については、職員にも色んなものを作れといって頼んでおります。また今言った関係の資料については、データにして、過去から始まって今後の推計もある程度のところで作ってありますので、それを含めて考えていけばしっかりとした議員の言われるものが出てくるのではないかという考えでおります。
   ☜ 職員に「資料を作れ」という問題ではありません。

    「基金と公債残高の比率」など村長自らすぐに計算

    できるもの。問われているのは、「188%」という

    栄村の危機的な比率に対する森川氏の認識です。

 

松尾 厳正に議論を進めたいと思いますので、今のやり取りを私は記録に残して、次の質問に参りたいと思います。

 

 以上が、一般質問での村の財政に関する質疑の全容です。

 

森川氏は、なぜ、自分のチラシで村の財政状況について一言も触れないのでしょうか?

 

 議会という公の場で、「議員の言われる通り、財政的には厳しいものがかなりあります」と明言した森川氏が、この1ヶ月半ほどの間に「栄村長 森川浩市」という署名を入れた村内のほぼ全世帯に配ったチラシでは村の財政状況に一言も触れていません。何故なのか? これが不思議でなりません。
 4年間、村長職を務めてきて、「村長就任後は、重責に身の引き締まる思いで、村民皆様の大きなご期待と信頼に応えられるよう、全力で取り組んでまいりました」(チラシ「森川こういちのお約束」より)とまで言っているのですから、自らの村政運営の結果として、村の財政状況がどうなっているのかを村民のみなさんに報告することが、真っ先にやるべきことだと思うのですが、森川さん、どうなのでしょうか。
 森川さんが議会の場で、「財政は心配ない。松尾議員の言っていることはデタラメだ」と言ったのだったら、話は別ですが、あなたは「(松尾)議員の言われる通り、財政的には厳しいものがかなりあります」とはっきり言っているではありませんか。
さらには、「財布のひもをしっかりと締め直さなければならない」とも言っているではありませんか。
 それでいて、「こんなことを実現しました」、「あれも実現しました」、そして、「次はこれをやります」、どうしてこんなことを無責任に言えるのでしょうか。

 

役場を明るい雰囲気に変え、ムダをはぶき、村民の叡智を結集すれば、25億円規模でも村はやっていけると、私は考えます

 森川さんは、「予算は30億円前後で」と言っています。でも、令和3年度には「栄村震災復興特別基金」がほとんど無くなる(R2年度は約1億7千万円)のですから、「30億円前後」の財源は確保できません。仮に公債発行で「財源を確保」とすれば、村の借金が増えるばかりです。
 森川さんは、30億前後にしないと、福祉、スキー場、デマンド交通などが「今まで通りには出来ない」と言っています。本当でしょうか? 福祉、とくにいわゆる「総合事業」(デーサービスなど)のあり方について、厚労省のガイドラインなどを研究してみました。その結果、もっと少ない経費で、より利用しやすい・村の活力を使えるサービスが可能となることがわかってきています。
 また、スキー場も、もっと効率的な経営・運営方法があります。
 デマンド交通については、さまざまな継ぎ足しによって複雑で費用がかさむものになっている現状を、一度、じっくり見直す必要があるでしょう。

 役場職員が変な気遣いをせずに済む役場となれば、そして、村民がもっと自由に参加できる行政に変われば、村の底力が湧き出てきて、財政の危機をのりこえていくことができると思います。
 まずは、役場の雰囲気から変えていくことが大事だと思います。

 

(農業、地方自治法に関する質疑は次号にて)


松尾まことの議員活動報告No.40(3月20日付)

議員として見てきた4年間の森川村政
  ―不透明、分断、クルクル変わる?

 

 私が補選で議員に当選したのは4年前の4月。森川氏が村長選で当選したのと同時でした。議会の場を通じて、森川氏の村政運営をずっと見続けてきました。「議員活動報告」として、これまで踏み込んでこなかったことを含めて、村民のみなさまに報告したいと思います。

 

◎ 疑問が多い人事(国派遣、副村長、農業)
 「予算と人事は村長の権限です」――これは森川村長の口ぐせのようになっている台詞(せりふ)です。
 予算編成権はたしかに村長にあります。ただし、予算を審議し、決定するのは議会の権限です。「予算は村長の権限」という森川さんの解釈は地方自治法を正確に理解されているとは考えにくいです。
 それはさておき、ここでの主テーマは《人事》です。
 役場職員の人事はたしかに村長の権限です。そのため、「疑問があるなあ」と思っても、議会の場でも、なかなか口に出しにくいというのが正直なところです。
 でも、やはり疑問があることは疑問としてしっかり質さなければならない。そう思って、先日の3月議会で私は質問しました。

 

●せっかく育てた〈ジオパーク専門職員〉を、後任者も育てないままに、国(国交省)に派遣してしまうのか?
 村の予算項目の中に「社会教育費」というのがあり、さらにその中に「苗場山麓ジオパーク」関係予算があります。令和2年度予算では739万7千円です。そのかなりの部分を占めるのが、「総会、CAP会議、定例会議の開催、全国大会、全国研修会への参加」に係る予算です。
 森川村政ではジオパーク担当部署を教育委員会とし、社会教育担当の1名の職員が3年間にわたって上記の会議、大会、研修会等に参加し、必要な知識等を蓄積してきました。かなりの経費がかかっています。「3年かけて、ようやくジオのことが一通り分かるようになった」というのが率直なところだろうと思います。ジオに精通する栄村役場初めての職員だと言ってもよいのではないでしょうか。
 ところが、その職員が4月から「職員研修で国に派遣」になるというので、「質問しづらいなあ」と思いつつも、思い切って3月議会で質問しました。質問の趣旨は、「多くの予算を費やして大会や研修会に参加して、やっとジオのことが一通りわかるようになったばかりなのに、なぜ、この職員を国交省派遣するのか。代わりのジオ担当職員を育てるのに、また多くの時間と経費を要するのではないか」ということです。
 森川氏は「職員を派遣して、国交省から喜ばれている」と言うばかりで、ジオ職員の養成にかかる時間と経費の問題、後継者がまだ確保されていないという問題については答弁がありませんでした。ちなみに派遣先の国交省の部署はジオと関係ない部署のようです。
 森川氏は、「国への職員派遣で国とのパイプが育つ」とも言っていますが、もともとは、「私(森川)には国との太いパイプがある」だったのではないでしょうか。「太いパイプ」はいつから「職員のパイプ」に変わったのでしょうか。

 

● 副村長について森川氏にはきちんと説明する責務があります
 「国への職員派遣・研修」という話でどうしても思い出されるのが森重副村長のことです。
 森重副村長は、森川氏から「職員研修」の責任者に任命され、「国への職員派遣」の必要性を強調した人でした。その森重氏、昨年12月に突然、退任されました。昨年12月の定例議会でも森重氏は「国への職員派遣」を強調されていました。ところが、その直後、議会最終日、本会議が終わった後に、「この12月一杯で退任」と発表されたのです。
 森重氏、2016(H28)年12月の着任時、長瀬団地に入居されました。しかし、2018(平成30)年2月、突然、飯山市木島に引っ越されました。「本人の健康上の問題と犬を飼える家の確保」が理由でした。今回の退任では、「家庭の都合」が「理由」として挙げられました。
 村のNo.2の進退に関わることにしてはあまりに素っ気ない「説明」です。森川氏は任命責任者として、もう少し丁寧な説明をすべきでしょう。森重氏が担当していた「職員研修の責任者」が誰に引き継がれているのかも明らかにされていません。
 3月議会に提出された令和元年度補正予算で、「特別職人件費」195万4千円の減額修正がありました。「副村長退任に伴う減額」とのことです。本年1〜3月の3ヶ月分が195.4万円というのですから、副村長の人件費は年間で781万6千円、森重氏の在任期間は3年間でしたから、計2,334万8千円ということになります。
 村民がひとつ、ずっと疑問に思ってきたことがあります。「副村長って、飯山に行っちゃったけれど、村民税を払っていないの?」ということです。これは私も議会で質問できずにきてしまいました。ただ、副村長と一対一で話した議員がいました。故阿部伸治さんです。「事情があって住民票は栄村に移さなかった。就任にあたって村長の了解を得てあります」とのお答えだったそうです。
 2,300万円を超える支払、そして村民税の非徴収。財政が苦しい栄村にとって、とても大きな問題です。森川氏には具体的で丁寧な説明をしてもらいたいと思います。

 

● 村民が頼りにしている職員が異動させられる
 役場職員(公務員)には人事異動がつきものです。職務の公正な遂行のためにも異動は必要なことだと思います。
 と同時に、「あの分野のことはあの人に尋ねれば、すぐに答えてもらえる」というように、村民が頼りにしている、特定の専門分野に強い職員がいることも事実です。この点は、その職員への配慮というよりも、村民に対する配慮という意味で、人事権者の村長は大いに気にかける必要があることです。
 しかし、村民が頼りにしている職員が突然、異動になり、その後、その分野では多くの村民が不自由を強く感じる事態が続いています。農業の分野です。栄村の基幹産業に関わる問題です。
 私は、元の職員を戻すべきだと主張しているわけではありません。基幹産業たる農業について、しっかりした行政の体制が必要なのに、森川氏はこの3年間、その手をまったくうっていないことが問題だと考えるのです。
 「人事権者は村長」です。だからこそ、村長たる者、村民の多くが心の底から納得できる人事を行う責務があります。森川さん、いろんな「お約束」をするよりも先に、これまでのことについて、村民が納得できる説明をきちんとしてください。

 

 

◎ クルクル変わる施策 ―― 代表例は観光、とくに秋山観光
 「森川こういちのお約束」というチラシが配られていますが、その中に「観光振興」の項があって、「秋山郷内の誘客宿泊者数2万人の実現に向け」という文言があるのを見て、正直なところ、びっくりしました。

 

● 「施政方針」では「日帰り観光推進」、チラシでは「秋山郷内宿泊2万人実現」――どちらが本当ですか?
 昨年の前半あたりまでは、森川氏、「秋山宿泊2万人へ」と言っていましたが、今回の3月議会での「施政方針」を含めて、議会ではまったく口にしなくなっていたからです。いや、「施政方針」では「飯山駅からの高原シャトル便や越後湯沢駅からの直通バス運行に取り組み、気軽な日帰りの栄村観光を推進します」と言っています。森川さん、「日帰り」では「宿泊者数2万人」は実現できませんよ。
 森川氏が新年度の「新規の大型事業」として挙げた観光施策は「野々海高原の誘客事業、雪の回廊事業」だけです(予算約160万円。ただし、小雪で中止の方向)。私は野々海の活用、とりわけ春の雪の活用を長年にわたって薦(すす)めてきましたので、「雪の回廊」は大いに結構ですが、行き当たりばったりではうまくいきません。秋山観光の強化はどうなったのでしょうか。

 

●いま、商工観光課はどこにあるか
 そもそも、森川氏は村長就任直後に「商工観光課の拠点を秋山支所(とねんぼ)に移す」としました。それがまともに機能したのはその年だけです。商工観光課の所在地はスキー場を経て、いまは「絆」(森宮野原駅前震災復興祈念館)です。森川氏は「代わりに秋山振興課をつくった」と言うかもしれませんが、だとすれば栄村の観光の中でいちばん大事な秋山観光は商工観光課の所管から外れたということです。実際、秋山の観光について議会で質問をすると、答弁は商工観光課長ではなく秋山振興課長です。

 

● 「のよさの里」をめぐるドタバタ
 3月議会では、秋山観光をめぐって、マイナスの意味で大きな動きがありました。「のよさの里」の指定管理者をヤドロクとする指定管理協定がいったん議会に提出されながら、取り下げられたのです。理由は、「ヤドロクさんから分家に車で直接乗りつけられるように渡り廊下の撤去を求められたが、そのようにすれば膨大な経費がかかるので、指定管理を村の方から取り下げた」というものです。
 指定管理者の決定にあたっては、事業計画書・収支計画書の提出はもとより、プレゼンテーションも行われています。当然、村は「どんな風に運営するのか」を細かく聴いたうえで決定したはずです。直接の責任は秋山振興課長なのかもしれませんが、秋山観光の振興は、森川さん、あなたの目玉だったではないですか。そもそも、今回の指定管理者決定、事業収入予定がわずか400万円に対して指定管理料は550万円という信じられない内容でした。
 4月からは再び村直営のようです。すると、また昨年のように、500万円、1千万円の補正予算投入ということになりかねません。
 とにかく基本施策がクルクル変わるのはもうご免です。

 


◎ 役場と村の暗い雰囲気を変えることが必要だと思います。《分断》は村政で最もやってはいけないこと。
 村民のみなさんからよく言われることがあります。「役場に活気がない」ということです。
 いや、頑張ってくれている役場職員、たくさんいます。
 しかし、なにか役場の空気がおかしいことは私も感じます。
 いちばんの問題は、〈職員が村長に率直にモノを言える、そして村長は職員の意見に耳を傾ける〉となっていないことだと思われます。

 

● 村長発言に不満を表すと処分の対象?!
 思い出します。もう1年以上前のことですが、村長が「特命課の嘱託職員は、ただ指示されたコピー取り等だけをやっている臨時職員とは違う」と議会で発言した時のことです。「この村長発言に怒っている臨時職員がおられます。村長、発言を撤回してください」と私が議会で申し出たとき、森川氏は何と、「その臨時職員は誰か、教えてください。内部情報漏洩で処分します」と言ったのです。
 信じられない発言です。臨時職員(4月からは会計年度任用職員)の人たちは本当によく仕事をされています。「正職員以上の働きだ」と評価する村民もたくさんおられます。「ただのコピー取り」視、一(ひと)時代も二(ふた)時代も昔の感覚ですね。


● 処分恫喝をかける一方で、その人のアイディアはとる
 昨秋の台風19号被害の直後のことです。
 議員仲間の中で「村内の被害状況をきちんと見て廻ろう」という話になり、私は他の議員2名と共に、秋山や天代・坪野、千曲川沿いなどを見て廻りました。
 私は災害現場のことをレポートしたことで森川村長から損害賠償を要求されるということが昨春にあったので、台風19号被害の写真発表にあたっては、村長室を訪れ、「こことここの被害状況写真を公表しますよ。なにか村にとって不都合はありますか」と森川氏に直接声をかけるようにしていました。
 秋山の被害状況を見た翌日に村長室を訪れました。私が「ミズノサワの先の土砂崩れ」と言った瞬間です。森川氏は「あそこに行ったのか。立入禁止だろう。議員倫理規程違反だ」と言ったのです。議会で7ヶ月以上にわたって私に対する議員倫理規程違反疑惑が問題とされていた時期です。議員倫理規程は議会内のもので、村長は関係ないものなのですが、こういうことを平気で言うのです。
 私が、「分かりました。ミズノサワの先の土砂崩れ現場の写真は使いません」と言って、その場を鎮めました。そのうえで、「でも、村長、ミズノサワは秋山の紅葉観光の一番の人気スポットです。あそこで写真を撮りたい人が多いのです。ミズノサワまでは車で行けますが、車が多くなると、車の引き返しが厄介なことになります。通行止めにしたうえで、雄川閣駐車場あたりから村がシャトルバスを出すようにするといいのでは」と提案しました。森川氏は「そんなに人気のスポットなの? 商工観光課長に検討させる」と答えました。
 その日の午後、商工観光課長に会う機会があり、「村長からこういう話があるかもしれない。積極的に考えてください」と話すと、課長は「村長から指示があって、シャトルバスを出すことになりました」と答えました。
 シャトルバスが実現したことは嬉しいことです。でも、森川氏は私とのやりとりは課長に話さなかったようです。
 私は自分の利益のために提案しているのではないですから、べつに森川氏が「松尾の提案だ」と紹介してくれなくても結構です。
 しかし、他人のアイディアはいただく一方で、私への処分恫喝はそのまま。そして、10月議会全員協議会では私の発言中に、傍聴席から「警察介入を!」と野次を飛ばしましたね。
 要は、「自分の言いなりになるのであれば面倒みてやる。言いなりにならないなら、アイディアはいただくが、恫喝は続ける」ということなのでしょう。
 こういう森川氏の施政が村の空気をなにか暗いものにしてしまうのだと思います。

 


◎ 本当に「村民第一」、「住民が主人公の村づくり」なのか?
 森川氏は、「森川こういちのお約束」で、「村民第一です」、「住民が主人公の村づくり」と繰り返し書いています。
 私はこれを見て、「本当か?」と思わざるをえません。
 というのも、私が実際に見た・聞いた森川氏の言葉・行動はその正反対だからです。

 

●「村民が誤解するといけないから、情報は公開しない」――これが森川氏の実際の態度
 この議員活動報告の前号(第39号)で報告したとおり、3月定例議会=予算議会の最大のテーマは《村の財政》でした。私は財政が厳しく、村民のみなさんに我慢していただかなければならないことが出てくるだけに、政策決定過程を透明化する必要があると主張しました。たとえば、新年度予算案を2月末に突然公表するのではなく、国や県と同じく、各課・各部署からの予算要求−査定のプロセスを公表することです。
 ところが、森川氏は「そういうものを公表すると村民に誤解が生じる危険がある」と言って公表を拒みます。2017年度に村が長野県中小企業経営診断協会に村内4観光宿泊施設とスキー場の経営診断を依頼し、その報告書が提出された時も、同様の扱いでした。一定の時間が経過した後に議会には内容を示しましたが、「村民が誤解するといけないから」という「理由」で、内容を村民に知らせることを禁じました。

 

● 「村民が誤解する」とは、一体、どういうこと?
 「村民が誤解するといけない」とは、「村民には情報を正しく読みとる力がない」というのと同じ意味ですね。
 森川さん、「住民が主人公の村づくり」と言うならば、「村民にむらづくりを一緒に考えてもらう」ことになりますよね。そして、「考えるには情報が必要」となりますね。ところが、「誤解するといけないから情報は出さない」。だったら、どうやって考えろって言うのですか?
 言っていることと、実際にやっていることが真逆ではないですか。言葉だけ格好いいことを言うのは止めてください。

 

● 「和をもって協力」と分断・個人攻撃は相容れません
 「和をもって協力」――これも「森川こういちのお約束」に書かれている言葉です。
 昨年秋、とても盛り上がったラグビーのワールドカップ。「ONE TEAM」が流行語になりましたが、ラグビーで大事なことがもう一つありますね。「試合が終わったらノーサイド」です。試合では激しくぶつかり合うが、試合が終わったら、敵・味方なく、共にたたかった相手をたたえ合う。そういう精神です。この精神があってこそ、村政において「和をもって協力」が成立します。
 でも、森川氏が4年前の村長選後初めての村議会で発した言葉は、阿部伸治さんへの「あなたは他候補選対の副本部長ですよね」という敵対感をむき出しにしたものでした。議場にいた誰もが驚きました。新聞もその驚きを書きました。
 今回の3月議会初日(3月3日)もまた同じことをやってしまいましたね。私の質問にキレてしまい、答弁を拒み、最後はとうとう「松尾議員は利益誘導している」と攻撃しました。一村の長たるものがキレるなんて、本当に恥ずかしいことです。首長たる者、あってはならないことです。


 私は村会議員選挙に立候補した時、「情報を徹底的に公開する」ことを唯一の公約にかかげました。ですから、議会でどういう議論があったのか、「議員活動報告」を書き、村民のみなさんにお届けしています。
 村議会では「議事録」というものが作成されています。議会での議論の様子をより詳しく知りたい方は誰でも、議事録を見ることができます。それは法律で保障された村民の権利です。公的なことは情報がオープン、これが「和」を保ち、「分断」を排し、村に明るさと活力をもたらす最大の源泉となります。
 村民みんなが明るく、和気あいあいと活発に議論して、素晴らしい栄村をつくっていきましょう! 近隣の市町村の人から「栄村は大変だね」なんて同情されるような状況から脱け出しましょう!

 


松尾まことの議員活動報告No.39(3月11日付)

森川村政は大失敗
〜3月定例議会であきらかになったこと〜

 

 議会3月定例会は令和2年度一般会計予算などの議案を審議し、3月10日に閉会しました。この議会を通じて浮き彫りになったのは、森川浩市氏の村政4年間が大失敗だったことです。今号では3月定例会の焦点となった4つの問題に絞って報告と解説を行います。

 まず、予算の採決に先立つ《討論》での私の発言の全文を紹介します。

 

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 令和2年度一般会計予算案の採決にあたり、賛成する立場の意見を表明します。
 これは、予算案を審議しながら、ここ数日間、考えに考え抜いて行なった苦渋の判断です。
 本予算案の審議を通じて明らかになったように、栄村の財政状況は、令和3年度においては恒久的諸政策の財源確保の見通しが立てられないという危機的な状況にあります。
 この危機の原因は何でしょうか。ここ数年、震災復興等関連予算により最大時、通常財政の2倍以上に膨らんだ村財政を平時の財政規模に戻すことが必要になっている中で、平時財政にソフトランディングさせることに失敗したことが原因です。
 そして、それは森川村長が、十分な財政検証をすることなく、放漫財政を続けたからこそ生じた事態です。

 

 森川村長は今議会で、財政が厳しい状況であることは認めました。定例会冒頭の施政方針も、財政状況を反映して抑制的な基調でした。
 しかし、事もあろうに予算審議議会開催中の8日あたりから、「森川こういちのお約束」というタイトルのチラシを村の各世帯に撒き始めました。このチラシは公職選挙法に抵触している可能性が限りなく大であるものです。このチラシで、本定例会での質疑内容に反することが書かれています。一例を挙げます。「農業経営について」の項で、「近年農業形態が、集落営農型および法人営農型に代わりつつあるため、農機具への助成制度を新設し、省力化を推進いたします。」
 森川村長。集落営農への農業機械導入を助成する制度は、平成31年度予算で、多くの集落の要望を背景に私共議員が求めたにもかかわらず、あなたが「資金がない」ことを理由として、打ち切った施策ではありませんか。そして、これから採決する令和2年度予算では、従来からの農家支援策も満足にはできないことが明らかになっているではありませんか。
 議会での審議内容、村長自身の答弁内容に反する、こんな無責任な「公約」を宣伝するというのは、いったい、どういうことなのでしょう。このチラシはただちに撤回していただきたい。
 あなたに令和2年度予算の執行を委ねることはできません。
 これから採決される令和2年度一般会計予算は、森川村長のための予算ではありません。栄村村民のための予算です。
 村長選挙を1ヶ月半後に控え、本来ならば、暫定予算、いわゆる骨格予算にとどめるべきでした。しかし、今から暫定予算に組み替えるのは時間的にも厳しいと考えます。よって、本予算案を村民のための予算として成立させたいと思います。
 審議を通じて、いくつかの費目・政策については、執行の留保、見直しを求めています。担当の課長のみなさんにはその点をしっかりとお守りいただけるようにお願いします。

 また、需用費等の執行において、財政状況に鑑みて、最大限の経費節約を求めました。村の財政の危機的状況をまだ皮膚感覚的に十分には受け止め切れていない発言が一部の課長さんからはありましたが、今回の予算審議等を充分に反芻(はんすう)して、これまでとは異なる感覚での予算執行にあたっていただきたいと思います。課長のみなさん。あなた方の双肩に村の財政の命運がかかっています。村民に奉仕する立場にあることを改めて再確認し、職務を遂行してください。
 以上で、討論を終わります。

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 保坂良徳議員、斎藤康夫議員も同様趣旨の討論をしました。他方、島田伯昭議員は森川村長を全面支持する趣旨での討論をしました。

 

◎ 栄村の財政はどういう状況にあるのかを説明します
■ いきなり30億円を切った一般会計予算
 令和2年度の栄村一般会計予算は総額29億5,800万円です。
 栄村では9年前の震災後、復旧・復興関係で予算(財政)規模が大きく膨らみました。しかし、復興関係の大きな事業も終わり、森川村政がスタートした頃から、通常の予算規模に戻すことが課題となっていました。森川氏が初めて予算編成した平成29年度予算は35.6億円、平成30年度は37.1億円、平成31年度(令和元年度)は32.2億円です。
 森川氏は平成31年度予算をめぐる議論の中で「通常の予算規模は30億円台前半」という認識を示していました。ところが、今回の予算はいきなり30億円を切り、29億5千万円。予算書を受け取った時(2月21日)、率直に言って、驚きました。
 何が起きているのでしょうか?

 

■ 家計に置き換えて説明してみます
 億の単位の話では村民のみなさんには馴染みにくいかと思いますので、家計に置き換えて説明してみたいと思います。
 一般会計予算約29億5千万円というのを、我が家の年間予算が295万円だという話に置き換えます。
 ただし、給料などで得られる年収が295万円あるということではありません。所得は295万円もないのですが、1年間の経費として295万円が必要だという話です。

 

    《支出》1年間の暮らしに264万円が必要。

        その他にローンの返済が31万円ある。
        両方を合わせて295万円。
    《収入》所得は233万円。貯金を35万円取り

        崩す。さらに新規のローンを27万
        円組む(借金)。

 

 こんな状況です。かなり苦しいですね。ローンの返済の一方で、新たなローンを組むというのは借金を返すために新たな借金をしている状況だとも言えます。別の言い方をすれば、年間295万円の家計ですが、ローンのことを考えると、実際は268万円の家計だといえます。所得が来年以降増える見込みは基本的にありません。そこで、大きな問題になってくるのは、「貯金の取り崩し」がいつまで可能なのかです。
 じつは、ここに大きな危機があります。我が家にはA口座とB口座という2つの貯金があります。A口座貯金は、病気や災害で所得が減った場合に備えるものです。令和2年度末の時点で77万円という見通し。これは災害で家が壊れるというような非常事態さえなければ、いましばらく持ちこたえられそうです。しかし、B口座貯金は震災に際して実家から特別にもらったお金を貯蓄したもので、令和2年度スタート時点では約13.4万円強あるのですが、これからの1年間で11.7万円取り崩してしまい、年度末には1.7万円になってしまいます。
 このB口座貯金、もとは25万円あったのですが、年々の生活費の一部に充てるために取り崩してきました。この貯金は震災に際して実家から特別にもらったお金が元になっているので、今後、増えることはありません。
 しかし、このB口座貯金の取り崩して日々の暮らしに不可欠な支出に充ててきたので、来年度以降、これまでの暮らしを維持するにはおカネが足らないということになります。

 

■ 「復興財政」頼りの財政の破綻
 B口座貯金、村の財政では「栄村震災復興特別基金」というものです。これが何に使われているのか、主なものをあきらかにします。
     集落活動支援金、人工透析通院支援、高校生等通

     学費補助金、予防接種事業、起業支援事業、新規

     雇用奨励事業、住宅リフォーム支援、若者定住マ

     イホーム支援、空き家活用等事業、集落公民館改修

 村の重要施策、そして森川氏が自らの「4年間の実績」と自慢している施策の財源です。令和3年度以降、これらの施策の財源がなくなるのです。質疑で課長が「財源をなんとか探したい」という苦しい答弁をされていましたが…。
 なぜ、こんなことになってしまったのでしょうか。
 「栄村震災復興特別基金」とは、元は、国が栄村の震災復興のために10億円を県を通じて供出したものです。当初は、村が復興に関わる重要事業の計画を県に提出し、県がその計画を了承した場合に、お金を村に渡していました。しかし、震災から5年を経て、平成28年度、県は残額の2.5億円を村に渡し、村が自主的に計画的に使うことを認めました。
 この2.5億円の使い方を、村、とくに森川村政は間違ったのです。本来は1回限りの「復興のための特別な事業」に充てるべきお金を、毎年必要となる事業(=恒久的事業)の財源に充ててしまったのです。原資が2.5億円の使い切り資金を恒久的事業の財源に充ててしまったのです。言いかえれば、「復興財源」に頼り切り、通常財政のあるべき姿の追求を怠ったのです。
 財政に通じている役場職員は、森川村政の財政運営のこういう問題性に気づいていたようです。でも、森川氏は職員の意見に耳を傾ける人ではありません。さらに、森川氏は4年前の選挙の際、「私は課長経験者。係長しか経験していない人とは違う」と自慢していましたが、残念ながら、役場で財務関係の部署で仕事をした経験がありません。「村の財政は、財務関係の部署を経験しないと分からない」と言われます。
 私はおのれの不明を恥じます。議員を4年間務めさせていただいてきて、満4年目を前にしてようやく村の財政の本当の姿が分かってきた次第ですから。
 今回の3月予算議会を前にして、過去の予算書も引っ張り出しながら、予算書を徹底的に読み込みました。ギリギリ間に合ったとも思います。4月に村長選があるからです。村長選では、この村財政の深刻な状況をしっかり頭に刻み込んで、私たちは賢明な判断をしていきたいと思います。

 


◎ 中山間第5期、ふるさと納税・農家支援策をめぐる問題
 3月議会では、一般質問と予算審議で、4月から始まる中山間地域等直接支払の第5期への村の準備・対応、ふるさと納税寄付金=農業振興基金の大幅減少(1億2〜5千万円から2,200万円程度に減少)と特A米加算金の廃止・農家支援策のあり方が、議論の大きな焦点の1つとなりました。

 

■ 議会直前に慌てて県に問い合わせた森川氏
 栄村の農業にとってとても大きな意味を有する中山間地域等直接支払制度。4月から第5期に入りますが、「集落戦略」の作成が求められるなど、内容が大きく変わります。各集落協定の責任者などが役場に「どうなるのですか?」と問い合わせても、回答は「国の制度がまだ届いていない」の一点張り。役場の対応への村民の不満と不安が高まっています。
 森川氏は4日の上倉議員の質問に答えて、「県に問い合わせた」と答弁しました。そこで、私は5日の一般質問で、「県に問い合わせたのはいつですか?」と尋ねました。すると、驚くべき答弁が出てきました。「一般質問の質問要旨通告を受けてから」というのです! それは2月下旬ということです。森川氏は議会一般質問の通告がなければ、栄村の農業にとっての大問題に関心をはらわず、調査や勉強をしていないのです。農水省のHPで数年前から公表されている「集落戦略の記載例」も森川氏はご存じありませんでした。

 

■ 稲作農家に玄米1俵2万円を保証する対案の検討を求めました
 ふるさと納税・稲作農家支援で森川氏が令和2年度予算案で示したのは、「ふるさと納税収入は2,200万円。返礼品としてJA米を購入するなどJAに854万円の委託費を支払う。農家には総額1千万円を上限に作付面積に応じて1反当たり5千円の支援金を出す」というものでした。
 「1反5千円」とは、1俵当たりわずか700円。これでは稲作農家はとてもやっていけません。私は、「返礼品としてJA米を購入するのではなく、農家から白米1俵3万円で購入。その代わり、返礼米発送は農家のみなさんにやってもらう(→村内の農事組合法人等への作業委託も可能)。他方、ふるさと納税で得られる収入のほぼ半額1千万円強は、農家によるお米の直売強化にむけての経費等の支援に充てて、栄村のお米のブランド販売を強化する」という対案を提案しました。この対案は玄米1俵2万円を農家に確実に保証することを目的としています。
 森川氏はこの対案の検討を農業委や農政審議会等に相談すると答弁しました。
1俵わずか700円の補助にとどまる村の案は少なくとも6月まで凍結して、ふるさと納税の真に有効な活用法をみんなで編み出していきましょう。これも4月の村長選の結果次第ということになります。

 


◎ 農産物直売所の指定管理更新をめぐる問題
 3月定例会には「栄村農産物販売所の指定管理者の指定について」という議案が提出されました。直売所かたくりの施設管理のことで、栄村農産物販売所出荷運営組合を指定管理者にするものですが、なぜか期間が1年間に限られています(従来は5年間)。どうやら、森川氏は物産館と直売所の経営統合を進めたいようです。
 また、指定管理に関する村と組合の協定書には「指定管理料支払い」の条項があるにもかかわらず、村は組合に補助金200万円を出すとして、指定管理料を決めていません。今議会に村が当初提出した「のよさの里」の指定管理協定では、事業収入がわずか400万円に過ぎないのに、550万円もの指定管理料を支払うとしているのとまったく対照的です。
 私は、指定管理制度及び指定管理料について、2018年9月定例議会で森川村長が答弁した村の基本方針を示しながら、「なぜ、村は指定管理料を支払わないのか」と質問しました。私の論旨は明解でしたが、森川氏は質疑の途中から、「議員が何を質問しているのか、分からない」と言って答弁を拒否、さらに、「議員は組合員か?」と尋ね、私が「設立当初から組合員です」と答えると、「議員の質問は利益誘導だ」と言って、私を攻撃しました。私が出荷運営組合の組合員であることは議員資格にまったく抵触しませんし、利益誘導にも該当しません。自分が答弁できなくなったら議員を攻撃する。まったく村長としてあるまじき態度です。
 森川氏は村長就任以来ずっと、直売所かたくりを敵視しているとしか思えない態度をとり続けています。農家が自らの農産物を自分が考えた価格で販売できる直売所は農家を元気にする大事な施設です。店長の小林さんが急逝された中、必死で頑張っている直売所を私はさらに応援していきたいと思います。

 


◎ 下高井農林高校の存続を願う意見書を可決
 3月定例会には多くの請願書・陳情書が提出されました。その中の1つが、「下高井農林高校を地域キャンパス(分校)化ではなく、現在のまま存続を求める請願」です。
 この案件は重要案件として、付託先の総務文教常任委員会での審議に先立って、3月4日の議会全員協議会(議長提出)で闊達(かったつ)な議論を行いました。首長らで構成される「岳北地域の高校の将来を考える協議会」は、「飯山高校、下高井農林高校の2校が存続が困難な場合は、下高井農林高校を地域キャンパス(分校)とする」という意見書を1月14日に県教育委員会に提出しています。しかし、高校生、父母、地域住民からは「議論が不十分」という批判の声が上がっています。そういう中での請願書提出です。
 議会は請願を採択したうえで、「県教育委員会が3月中に決定する第2期高校再編第一次分に岳北地区を含めないことを求める」という趣旨の県知事、県教育長宛の意見書を全会一致で可決しました。
 なお、3月定例会冒頭の教育施政方針で、石沢教育長は「飯山高校、下高井農林高校の2校存続を第一義とする」旨をあきらかにしています。議員の中にも、「首長・行政が決めたことに反する意見を議会が決めるのはどうか」という躊躇(ためら)いがあったようですが、住民の声に耳を傾けることこそ議会の使命です。議員として、議会として高校再編問題、下高井農林高校の存続・発展について、さらに勉強し、研究を深め、議論を進めていきたいと思います。

 

 

◎ 議員は何をしてよいか、何をしてはいけないか
   ――村長選をめぐって
 村長選挙が近づいてきています。
 その中で、議員が立候補予定者などと一緒に村内世帯を挨拶廻りする姿も見られます。村民の方から質問を受けます。「あれは、いいんかい?」と。私は選挙管理委員会でもありませんし、警察でもありませんから、断定的には言えませんが、常識的には「個別訪問禁止」に抵触する可能性大ですね。
 議員が村長選に関わることそのものは禁止ではありません。どういう村長が望ましいか、自分の考えをあきらかにすることはまったく問題ありません。しかし、議会、議員は行政を監視する責務を負っていますから、候補者ベッタリというのはよくないと思います。
 議員は3月定例会で浮かび上がった森川村政4年間の功罪について、自らの見解を表明したうえで、日々の議員活動を行うことが求められます。

 

 

◎ ようやく見えてきた議員活動のあり方
 3月定例会では、千曲川の湯滝橋〜十日町市中里の間が国の直轄管理ではなく県管理になっている(いわゆる「中抜け区間」)状況を解消するよう求める意見書も可決しました。この意見書を考えるため、2月の全協で、この「中抜け」の法的背景などについて私が調べたことを報告・説明させていただきました。
 また、6頁に記したふるさと納税・農家支援についての対案、今後、全協の場でより詳しく議論する機会を得たいと思っています。また、議会は昨年11月、福島県猪苗代町見祢集落を訪れ、集落営農の発展方法、農産物の販売等について学びました。その成果を活かすためにも、全協で議論し、よりよい政策を形成していくことが求められます。
 長野県飯綱町の議会改革が有名ですが、私は議員5年目を迎えて、ようやくですが、議員がどういう役割を果たしていくべきか、具体的に見えてきた感じがしています。
 「議会でこういうことを議論してほしい」ということ、是非、ご意見・ご要望を積極的にお寄せください。

 


松尾まことの議員活動報告No.38

村政の転換が必要です
〜12月定例会の報告と私の考え〜

 

 12月3日(火)〜6日(金)、村議会の12月定例会が開催されました。
 議案では、台風19号被害対策の補正予算が最重要議題でした。その中で村財政の抱える問題も浮かび上がってきました。また、「会計年度任用職員の給与及び費用弁償に関する条例」という聞き慣れない名称ながら、とても重要な条例案もありました。
 一般質問では、「目安箱」の実態が全面的に解明されました。解散した(一財)栄村振興公社への出捐金の処理の不明点の解明も進みました。さらに、台風19号での百合居地区での浸水の原因をめぐって新たな事実が判明しました(この点は別の機会に詳報)。
 総じて、森川村政の問題点が抜き差しならない形であきらかになってきました。村政の根本的な転換が必要になっています。方向性を共にする人びとと力を合わせて村政転換へ頑張っていきたいと思います。

 

◇  目安箱をめぐる一般質問の詳報
 「目安箱」をめぐる一般質問の結果について、12月7日付の「速報」で報告しましたが、より詳しい報告記録が出来ましたので、以下に掲載します。

 

松尾 一つ目。目安箱はどういう法令上、制度上の設置根拠に基づいて置かれているのか。公約に書かれたものでも施策として実施に移すには法令的制度的根拠があるだろう。設置の目的と併せて答えを。
2点目。目安箱が村の施設設備の一環であれば何らかの部署によって管理されているだろう。どの部署か。管理規則はあるのか。新聞報道では目安箱の鍵は村長のみが持ち、役場職員は管理職も含め管理に介在していないという。事実か。事実だとすれば投書があったという事実の客観的証明は不可能なのではないか。
3点目。目安箱による村政、村行政の改善事例があれば聞かせていただきたい。各課長から答弁いただきたい。」
村長 目安箱の法令上、制度上(の根拠は)無い。調べると8代将軍吉宗、享保の改革の一環として出てくる。
公約から所信表明において、「開かれた村政」がキーポイント。村民の皆さんからのご意見ご要望を受ける窓口の新設。目安箱は開かれた村政をするため。
目安箱の鍵の管理からすべて私が管理する。私のみが現物を直接見て、私のみしか分からない取り扱い。課長等においては(行政改善の指示のうち)どれが目安箱から来たものかはわからない。
松尾 答弁が漏れている点を聞く。村長のみが見ているのだとしたら、投書があったという事実の客観的証明が不可能なのではないかと聞いているが。
村長 今の聞き方は、投書があったのは私だけしか見ていないので、それが本物か嘘物か分からないという解釈でよいか。
松尾 本物か嘘物かというよりも、本当にあったのかどうかということ。
村長 私が嘘をついている、ついていないかという回答でよいのか。
松尾 それは村長の受け止め方次第ではないか。
村長 では、証明については私以外には出来ません
松尾 為政者が施政に臨む際の姿勢として享保の改革の目安箱を思い起こすのは結構だが、享保の改革は江戸時代の話、将軍がすべての権力を持っている。近現代は行政と立法が権力が分立していて、市町村においては二元代表制がとられている。
 目安箱の法令的根拠は無いという答弁は非常に不満足。
 村長は地方自治法149条で規定された権限に基づいてのみ行政の長として職務を執行する。答弁の中に地方自治法149条への言及があってしかるべき。(目安箱は)149条の1項から8項には該当しない。おそらく9項の「前各号に定めるものを除くほか、当該普通地方公共団体の事務を執行すること」を根拠として目安箱が設置管理されているのだろう。
 目安箱の設置費用は村の行政経費で賄われているから村の行政の設備の一つとして適正に管理されて然るべきだ。
 2回目の質問になるが、目安箱に入った投書は村長宛だけでなく他の人宛のものも村長しか見ないのか。
 投書内容にしかるべき対応をする際に、その投書内容について一般民間人に相談することはあるのか。
 投書内容の真偽が定かでない段階で、村長が投書内容を巡って特定の村民を処罰してほしいということで警察に相談する事例はあるのか。
村長 私宛ではないものはその方に直接渡す。事業で「こうしていただきたい」というものは、現地が分かれば現地へ行って状況を把握。投書した方の名前が書いてあれば、「ちょっと教えていただきたい」という照会は私がします。
 警察関係の投書、「警察を呼んでください」というのはまだ入ったことはない。
松尾 村長以外の人に宛てたものは宛先になっている人に渡すという答えだが、議会では正反対の説明を受けている。村長、議会議長、議会事務局長、3人宛の投書について、議会関係者は原本を見ていないと言っている。どちらが本当なのか。
 私が議員職にある者として渡された書類に次のような趣旨の村長の発言が記録されている。
    『ある日、投書があった。その中にある集落の、ある職業歴

     のある方のことが書いてある。この方を村長は仮にBさんと

     いう方だと思った。ところが自分がBさんを訪ねて行って人

     違いだということになれば、これは困ったことになるので、

     Cさんという方をたてて、Cさんに間を取り持ってもらい、

     Bさんに村長室に来ていただいた。仮に村長がBさんと見当

     をつけた人が間違いだったとすれば、それはCが間違ったと

     いうことでCの責任にしてしまえばいい、自分は関係ないと

     扱うつもりだった。』
 こういう発言を村長がしたという記録が残っている。
 「警察に相談したか」という点でも、「そういうことは今まで無い」との答弁だが、村長発言の公的記録に、「警察にいってもみなグレーと言うんです。だから別の形で処置してください」とはっきり残っている。しかも、投書内容が本当なのかどうかの事実確認をしている当日のその現場でこういう発言をしている。つまり、村長自身が投書内容の真偽を確かめていない段階で警察に相談している。私は不思議でならない。
村長 3者(村長、議会議長、議会事務局長のこと)において、私しか鍵はもっていない。その中で「匿名にしていただきたい、この分については消して渡していただきたい」と書いてあったので、消してある。それを私が打ち直す。
 私は警察に行ったのではなく、あくまで弁護士さんと通じた。直接私が警察に行って「よろしくお願いします」というのは、私はまだやったことはありません。
松尾 一つ答弁が抜けている。民間人に相談しているのか。
村長 有る。どこの自宅の水路どうのこうの…
松尾 いやいや…、先ほど言ったではないか。ある投書の人物、それがBさんだと村長は推測してが、間違っていたら困るからCさんという人に間を取り持ってもらった、間違っていたらCさんの責任にするという発言が記録されているが、そういうことはあるのかと聞いている。
村長 その記憶は私はありません。以上です。
松尾 (私が取り上げた文書は)議会で「あなたが読まないとこれ以上議論が進まない」ということで10月16日に渡された文書。その文書が「私に読ませれば副作用がありますよ」と私が言ったところ、村長が傍聴席から「警察介入お願いします」と発言した時の文書です。
(村長から正規の答弁ではない「警察と言っていない。ボディーガードだ」という発言)
松尾 ボディーガードでしたら、ボディーガードで結構。警察という言葉が出たことは事実です。

 

● 「村長だけが知る」というのは民主主義に反する。「開かれた村政」の実現は森川氏では出来ない
 「目安箱」を以上のめぐる質疑であきらかになったのは、「目安箱」について知っているのは森川氏ただ一人だということ。これでは村民は議員を含めて誰一人、本当のことを知ることができません。
 森川氏は「開かれた村政をめざす」と言ってきましたが、「目安箱」の扱いを見れば、森川氏の手では「開かれた村政」は実現不可能だということがはっきりしました。
 栄村は、森川村政下で、じつに深刻な状態になっています。独裁国家のようなあり方を容認することはできません。
 村政の根本的な転換が必要です。


◇  台風19号被害対策の事業費は約11億6千万円
 12月定例会には台風19号被害対策に関する専決処分の承認案件と補正予算案が提出されました。
 台風19号被害対策の専決処分は10月25日付のもので、主たる内容は国庫補助の対象となる公共土木施設災害復旧事業で、国への補助事業申請期限との関係で10月25日までに予算を決定する必要があったものです。総額は5億3,126万円。激甚災害の指定を受けたので国庫補助率が83%に引き上げられています。
 国庫補助事業となったのは、村道天代坪野線(天代地区、坪野地区の2ヶ所)、村道野口坪野線(2ヶ所)、村道鳥甲線(極野)、村道極野線(2ヶ所)で、事業規模は計3億7,922万円。村単での公共土木災害復旧は計4,550万円です。
 もう一方、12月定例会に一般会計補正予算第8号が提出され、ここには農地・農業施設の台風19号被害復旧事業として、国庫補助事業6億4,500万円と村単事業750万円が計上されています。また、林道3ヶ所の国庫補助による災害復旧事業1,220万円も計上されています。

 

● 工事着手の見通しについて
 これらの災害復旧事業の予算額は急を要するために概算額で算出されています。そして、工事の着工はすでに応急復旧が行われているもの(たとえば村道天代坪野線)もありますが、農地の場合などは多くが「来春作付前」とされています。
 この「議員活動報告」のスペースの関係で、個々の被災箇所について細かに記すことができませんので、「私の地区の被災箇所はどうなっているの?」という点については役場担当課にお問い合わせください。それでも不明な点があり、さらに詳しく知りたいという場合は私にご連絡ください。不明点の解明に努めます。

 

● 村の財政調整基金が7億円を切りました。財政再建の課題に取り組む必要があります
 タイトルに書いたとおり台風19号被害復旧事業の総額は11億6千万円という巨額にのぼりました。村の今年度当初予算総額が32億1,900万円であることを考えると、その大きさは一目瞭然です。
 ここで注目しなければならないのが村の財政調整基金(一般家庭での貯金に当たるもの)です。10月25日専決処分と12月定例会提出の補正予算で約1億7,700万円の財調基金が取り崩されています。復旧事業総額11億6千万円からすると少ない財調基金取り崩しで済んでいます。今回の災害が激甚災害の指定を受け、国庫補助率が大きく引き上げられたからです。激甚指定がなければ復旧事業費のほぼ半分を村で出費しなければならないことになります。ですから、大規模災害等の非常時に備えて、村は一定額以上の財政調整基金を確保しておかなければなりません。
 ところが、村の財政調整基金がここ2年の間に急激に減少しています。
 H29年度末の財調残高は約13億4,400万円であったのに対して、H30年度末は約9億8,300万円で、H30年度の取崩し額は約4億600万円。また、今年度の取崩し額もすでに2億6,400万円を越えていて、残高は6億7,100万円しかありません。2年前の半額に落ち込んでいるのです。
 これでは何かあった時に対応できません。気候変動によって大規模災害が続く昨今、財政面でも災害への備えが必要です。
栄村の財政は大きな危機に直面しています。行政に精通する人たちからは「これでは数年しかもたない」という声が聞こえてきています。村の財政再建は待ったなしの状況です。
 財政の面からも村政の転換が必要になっています。


◇ 出捐金問題で真相が見えてきました
 私は一般質問で、9月定例会に続き、(一財)栄村振興公社への出捐金の処理に関して質しました。
 「出捐金の処理について、村と一般財団法人栄村振興公社の間でどのような協議の経過があったのか」という質問に対して、商工観光課長から次のような答弁がありました。
   「公社より平成31年1月25日付で「法人解散に伴う課題、懸念

    事項についての対応依頼」という文書で「出捐金8千万円につ

    いて、運営費に充てて残額が無いため免除願いたい」という文

    書をいただいております。対して村長からは、平成31年2月15

    日付で、「出捐金の残額があれば清算に伴う経費不足に充当す

    るよう」通知してございます。」
 出捐金8千万円の扱いについて、やはり公社と村長の間でやりとりがあったのです。公社側が「出捐金(の返還を)免除してほしい」と村長にお願いし、それに対して村長は出捐金8千万円のうち約6,800万円について「清算に伴う経費不足に充当=公社の累積赤字の処理に使ってよい」という指示をしていたのです。この6,800万円は村の財産であり、これを公社の累積赤字処理に使うことを認めるのは村の財産権利を放棄するということです。
 地方自治法で自治体の権利放棄は議会の承認が必要だと規定されています。ところが、森川村長は議会に諮ることなく、村長の一存で村の財産を処分してしまったのです。これは明白な地方自治法違反です。
 村の財産は森川村長の私物ではありません。村民の財産です。それを勝手に処分することは絶対に許されることではありません。私はさらに追及していきたいと思います。


◇ 「会計年度任用職員」という聞き慣れない用語と村の臨時職員への対応について
 12月定例会には「栄村会計年度任用職員の給与及び費用弁償に関する条例の制定について」という議案が提出されました。
 「会計年度任用職員」という用語、議員も初めて耳にするものです。私は定例会前に調べてみました。「会計年度任用職員」とは臨時職員のことです。今春、国において地方公務員法の改正があり、それに対応して各自治体において法改正に対応する条例の制定が求められたのです。
 この地方公務員法改正は、非正規雇用である臨時職員制度を改善するよりも、むしろその非正規雇用を固定する面の方が強いと私は見ています。ただし、この「会計年度任用職員」という制度そのものは国政レベルのことですから、村レベルで対応できることではありません。
 問題は、栄村がこの「会計年度任用職員」制度の中で、どういう対応をするのか、です。
 「会計年度任用職員」には、「フルタイム会計年度任用職員」と「パートタイム会計年度任用職員」の2種があります。栄村役場には正職員と同一時間働いている臨時職員が24名おられますが、この24名については「フルタイム会計年度任用職員」として雇用されるものだと私は思っていました。
 ところが、村の答弁は、「24名はパートタイム会計年度任用職員とする」と言うのです。私が「どうしてフルタイムではなく、パートタイムなのか?」と問うと、「勤務時間をフルタイムよりも15分短くする」という答弁。これには驚きました。「フルタイム」にすると正職員と同じ諸手当の支払いが求められることから、こんな姑息な方便を考え出したのでしょうが、許されるものではありません。
 私はこの条例案の採決では反対しました。諸方面と協力して、この臨時職員への不当な扱いをやめさせるためにさらに頑張りたいと思います。


◇ 「商工観光業者経営資金貸付基金」は疑問が大きい
 災害で経営が苦しくなった個人自営業者への支援制度として「商工観光業者経営資金貸付基金」を設けるという条例案が提出されました。
 1事業者あたり最大300万円を貸し付け、返済は1年据え置きで、2年目に全額返済というものです。事業者であれば、「2年目に全額返済」が極めて困難であることは明白です。質疑でその点を徹底的に議論しましたが、村は提案を変えませんでした。そのため、私は本議案には反対しました。

 

◇  消費税増税に伴う水道料等の値上げについて
 消費税増税に伴い、村の簡易水道、浄化槽使用料、農集使用料、ケーブルTV使用料を値上げする条例案が提出されました。
 10月の全協(村長提出)で協議があった時、消費税増額分=2%アップを計算する際に10円未満の端数を切上げて料金設定するという村の案に反対しました。12月定例会での村の提案はその点が改まっていなかったので、改めて質問しました。村は「国の指導で数年後に簡易水道等について公営企業会計に変更しなければならない。それに対応して少しでも赤字額を減らすために、10円未満の端数を切り上げさせていただきたい」という答弁でした。
 公営企業会計への移行とは、一言でいえば、民間企業会計と同じ扱いをするということです。住民の暮らしに不可欠な水道事業等でこういう制度変更を行うことに私は疑問を抱いています。さらに研究を深めたいと思います。
 ただ、今回の値上げに関して、村の簡易水道特別会計等が苦しい状況にあることを鑑みて、私は採決で賛成の立場をとりました。苦渋の判断です。みんなの暮らしを守るために村政においてどのような工夫をしていくか。考えなければならない課題が山積しています。

 

 12月定例会の報告は以上ですが、村政が重大な局面を迎えていることは明白です。森川村政からの転換が必要です。そのために全力で頑張っていきたいと思います。

 


松尾まことの議員活動報告号外(12月7日付)

「目安箱」をめぐる一般質問の結果について

 

 議会12月定例会の3日目(5日)の一般質問に際しては、多くの方々に傍聴にお越しいただき、有難うございました。
 質疑内容の詳細については、議事録が出てくるのを待って精査し、改めて詳しくご報告申し上げたいと考えていますが、ひとまず速報的に何が核心であったかについて私の総括を報告させていただきます。

 

◎ 「原本は私だけが見る」という村長答弁の重大性
 今回の質疑の最大のポイントは、森川氏は「鍵を持っているのは私だけ」、「投書の原本は私だけが見る」と答弁し、「村長しか見ていないというのであれば、投書が本当にあるという客観的証明はどのようにして出来るのか?」という問いに対して、「私が嘘をついていると言うのか」と発言したことです。
 これは村長という地方自治法に基づく公職にある人が言っていいことではありません。
行政というものは、法令に基づいて運営・執行されるものです。「法令に基づく」ということは、投書ひとつをとっても、村役場という行政組織の中のなんらかの組織・職員が受領印を押して、公文書として扱う、そして唯一人きりの職員の手で管理するのではなく、必ずなんらかのチェックシステムが存在することによって、特定の人物による恣意的な扱いができないようにして、客観性や公正性を担保するということです。
 しかし、森川氏はそういう行政の運営・執行の原則を完全に否定しているのです。
 じつに重大かつ由々しいことです。

 

◎ 「開かれた村政」どころか、前近代の幕府体制のような「閉ざされた村政」ではないか
 森川氏は「目安箱」設置の意図について、「開かれた村政を実現するため」と言いました。「開かれた村政」、誰もが望むところです。
 ですが、森川村政は本当に「開かれた村政」になっているのでしょうか。
 いや、5日の答弁を聞く限り、逆に「閉ざされた村政」になっていると言わざるをえません。
 森川氏は、「目安箱」を思い立った経緯として、徳川幕府の享保の改革における目安箱の設置を挙げました。日本で義務教育を受けた人であれば、誰もが享保の改革の目安箱を知っています。着想のヒントを享保の改革から得るのは結構です。
 でも、いまは江戸時代ではなく、近代社会なのですから、栄村での「目安箱」は憲法や地方自治法等に基づいて設置・管理される必要があります。「目安箱」に入れられたという投書の原本を村長以外は誰も見ることができないというのであれば、村長に無限の権力を与えるのと同じです。江戸時代であれば、それも許されたでしょうが、現代においてそんなことは許されるはずもありません。
 「村長、そういう投書が本当にあったのですか? その証拠を示してください」と言うと、「お前は俺が嘘をついていると言うのか」と開き直る。これでは、「俺が本当だと言っているのだから本当なんだ。村長が言うことに異議を唱えるとはけしからん」と言っているのと同じです。どこが「開かれた村政」なのでしょうか。「開かれた村政」とは真逆の「閉ざされた村政」と言わざるをえません。
 武士の時代、殿様に諫言(かんげん)するには切腹の覚悟が必要だったようです。
 栄村を「刺し違え」の覚悟をもたないと村長にむかって自由に意見も言えないような村にしてはならないと私は思います。

 

◎ 議会は毅然としなければならない
 みなさんがすでにその存在をご存じの「議員倫理規程」をめぐる問題、現在は議長、副議長、議会運営委員会委員長、総務文教常任委員会委員長の四者協議に委ねられています。
 「目安箱」に入れられたという投書が発端になっていますが、5日の村長答弁によれば、その投書の原本を議会関係者は誰一人として見ることができないという状態で、議会は何を議論できるのでしょうか。議会は村長に従属する機関ではありません。地方自治体は首長と議会議員がともに住民の直接投票で選出される二元代表制になっています。議会は自らが確認できる客観的な事実に基づいてしか議論も決定もできません。単なる二次情報や憶測で議論したり決定を行ったりすることは議会の自殺行為だと言わざるをえません。
 すべての関係者がこの二元代表制の原理に則って対処されることを望むところです。

 


松尾まことの議員活動報告No.37(11月13日付)

「議会はなに馬鹿なことやってんだ。もっと他に大事なことがあるだろう」というお叱り。
その通りだと思います。

 

 久しぶりの議員活動報告になります。
 議会の中で私に対する「議員倫理規程違反の疑惑」が延々と検討されている状況が続き、その問題を抜きにして「活動報告」を書くわけにいかない。しかし、その問題は「非公開」扱いの問題、いわば「密室」の議論となっているので、なかなか書きづらい。そんな状況でした。
 しかし、議会全員協議会の場で、議長から「この問題はもはや公になっている。対象議員は松尾議員」と発言があり、11月6日の全員協議会には多くの村民が傍聴に来られている中で問題の議論が行われました。そこで私は全文公表を前提として私の考えを述べた文章を読み上げています。
 問題に決着がついたわけではありませんが、以上のような次第ですので、私の「議員活動報告」を書くことにしました。

 

 「議員倫理規程問題」及び森川村長の傍聴席からの不規則発言(野次)が『妻有新聞』11月9日号で報道されたこと、また多くの村民が11月6日の全協を傍聴されたことで、ここ4〜5日、会う人、会う人から、上に記したような文言で議会に対するお叱りを受けます。また、「松尾さん、負けたらいかんよ」との励ましの言葉もいただきます。
 私が11月6日の全協で読み上げた「私の思い」の全文は別紙にてご紹介させていただきます。本紙では、それをふまえて、議会と村政の現状とその打開について私の考えを述べさせていただきます。

 

◎ 村の抜本的立て直しが急務です
 私は、村はいま、大きな危機に直面していると思っています。2つの意味においてです。
 1つは、みなさんから厳しいご批判をいただいている議会の現状に象徴される、〈訳の分からない村政〉の現実です。
 私に対する「議員倫理規程疑惑」は3月以来、7カ月余にわたって“熱心”に延々とやられています。他方、栄村でも大きな被害をもたらした台風19号について、10月18日の全員協議会(村長提出)で、村から被害状況の報告がありましたが、それをめぐる質疑は、私などが質疑した以外は率直に言ってきわめて低調でした。
 「議会が議会らしい仕事をしていない」と批判されても返す言葉がないと思います。
 私は台風19号の直後から様々な災害現場に赴き、被害の実態を写真撮影するなどして、「栄村復興の歩み」の号外を発行して、村内外に発信していますが、その際、どの災害を公表するかについて村幹部の事前了解を得なければならないという制約を受けています。何かおかしくはありませんか。
 この後に報告するように、議会には議論しなければならない深刻な問題が多々あると思うのですが…。

 

 2つは、子どもたちの世代、孫たちの世代が暮らしていける栄村の未来像を描き出せる村政が求められていると思うのですが、そういう村政になっていないということです。村民のみなさんとお話しすると、閉塞(へいそく)感が痛いほどに伝わってきます。それを打開するのが村政と議会の役割だと思います。
 今月配布されている「公民館報さかえ」第331号に「一石を投じる」という2頁にわたる文章が掲載されています。私は深く共感しました。ここまで真剣に、そしてしっかりした考えを持って公民館活動に尽力して下さっている方がおられるのに、議会は、村政は、応えているのか? 本当に恥ずかしく、責任の重大さを痛感します。

 

 

◎ 自然災害にどう対処するか ―― 里山・流域ルネサンスを!
 台風19号は本村にも多大な被害をもたらしました。とくに百合居での千曲川の氾濫と並んで、天代川流域での被害は凄まじいものです。8年前の地震は未曾有の大災害でしたが、今回の天代川流域の災害はある面では8年前の震災をも超える深刻さを有する大災害だと私は考えています。
 去る11月5日、私は坪野集落に車を残し、坪野集落から約2卆茲泙芭啼擦鯤發い鴇紊蝓∪遒販啼察∋海虜匈仮況を見てきました(これは私のジャーナリストとしての活動ですが、同時に村の議員としての調査活動でもあります)。往復3時間を要しましたが、行けたのは本来めざした距離からすれば、まだ半分にも達しない程度です。
その調査結果の概要は「栄村復興への歩み」No.369(11月7日付)で報告しています。是非、そちらをご覧ください。
  *「栄村復興への歩み」は発行経費の膨大化に対処するために印刷版は現

   在、有料化させていただいています。ネットでは無料閲覧できます。

   No.369に限り、定期購読ご希望でなくても、ご要望があれば印刷版を

   お届けします。電話でご連絡ください。

 

■ 山が荒れている
 坪野集落から上流の天代川とその流域の山、現在では、年2回の坪野堰の普請でかけ口に人が行くのと、釣り人が入っているであろうと思われる(最近ではめっきり少なくなりましたが)のを除けば、ほとんど人が入らなくなっています。
 その結果、どういうことが起こっているでしょうか。

 

● 山・森から流れ落ちる雨水が川に入らず、林道に流れ落ち、林道が通行不能になる
 雨が山に、森に降ります。その雨水は山肌を流れ落ちます。
 人が入っていた時は、その雨水が天代川に流れ落ちるように林道に溝を切るなどの作業が丁寧に行われていました。
 しかし、今はそんな作業をする人もいないので、溝はなくなり、山・森から流れ落ちて来る雨水は天代川に流れ込むのではなく、林道を流れます。その結果、林道が川のようになっていきます。
 すると、林道は四駆の軽トラでも走れないような状態になります。2〜3年前はそれでも、今回私が歩いて到達した地点あたりまで軽トラで行けました。今はもう無理です。だから、今回、私は集落を出たところから歩くことにしたのです。

 

● 人の入らない山は下草が繁り、雨水が土に浸み込むことを妨げます。人工植林の杉林は下草もあまり生えず、雨水をどんどん下へ流します
 人が入らなくなった山・森は下草刈りが行われていません。下草が繁っていると、雨水はその上を滑るように流れ、森の土壌に浸み込む(=保水される)ことがなくなっていきます。台風19号はたしかに前例がない大雨でしたが、数時間前〜半日・1日前に山で降った大量の雨が下流にまっすぐ下ってきて、下流で大洪水・氾濫を引き起こす。これは山の保水量が低下しているからこその事態だと思います。
 また、杉林から大量の土砂が流れ出ている状況を11月5日、天代川の中流で目撃しました。

 

■ 自然の川って、どんなものなのだろう
 今回、車ではなく歩いて天代川沿いを上ったので、じっくりと川の様子を見ることができました。
 驚いたことがあります。
 天代川の川幅というのは頻繁に変化するのですね。広いところもあれば、狭いところもあります。そして、林道から容易に近づけるところもあれば、林道と川の間が急峻な崖になっていて近づき難いところもあります。
 川の流れ、川の幅は、素人なりに考えるに、流水量・流速と川が侵食する岩・土壌の硬度との関係の中で自然に決まっていくのでしょう。

 

● 人間が人工的に調整してきたものを放棄すると、何が起こるか
 人間は、里(人が暮らすところ)では、そういう川の流れや幅を人工的に制御(コントロール)しようとしてきました。護岸工事や砂防ダムの建設などです。天代川でも人が暮らす坪野〜天代〜県道のゾーンでは護岸工事が行われ、その横に車が走れる道路がつくられてきました。さらに、集落よりも奥には3つの砂防ダムが建設されました。
 しかし、砂防ダムの維持管理作業は行われていないようです。少なくとも下流に近い方から1つ目と2つ目のダムは土砂で完全に埋まってしまっています。今回の台風19号で埋まったのではありません。それ以前から埋まっていたのです。その結果、上流から流れ下ってきた倒木や大きな岩などを止めるどころか、逆に、一定の高さ(堰堤の高さ)から落下エネルギーによって勢いをつけさせながら、下流へいっきに流していったのではないでしょうか。実際、私が視認したかぎり、下流部の方が上流から一気に流されてきたと思われる大きな流木や岩が多かったです。そして、そういうものが護岸工事既設箇所に襲いかかってきた。それが今回の多数の護岸崩壊の原因なのではないでしょうか。
 この事態に対して、下流部で護岸を再建する(たとえ従来よりも強度を上げたとしても)だけでは、今後いっそう強まると思われる“自然災害”の猛威に対抗することは困難なのではないかと思います。

 

■ 「奥山・里山・里」の区分を再構築する必要がある
 クマ・イノシシなどの獣害をめぐって、「奥山」(自然動物の領域)、「里山」(人間が活動し、自然動物と人間の境界線となる)、「里」(人間が平穏に暮らす・暮らせる領域)の区分(棲み分け)が崩れていることが原因だと、多くの専門家によって指摘されています。この指摘が正しいことは、村民のみなさんが自らの体験から認識されているところでしょう。
 同じことが水害をめぐっても言えるのではないかと私は考えます。
 天代川の源流部は野沢温泉村の毛無山(標高1649.8m)の北側の山腹にあります。現在は野沢のスキー場や県道奥志賀高原栄線が走るゾーンに近いところですが、昔は人がほとんど近づかない(近づけない)奥山だったと思われます。

 

●戦時中・戦後初期の山の伐採
 戦時中から戦後初期にかけて天代川流域の山林はつぎつぎと伐採されました。戦時中の伐採は木製戦闘機の材料確保、戦後初期は住宅復興のための合板用資材の確保が目的だったようです。この伐採作業のために多くの人たちが青森県などから出稼ぎに来て、坪野集落は人で溢れていたそうです。天代川流域の山を伐り尽くすと、次は北野川流域に伐採場所が移って行ったと聞きます。
 天代川の伐採箇所はその後、どのように措置されたのでしょうか。私は現時点ではよくわかりません。天代川上流へ歩を進めて見える山は広葉落葉樹林が多いように見えますので、ひょっとすると自然の再生力にまかせたのでしょうか。

 

● 〈人が里山に入る〉ことの代わりを砂防ダムはできるのか?
 奥山から里(坪野集落)にむかって下ると、一定のところは里山になっていたはずです。つまり比較的最近まで人が入る山であったはずです。北野の山ではかなり最近まで森林組合の手で下草刈りが行われていたと聞いています。おそらく坪野の里山でも下草刈りや山菜採り、薪(たきぎ)取り等で人が入っていたと思います。
 坪野堰の取入れ口は坪野集落から2劼曚評緡の天代川左岸の崖の上にあります。少なくともその辺りまではほぼ日常的に人が入っていたと思われます。右岸側でもその辺りまでは入っていたのではないでしょうか。
 その辺りが里山として管理されていれば、山に降った雨は現在のように一気に川に流れ込むことなく、一定程度、山で保水されるのではないかと思います。
 この里山ゾーンと考えられるところに3基の砂防ダムがあります。里山に人が入り、自然との共生関係を実現することができなくなり、その代わりの治山・治水事業として建設されたと捉え返すことができます。しかし、先に書いたように現在は維持管理作業が行われている形跡がありません。
 やはり人が山(里山)を管理することをせずに、近代技術による人工的構築物の設置で代替にすることは万能ではないのです。昔より省力化するとしても、たとえば砂防ダムのポケット部分に堆積する土砂等を搬出する作業の実施など、ある程度は人が入らないと山と川は奥山化し、自然の脅威が直接に里に襲いかかってきてしまいます。それが今回の台風19号被害なのだと思います。
 このことは天代川だけのことではないと思います。台風19号では各地で小さな河川が氾濫し、被害を大きなものにしました。全国的な過疎化の一層の深刻化によって、人が入らない山と川が全国各地に大量に生まれているのだと考えるのが妥当でしょう。

 

■ 里山・流域ルネサンスとは
 さて、2頁の見出しに書いた「里山・流域ルネサンス」とは何ぞや、です。
 “ルネサンス”という言葉は学校の教科書に出てきます。一般的には「古典古代(ギリシア、ローマ)の文化を復興しようとする文化運動であり、14世紀にイタリアで始まり、やがて西欧各国に広まった」と説明されます。そして、何かを復興・再生させようという場合に「○○ルネサンス」という表現法がとられるケースが多く見られます。私はそれに倣(なら)って「里山・流域ルネサンス」という表現を考えました。

 

● まずは、人が入ることから始める
 最終目標は、天代川流域に人が入り、里山活用が適切な質・頻度で行われることです。樹林の下草刈り・間伐、伐材の搬出と活用、山菜や茸の採取、釣り、川遊び等々の人間活動を蘇らせるのです。もちろん、これには人手と資金が必要ですし、そういう活動を持続させるには、その活動が稼ぎにつながることが必要です。
 いま、そういうことを即座に実現することはできません。だからこそ、山が荒れているのです。でも、「だから、ルネサンスなんて言ったって無理」と言ってしまえば、山は荒れ、災害は増える一方となります。
 まずは、生業化できるかどうかはともかく、関心を抱く人たちが山に入ることからスタートさせることが肝要です。村政レベルでは、そういう諸個人ないしグループの活動を積極的に奨励することで支援姿勢を示すことが求められるでしょう。

 

● 坪野の人たちから話を聴こう
 坪野集落の現住世帯(住民票がある)は2世帯です。しかし、春から秋は坪野で暮らす、かなりの頻度で坪野に帰り、米作りや山菜採りなどを行う人が少なくとも4世帯。
 相当の高齢に達している方が多いですが、まだまだお元気で、お話を聞くことができます。2〜30年前、50年前、70年前、坪野の人たちがどんな暮らしを営んでいたのか。山に入り、川と付き合うのに、どんな技や知識を有しているのか。
こういうお話は関心さえあれば、私のような素人でも十分にお聴きすることができるでしょう。
 と同時に、専門家にも少し入ってもらうと、さらにいいですね。今流の機械化・効率化された林業ではなく、山や森の自然遷移などに詳しい専門家などです。坪野の人たちが有する経験・知識と、専門家の知識を融合させると、山や川との付き合い方がだんだんわかるようになるはずです。

 

● 坪野への移住者を募る
 こういうルネサンスへの第一歩となる活動を進めていくうえで、坪野に若い人が住んでくれると坪野に活気が戻り、ルネサンスへの拠点が生まれます。「若い」といっても20〜30歳代に限られるわけではありません。40〜50歳代の人でもよいと思います。ご夫婦が理想的ですね。
 先日も、坪野集落を念頭に置きながら、移住候補地の1つとして栄村に滞在されたご夫婦がおられたとのことですので、けっして荒唐無稽な夢物語ではないと思います。
そして、ここは行政の出番です。地域おこし協力隊制度などを活用して、移住支援の体制を確保することです。ただし、地域おこし協力隊員を役場等の臨時職員として扱うのではその人の創造性の発揮を妨げることになります。役場は「カネは出すが、口は出さない」というのがいいですね。また、坪野の冬(雪)は厳しいですから、雪害救助員制度の特例措置を行うとか、とりあえず2〜3年は、住家は村の中心部に近いところに確保し、坪野には毎日通うという形でスタートしてもいいと思います。

 

● 全国的に類例がないような取り組みを行政が位置づけ、支援を惜しまず、全国に発信する
 ここまでに書いてきたことを、じつは、私は震災以降ずっと考えてきました。なかなか踏み出せなかったのですが、今回の台風19号被害が、「いまが踏み出さなければいけない時だよ。最後のチャンスだよ」と教えてくれました。
 坪野−天代川と同じような問題を抱えている地域は全国各地にそれこそ無数にあるでしょう。「田直し」「道直し」で全国的に著名になった栄村だからこそ、先進的実験に踏み出すのにふさわしいと思います。
行政にはそういう考え(構想)を支持し、さまざまな支援を行い、全国に発信していくことが求められます。

 

●「村を元気にする仕事」
最後に、2頁で紹介した「公民館報」の一説を引用させていただきます。


    働き口があるから、仕事があるから、村に居る。栄村が好きで住み続

   けたいけど、仕事がないから居ない。そのような考え方で村に人は残っ

   ていくのでしょうか。
    様々な仕事をしながら暮らしや文化を楽しむことができ、地域に貢献

   する生き方。確かに漠然としていて「職業」として確立できるのかとい

   う指摘も当てはまりますが、生き方自体が働き方だと考えれば、どうで

   しょうか。…

 

 全く同感です。
 紙数が尽きました。
 次回は、来年春スタートの中山間地域等直接支払制度の第5期をめぐって、求められる「集落10ヶ年計画」について、何が求められているのか、どう取り組めばよいのか、議会は・行政は何をなすべきか、などを考えて提案していきたいと思っています。