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2011年3月に震度6強の地震で被災した長野県栄村で暮らす松尾真のレポートを更新しています。

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松尾まことの議員活動報告No.42(4月5日付)

ウソをついてはいけない!

 

 私が「議員活動報告」No.39やNo.41に書いたことへの「反論」なのでしょうか、「栄村の財政は大丈夫です!!」というチラシが撒かれています。
 私は議会での森川村長との質疑に基づいて報告を書いています。森川さんは、「議員が言われる通り、財政的には厳しいものがかなりあります」と明確に言い切りました。ここで森川氏が言う「議員」とは私・松尾のことです。

 

 

 村が作成・公表している「平成30年度普通会計決算財政分析」(上写真)に基づいて、チラシのウソを明確にしましょう。

 

実質単年度収支は約4億4千万円の赤字
 チラシは、「3年連続黒字決算」、「平成30年度 実質収支:2億2,286万円の黒字 単年度収支:5,133万6千円の黒字」と書いています。これはそのとおりです。でも、これはまさに上掲の「決算財政分析」の3頁に掲載されている数字ですが、その後に何が書かれているか(下写真)を隠してはいけません。

 


 「実質単年度収支については、4億3,999万2千円の赤字となりました」
 「実質単年度収支」とは何でしょうか?
 単年度収支を見る場合、黒字要素と赤字要素を見極める必要があります。黒字要素は積立金等です。平成30年度の積立金は8,894万4千円でした。他方、赤字要素は積立金取崩です。平成30年度は5億8,027万2千円。その差引は4億3,999万2千円の赤字となります。
 要は新たな貯金よりも貯金取崩の方が大きいのです。


返済に使える基金残高15億4千万円
負債残高は約28億9千万円

 チラシは「将来への負担無し」、「負債額より基金等の額が上回るため、将来支払うべき負担金は無し!」と言います。
 ここまでくると、政治責任が発生するほどのウソになります。
 やはり村作成の「決算財政分析」を紹介します。

 


 平成30年度末の村債残高(負債)は28億9,448万3千円です。

 


 基金残高は平成30年度末22億7,911万3千円。この数字ですと、負債が基金残高を約6億円上回るということになります。
 しかし、本当はもっと深刻です。「基金残高」のうち、「特定目的基金」と「定額運用基金」は使途が指定されていて、負債の返済には使えません。負債返済に使えるのは「財政調整基金」と「減債基金」のみで、計15億3,838万5千円です。したがって、負債の方が約13億5千万円ほど多いことになります。


国の補助金は大事ですが、
ほぼ同額の村の負担金が発生します

 チラシは、「道路改修工事などは国や県の補助金で行っています」と書いています。
 これを読むと、「道路改修工事に村はお金を出さなくてもいいんだ」と思ってしまいますね。でも、それは大間違い!です。
 次の表は、「令和2年度栄村一般会計当初予算説明書」の68頁です。

 


 泉平への道路と野田沢集落内の道路の道路改良費の説明です。
 2件の合計で事業費1億4,664万3千円(上の表の最後の段)。
 注目していただきたいのは「歳入財源内訳」(表の右側)です。
   「国庫支出金」―― 7,865万円 (53.7%)
   「地方債」 ―― 6,440万円 (43.9%)
   「一般財源」 ―― 339万3千円 (2.3%)

 

 国からの補助金は事業費の53.7%、約半分だけです。事業費の残りの大部分は「地方債」。これは村の借金のことです。
 「やってますよ!」と恰好をつけて、じつは事業費の約半分を将来世代につけまわし。あまりにも無責任!です。

 

議員の仕事は行政をしっかりチェックすること
 おわかりいただけたことと思います。

 政治家(とくに政府責任者、村では首長)は、自身の業績を誇張し、とくに財政について「問題はない」と言う傾向があります。とくに、選挙を前にした政治家はその傾向が顕著です。

 

 政府責任者(村も自治体政府です)を日常的にチェックするのが議員の仕事です。(「政府」のチラシを配るのは議員の仕事ではありません!)
 この仕事、じつはかなり大変です。
 村の予算書や決算書は、それを職務とする人(いわばプロ)が年々もの経験を基礎に数カ月かけて作成します。議員は、それを議会開会の10日ほど前に受け取ります。村議員の場合、国会議員などと違って秘書もいませんし、政党の専門家スタッフもいません。一人でコツコツ読み込むしかありません。
 議員になって満4年。前の報告にも書きましたが、「4年目にして、初めて予算書をかなりしっかり読み込めるようになった」というのが正直なところです。

 

 森川さんは役場職員でしたし、村長職を4年務めてこられたのですから、私などよりもよほど村財政に精通しておられるはずです。「森川こういち後援会」名義で、「すぐにウソがバレてしまうようなことは書くな」と是非、スタッフさんにご注意・ご指導をお願いします。

 

(了)


松尾まことの議員活動報告No.41(3月31日付)

3月定例会での森川村長との質疑内容を全文紹介します

 

 村議会3月定例会の一般質問で、私は財政、農業、地方自治法の3点について、森川浩市村長と質疑応答をしました。その全内容を紹介します。
   なお、議事記録に基づいていますが、発言の語尾部分の表記

   は煩雑さを避けるために一部整理しています。たとえば、

   「〜してございます」を「〜しています」と簡略化しています。
   また、を付けた箇所で、解説を加えます。

 

村の財政状況について
松尾 村長への質問で通告しているのは財政、農業政策、地方自治法に関すること、3つですが、まず財政です。
 実務的な事柄で総務課長にお尋ねします。令和2年度の予算が原案通りに成立したと前提した場合に、財政調整基金の残高は幾らくらいになるか。それから、令和2年度の予算が執行された場合、栄村震災復興特別基金が令和2年度末に幾らくらい残る見通しなのか。
 令和3年度以降の公債費は令和2年度当初予算と同じ程度に収まる見通しなのかどうか。それよりもはるかに異なる額なのか、お聞かせください。

 

総務課長 財政調整基金の残高の見込みですが、令和元年度の最終補正の予算ベースで考えて、元年度には8億9,400万円くらいの残高になるのではないかと予想しています。
 令和2年度の予算案においては、取り崩し額が1億7,450万円見ています。ただ、元年度の決算による余剰金の積み立てを約5,000万円ほど見込みまして、令和2年度末の残高、予算ベースでございますが、約7億7,000万円程度になるのではないかと予測しています。
 栄村震災復興特別基金ですが、2年度予算において取り崩し額を約1億1,700万円余り見込んでいます。そうしますと2年度末の予算ベースの残高見込みについては、1,700万円程度になろうかという予想です。
 公債費の見通しですが、今後どのような借り入れを組んでいくかというところに掛かってくるわけですが、基本的には例年程度の見込みで行きたいと考えています。向う10年間は元利償還見込みは約3億円台で推移していくのではないかと見込んでいます。借入をどの程度見るかは、その年の事業の内容にも大きく左右されますので、これからどのように見込むかというのはかなり難しいことか考えています。
  ☜ 財政のデータをしっかり確認しました。

 

松尾 ここからは村長にお尋ねしたいのですが、私、先月21日に令和2年度の予算書をいただいた時に、率直に申し上げてある種の衝撃を受けました。1年前くらいかもしれませんが、「栄村の財政規模というのは、震災から8年、9年経って、通常の財政規模に戻して行かなければならない。それはだいたい30億円を少し超えるくらいか」という認識を村長お示しになっていた。ところが、令和2年度の予算書をいただいたら総額が29億円台だった、30億円を切ったことにある種の衝撃を受けました。
 そこから色々と考えたのですが、これを家計に例えますと非常によく分かると思うのです。例えば、月30万円の給与所得があるという場合に、その30万円を丸々そのご家庭で1か月間消費できるのかというと、そうではない。ローンがあれば、そのローンを返済しなければいけない。家計で必要なお金があれば、新たなローンが組めたら新たなローンを組む。それから、手元に預金があれば、その預金を一部取り崩す。そして自分の家で1か月間どれだけのお金を回せるかを考えるわけです。でも、よくよく考えると、ローンを返して、もう一方で新しいローンを組む。これは差し引きゼロみたいになってしまう。それから、預金の取り崩しというのは、その瞬間は消費に回せるお金が増えるからいいけども、結局先々心細くなってくる。
 そういう考え方を村の財政について当てはめて、財政調整基金からの取り崩し、地方債の発行によって確保されている財源、それから、逆に今まで借りた地方債を返済するために出さなければいけない公債費、こういうものがどれだけ令和2年度の予算の中にあるかという事を計算してみますと、約7億4,900万円になります。
 そうすると、村税とか、地方交付税交付金、国庫県支出金などの純収入額で実際に村が何らかの日常的な政策、事業を実施するのに使える金額というのは、22億1,000万円ちょっとという金額なのではないか。これが栄村の現在の本当の財政力なのではないかと私は思うのです。しかも、今、総務課長から紹介いただいた本年度においては財源として1億1,700万円確保できた復興基金が、来年度にはもう1,700万円しか残っていない。この復興基金がどういう予算に使われているのかというのを見ると、かなり村の基本的な施策の実施にこの基金が使われている。
 そういうことを見ると、令和3年度以降の村の財政運営というのは、相当厳しくなってくるのではないか。これは誰かれの責任というものではなくて、客観的な現実の問題として私はそういう認識を持たなければいけないのではないかと思うのですが、その点について村長はどのようにお考えかということが第1点です。
 2点目は、文書で通告したものを少しかみ砕いてお尋ねします。
 昨日の上倉議員への答弁で、村長自身が、「従来通りの事業実施がかなり厳しくなってくる」、「工夫が必要だ」、「例えば、今までだったら単年度でやっていたものを2〜3年かけてやる」等々認識を示していましたが、それは言いかえると、「村民の皆さんに対してこれまでと同じようにはいかないものが出て来ます」ということをお伝えしなければならないということなのではないかと私は受け止めました。そういう認識で間違いがないかどうか
 そういうことを村民の皆さんにお伝えしていかなければならないとなれば、皆さんのご納得をいただくには、その予算財政と不可分の関係にあります諸施策の決定プロセスが透明で村民の大多数が納得できるものになっていることが不可欠になってくると思います。
 そういう点から見ますと、現在の村政の運営は透明性とか、住民に対する説得性という点で不十分な状況にあるのではないか。
 村長は初日の施政方針で、こう言いました。「第6次栄村総合振興計画に基づいて主要事業を設定する」と。ところが、こういうふうに言われても、総合振興計画が過去3年間で、何がどこまで進んで、何が課題として残っているのか、その残っている課題を実現していくために令和2年度はこういう予算を編成したのですということが丁寧に示されないと、多くの方は、なかなか予算や施策の妥当性を判断できないのではないか。私はそういう認識を持つのですが、村長はどういうふうにお考えか、それをお尋ねしたいと思います。

 

森川村長 議員の言われる通り、財政的には厳しいものがかなりあります。震災後、復興財源で色んな事業ができました。ところが、それがもう令和3年度でゼロになってしまう、ここで財布のひもをしっかりと締め直さなければならない
   ☜ 村長自ら、財政の危機を認めました。
 そして、総合振興計画は10年の方針であるだけなので、3年の実施計画において、毎年ローリングしたり、また見直しをかけておりますので、そちらの方にかなり力を注がなければならないだろう。
 今回、職員においては、例年の査定のやり方、単年度事業とお金だけを見るのではなくて、3年間の実施計画をまず出していただきたい、その計画によって次の査定、第2回目に入るというような取り組みをさせていただきました。できるかぎり30億円前後まで下げさせなければならない。
 今後は、私は30億円前後で行かなければ村の一企業も潰れていってしまうのではないかと危惧しております。震災前の22〜23億円まで下げる、それを急激にやってしまいますと村の流れが変わってしまう。村の今の福祉政策から全て、まず冬期のスキー場、そして今のデマンドバス関係全て狂いが出ないようにしなければなりません。村民に負担をかけることは私にはできないということで、今回査定も厳しいのですが、職員にもその流れを分かっていただかなければならない。
  ☜ 今後の予算規模は30億前後か、それともそれを下回るか、

   重要な論点です。
 

 今回、財政調整基金においては、先ほど申した通り、8億9,000万円、なから9億円ほど。この2年間、29、30年度ですが、そこに積んであった約6億円、それを減債基金の方に振り分けをしました。ですから総体的に財政調整基金は15億円ほど残っていることになります。ただ、借金の返済のための減債基金についてはみておかなければならないだろうということで、ゼロ円の基金のところへ6億円を振り分けました。できる限り財政を絞るところに入らなければならない時代に入ってきたということで、職員と一緒になって今後の予算も見直しをするというところで取り組んでおります。
 村民に周知する、その前に、実施計画をしっかりとしたものにしておかなければ村民にも間違いが出てしまう。数字または事業名だけが村内を回ってしまう、また予算的な面で「今年はうちの事業をやるのではないか」と、そういうトラブルになってしまいます。そういうことの無いように処置したものを今後は村民と共に近年中には考えなければならないだろうという考えでおります。
 そして、同じような事業については一本化しなければならない。過疎債から辺地債の流れも*、もし取り組めれば取り組んでいかなければならない。少しでも有利な方向へもっていかなければならないだろうということで職員と共に考えを進めているところであります。以上です。
   *過疎債は従来、村が使っている地方債で、元利返済

    の7割が国の地方交付税で措置される。それに対して、

    辺地債は国が「辺地」と認める地域での事業をめぐ

    って発行できる地方債で、元利返済の8割が地方交付

    税で措置される。栄村の場合、「中央」、「北野」、

    「秋山」の3地域が「辺地」に該当する。


松尾 当村が置かれている財政的な状況の厳しさについては共通の認識が持てたのではないかと思います。これは、この議会の議場において村長と議員、あるいは傍聴者が共有しているというだけでは不十分で、村民の皆さんに、この厳しい現実というのはお伝えしていかなければならないと私は思います。
 今、村長が答えられたことについて、私は2点指摘をさせていただきたい。
これから実施計画をしっかり立てるということについては勿論異論はございませんが、総合振興計画はスタートしてから既に3年経っているという中で、やはり振り返りがもっとキチンと行われなければいけないのではないか。この3年間、その計画を何処まで前に進めるのかということで毎年予算を付けてやってきて、それがその予算を付けただけに値する成果を実現できているのか。それとも、予算を投じた割には効果が無かったのか。そこの検証をしないと、今後の実施計画についても本当のことは分からない。「実施計画を下手に村民に公表すると、事業名と数字だけが独り歩きして、誤解を生じかねない」、それは村政の最高責任者として担当しておられる方のご心配として分からなくはないですが、やはり日ごろから行ってきた事業についての評価、これがキチンと提示されていれば、今後の実施計画について「村に潤沢な資金があって実施計画に載った以上は必ずされる」、まだ役場の中で揉んでいる最中のものについて下手に公表すると、「全部が全部実現される」という誤解が村民の中に生じるという心配は、私は無くなってくると思います。
 村長の施政方針及び昨日の様々な方の一般質問への答弁の中で、ある種の施策について「思ったようにいかなかった」ということも率直に言っていた。で、あれば、その「上手くいかなかった」というのは何故なのか。ここについてもっとキチンと掘り下げて提起をしていただきたいということが一つです。それについて村長のお考えをお聞きしたいと。
   ☜ この点について、村長は結局、答えてくれませんでした。
 それから、財政調整基金についてですが、減債基金の6億円は公債費に充当されるものだと思いますが、仮に、この減債基金と財政調整基金を併せて、今、村長が言ったよう15億円から16億円くらいなるということを前提にして私は考えたのですが、ある首長経験者からこういうお話を聞かせていただきました。「自治体の財政を見る場合に、非常に分かり易い目安としては、基金の残高と公債残高、これを比べてみる。その場合の基金残高というのは、財調と減債基金を合わせて、これと公債残高というものを比較するのがいいのではないか。この比率が100を上回るとあまり健全な財政状況とは言えない。やはり100以下に収まっていてほしい」というお話を聞きました。
 平成30年度の決算で見ると、栄村の基金残高は財調と減債基金を合わせて10億3,856万円です。他方、公債残高は28億9,448万円。比率は188%になります。これと対照的なケースとして、長野県内の小川村の数字を紹介いただいたのですが、こちらは平成30年度の予算ベースですが、基金残高が29億8,400万円、公債残高が21億8,800万円で、比率は73.3%です。
 震災以降、6〜7年は通常とは違う財政状況だったことは十分承知していますが、栄村が震災から9年、10年を経て通常の財政ベースに戻していくという場合に、もう一つの手法として、この基金残高と公債残高の比率というのを一つの目安として頭に置くべきではないか。ちなみに小川村は人口が2,600人で、一般会計規模は当初予算で26億3,800万円です。私は一つの参考になると思うのですが、その辺のことも含めて今後財政の運営について考えていっていただけるかどうか。村長のお考えをお尋ねします。

 

森川村長 まず、最初の総合振興計画の検証、これは必要です。やはり、色んな事業をその中で実施計画等持っておりますので、その実施計画についても職員ではPDCAサイクルを使って評価をしなければならないだろう。できる限りそれを各担当部署で、各課の中で進めていただきたい。それをまた含めて総合振興計画の検証を進めなければ、またそれについては各委員の検証関係をやるのですが、数字的なものをしっかりと出したものについて、それで職員が1つ1つの事業についてPDCAサイクルの、その評価をしたものについてまた研究できるように考えていきたいと考えます。
   ☜ PDCA=計画・実行・評価・改善のこと。
    これを行うのは職員であるかのように村長は言って

    いるが、検証を行うべき責任者は村長自身です。森

    川氏はこのことの認識が致命的に弱い。
 財政調整基金と減債基金を足したものと公債残高、やはり資料関係については、職員にも色んなものを作れといって頼んでおります。また今言った関係の資料については、データにして、過去から始まって今後の推計もある程度のところで作ってありますので、それを含めて考えていけばしっかりとした議員の言われるものが出てくるのではないかという考えでおります。
   ☜ 職員に「資料を作れ」という問題ではありません。

    「基金と公債残高の比率」など村長自らすぐに計算

    できるもの。問われているのは、「188%」という

    栄村の危機的な比率に対する森川氏の認識です。

 

松尾 厳正に議論を進めたいと思いますので、今のやり取りを私は記録に残して、次の質問に参りたいと思います。

 

 以上が、一般質問での村の財政に関する質疑の全容です。

 

森川氏は、なぜ、自分のチラシで村の財政状況について一言も触れないのでしょうか?

 

 議会という公の場で、「議員の言われる通り、財政的には厳しいものがかなりあります」と明言した森川氏が、この1ヶ月半ほどの間に「栄村長 森川浩市」という署名を入れた村内のほぼ全世帯に配ったチラシでは村の財政状況に一言も触れていません。何故なのか? これが不思議でなりません。
 4年間、村長職を務めてきて、「村長就任後は、重責に身の引き締まる思いで、村民皆様の大きなご期待と信頼に応えられるよう、全力で取り組んでまいりました」(チラシ「森川こういちのお約束」より)とまで言っているのですから、自らの村政運営の結果として、村の財政状況がどうなっているのかを村民のみなさんに報告することが、真っ先にやるべきことだと思うのですが、森川さん、どうなのでしょうか。
 森川さんが議会の場で、「財政は心配ない。松尾議員の言っていることはデタラメだ」と言ったのだったら、話は別ですが、あなたは「(松尾)議員の言われる通り、財政的には厳しいものがかなりあります」とはっきり言っているではありませんか。
さらには、「財布のひもをしっかりと締め直さなければならない」とも言っているではありませんか。
 それでいて、「こんなことを実現しました」、「あれも実現しました」、そして、「次はこれをやります」、どうしてこんなことを無責任に言えるのでしょうか。

 

役場を明るい雰囲気に変え、ムダをはぶき、村民の叡智を結集すれば、25億円規模でも村はやっていけると、私は考えます

 森川さんは、「予算は30億円前後で」と言っています。でも、令和3年度には「栄村震災復興特別基金」がほとんど無くなる(R2年度は約1億7千万円)のですから、「30億円前後」の財源は確保できません。仮に公債発行で「財源を確保」とすれば、村の借金が増えるばかりです。
 森川さんは、30億前後にしないと、福祉、スキー場、デマンド交通などが「今まで通りには出来ない」と言っています。本当でしょうか? 福祉、とくにいわゆる「総合事業」(デーサービスなど)のあり方について、厚労省のガイドラインなどを研究してみました。その結果、もっと少ない経費で、より利用しやすい・村の活力を使えるサービスが可能となることがわかってきています。
 また、スキー場も、もっと効率的な経営・運営方法があります。
 デマンド交通については、さまざまな継ぎ足しによって複雑で費用がかさむものになっている現状を、一度、じっくり見直す必要があるでしょう。

 役場職員が変な気遣いをせずに済む役場となれば、そして、村民がもっと自由に参加できる行政に変われば、村の底力が湧き出てきて、財政の危機をのりこえていくことができると思います。
 まずは、役場の雰囲気から変えていくことが大事だと思います。

 

(農業、地方自治法に関する質疑は次号にて)


松尾まことの議員活動報告No.40(3月20日付)

議員として見てきた4年間の森川村政
  ―不透明、分断、クルクル変わる?

 

 私が補選で議員に当選したのは4年前の4月。森川氏が村長選で当選したのと同時でした。議会の場を通じて、森川氏の村政運営をずっと見続けてきました。「議員活動報告」として、これまで踏み込んでこなかったことを含めて、村民のみなさまに報告したいと思います。

 

◎ 疑問が多い人事(国派遣、副村長、農業)
 「予算と人事は村長の権限です」――これは森川村長の口ぐせのようになっている台詞(せりふ)です。
 予算編成権はたしかに村長にあります。ただし、予算を審議し、決定するのは議会の権限です。「予算は村長の権限」という森川さんの解釈は地方自治法を正確に理解されているとは考えにくいです。
 それはさておき、ここでの主テーマは《人事》です。
 役場職員の人事はたしかに村長の権限です。そのため、「疑問があるなあ」と思っても、議会の場でも、なかなか口に出しにくいというのが正直なところです。
 でも、やはり疑問があることは疑問としてしっかり質さなければならない。そう思って、先日の3月議会で私は質問しました。

 

●せっかく育てた〈ジオパーク専門職員〉を、後任者も育てないままに、国(国交省)に派遣してしまうのか?
 村の予算項目の中に「社会教育費」というのがあり、さらにその中に「苗場山麓ジオパーク」関係予算があります。令和2年度予算では739万7千円です。そのかなりの部分を占めるのが、「総会、CAP会議、定例会議の開催、全国大会、全国研修会への参加」に係る予算です。
 森川村政ではジオパーク担当部署を教育委員会とし、社会教育担当の1名の職員が3年間にわたって上記の会議、大会、研修会等に参加し、必要な知識等を蓄積してきました。かなりの経費がかかっています。「3年かけて、ようやくジオのことが一通り分かるようになった」というのが率直なところだろうと思います。ジオに精通する栄村役場初めての職員だと言ってもよいのではないでしょうか。
 ところが、その職員が4月から「職員研修で国に派遣」になるというので、「質問しづらいなあ」と思いつつも、思い切って3月議会で質問しました。質問の趣旨は、「多くの予算を費やして大会や研修会に参加して、やっとジオのことが一通りわかるようになったばかりなのに、なぜ、この職員を国交省派遣するのか。代わりのジオ担当職員を育てるのに、また多くの時間と経費を要するのではないか」ということです。
 森川氏は「職員を派遣して、国交省から喜ばれている」と言うばかりで、ジオ職員の養成にかかる時間と経費の問題、後継者がまだ確保されていないという問題については答弁がありませんでした。ちなみに派遣先の国交省の部署はジオと関係ない部署のようです。
 森川氏は、「国への職員派遣で国とのパイプが育つ」とも言っていますが、もともとは、「私(森川)には国との太いパイプがある」だったのではないでしょうか。「太いパイプ」はいつから「職員のパイプ」に変わったのでしょうか。

 

● 副村長について森川氏にはきちんと説明する責務があります
 「国への職員派遣・研修」という話でどうしても思い出されるのが森重副村長のことです。
 森重副村長は、森川氏から「職員研修」の責任者に任命され、「国への職員派遣」の必要性を強調した人でした。その森重氏、昨年12月に突然、退任されました。昨年12月の定例議会でも森重氏は「国への職員派遣」を強調されていました。ところが、その直後、議会最終日、本会議が終わった後に、「この12月一杯で退任」と発表されたのです。
 森重氏、2016(H28)年12月の着任時、長瀬団地に入居されました。しかし、2018(平成30)年2月、突然、飯山市木島に引っ越されました。「本人の健康上の問題と犬を飼える家の確保」が理由でした。今回の退任では、「家庭の都合」が「理由」として挙げられました。
 村のNo.2の進退に関わることにしてはあまりに素っ気ない「説明」です。森川氏は任命責任者として、もう少し丁寧な説明をすべきでしょう。森重氏が担当していた「職員研修の責任者」が誰に引き継がれているのかも明らかにされていません。
 3月議会に提出された令和元年度補正予算で、「特別職人件費」195万4千円の減額修正がありました。「副村長退任に伴う減額」とのことです。本年1〜3月の3ヶ月分が195.4万円というのですから、副村長の人件費は年間で781万6千円、森重氏の在任期間は3年間でしたから、計2,334万8千円ということになります。
 村民がひとつ、ずっと疑問に思ってきたことがあります。「副村長って、飯山に行っちゃったけれど、村民税を払っていないの?」ということです。これは私も議会で質問できずにきてしまいました。ただ、副村長と一対一で話した議員がいました。故阿部伸治さんです。「事情があって住民票は栄村に移さなかった。就任にあたって村長の了解を得てあります」とのお答えだったそうです。
 2,300万円を超える支払、そして村民税の非徴収。財政が苦しい栄村にとって、とても大きな問題です。森川氏には具体的で丁寧な説明をしてもらいたいと思います。

 

● 村民が頼りにしている職員が異動させられる
 役場職員(公務員)には人事異動がつきものです。職務の公正な遂行のためにも異動は必要なことだと思います。
 と同時に、「あの分野のことはあの人に尋ねれば、すぐに答えてもらえる」というように、村民が頼りにしている、特定の専門分野に強い職員がいることも事実です。この点は、その職員への配慮というよりも、村民に対する配慮という意味で、人事権者の村長は大いに気にかける必要があることです。
 しかし、村民が頼りにしている職員が突然、異動になり、その後、その分野では多くの村民が不自由を強く感じる事態が続いています。農業の分野です。栄村の基幹産業に関わる問題です。
 私は、元の職員を戻すべきだと主張しているわけではありません。基幹産業たる農業について、しっかりした行政の体制が必要なのに、森川氏はこの3年間、その手をまったくうっていないことが問題だと考えるのです。
 「人事権者は村長」です。だからこそ、村長たる者、村民の多くが心の底から納得できる人事を行う責務があります。森川さん、いろんな「お約束」をするよりも先に、これまでのことについて、村民が納得できる説明をきちんとしてください。

 

 

◎ クルクル変わる施策 ―― 代表例は観光、とくに秋山観光
 「森川こういちのお約束」というチラシが配られていますが、その中に「観光振興」の項があって、「秋山郷内の誘客宿泊者数2万人の実現に向け」という文言があるのを見て、正直なところ、びっくりしました。

 

● 「施政方針」では「日帰り観光推進」、チラシでは「秋山郷内宿泊2万人実現」――どちらが本当ですか?
 昨年の前半あたりまでは、森川氏、「秋山宿泊2万人へ」と言っていましたが、今回の3月議会での「施政方針」を含めて、議会ではまったく口にしなくなっていたからです。いや、「施政方針」では「飯山駅からの高原シャトル便や越後湯沢駅からの直通バス運行に取り組み、気軽な日帰りの栄村観光を推進します」と言っています。森川さん、「日帰り」では「宿泊者数2万人」は実現できませんよ。
 森川氏が新年度の「新規の大型事業」として挙げた観光施策は「野々海高原の誘客事業、雪の回廊事業」だけです(予算約160万円。ただし、小雪で中止の方向)。私は野々海の活用、とりわけ春の雪の活用を長年にわたって薦(すす)めてきましたので、「雪の回廊」は大いに結構ですが、行き当たりばったりではうまくいきません。秋山観光の強化はどうなったのでしょうか。

 

●いま、商工観光課はどこにあるか
 そもそも、森川氏は村長就任直後に「商工観光課の拠点を秋山支所(とねんぼ)に移す」としました。それがまともに機能したのはその年だけです。商工観光課の所在地はスキー場を経て、いまは「絆」(森宮野原駅前震災復興祈念館)です。森川氏は「代わりに秋山振興課をつくった」と言うかもしれませんが、だとすれば栄村の観光の中でいちばん大事な秋山観光は商工観光課の所管から外れたということです。実際、秋山の観光について議会で質問をすると、答弁は商工観光課長ではなく秋山振興課長です。

 

● 「のよさの里」をめぐるドタバタ
 3月議会では、秋山観光をめぐって、マイナスの意味で大きな動きがありました。「のよさの里」の指定管理者をヤドロクとする指定管理協定がいったん議会に提出されながら、取り下げられたのです。理由は、「ヤドロクさんから分家に車で直接乗りつけられるように渡り廊下の撤去を求められたが、そのようにすれば膨大な経費がかかるので、指定管理を村の方から取り下げた」というものです。
 指定管理者の決定にあたっては、事業計画書・収支計画書の提出はもとより、プレゼンテーションも行われています。当然、村は「どんな風に運営するのか」を細かく聴いたうえで決定したはずです。直接の責任は秋山振興課長なのかもしれませんが、秋山観光の振興は、森川さん、あなたの目玉だったではないですか。そもそも、今回の指定管理者決定、事業収入予定がわずか400万円に対して指定管理料は550万円という信じられない内容でした。
 4月からは再び村直営のようです。すると、また昨年のように、500万円、1千万円の補正予算投入ということになりかねません。
 とにかく基本施策がクルクル変わるのはもうご免です。

 


◎ 役場と村の暗い雰囲気を変えることが必要だと思います。《分断》は村政で最もやってはいけないこと。
 村民のみなさんからよく言われることがあります。「役場に活気がない」ということです。
 いや、頑張ってくれている役場職員、たくさんいます。
 しかし、なにか役場の空気がおかしいことは私も感じます。
 いちばんの問題は、〈職員が村長に率直にモノを言える、そして村長は職員の意見に耳を傾ける〉となっていないことだと思われます。

 

● 村長発言に不満を表すと処分の対象?!
 思い出します。もう1年以上前のことですが、村長が「特命課の嘱託職員は、ただ指示されたコピー取り等だけをやっている臨時職員とは違う」と議会で発言した時のことです。「この村長発言に怒っている臨時職員がおられます。村長、発言を撤回してください」と私が議会で申し出たとき、森川氏は何と、「その臨時職員は誰か、教えてください。内部情報漏洩で処分します」と言ったのです。
 信じられない発言です。臨時職員(4月からは会計年度任用職員)の人たちは本当によく仕事をされています。「正職員以上の働きだ」と評価する村民もたくさんおられます。「ただのコピー取り」視、一(ひと)時代も二(ふた)時代も昔の感覚ですね。


● 処分恫喝をかける一方で、その人のアイディアはとる
 昨秋の台風19号被害の直後のことです。
 議員仲間の中で「村内の被害状況をきちんと見て廻ろう」という話になり、私は他の議員2名と共に、秋山や天代・坪野、千曲川沿いなどを見て廻りました。
 私は災害現場のことをレポートしたことで森川村長から損害賠償を要求されるということが昨春にあったので、台風19号被害の写真発表にあたっては、村長室を訪れ、「こことここの被害状況写真を公表しますよ。なにか村にとって不都合はありますか」と森川氏に直接声をかけるようにしていました。
 秋山の被害状況を見た翌日に村長室を訪れました。私が「ミズノサワの先の土砂崩れ」と言った瞬間です。森川氏は「あそこに行ったのか。立入禁止だろう。議員倫理規程違反だ」と言ったのです。議会で7ヶ月以上にわたって私に対する議員倫理規程違反疑惑が問題とされていた時期です。議員倫理規程は議会内のもので、村長は関係ないものなのですが、こういうことを平気で言うのです。
 私が、「分かりました。ミズノサワの先の土砂崩れ現場の写真は使いません」と言って、その場を鎮めました。そのうえで、「でも、村長、ミズノサワは秋山の紅葉観光の一番の人気スポットです。あそこで写真を撮りたい人が多いのです。ミズノサワまでは車で行けますが、車が多くなると、車の引き返しが厄介なことになります。通行止めにしたうえで、雄川閣駐車場あたりから村がシャトルバスを出すようにするといいのでは」と提案しました。森川氏は「そんなに人気のスポットなの? 商工観光課長に検討させる」と答えました。
 その日の午後、商工観光課長に会う機会があり、「村長からこういう話があるかもしれない。積極的に考えてください」と話すと、課長は「村長から指示があって、シャトルバスを出すことになりました」と答えました。
 シャトルバスが実現したことは嬉しいことです。でも、森川氏は私とのやりとりは課長に話さなかったようです。
 私は自分の利益のために提案しているのではないですから、べつに森川氏が「松尾の提案だ」と紹介してくれなくても結構です。
 しかし、他人のアイディアはいただく一方で、私への処分恫喝はそのまま。そして、10月議会全員協議会では私の発言中に、傍聴席から「警察介入を!」と野次を飛ばしましたね。
 要は、「自分の言いなりになるのであれば面倒みてやる。言いなりにならないなら、アイディアはいただくが、恫喝は続ける」ということなのでしょう。
 こういう森川氏の施政が村の空気をなにか暗いものにしてしまうのだと思います。

 


◎ 本当に「村民第一」、「住民が主人公の村づくり」なのか?
 森川氏は、「森川こういちのお約束」で、「村民第一です」、「住民が主人公の村づくり」と繰り返し書いています。
 私はこれを見て、「本当か?」と思わざるをえません。
 というのも、私が実際に見た・聞いた森川氏の言葉・行動はその正反対だからです。

 

●「村民が誤解するといけないから、情報は公開しない」――これが森川氏の実際の態度
 この議員活動報告の前号(第39号)で報告したとおり、3月定例議会=予算議会の最大のテーマは《村の財政》でした。私は財政が厳しく、村民のみなさんに我慢していただかなければならないことが出てくるだけに、政策決定過程を透明化する必要があると主張しました。たとえば、新年度予算案を2月末に突然公表するのではなく、国や県と同じく、各課・各部署からの予算要求−査定のプロセスを公表することです。
 ところが、森川氏は「そういうものを公表すると村民に誤解が生じる危険がある」と言って公表を拒みます。2017年度に村が長野県中小企業経営診断協会に村内4観光宿泊施設とスキー場の経営診断を依頼し、その報告書が提出された時も、同様の扱いでした。一定の時間が経過した後に議会には内容を示しましたが、「村民が誤解するといけないから」という「理由」で、内容を村民に知らせることを禁じました。

 

● 「村民が誤解する」とは、一体、どういうこと?
 「村民が誤解するといけない」とは、「村民には情報を正しく読みとる力がない」というのと同じ意味ですね。
 森川さん、「住民が主人公の村づくり」と言うならば、「村民にむらづくりを一緒に考えてもらう」ことになりますよね。そして、「考えるには情報が必要」となりますね。ところが、「誤解するといけないから情報は出さない」。だったら、どうやって考えろって言うのですか?
 言っていることと、実際にやっていることが真逆ではないですか。言葉だけ格好いいことを言うのは止めてください。

 

● 「和をもって協力」と分断・個人攻撃は相容れません
 「和をもって協力」――これも「森川こういちのお約束」に書かれている言葉です。
 昨年秋、とても盛り上がったラグビーのワールドカップ。「ONE TEAM」が流行語になりましたが、ラグビーで大事なことがもう一つありますね。「試合が終わったらノーサイド」です。試合では激しくぶつかり合うが、試合が終わったら、敵・味方なく、共にたたかった相手をたたえ合う。そういう精神です。この精神があってこそ、村政において「和をもって協力」が成立します。
 でも、森川氏が4年前の村長選後初めての村議会で発した言葉は、阿部伸治さんへの「あなたは他候補選対の副本部長ですよね」という敵対感をむき出しにしたものでした。議場にいた誰もが驚きました。新聞もその驚きを書きました。
 今回の3月議会初日(3月3日)もまた同じことをやってしまいましたね。私の質問にキレてしまい、答弁を拒み、最後はとうとう「松尾議員は利益誘導している」と攻撃しました。一村の長たるものがキレるなんて、本当に恥ずかしいことです。首長たる者、あってはならないことです。


 私は村会議員選挙に立候補した時、「情報を徹底的に公開する」ことを唯一の公約にかかげました。ですから、議会でどういう議論があったのか、「議員活動報告」を書き、村民のみなさんにお届けしています。
 村議会では「議事録」というものが作成されています。議会での議論の様子をより詳しく知りたい方は誰でも、議事録を見ることができます。それは法律で保障された村民の権利です。公的なことは情報がオープン、これが「和」を保ち、「分断」を排し、村に明るさと活力をもたらす最大の源泉となります。
 村民みんなが明るく、和気あいあいと活発に議論して、素晴らしい栄村をつくっていきましょう! 近隣の市町村の人から「栄村は大変だね」なんて同情されるような状況から脱け出しましょう!

 


松尾まことの議員活動報告No.39(3月11日付)

森川村政は大失敗
〜3月定例議会であきらかになったこと〜

 

 議会3月定例会は令和2年度一般会計予算などの議案を審議し、3月10日に閉会しました。この議会を通じて浮き彫りになったのは、森川浩市氏の村政4年間が大失敗だったことです。今号では3月定例会の焦点となった4つの問題に絞って報告と解説を行います。

 まず、予算の採決に先立つ《討論》での私の発言の全文を紹介します。

 

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 令和2年度一般会計予算案の採決にあたり、賛成する立場の意見を表明します。
 これは、予算案を審議しながら、ここ数日間、考えに考え抜いて行なった苦渋の判断です。
 本予算案の審議を通じて明らかになったように、栄村の財政状況は、令和3年度においては恒久的諸政策の財源確保の見通しが立てられないという危機的な状況にあります。
 この危機の原因は何でしょうか。ここ数年、震災復興等関連予算により最大時、通常財政の2倍以上に膨らんだ村財政を平時の財政規模に戻すことが必要になっている中で、平時財政にソフトランディングさせることに失敗したことが原因です。
 そして、それは森川村長が、十分な財政検証をすることなく、放漫財政を続けたからこそ生じた事態です。

 

 森川村長は今議会で、財政が厳しい状況であることは認めました。定例会冒頭の施政方針も、財政状況を反映して抑制的な基調でした。
 しかし、事もあろうに予算審議議会開催中の8日あたりから、「森川こういちのお約束」というタイトルのチラシを村の各世帯に撒き始めました。このチラシは公職選挙法に抵触している可能性が限りなく大であるものです。このチラシで、本定例会での質疑内容に反することが書かれています。一例を挙げます。「農業経営について」の項で、「近年農業形態が、集落営農型および法人営農型に代わりつつあるため、農機具への助成制度を新設し、省力化を推進いたします。」
 森川村長。集落営農への農業機械導入を助成する制度は、平成31年度予算で、多くの集落の要望を背景に私共議員が求めたにもかかわらず、あなたが「資金がない」ことを理由として、打ち切った施策ではありませんか。そして、これから採決する令和2年度予算では、従来からの農家支援策も満足にはできないことが明らかになっているではありませんか。
 議会での審議内容、村長自身の答弁内容に反する、こんな無責任な「公約」を宣伝するというのは、いったい、どういうことなのでしょう。このチラシはただちに撤回していただきたい。
 あなたに令和2年度予算の執行を委ねることはできません。
 これから採決される令和2年度一般会計予算は、森川村長のための予算ではありません。栄村村民のための予算です。
 村長選挙を1ヶ月半後に控え、本来ならば、暫定予算、いわゆる骨格予算にとどめるべきでした。しかし、今から暫定予算に組み替えるのは時間的にも厳しいと考えます。よって、本予算案を村民のための予算として成立させたいと思います。
 審議を通じて、いくつかの費目・政策については、執行の留保、見直しを求めています。担当の課長のみなさんにはその点をしっかりとお守りいただけるようにお願いします。

 また、需用費等の執行において、財政状況に鑑みて、最大限の経費節約を求めました。村の財政の危機的状況をまだ皮膚感覚的に十分には受け止め切れていない発言が一部の課長さんからはありましたが、今回の予算審議等を充分に反芻(はんすう)して、これまでとは異なる感覚での予算執行にあたっていただきたいと思います。課長のみなさん。あなた方の双肩に村の財政の命運がかかっています。村民に奉仕する立場にあることを改めて再確認し、職務を遂行してください。
 以上で、討論を終わります。

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 保坂良徳議員、斎藤康夫議員も同様趣旨の討論をしました。他方、島田伯昭議員は森川村長を全面支持する趣旨での討論をしました。

 

◎ 栄村の財政はどういう状況にあるのかを説明します
■ いきなり30億円を切った一般会計予算
 令和2年度の栄村一般会計予算は総額29億5,800万円です。
 栄村では9年前の震災後、復旧・復興関係で予算(財政)規模が大きく膨らみました。しかし、復興関係の大きな事業も終わり、森川村政がスタートした頃から、通常の予算規模に戻すことが課題となっていました。森川氏が初めて予算編成した平成29年度予算は35.6億円、平成30年度は37.1億円、平成31年度(令和元年度)は32.2億円です。
 森川氏は平成31年度予算をめぐる議論の中で「通常の予算規模は30億円台前半」という認識を示していました。ところが、今回の予算はいきなり30億円を切り、29億5千万円。予算書を受け取った時(2月21日)、率直に言って、驚きました。
 何が起きているのでしょうか?

 

■ 家計に置き換えて説明してみます
 億の単位の話では村民のみなさんには馴染みにくいかと思いますので、家計に置き換えて説明してみたいと思います。
 一般会計予算約29億5千万円というのを、我が家の年間予算が295万円だという話に置き換えます。
 ただし、給料などで得られる年収が295万円あるということではありません。所得は295万円もないのですが、1年間の経費として295万円が必要だという話です。

 

    《支出》1年間の暮らしに264万円が必要。

        その他にローンの返済が31万円ある。
        両方を合わせて295万円。
    《収入》所得は233万円。貯金を35万円取り

        崩す。さらに新規のローンを27万
        円組む(借金)。

 

 こんな状況です。かなり苦しいですね。ローンの返済の一方で、新たなローンを組むというのは借金を返すために新たな借金をしている状況だとも言えます。別の言い方をすれば、年間295万円の家計ですが、ローンのことを考えると、実際は268万円の家計だといえます。所得が来年以降増える見込みは基本的にありません。そこで、大きな問題になってくるのは、「貯金の取り崩し」がいつまで可能なのかです。
 じつは、ここに大きな危機があります。我が家にはA口座とB口座という2つの貯金があります。A口座貯金は、病気や災害で所得が減った場合に備えるものです。令和2年度末の時点で77万円という見通し。これは災害で家が壊れるというような非常事態さえなければ、いましばらく持ちこたえられそうです。しかし、B口座貯金は震災に際して実家から特別にもらったお金を貯蓄したもので、令和2年度スタート時点では約13.4万円強あるのですが、これからの1年間で11.7万円取り崩してしまい、年度末には1.7万円になってしまいます。
 このB口座貯金、もとは25万円あったのですが、年々の生活費の一部に充てるために取り崩してきました。この貯金は震災に際して実家から特別にもらったお金が元になっているので、今後、増えることはありません。
 しかし、このB口座貯金の取り崩して日々の暮らしに不可欠な支出に充ててきたので、来年度以降、これまでの暮らしを維持するにはおカネが足らないということになります。

 

■ 「復興財政」頼りの財政の破綻
 B口座貯金、村の財政では「栄村震災復興特別基金」というものです。これが何に使われているのか、主なものをあきらかにします。
     集落活動支援金、人工透析通院支援、高校生等通

     学費補助金、予防接種事業、起業支援事業、新規

     雇用奨励事業、住宅リフォーム支援、若者定住マ

     イホーム支援、空き家活用等事業、集落公民館改修

 村の重要施策、そして森川氏が自らの「4年間の実績」と自慢している施策の財源です。令和3年度以降、これらの施策の財源がなくなるのです。質疑で課長が「財源をなんとか探したい」という苦しい答弁をされていましたが…。
 なぜ、こんなことになってしまったのでしょうか。
 「栄村震災復興特別基金」とは、元は、国が栄村の震災復興のために10億円を県を通じて供出したものです。当初は、村が復興に関わる重要事業の計画を県に提出し、県がその計画を了承した場合に、お金を村に渡していました。しかし、震災から5年を経て、平成28年度、県は残額の2.5億円を村に渡し、村が自主的に計画的に使うことを認めました。
 この2.5億円の使い方を、村、とくに森川村政は間違ったのです。本来は1回限りの「復興のための特別な事業」に充てるべきお金を、毎年必要となる事業(=恒久的事業)の財源に充ててしまったのです。原資が2.5億円の使い切り資金を恒久的事業の財源に充ててしまったのです。言いかえれば、「復興財源」に頼り切り、通常財政のあるべき姿の追求を怠ったのです。
 財政に通じている役場職員は、森川村政の財政運営のこういう問題性に気づいていたようです。でも、森川氏は職員の意見に耳を傾ける人ではありません。さらに、森川氏は4年前の選挙の際、「私は課長経験者。係長しか経験していない人とは違う」と自慢していましたが、残念ながら、役場で財務関係の部署で仕事をした経験がありません。「村の財政は、財務関係の部署を経験しないと分からない」と言われます。
 私はおのれの不明を恥じます。議員を4年間務めさせていただいてきて、満4年目を前にしてようやく村の財政の本当の姿が分かってきた次第ですから。
 今回の3月予算議会を前にして、過去の予算書も引っ張り出しながら、予算書を徹底的に読み込みました。ギリギリ間に合ったとも思います。4月に村長選があるからです。村長選では、この村財政の深刻な状況をしっかり頭に刻み込んで、私たちは賢明な判断をしていきたいと思います。

 


◎ 中山間第5期、ふるさと納税・農家支援策をめぐる問題
 3月議会では、一般質問と予算審議で、4月から始まる中山間地域等直接支払の第5期への村の準備・対応、ふるさと納税寄付金=農業振興基金の大幅減少(1億2〜5千万円から2,200万円程度に減少)と特A米加算金の廃止・農家支援策のあり方が、議論の大きな焦点の1つとなりました。

 

■ 議会直前に慌てて県に問い合わせた森川氏
 栄村の農業にとってとても大きな意味を有する中山間地域等直接支払制度。4月から第5期に入りますが、「集落戦略」の作成が求められるなど、内容が大きく変わります。各集落協定の責任者などが役場に「どうなるのですか?」と問い合わせても、回答は「国の制度がまだ届いていない」の一点張り。役場の対応への村民の不満と不安が高まっています。
 森川氏は4日の上倉議員の質問に答えて、「県に問い合わせた」と答弁しました。そこで、私は5日の一般質問で、「県に問い合わせたのはいつですか?」と尋ねました。すると、驚くべき答弁が出てきました。「一般質問の質問要旨通告を受けてから」というのです! それは2月下旬ということです。森川氏は議会一般質問の通告がなければ、栄村の農業にとっての大問題に関心をはらわず、調査や勉強をしていないのです。農水省のHPで数年前から公表されている「集落戦略の記載例」も森川氏はご存じありませんでした。

 

■ 稲作農家に玄米1俵2万円を保証する対案の検討を求めました
 ふるさと納税・稲作農家支援で森川氏が令和2年度予算案で示したのは、「ふるさと納税収入は2,200万円。返礼品としてJA米を購入するなどJAに854万円の委託費を支払う。農家には総額1千万円を上限に作付面積に応じて1反当たり5千円の支援金を出す」というものでした。
 「1反5千円」とは、1俵当たりわずか700円。これでは稲作農家はとてもやっていけません。私は、「返礼品としてJA米を購入するのではなく、農家から白米1俵3万円で購入。その代わり、返礼米発送は農家のみなさんにやってもらう(→村内の農事組合法人等への作業委託も可能)。他方、ふるさと納税で得られる収入のほぼ半額1千万円強は、農家によるお米の直売強化にむけての経費等の支援に充てて、栄村のお米のブランド販売を強化する」という対案を提案しました。この対案は玄米1俵2万円を農家に確実に保証することを目的としています。
 森川氏はこの対案の検討を農業委や農政審議会等に相談すると答弁しました。
1俵わずか700円の補助にとどまる村の案は少なくとも6月まで凍結して、ふるさと納税の真に有効な活用法をみんなで編み出していきましょう。これも4月の村長選の結果次第ということになります。

 


◎ 農産物直売所の指定管理更新をめぐる問題
 3月定例会には「栄村農産物販売所の指定管理者の指定について」という議案が提出されました。直売所かたくりの施設管理のことで、栄村農産物販売所出荷運営組合を指定管理者にするものですが、なぜか期間が1年間に限られています(従来は5年間)。どうやら、森川氏は物産館と直売所の経営統合を進めたいようです。
 また、指定管理に関する村と組合の協定書には「指定管理料支払い」の条項があるにもかかわらず、村は組合に補助金200万円を出すとして、指定管理料を決めていません。今議会に村が当初提出した「のよさの里」の指定管理協定では、事業収入がわずか400万円に過ぎないのに、550万円もの指定管理料を支払うとしているのとまったく対照的です。
 私は、指定管理制度及び指定管理料について、2018年9月定例議会で森川村長が答弁した村の基本方針を示しながら、「なぜ、村は指定管理料を支払わないのか」と質問しました。私の論旨は明解でしたが、森川氏は質疑の途中から、「議員が何を質問しているのか、分からない」と言って答弁を拒否、さらに、「議員は組合員か?」と尋ね、私が「設立当初から組合員です」と答えると、「議員の質問は利益誘導だ」と言って、私を攻撃しました。私が出荷運営組合の組合員であることは議員資格にまったく抵触しませんし、利益誘導にも該当しません。自分が答弁できなくなったら議員を攻撃する。まったく村長としてあるまじき態度です。
 森川氏は村長就任以来ずっと、直売所かたくりを敵視しているとしか思えない態度をとり続けています。農家が自らの農産物を自分が考えた価格で販売できる直売所は農家を元気にする大事な施設です。店長の小林さんが急逝された中、必死で頑張っている直売所を私はさらに応援していきたいと思います。

 


◎ 下高井農林高校の存続を願う意見書を可決
 3月定例会には多くの請願書・陳情書が提出されました。その中の1つが、「下高井農林高校を地域キャンパス(分校)化ではなく、現在のまま存続を求める請願」です。
 この案件は重要案件として、付託先の総務文教常任委員会での審議に先立って、3月4日の議会全員協議会(議長提出)で闊達(かったつ)な議論を行いました。首長らで構成される「岳北地域の高校の将来を考える協議会」は、「飯山高校、下高井農林高校の2校が存続が困難な場合は、下高井農林高校を地域キャンパス(分校)とする」という意見書を1月14日に県教育委員会に提出しています。しかし、高校生、父母、地域住民からは「議論が不十分」という批判の声が上がっています。そういう中での請願書提出です。
 議会は請願を採択したうえで、「県教育委員会が3月中に決定する第2期高校再編第一次分に岳北地区を含めないことを求める」という趣旨の県知事、県教育長宛の意見書を全会一致で可決しました。
 なお、3月定例会冒頭の教育施政方針で、石沢教育長は「飯山高校、下高井農林高校の2校存続を第一義とする」旨をあきらかにしています。議員の中にも、「首長・行政が決めたことに反する意見を議会が決めるのはどうか」という躊躇(ためら)いがあったようですが、住民の声に耳を傾けることこそ議会の使命です。議員として、議会として高校再編問題、下高井農林高校の存続・発展について、さらに勉強し、研究を深め、議論を進めていきたいと思います。

 

 

◎ 議員は何をしてよいか、何をしてはいけないか
   ――村長選をめぐって
 村長選挙が近づいてきています。
 その中で、議員が立候補予定者などと一緒に村内世帯を挨拶廻りする姿も見られます。村民の方から質問を受けます。「あれは、いいんかい?」と。私は選挙管理委員会でもありませんし、警察でもありませんから、断定的には言えませんが、常識的には「個別訪問禁止」に抵触する可能性大ですね。
 議員が村長選に関わることそのものは禁止ではありません。どういう村長が望ましいか、自分の考えをあきらかにすることはまったく問題ありません。しかし、議会、議員は行政を監視する責務を負っていますから、候補者ベッタリというのはよくないと思います。
 議員は3月定例会で浮かび上がった森川村政4年間の功罪について、自らの見解を表明したうえで、日々の議員活動を行うことが求められます。

 

 

◎ ようやく見えてきた議員活動のあり方
 3月定例会では、千曲川の湯滝橋〜十日町市中里の間が国の直轄管理ではなく県管理になっている(いわゆる「中抜け区間」)状況を解消するよう求める意見書も可決しました。この意見書を考えるため、2月の全協で、この「中抜け」の法的背景などについて私が調べたことを報告・説明させていただきました。
 また、6頁に記したふるさと納税・農家支援についての対案、今後、全協の場でより詳しく議論する機会を得たいと思っています。また、議会は昨年11月、福島県猪苗代町見祢集落を訪れ、集落営農の発展方法、農産物の販売等について学びました。その成果を活かすためにも、全協で議論し、よりよい政策を形成していくことが求められます。
 長野県飯綱町の議会改革が有名ですが、私は議員5年目を迎えて、ようやくですが、議員がどういう役割を果たしていくべきか、具体的に見えてきた感じがしています。
 「議会でこういうことを議論してほしい」ということ、是非、ご意見・ご要望を積極的にお寄せください。

 


松尾まことの議員活動報告No.38

村政の転換が必要です
〜12月定例会の報告と私の考え〜

 

 12月3日(火)〜6日(金)、村議会の12月定例会が開催されました。
 議案では、台風19号被害対策の補正予算が最重要議題でした。その中で村財政の抱える問題も浮かび上がってきました。また、「会計年度任用職員の給与及び費用弁償に関する条例」という聞き慣れない名称ながら、とても重要な条例案もありました。
 一般質問では、「目安箱」の実態が全面的に解明されました。解散した(一財)栄村振興公社への出捐金の処理の不明点の解明も進みました。さらに、台風19号での百合居地区での浸水の原因をめぐって新たな事実が判明しました(この点は別の機会に詳報)。
 総じて、森川村政の問題点が抜き差しならない形であきらかになってきました。村政の根本的な転換が必要になっています。方向性を共にする人びとと力を合わせて村政転換へ頑張っていきたいと思います。

 

◇  目安箱をめぐる一般質問の詳報
 「目安箱」をめぐる一般質問の結果について、12月7日付の「速報」で報告しましたが、より詳しい報告記録が出来ましたので、以下に掲載します。

 

松尾 一つ目。目安箱はどういう法令上、制度上の設置根拠に基づいて置かれているのか。公約に書かれたものでも施策として実施に移すには法令的制度的根拠があるだろう。設置の目的と併せて答えを。
2点目。目安箱が村の施設設備の一環であれば何らかの部署によって管理されているだろう。どの部署か。管理規則はあるのか。新聞報道では目安箱の鍵は村長のみが持ち、役場職員は管理職も含め管理に介在していないという。事実か。事実だとすれば投書があったという事実の客観的証明は不可能なのではないか。
3点目。目安箱による村政、村行政の改善事例があれば聞かせていただきたい。各課長から答弁いただきたい。」
村長 目安箱の法令上、制度上(の根拠は)無い。調べると8代将軍吉宗、享保の改革の一環として出てくる。
公約から所信表明において、「開かれた村政」がキーポイント。村民の皆さんからのご意見ご要望を受ける窓口の新設。目安箱は開かれた村政をするため。
目安箱の鍵の管理からすべて私が管理する。私のみが現物を直接見て、私のみしか分からない取り扱い。課長等においては(行政改善の指示のうち)どれが目安箱から来たものかはわからない。
松尾 答弁が漏れている点を聞く。村長のみが見ているのだとしたら、投書があったという事実の客観的証明が不可能なのではないかと聞いているが。
村長 今の聞き方は、投書があったのは私だけしか見ていないので、それが本物か嘘物か分からないという解釈でよいか。
松尾 本物か嘘物かというよりも、本当にあったのかどうかということ。
村長 私が嘘をついている、ついていないかという回答でよいのか。
松尾 それは村長の受け止め方次第ではないか。
村長 では、証明については私以外には出来ません
松尾 為政者が施政に臨む際の姿勢として享保の改革の目安箱を思い起こすのは結構だが、享保の改革は江戸時代の話、将軍がすべての権力を持っている。近現代は行政と立法が権力が分立していて、市町村においては二元代表制がとられている。
 目安箱の法令的根拠は無いという答弁は非常に不満足。
 村長は地方自治法149条で規定された権限に基づいてのみ行政の長として職務を執行する。答弁の中に地方自治法149条への言及があってしかるべき。(目安箱は)149条の1項から8項には該当しない。おそらく9項の「前各号に定めるものを除くほか、当該普通地方公共団体の事務を執行すること」を根拠として目安箱が設置管理されているのだろう。
 目安箱の設置費用は村の行政経費で賄われているから村の行政の設備の一つとして適正に管理されて然るべきだ。
 2回目の質問になるが、目安箱に入った投書は村長宛だけでなく他の人宛のものも村長しか見ないのか。
 投書内容にしかるべき対応をする際に、その投書内容について一般民間人に相談することはあるのか。
 投書内容の真偽が定かでない段階で、村長が投書内容を巡って特定の村民を処罰してほしいということで警察に相談する事例はあるのか。
村長 私宛ではないものはその方に直接渡す。事業で「こうしていただきたい」というものは、現地が分かれば現地へ行って状況を把握。投書した方の名前が書いてあれば、「ちょっと教えていただきたい」という照会は私がします。
 警察関係の投書、「警察を呼んでください」というのはまだ入ったことはない。
松尾 村長以外の人に宛てたものは宛先になっている人に渡すという答えだが、議会では正反対の説明を受けている。村長、議会議長、議会事務局長、3人宛の投書について、議会関係者は原本を見ていないと言っている。どちらが本当なのか。
 私が議員職にある者として渡された書類に次のような趣旨の村長の発言が記録されている。
    『ある日、投書があった。その中にある集落の、ある職業歴

     のある方のことが書いてある。この方を村長は仮にBさんと

     いう方だと思った。ところが自分がBさんを訪ねて行って人

     違いだということになれば、これは困ったことになるので、

     Cさんという方をたてて、Cさんに間を取り持ってもらい、

     Bさんに村長室に来ていただいた。仮に村長がBさんと見当

     をつけた人が間違いだったとすれば、それはCが間違ったと

     いうことでCの責任にしてしまえばいい、自分は関係ないと

     扱うつもりだった。』
 こういう発言を村長がしたという記録が残っている。
 「警察に相談したか」という点でも、「そういうことは今まで無い」との答弁だが、村長発言の公的記録に、「警察にいってもみなグレーと言うんです。だから別の形で処置してください」とはっきり残っている。しかも、投書内容が本当なのかどうかの事実確認をしている当日のその現場でこういう発言をしている。つまり、村長自身が投書内容の真偽を確かめていない段階で警察に相談している。私は不思議でならない。
村長 3者(村長、議会議長、議会事務局長のこと)において、私しか鍵はもっていない。その中で「匿名にしていただきたい、この分については消して渡していただきたい」と書いてあったので、消してある。それを私が打ち直す。
 私は警察に行ったのではなく、あくまで弁護士さんと通じた。直接私が警察に行って「よろしくお願いします」というのは、私はまだやったことはありません。
松尾 一つ答弁が抜けている。民間人に相談しているのか。
村長 有る。どこの自宅の水路どうのこうの…
松尾 いやいや…、先ほど言ったではないか。ある投書の人物、それがBさんだと村長は推測してが、間違っていたら困るからCさんという人に間を取り持ってもらった、間違っていたらCさんの責任にするという発言が記録されているが、そういうことはあるのかと聞いている。
村長 その記憶は私はありません。以上です。
松尾 (私が取り上げた文書は)議会で「あなたが読まないとこれ以上議論が進まない」ということで10月16日に渡された文書。その文書が「私に読ませれば副作用がありますよ」と私が言ったところ、村長が傍聴席から「警察介入お願いします」と発言した時の文書です。
(村長から正規の答弁ではない「警察と言っていない。ボディーガードだ」という発言)
松尾 ボディーガードでしたら、ボディーガードで結構。警察という言葉が出たことは事実です。

 

● 「村長だけが知る」というのは民主主義に反する。「開かれた村政」の実現は森川氏では出来ない
 「目安箱」を以上のめぐる質疑であきらかになったのは、「目安箱」について知っているのは森川氏ただ一人だということ。これでは村民は議員を含めて誰一人、本当のことを知ることができません。
 森川氏は「開かれた村政をめざす」と言ってきましたが、「目安箱」の扱いを見れば、森川氏の手では「開かれた村政」は実現不可能だということがはっきりしました。
 栄村は、森川村政下で、じつに深刻な状態になっています。独裁国家のようなあり方を容認することはできません。
 村政の根本的な転換が必要です。


◇  台風19号被害対策の事業費は約11億6千万円
 12月定例会には台風19号被害対策に関する専決処分の承認案件と補正予算案が提出されました。
 台風19号被害対策の専決処分は10月25日付のもので、主たる内容は国庫補助の対象となる公共土木施設災害復旧事業で、国への補助事業申請期限との関係で10月25日までに予算を決定する必要があったものです。総額は5億3,126万円。激甚災害の指定を受けたので国庫補助率が83%に引き上げられています。
 国庫補助事業となったのは、村道天代坪野線(天代地区、坪野地区の2ヶ所)、村道野口坪野線(2ヶ所)、村道鳥甲線(極野)、村道極野線(2ヶ所)で、事業規模は計3億7,922万円。村単での公共土木災害復旧は計4,550万円です。
 もう一方、12月定例会に一般会計補正予算第8号が提出され、ここには農地・農業施設の台風19号被害復旧事業として、国庫補助事業6億4,500万円と村単事業750万円が計上されています。また、林道3ヶ所の国庫補助による災害復旧事業1,220万円も計上されています。

 

● 工事着手の見通しについて
 これらの災害復旧事業の予算額は急を要するために概算額で算出されています。そして、工事の着工はすでに応急復旧が行われているもの(たとえば村道天代坪野線)もありますが、農地の場合などは多くが「来春作付前」とされています。
 この「議員活動報告」のスペースの関係で、個々の被災箇所について細かに記すことができませんので、「私の地区の被災箇所はどうなっているの?」という点については役場担当課にお問い合わせください。それでも不明な点があり、さらに詳しく知りたいという場合は私にご連絡ください。不明点の解明に努めます。

 

● 村の財政調整基金が7億円を切りました。財政再建の課題に取り組む必要があります
 タイトルに書いたとおり台風19号被害復旧事業の総額は11億6千万円という巨額にのぼりました。村の今年度当初予算総額が32億1,900万円であることを考えると、その大きさは一目瞭然です。
 ここで注目しなければならないのが村の財政調整基金(一般家庭での貯金に当たるもの)です。10月25日専決処分と12月定例会提出の補正予算で約1億7,700万円の財調基金が取り崩されています。復旧事業総額11億6千万円からすると少ない財調基金取り崩しで済んでいます。今回の災害が激甚災害の指定を受け、国庫補助率が大きく引き上げられたからです。激甚指定がなければ復旧事業費のほぼ半分を村で出費しなければならないことになります。ですから、大規模災害等の非常時に備えて、村は一定額以上の財政調整基金を確保しておかなければなりません。
 ところが、村の財政調整基金がここ2年の間に急激に減少しています。
 H29年度末の財調残高は約13億4,400万円であったのに対して、H30年度末は約9億8,300万円で、H30年度の取崩し額は約4億600万円。また、今年度の取崩し額もすでに2億6,400万円を越えていて、残高は6億7,100万円しかありません。2年前の半額に落ち込んでいるのです。
 これでは何かあった時に対応できません。気候変動によって大規模災害が続く昨今、財政面でも災害への備えが必要です。
栄村の財政は大きな危機に直面しています。行政に精通する人たちからは「これでは数年しかもたない」という声が聞こえてきています。村の財政再建は待ったなしの状況です。
 財政の面からも村政の転換が必要になっています。


◇ 出捐金問題で真相が見えてきました
 私は一般質問で、9月定例会に続き、(一財)栄村振興公社への出捐金の処理に関して質しました。
 「出捐金の処理について、村と一般財団法人栄村振興公社の間でどのような協議の経過があったのか」という質問に対して、商工観光課長から次のような答弁がありました。
   「公社より平成31年1月25日付で「法人解散に伴う課題、懸念

    事項についての対応依頼」という文書で「出捐金8千万円につ

    いて、運営費に充てて残額が無いため免除願いたい」という文

    書をいただいております。対して村長からは、平成31年2月15

    日付で、「出捐金の残額があれば清算に伴う経費不足に充当す

    るよう」通知してございます。」
 出捐金8千万円の扱いについて、やはり公社と村長の間でやりとりがあったのです。公社側が「出捐金(の返還を)免除してほしい」と村長にお願いし、それに対して村長は出捐金8千万円のうち約6,800万円について「清算に伴う経費不足に充当=公社の累積赤字の処理に使ってよい」という指示をしていたのです。この6,800万円は村の財産であり、これを公社の累積赤字処理に使うことを認めるのは村の財産権利を放棄するということです。
 地方自治法で自治体の権利放棄は議会の承認が必要だと規定されています。ところが、森川村長は議会に諮ることなく、村長の一存で村の財産を処分してしまったのです。これは明白な地方自治法違反です。
 村の財産は森川村長の私物ではありません。村民の財産です。それを勝手に処分することは絶対に許されることではありません。私はさらに追及していきたいと思います。


◇ 「会計年度任用職員」という聞き慣れない用語と村の臨時職員への対応について
 12月定例会には「栄村会計年度任用職員の給与及び費用弁償に関する条例の制定について」という議案が提出されました。
 「会計年度任用職員」という用語、議員も初めて耳にするものです。私は定例会前に調べてみました。「会計年度任用職員」とは臨時職員のことです。今春、国において地方公務員法の改正があり、それに対応して各自治体において法改正に対応する条例の制定が求められたのです。
 この地方公務員法改正は、非正規雇用である臨時職員制度を改善するよりも、むしろその非正規雇用を固定する面の方が強いと私は見ています。ただし、この「会計年度任用職員」という制度そのものは国政レベルのことですから、村レベルで対応できることではありません。
 問題は、栄村がこの「会計年度任用職員」制度の中で、どういう対応をするのか、です。
 「会計年度任用職員」には、「フルタイム会計年度任用職員」と「パートタイム会計年度任用職員」の2種があります。栄村役場には正職員と同一時間働いている臨時職員が24名おられますが、この24名については「フルタイム会計年度任用職員」として雇用されるものだと私は思っていました。
 ところが、村の答弁は、「24名はパートタイム会計年度任用職員とする」と言うのです。私が「どうしてフルタイムではなく、パートタイムなのか?」と問うと、「勤務時間をフルタイムよりも15分短くする」という答弁。これには驚きました。「フルタイム」にすると正職員と同じ諸手当の支払いが求められることから、こんな姑息な方便を考え出したのでしょうが、許されるものではありません。
 私はこの条例案の採決では反対しました。諸方面と協力して、この臨時職員への不当な扱いをやめさせるためにさらに頑張りたいと思います。


◇ 「商工観光業者経営資金貸付基金」は疑問が大きい
 災害で経営が苦しくなった個人自営業者への支援制度として「商工観光業者経営資金貸付基金」を設けるという条例案が提出されました。
 1事業者あたり最大300万円を貸し付け、返済は1年据え置きで、2年目に全額返済というものです。事業者であれば、「2年目に全額返済」が極めて困難であることは明白です。質疑でその点を徹底的に議論しましたが、村は提案を変えませんでした。そのため、私は本議案には反対しました。

 

◇  消費税増税に伴う水道料等の値上げについて
 消費税増税に伴い、村の簡易水道、浄化槽使用料、農集使用料、ケーブルTV使用料を値上げする条例案が提出されました。
 10月の全協(村長提出)で協議があった時、消費税増額分=2%アップを計算する際に10円未満の端数を切上げて料金設定するという村の案に反対しました。12月定例会での村の提案はその点が改まっていなかったので、改めて質問しました。村は「国の指導で数年後に簡易水道等について公営企業会計に変更しなければならない。それに対応して少しでも赤字額を減らすために、10円未満の端数を切り上げさせていただきたい」という答弁でした。
 公営企業会計への移行とは、一言でいえば、民間企業会計と同じ扱いをするということです。住民の暮らしに不可欠な水道事業等でこういう制度変更を行うことに私は疑問を抱いています。さらに研究を深めたいと思います。
 ただ、今回の値上げに関して、村の簡易水道特別会計等が苦しい状況にあることを鑑みて、私は採決で賛成の立場をとりました。苦渋の判断です。みんなの暮らしを守るために村政においてどのような工夫をしていくか。考えなければならない課題が山積しています。

 

 12月定例会の報告は以上ですが、村政が重大な局面を迎えていることは明白です。森川村政からの転換が必要です。そのために全力で頑張っていきたいと思います。

 


松尾まことの議員活動報告号外(12月7日付)

「目安箱」をめぐる一般質問の結果について

 

 議会12月定例会の3日目(5日)の一般質問に際しては、多くの方々に傍聴にお越しいただき、有難うございました。
 質疑内容の詳細については、議事録が出てくるのを待って精査し、改めて詳しくご報告申し上げたいと考えていますが、ひとまず速報的に何が核心であったかについて私の総括を報告させていただきます。

 

◎ 「原本は私だけが見る」という村長答弁の重大性
 今回の質疑の最大のポイントは、森川氏は「鍵を持っているのは私だけ」、「投書の原本は私だけが見る」と答弁し、「村長しか見ていないというのであれば、投書が本当にあるという客観的証明はどのようにして出来るのか?」という問いに対して、「私が嘘をついていると言うのか」と発言したことです。
 これは村長という地方自治法に基づく公職にある人が言っていいことではありません。
行政というものは、法令に基づいて運営・執行されるものです。「法令に基づく」ということは、投書ひとつをとっても、村役場という行政組織の中のなんらかの組織・職員が受領印を押して、公文書として扱う、そして唯一人きりの職員の手で管理するのではなく、必ずなんらかのチェックシステムが存在することによって、特定の人物による恣意的な扱いができないようにして、客観性や公正性を担保するということです。
 しかし、森川氏はそういう行政の運営・執行の原則を完全に否定しているのです。
 じつに重大かつ由々しいことです。

 

◎ 「開かれた村政」どころか、前近代の幕府体制のような「閉ざされた村政」ではないか
 森川氏は「目安箱」設置の意図について、「開かれた村政を実現するため」と言いました。「開かれた村政」、誰もが望むところです。
 ですが、森川村政は本当に「開かれた村政」になっているのでしょうか。
 いや、5日の答弁を聞く限り、逆に「閉ざされた村政」になっていると言わざるをえません。
 森川氏は、「目安箱」を思い立った経緯として、徳川幕府の享保の改革における目安箱の設置を挙げました。日本で義務教育を受けた人であれば、誰もが享保の改革の目安箱を知っています。着想のヒントを享保の改革から得るのは結構です。
 でも、いまは江戸時代ではなく、近代社会なのですから、栄村での「目安箱」は憲法や地方自治法等に基づいて設置・管理される必要があります。「目安箱」に入れられたという投書の原本を村長以外は誰も見ることができないというのであれば、村長に無限の権力を与えるのと同じです。江戸時代であれば、それも許されたでしょうが、現代においてそんなことは許されるはずもありません。
 「村長、そういう投書が本当にあったのですか? その証拠を示してください」と言うと、「お前は俺が嘘をついていると言うのか」と開き直る。これでは、「俺が本当だと言っているのだから本当なんだ。村長が言うことに異議を唱えるとはけしからん」と言っているのと同じです。どこが「開かれた村政」なのでしょうか。「開かれた村政」とは真逆の「閉ざされた村政」と言わざるをえません。
 武士の時代、殿様に諫言(かんげん)するには切腹の覚悟が必要だったようです。
 栄村を「刺し違え」の覚悟をもたないと村長にむかって自由に意見も言えないような村にしてはならないと私は思います。

 

◎ 議会は毅然としなければならない
 みなさんがすでにその存在をご存じの「議員倫理規程」をめぐる問題、現在は議長、副議長、議会運営委員会委員長、総務文教常任委員会委員長の四者協議に委ねられています。
 「目安箱」に入れられたという投書が発端になっていますが、5日の村長答弁によれば、その投書の原本を議会関係者は誰一人として見ることができないという状態で、議会は何を議論できるのでしょうか。議会は村長に従属する機関ではありません。地方自治体は首長と議会議員がともに住民の直接投票で選出される二元代表制になっています。議会は自らが確認できる客観的な事実に基づいてしか議論も決定もできません。単なる二次情報や憶測で議論したり決定を行ったりすることは議会の自殺行為だと言わざるをえません。
 すべての関係者がこの二元代表制の原理に則って対処されることを望むところです。

 


松尾まことの議員活動報告No.37(11月13日付)

「議会はなに馬鹿なことやってんだ。もっと他に大事なことがあるだろう」というお叱り。
その通りだと思います。

 

 久しぶりの議員活動報告になります。
 議会の中で私に対する「議員倫理規程違反の疑惑」が延々と検討されている状況が続き、その問題を抜きにして「活動報告」を書くわけにいかない。しかし、その問題は「非公開」扱いの問題、いわば「密室」の議論となっているので、なかなか書きづらい。そんな状況でした。
 しかし、議会全員協議会の場で、議長から「この問題はもはや公になっている。対象議員は松尾議員」と発言があり、11月6日の全員協議会には多くの村民が傍聴に来られている中で問題の議論が行われました。そこで私は全文公表を前提として私の考えを述べた文章を読み上げています。
 問題に決着がついたわけではありませんが、以上のような次第ですので、私の「議員活動報告」を書くことにしました。

 

 「議員倫理規程問題」及び森川村長の傍聴席からの不規則発言(野次)が『妻有新聞』11月9日号で報道されたこと、また多くの村民が11月6日の全協を傍聴されたことで、ここ4〜5日、会う人、会う人から、上に記したような文言で議会に対するお叱りを受けます。また、「松尾さん、負けたらいかんよ」との励ましの言葉もいただきます。
 私が11月6日の全協で読み上げた「私の思い」の全文は別紙にてご紹介させていただきます。本紙では、それをふまえて、議会と村政の現状とその打開について私の考えを述べさせていただきます。

 

◎ 村の抜本的立て直しが急務です
 私は、村はいま、大きな危機に直面していると思っています。2つの意味においてです。
 1つは、みなさんから厳しいご批判をいただいている議会の現状に象徴される、〈訳の分からない村政〉の現実です。
 私に対する「議員倫理規程疑惑」は3月以来、7カ月余にわたって“熱心”に延々とやられています。他方、栄村でも大きな被害をもたらした台風19号について、10月18日の全員協議会(村長提出)で、村から被害状況の報告がありましたが、それをめぐる質疑は、私などが質疑した以外は率直に言ってきわめて低調でした。
 「議会が議会らしい仕事をしていない」と批判されても返す言葉がないと思います。
 私は台風19号の直後から様々な災害現場に赴き、被害の実態を写真撮影するなどして、「栄村復興の歩み」の号外を発行して、村内外に発信していますが、その際、どの災害を公表するかについて村幹部の事前了解を得なければならないという制約を受けています。何かおかしくはありませんか。
 この後に報告するように、議会には議論しなければならない深刻な問題が多々あると思うのですが…。

 

 2つは、子どもたちの世代、孫たちの世代が暮らしていける栄村の未来像を描き出せる村政が求められていると思うのですが、そういう村政になっていないということです。村民のみなさんとお話しすると、閉塞(へいそく)感が痛いほどに伝わってきます。それを打開するのが村政と議会の役割だと思います。
 今月配布されている「公民館報さかえ」第331号に「一石を投じる」という2頁にわたる文章が掲載されています。私は深く共感しました。ここまで真剣に、そしてしっかりした考えを持って公民館活動に尽力して下さっている方がおられるのに、議会は、村政は、応えているのか? 本当に恥ずかしく、責任の重大さを痛感します。

 

 

◎ 自然災害にどう対処するか ―― 里山・流域ルネサンスを!
 台風19号は本村にも多大な被害をもたらしました。とくに百合居での千曲川の氾濫と並んで、天代川流域での被害は凄まじいものです。8年前の地震は未曾有の大災害でしたが、今回の天代川流域の災害はある面では8年前の震災をも超える深刻さを有する大災害だと私は考えています。
 去る11月5日、私は坪野集落に車を残し、坪野集落から約2卆茲泙芭啼擦鯤發い鴇紊蝓∪遒販啼察∋海虜匈仮況を見てきました(これは私のジャーナリストとしての活動ですが、同時に村の議員としての調査活動でもあります)。往復3時間を要しましたが、行けたのは本来めざした距離からすれば、まだ半分にも達しない程度です。
その調査結果の概要は「栄村復興への歩み」No.369(11月7日付)で報告しています。是非、そちらをご覧ください。
  *「栄村復興への歩み」は発行経費の膨大化に対処するために印刷版は現

   在、有料化させていただいています。ネットでは無料閲覧できます。

   No.369に限り、定期購読ご希望でなくても、ご要望があれば印刷版を

   お届けします。電話でご連絡ください。

 

■ 山が荒れている
 坪野集落から上流の天代川とその流域の山、現在では、年2回の坪野堰の普請でかけ口に人が行くのと、釣り人が入っているであろうと思われる(最近ではめっきり少なくなりましたが)のを除けば、ほとんど人が入らなくなっています。
 その結果、どういうことが起こっているでしょうか。

 

● 山・森から流れ落ちる雨水が川に入らず、林道に流れ落ち、林道が通行不能になる
 雨が山に、森に降ります。その雨水は山肌を流れ落ちます。
 人が入っていた時は、その雨水が天代川に流れ落ちるように林道に溝を切るなどの作業が丁寧に行われていました。
 しかし、今はそんな作業をする人もいないので、溝はなくなり、山・森から流れ落ちて来る雨水は天代川に流れ込むのではなく、林道を流れます。その結果、林道が川のようになっていきます。
 すると、林道は四駆の軽トラでも走れないような状態になります。2〜3年前はそれでも、今回私が歩いて到達した地点あたりまで軽トラで行けました。今はもう無理です。だから、今回、私は集落を出たところから歩くことにしたのです。

 

● 人の入らない山は下草が繁り、雨水が土に浸み込むことを妨げます。人工植林の杉林は下草もあまり生えず、雨水をどんどん下へ流します
 人が入らなくなった山・森は下草刈りが行われていません。下草が繁っていると、雨水はその上を滑るように流れ、森の土壌に浸み込む(=保水される)ことがなくなっていきます。台風19号はたしかに前例がない大雨でしたが、数時間前〜半日・1日前に山で降った大量の雨が下流にまっすぐ下ってきて、下流で大洪水・氾濫を引き起こす。これは山の保水量が低下しているからこその事態だと思います。
 また、杉林から大量の土砂が流れ出ている状況を11月5日、天代川の中流で目撃しました。

 

■ 自然の川って、どんなものなのだろう
 今回、車ではなく歩いて天代川沿いを上ったので、じっくりと川の様子を見ることができました。
 驚いたことがあります。
 天代川の川幅というのは頻繁に変化するのですね。広いところもあれば、狭いところもあります。そして、林道から容易に近づけるところもあれば、林道と川の間が急峻な崖になっていて近づき難いところもあります。
 川の流れ、川の幅は、素人なりに考えるに、流水量・流速と川が侵食する岩・土壌の硬度との関係の中で自然に決まっていくのでしょう。

 

● 人間が人工的に調整してきたものを放棄すると、何が起こるか
 人間は、里(人が暮らすところ)では、そういう川の流れや幅を人工的に制御(コントロール)しようとしてきました。護岸工事や砂防ダムの建設などです。天代川でも人が暮らす坪野〜天代〜県道のゾーンでは護岸工事が行われ、その横に車が走れる道路がつくられてきました。さらに、集落よりも奥には3つの砂防ダムが建設されました。
 しかし、砂防ダムの維持管理作業は行われていないようです。少なくとも下流に近い方から1つ目と2つ目のダムは土砂で完全に埋まってしまっています。今回の台風19号で埋まったのではありません。それ以前から埋まっていたのです。その結果、上流から流れ下ってきた倒木や大きな岩などを止めるどころか、逆に、一定の高さ(堰堤の高さ)から落下エネルギーによって勢いをつけさせながら、下流へいっきに流していったのではないでしょうか。実際、私が視認したかぎり、下流部の方が上流から一気に流されてきたと思われる大きな流木や岩が多かったです。そして、そういうものが護岸工事既設箇所に襲いかかってきた。それが今回の多数の護岸崩壊の原因なのではないでしょうか。
 この事態に対して、下流部で護岸を再建する(たとえ従来よりも強度を上げたとしても)だけでは、今後いっそう強まると思われる“自然災害”の猛威に対抗することは困難なのではないかと思います。

 

■ 「奥山・里山・里」の区分を再構築する必要がある
 クマ・イノシシなどの獣害をめぐって、「奥山」(自然動物の領域)、「里山」(人間が活動し、自然動物と人間の境界線となる)、「里」(人間が平穏に暮らす・暮らせる領域)の区分(棲み分け)が崩れていることが原因だと、多くの専門家によって指摘されています。この指摘が正しいことは、村民のみなさんが自らの体験から認識されているところでしょう。
 同じことが水害をめぐっても言えるのではないかと私は考えます。
 天代川の源流部は野沢温泉村の毛無山(標高1649.8m)の北側の山腹にあります。現在は野沢のスキー場や県道奥志賀高原栄線が走るゾーンに近いところですが、昔は人がほとんど近づかない(近づけない)奥山だったと思われます。

 

●戦時中・戦後初期の山の伐採
 戦時中から戦後初期にかけて天代川流域の山林はつぎつぎと伐採されました。戦時中の伐採は木製戦闘機の材料確保、戦後初期は住宅復興のための合板用資材の確保が目的だったようです。この伐採作業のために多くの人たちが青森県などから出稼ぎに来て、坪野集落は人で溢れていたそうです。天代川流域の山を伐り尽くすと、次は北野川流域に伐採場所が移って行ったと聞きます。
 天代川の伐採箇所はその後、どのように措置されたのでしょうか。私は現時点ではよくわかりません。天代川上流へ歩を進めて見える山は広葉落葉樹林が多いように見えますので、ひょっとすると自然の再生力にまかせたのでしょうか。

 

● 〈人が里山に入る〉ことの代わりを砂防ダムはできるのか?
 奥山から里(坪野集落)にむかって下ると、一定のところは里山になっていたはずです。つまり比較的最近まで人が入る山であったはずです。北野の山ではかなり最近まで森林組合の手で下草刈りが行われていたと聞いています。おそらく坪野の里山でも下草刈りや山菜採り、薪(たきぎ)取り等で人が入っていたと思います。
 坪野堰の取入れ口は坪野集落から2劼曚評緡の天代川左岸の崖の上にあります。少なくともその辺りまではほぼ日常的に人が入っていたと思われます。右岸側でもその辺りまでは入っていたのではないでしょうか。
 その辺りが里山として管理されていれば、山に降った雨は現在のように一気に川に流れ込むことなく、一定程度、山で保水されるのではないかと思います。
 この里山ゾーンと考えられるところに3基の砂防ダムがあります。里山に人が入り、自然との共生関係を実現することができなくなり、その代わりの治山・治水事業として建設されたと捉え返すことができます。しかし、先に書いたように現在は維持管理作業が行われている形跡がありません。
 やはり人が山(里山)を管理することをせずに、近代技術による人工的構築物の設置で代替にすることは万能ではないのです。昔より省力化するとしても、たとえば砂防ダムのポケット部分に堆積する土砂等を搬出する作業の実施など、ある程度は人が入らないと山と川は奥山化し、自然の脅威が直接に里に襲いかかってきてしまいます。それが今回の台風19号被害なのだと思います。
 このことは天代川だけのことではないと思います。台風19号では各地で小さな河川が氾濫し、被害を大きなものにしました。全国的な過疎化の一層の深刻化によって、人が入らない山と川が全国各地に大量に生まれているのだと考えるのが妥当でしょう。

 

■ 里山・流域ルネサンスとは
 さて、2頁の見出しに書いた「里山・流域ルネサンス」とは何ぞや、です。
 “ルネサンス”という言葉は学校の教科書に出てきます。一般的には「古典古代(ギリシア、ローマ)の文化を復興しようとする文化運動であり、14世紀にイタリアで始まり、やがて西欧各国に広まった」と説明されます。そして、何かを復興・再生させようという場合に「○○ルネサンス」という表現法がとられるケースが多く見られます。私はそれに倣(なら)って「里山・流域ルネサンス」という表現を考えました。

 

● まずは、人が入ることから始める
 最終目標は、天代川流域に人が入り、里山活用が適切な質・頻度で行われることです。樹林の下草刈り・間伐、伐材の搬出と活用、山菜や茸の採取、釣り、川遊び等々の人間活動を蘇らせるのです。もちろん、これには人手と資金が必要ですし、そういう活動を持続させるには、その活動が稼ぎにつながることが必要です。
 いま、そういうことを即座に実現することはできません。だからこそ、山が荒れているのです。でも、「だから、ルネサンスなんて言ったって無理」と言ってしまえば、山は荒れ、災害は増える一方となります。
 まずは、生業化できるかどうかはともかく、関心を抱く人たちが山に入ることからスタートさせることが肝要です。村政レベルでは、そういう諸個人ないしグループの活動を積極的に奨励することで支援姿勢を示すことが求められるでしょう。

 

● 坪野の人たちから話を聴こう
 坪野集落の現住世帯(住民票がある)は2世帯です。しかし、春から秋は坪野で暮らす、かなりの頻度で坪野に帰り、米作りや山菜採りなどを行う人が少なくとも4世帯。
 相当の高齢に達している方が多いですが、まだまだお元気で、お話を聞くことができます。2〜30年前、50年前、70年前、坪野の人たちがどんな暮らしを営んでいたのか。山に入り、川と付き合うのに、どんな技や知識を有しているのか。
こういうお話は関心さえあれば、私のような素人でも十分にお聴きすることができるでしょう。
 と同時に、専門家にも少し入ってもらうと、さらにいいですね。今流の機械化・効率化された林業ではなく、山や森の自然遷移などに詳しい専門家などです。坪野の人たちが有する経験・知識と、専門家の知識を融合させると、山や川との付き合い方がだんだんわかるようになるはずです。

 

● 坪野への移住者を募る
 こういうルネサンスへの第一歩となる活動を進めていくうえで、坪野に若い人が住んでくれると坪野に活気が戻り、ルネサンスへの拠点が生まれます。「若い」といっても20〜30歳代に限られるわけではありません。40〜50歳代の人でもよいと思います。ご夫婦が理想的ですね。
 先日も、坪野集落を念頭に置きながら、移住候補地の1つとして栄村に滞在されたご夫婦がおられたとのことですので、けっして荒唐無稽な夢物語ではないと思います。
そして、ここは行政の出番です。地域おこし協力隊制度などを活用して、移住支援の体制を確保することです。ただし、地域おこし協力隊員を役場等の臨時職員として扱うのではその人の創造性の発揮を妨げることになります。役場は「カネは出すが、口は出さない」というのがいいですね。また、坪野の冬(雪)は厳しいですから、雪害救助員制度の特例措置を行うとか、とりあえず2〜3年は、住家は村の中心部に近いところに確保し、坪野には毎日通うという形でスタートしてもいいと思います。

 

● 全国的に類例がないような取り組みを行政が位置づけ、支援を惜しまず、全国に発信する
 ここまでに書いてきたことを、じつは、私は震災以降ずっと考えてきました。なかなか踏み出せなかったのですが、今回の台風19号被害が、「いまが踏み出さなければいけない時だよ。最後のチャンスだよ」と教えてくれました。
 坪野−天代川と同じような問題を抱えている地域は全国各地にそれこそ無数にあるでしょう。「田直し」「道直し」で全国的に著名になった栄村だからこそ、先進的実験に踏み出すのにふさわしいと思います。
行政にはそういう考え(構想)を支持し、さまざまな支援を行い、全国に発信していくことが求められます。

 

●「村を元気にする仕事」
最後に、2頁で紹介した「公民館報」の一説を引用させていただきます。


    働き口があるから、仕事があるから、村に居る。栄村が好きで住み続

   けたいけど、仕事がないから居ない。そのような考え方で村に人は残っ

   ていくのでしょうか。
    様々な仕事をしながら暮らしや文化を楽しむことができ、地域に貢献

   する生き方。確かに漠然としていて「職業」として確立できるのかとい

   う指摘も当てはまりますが、生き方自体が働き方だと考えれば、どうで

   しょうか。…

 

 全く同感です。
 紙数が尽きました。
 次回は、来年春スタートの中山間地域等直接支払制度の第5期をめぐって、求められる「集落10ヶ年計画」について、何が求められているのか、どう取り組めばよいのか、議会は・行政は何をなすべきか、などを考えて提案していきたいと思っています。


松尾まことの議員活動報告No.36(7月31日付)

消えた出捐金約6800万円
村はどう説明し、処理するのか?!

 

 7月23日、議会全員協議会(全協)が開かれました。村長提出の全協は午前11時から。
解散した一般財団法人栄村振興公社の清算手続き終了をうけて、公社幹部が参考人として出席しましたが、最大の焦点は
  村の財産である出捐金(しゅつえんきん)8千万円の扱い
です。
 この件に関する何らかの議案を村が9月定例会に提出する用意が示されるものと私は思っていましたが、まったく意外なことに、「8月に区長配布文書で全世帯に配布する村長名の文書案」というものが示されてきました。
 私は、この問題、9月定例会での村の正式対応の提示を待って、村民のみなさんへの報告を書こうと思っていましたが、信毎や妻有新聞に記事が出たこともあり、急遽、本号で報告させていただくことにしました。

 

「6,800万円余は管理運営費に使われた」
  ――これでは村の財産消失の理由にはならない
 振興公社は最後に残ったお金1,190万円余(正確には1,190万5,047円)を村に寄付したとしていますが、これは裏を返せば、村が公社に出した出捐金8千万円のうち6,800万円余(じつに8割5分)は消えてしまったということです。
 村は公社への出捐金について、村の財産として8千万円分の「出捐証書」というものを保管しています。この財産をどう処理するのでしょうか?「なくなってしまった」で済む問題ではありません。
 以下、出捐金とは何か、それはどうして減失(げんしつ)してしまったのか、をみていきます。


1. 村と公社の関係
 村は一般財団法人栄村振興公社に総計8千万円の出捐金を出してきました。
    平成25年4月の一般財団設立時に3千万円
    平成29年2月に2,100万円
    平成29年3月の2,900万円
です。
 一般財団法人というものは、一定の額の財産を保有していることを根拠として法人格を認められるものです。
平成25年4月、栄村振興公社を設立しようとした時、関係者の元には「一定の額の財産」はありませんでした。そこで、村が3千万円を供出することで栄村振興公社を設立し、法人格を取得したのです。
 ただ、村(役場)は自ら経営する立場にはたたず、一般財団法人に事業運営を委ねたのだと解することができます。いわば「公設民営」の組織だと言ってもいいでしょう。しかし、〈まったくの民間任せ〉にしたわけではありません。平成28年春までは公社理事長に副村長が就任し、事務局長に役場職員を派遣しました。また、平成28年以降は、公社の最高意思決定機関である評議員会に村長(後に副村長)が入り、また村議会議長も評議員になってきました。

 

2. 出捐金とは何か?
 ここでどうしても把握しておかなければならない問題があります。
 「出捐金とは何ぞや?」という問題です。
 出捐金というのは一般にはあまり耳にしない用語です。

 

● 村の言う定義(説明)は充分かつ正しいか?
 村は7月23日の全協で示した文案の中で、
   「出捐金とは、例えば財団法人設立のために一定の

    財産を提供すること等を言い、返済の義務はあり

    ません」
と書いています。文の前半(「財団法人設立のために一定の財産を提供」)は正しいでしょうが、後半部の「返済の義務はありません」は正確ではなく、誤った理解や措置を生みかねない表現です。
 出捐金は、受け取った財団法人の財産(資金)的な土台となるもので、「指定正味財産」というものとして取り扱われます。一般の会社でいえば資本金にあたるものです。
 資本金というものは、会社の経営のプロセスである程度運転資金等に利用されてもいいのですが、やはり会社の財産的基礎(土台)になるものですから、年度末には満額を財産として確保できている状態に戻すようにするものです。
 村は、7月23日の全協での質疑の中で出捐金を「寄付金のようなもの」とも言いましたが、これも正確ではありません。
 出捐金は寄付金ではなく、出資金に近いものです。ただ、利益の配当を求めない、出資証券を売るなどして資金を取り戻す(=実質的には「返済」と同じことになる)ことはしないという点で、出資金とは異なるということです。
 「(出捐金の)返済を求めない」のは、出捐金で設立された財団法人が健全な経営・運営の財産的土台を村が提供し続けるという意味に解するのが最も妥当かつ適切な理解です。

 

3. 平成25年設立時の出捐金3千万円は、早くも平成27・28年度で消失している。
 一般財団法人栄村振興公社は毎年4月1日から翌年3月31日までを会計年度とし、会計年度末に決算を行って、貸借対照表(バランスシート)を作成・公表してきました。
 平成25年度の貸借対照表を見ると、
   指定正味財産 30,000,000円 一般正味財産 9,514,609円
   正味財産合計 39,514,609円
    *一般正味財産とは、その年度の純利益を財産として

     積んだものです。
となっています。
 また、平成26年度は
   指定正味財産 30,000,000円 一般正味財産 6,255,820円
   正味財産合計 36,255,820円
です。
 しかし、平成27年度の貸借対照表では、
   指定正味財産 30,000,000円 一般正味財産 225,380円
   正味財産合計 30,225,380円
 さらに、平成28年度貸借対照表では、
   指定正味財産 80,000,000円 一般正味財産 △29,261,601円
   正味財産合計 50,738,399円
となります。

 

 以上から明らかなことは、平成27年度で純利益がほとんど確保できなくなり、ついに平成28年度、当初の指定正味財産3千万円を食い潰すこととなったということです。上記の平成28年度貸借対照表で、指定正味財産は8千万円となっているにもかかわらず、正味財産合計が約5千万円しかないというのは、そのことを明瞭に示しています。

 

4. 平成27〜28年度に何が起きていたのか?
 財団設立時の村の出捐金(⇒公社の指定正味財産)3千万円が消失した。それは何故なのか。これはやはりきちんと解明・説明されなければなりません。
 ここで着目しなければならないのが、平成25年度〜27年度上半期にかけて、いわゆる3億円事業(震災復興緊急雇用創出交付金事業)が村から公社に委託されていたことです。

 

《3億円事業の概要》
  平成24年度 総事業費4千853万6,648円 うち人件費2千145万8,733円
  平成25年度 総事業費9千228万0,090円 うち人件費4千824万5,320円
  平成26年度 総事業費9千290万3,827円 うち人件費5千710万8,322円
  平成27年度 総事業費4千560万0,259円 うち人件費2千854万3,700円
       (平成24年度と平成27年度はそれぞれ半年間)

 

 3億円(事業)は振興公社に対して支払われた補助金ではなく、事業の委託(公社側からいえば受託)です。したがって、3億円事業で村から公社に支払われたお金については、振興公社の一般会計とは区別された受託事業特別会計として独自に会計処理される必要があります。
 ところが、そういう適切な会計処理が行われていませんでした。そのことは平成27年度の監査で指摘されます。
 すなわち、平成25、26年度の決算書では上記の9千228万0,090円、9千290万3,827円を振興公社は「地方公共団体補助金」として扱っていました。平成27年度決算の監査でこの点の誤りを指摘されます。そこで、公社は平成27年度の「3億円事業」の入金の費目名を「地方公共団体受託金」と書き換えます。しかし、書き換えたのは費目名のみで、公社の一般会計と受託事業会計を分けて決算することはしませんでした。
 その結果、恐ろしいことが起こりました。
 平成27年度上半期には「3億円事業」受託金で賃金を支払っていた公社職員(正職・臨職を問わず)の雇用が基本的には平成27年度下半期も継続しているにもかかわらず、それらの職員に支払う賃金の原資が確保できなくなったのです。
 「3億円事業」の本来の趣旨からすれば、「3億円事業」実施期間中に振興公社の営業力を高め、売上・営業利益を大きく増大させて、平成27年度下半期以降の雇用を確保できるようにすることが求められていたのです。しかし、そうはなっていなかった。
 このため、平成27年度下半期から賃金支払のために基本財産を食い潰す過程が始まったと見ることができます。そして、平成28年度もそういう事態が続きます。
 平成28年度決算で一般正味財産の赤字が2千926万1,601円にものぼり、公社設立時の指定正味財産(=村の出捐金)3千万円がほぼ全額消失したことの原因と意味が、以上で基本的に明らかになると思います。

 

5. 平成29年初頭の2,100万円、2,900万円の出捐金(計5千万円)のほとんどは何故、消えたのか?
 平成28年度、5月下旬に振興公社の新理事会が発足します。
 新理事長が就任直後に発出された挨拶状には「振興公社は本当は赤字」という趣旨のことが書かれていました。公社の財政状況についてそれなりの認識をお持ちだったのだと思います。そして、平成28年9月、トマトジュースの仕入れ金が支払えないという形で問題の深刻さが表面化します。それへの村の対処が平成29年2月の2,100万円、3月の2,900万円、計5千万円の出捐金拠出です。
 最初の2,100万円は「2月、3月の給料支払等が出来ない」ということで議会も認めたものですから、ひとまず運転資金として使われたのは出捐金の趣旨に反しないと思われますが、平成29年度以降の営業で利益をあげ、2,100万円の指定正味財産を回復させるのが本来的なあり方です。
 次の2,900万円については、「定期預金とし、それを担保として運転資金を金融機関から借り入れる」とされていました。
 昨年(平成30年)6月に議会に示された平成29年度決算書では、たしかに「資産の部」に2,900万円の定期預金がありました。しかし、同時に「負債の部」に「短期借入金2,500万円」という項目がありました。「定期を担保に運転資金を借入する」という趣旨に合致しているかに見えますが、同時期に示された公社の平成30年度収支計画には短期借入金の返済計画がまったくありませんでした。返済がないと、定期預金のうち少なくとも2,500万円は消えてなくなります。
 私を含む議員が昨年6月の定例議会において、「振興公社は経営破綻している。公社を解散し、村の観光施設を運営する新会社を設立すべきだ」と述べたのは、それゆえです。
 いちばん大事な点は、短期借入金はどういう返済計画の下で借入されたのか、返済の目途もなく「指定正味財産たる定期預金を食い潰す」ものとして行われたのか、ということです。
 村は公社の解散・清算をめぐって、この点をしっかり精査して、そのうえで、平成28年度の出捐金5千万円の最終処理を判断することが求められます。

 

6. 「管理運営費に使われました」という説明は認められません
 7月23日の全協で村が示した文案では、出捐金総額8千万円に対して、公社の村への寄付金は1千905万円余にとどまることから、「差し引いた68,094,926円は、出捐当時から解散までの公社の管理運営費に使われました」と記しています。
これは認められる説明ではありません。
 すでに説明したとおり、出捐金は財団法人のいわば資本金となるものを村が提供するというものです。管理運営費で費消してしまっていいものではありません。
 たしかに振興公社は膨大な赤字の累積で経営を続けることができなくなりました。
 ですから、解散を決めて清算を行えば、累積赤字の処理が課題となります。その累積赤字額が68,094,926円ということになると思いますが、その累積赤字を清算するために指定正味財産を取り潰すことを決定し、利害関係者全員の同意を得る、というのが正しい処理の仕方なのではないでしょうか。

 

 問題が解明されればお金が戻ってくるというわけではありませんが、村の財政の規律、倫理を明確にするために、きちんとした議論が必要です。

 

 

 

私・松尾は全協で議場からの退席を求められました
何が起こっているのでしょうか?

 

 7月23日は全協(村長提出)に先立って午前9時から全協(議長提出)が開催されました。
 ですが、私はこの全協(議長提出)の協議内容の重要部分を知りません。全協開会早々に議長から「松尾議員は退席を求めます」と言われ、議場から退出せざるをえなかったからです。
 退席を求める理由として言われたことは、「松尾議員に関することを議論するので、本人がいると他の議員が発言しづらいから」ということだけです。1時間以上が経ってから、議会事務局で待機する私に事務局長から「お待たせしました。お戻りください」と告げられ、全協の議席に戻りましたが、何が議論されたのか、私に対して何か決められたのか、何も説明はありませんでした。今日に至るも説明はありません。不可解です。

 

■「目安箱」への投書で指摘された事実はなかった
 私は、3月13日の3月定例会が終わった後の議長の私へのお話(これは一般的な話ではなく、「議長から松尾議員への指導」という一種の訓戒的なものです)、さらに4月25日の全協(議長提出)で議長から報告された話から、私をめぐって何が問題にされているのかは理解できます。
 村長が設置する「目安箱」に、「松尾議員が(当時の公社職員の一人に)解雇通告をした。議員としてあるまじき行為である。松尾議員を処分すべきだ」という趣旨の投書があったということです。
 4月25日の全協では私も議席にいる中で議論されたのですが、7月23日は私を退席させて議論が行われたのです。
 私が間接的に聞くかぎりでは、議会等が関係者に対する聞き取り調査を行った結果、上記の公社職員と私・松尾が会った事実は認められるが、「解雇通告をした」というような事実はなかったとのことです。
 私は3月13日の時点で、議長にあるがままの事実をお話し、「解雇通告」云々のような事実がないことは議長も確認されているのですが。

 

■ 私は選挙公約でお約束したとおり、情報公開の活動をしっかりやり続けます
 どうも、私をめぐって2つのことが問題にされているようです。
 1つは、企業組合ぬくもりに関わっていることです。
しかし、「企業組合を設立しよう」というのは昨年の夏、議会全協で議論したことですし、3月13日の議長との話でも「企業組合に関わること自体は問題ない。自分も指定管理者になっている苗場山観光の役員」だと言われています。さらに、企業組合を応援する議員は他にもいます。
 2つは、私の「議員活動報告」や「栄村復興への歩み」の執筆・配達・ネットでの公表です。
 「あまり書くな」とか、「注意したのに、また同じようなことを書く」などと一部の議員から言われます。また、「ネットで世界中に村の恥をさらすな」と言われた記憶もあります。
 でも、多くの村民の方から、「負けちゃいけないよ。あなたが知らせてくれることが、私たちが村の現状を知る唯一の手掛かりなのだから」と言っていただきます。
 私は2017年の村議選に立候補した時、「情報公開をやります」ということを最大公約に掲げました。それへの期待から当選させていただいたと思っています。
 ですから、「松尾まことの議員活動報告」は私の議員としての務めであると確信しています。また、私は選挙立候補の際、「職業 ジャーナリスト」と明記しました。
 新聞社の方々からは、「ジャーナリストというのは字数が多くて困る。文筆業や編集者というのではだめか」と尋ねられました。私はあくまでもジャーナリストと明記することにこだわりました。「文筆業」というのは「書きものをして収入を得る」という職業です。注文に合わせて文を書くこともありえる職業です。それに対して、ジャーナリストとはジャーナリズムの担い手を指しますが、著名なジャーナリスト立花隆さんは「ジャーナリズムの最も本質的な部分というのは、『フリーダム・オブ・スピーチ』と『フリーダム・オブ・プレス』にある」と言っておられます。言論の自由・出版の自由です。その自由というのは、「何を書いてもいいよ」という意味ではなく、「国家権力から国民の基本的人権を守るために書いたり、話したりする自由」ということです。
 私はそういう意味で、ジャーナリストとしての矜持(きょうじ)を守り、いろんな圧力には負けないで頑張っていきたいと思っています。
 今後とも、ご支援、ご協力をよろしくお願い申し上げます。
 


松尾まことの議員活動報告No.35

ふるさと納税−お米加算金をめぐる問題
〜6月定例会の質疑から〜

 

松尾:「これは一種の災害であり、財政出動してでも、今年度に限

   り、農家に昨年と同じ所得が保障されるように村が責任もっ

   て対処すべきだ」
村長:「今年度に限り、作付が終わったものについては保障。仮渡金
   の支払を農家が不安に陥らないように対応する。」

 

 

 6月17日から20日までの定例議会は、一般会計補正予算審議など多くの案件を扱いましたが、最大の関心は、直前に村のチラシで明らかになった「ふるさと納税問題」、すなわち「昨年度のような上乗せ金はできない」という問題でした。そのため、一般質問が平素以上に重要な意味をもつことになり、8名の議員中3名(保坂良徳、松尾、上倉敏夫)が一般質問で「ふるさと納税問題」を取り上げました。一般質問1日目(18日)に保坂議員の質問で村の対応方針の概要があきらかにされたことをうけて、私は2日目(19日)、村長に重要な決断を求めました。その核心部分が上に大文字で示したものです。
 今年度産米について、昨年度の「栄村概算金額16,200円(内共計概算金13,372円、ふるさと納税上乗せ2,828円)」(JA通知書より)を絶対に保障することを村に約束してもらうことが質問の狙いでした。森川村長の答弁はこの求めに真正面から答えてくれたものと評価します。金額の詰め等、具体化作業にもう少し時間を要しますが、基本方針は明確になったと思います。

 

 以下、本号では、「ふるさと納税の制度変更」と言われているものの具体的内容、今年度、稲作農家に昨年同様の支払を保障するための具体的方策などについて記していきます。


◎ そもそも「ふるさと納税」とは何か?
 「返礼品が高価すぎる」、「返礼品競争が過熱化」、あるいは「寄付する人はわずか2千円の負担で高価な商品を得られる」というようなことばかりがマスコミで伝えられていますが、そういう「報道」はふるさと納税制度の正しい理解と発展を妨げる、歪んだ「報道」だと言わねばなりません。正しくは、どういう制度なのでしょうか。

 

■ 納税者が納税先を自由に選べるシステム
 国民には納税義務があり、所得税、住民税を納めることが求められます。しかし、「同じ税金を納めるのならば、自分が育った故郷に納めたい。あるいは、お世話になった自治体に納めたい」と思う人もいます。その思いを叶えるのがふるさと納税制度なのです。
 たとえば、都会で暮らす給与収入が500万円のサラリーマンで「夫婦+子2人」の場合、3万円のふるさと納税をすると、「所得控除による軽減5,600円」、「住民税の税額控除で2,800円」、「住民税の税額控除(特例分)で19,600円」の計28,000円を税控除されます。
 これは、その人の税金納入額が28,000円少なくなったということではありません。28,000円を自分が現に暮らす場所で納めるのではなく、自分の故郷ないし世話になった自治体に納めるという納税先の変更なのです。ふるさと納税者は、28,000円を現に暮らす自治体ではなく、ふるさと等に納税しているのです。受け取る側の「ふるさと」の方では「寄付金をいただいた」と言いますが、その本当の内容は都会などで暮らす人たちから税金を納めていただいたということなのです。
 国民が納める税金が国や大都市に集まりやすく、地方の自治体は慢性的に財源不足に困っているという現実を変えていく第一歩としてふるさと納税制度は考案されたのです。ここが肝(きも)です。
 その後、返礼品がクローズアップされるようになり、テレビ番組などで「ふるさと納税を活用すると、たった2千円(上記の税額控除方法で、「ふるさと納税3万円−控除額計2万8千円=2千円」)で高級品を手に入れられる」と喧伝(けんでん)されたため、ふるさと納税制度の趣旨が大きく誤解される事態が生まれました。
 しかし、「財政格差を縮めるためのふるさと納税」という本来の趣旨は何も変わっていません。
 以上のことをしっかり押さえたうえで、今回、国・総務省が打ち出した「ふるさと納税の制度変更」の内容をみていきます。


◎ 総務省による制度変更の4つのポイント
 6月1日からふるさと納税制度が大きく変わりました。

 

■ 指定団体
 制度変更の第1のポイントは「指定団体」制の導入です。
 国・総務省に認められた自治体でなければふるさと納税制度を活用できないのです。この変更点はテレビのニュース等では「泉佐野市(大阪府)など4自治体は指定外」ということで伝えられています。「指定外」になると、そこにふるさと納税しても、前頁で説明した「税額控除」が認められないのです。
 わが栄村は本年5月15日付の総務省告示で「指定団体」として認められましたが、本年6月1日から令和2年9月30日までの間について認められたということで、令和2年10月1日以降については改めて申出書を提出して総務省の「審査」を受けなければなりません。本年6月以降来年9月までの期間に、この後に紹介する3つの「基準」に栄村が違反すると「指定団体」となれない事態が発生する危険があるのです。
 20世紀末の地方制度改革を経て、「国と自治体は対等」という原則が確立されていますから、国が一方的に基準を設け、それに基づいて自治体を選別する「指定団体」制度にはじつに大きな問題があります。

 

■ 3つの基準:「募集経費5割以下基準」、「返礼品3割以下基準」、「地場産品基準」
 「指定団体」制以外の制度変更点は、上のタイトルに記した3つの「基準」です。ニュースでは「返礼品3割以下基準」のみがクローズアップされていますが、より深刻なのは「募集経費5割以下基準」というものです。
 まず、「返礼品3割以下基準」を簡潔に説明したうえで、「募集経費5割以下基準」を説明します。
 「返礼品3割以下」というのは、栄村が特A米を返礼する場合、栄村がその特A米を手に入れるために現に支払った金額(消費税を含む)が「3割以下に収まっている」ことが求められるということです。もっと具体的に言うと、JAが精米し、「こころづかい」の名称が入った袋にお米を入れ、何処ででも売り出せる状態にしたものを栄村が手に入れるのにいくらのお金を支払わなければならないかということです。村がJAに求めた見積額から判断すると、昨年度までのように「寄付金1万円に対して特A米15kg」は「3割」を大きく超える、「特A米5圈廚ギリギリだというのが村の見解です。(私は工夫をすれば9〜10圓諒嵶蕕可能だと試算していますが)
 さて、「募集経費5割以下」という基準です。「募集経費」というのは、「返礼品に要する経費」も含め、「栄村はふるさと納税を募集しています」という告知、ふるさと納税して下さった人への領収書や証明書の発行・郵送、返礼品の箱詰作業、宅急便で送るための送料などの経費すべてを合計したものです。
 寄付金1万円の場合、返礼品で約3千円、送料で千円強、もうこの2つの費目だけで4割を超えます。「5割以下は無理だ」という悲鳴が多くの自治体からあがっています。場合によっては返礼品率を2割レベルに下げることで「経費5割以下基準」をクリアするという苦渋の選択をせざるをえない場合もあります。
 また、寄付金の多少にかかわらず要する経費(たとえば、ふるさと納税の情報入手と手続きが簡単にできるインターネット上のポータルサイトへの委託料)が寄付金に占める割合は、寄付金総額が少ないと高くなります。私の一般質問への答弁では「少なくとも寄付が1千万円集まると、経費率を5割に抑えられる」とのことでした。
 「地場産基準」については、栄村は栄村産特A米を返礼品にしていますので、クリアしています。そのため、ここでは詳しく記しません。

 

◎ 栄村は何を考え、何を工夫しなければならないか
 国・総務省による制度変更の結果、全国的に見て、ふるさと納税が大きく後退するのか、これまでの水準を維持できるのか。これはまだ見通せません。しかし、栄村が使っている「ふるさとチョイス」というサイトを含むふるさと納税ポータルサイトを見ると、多くの自治体は総務省の規制をなんとかクリアしながら、6月1日以降、積極的なキャンペーンを展開しています。率直に言って、栄村の対応は立ち遅れていると思います。
 では、栄村は、何を考え、何を工夫しなければならないか。そこを考えたいと思います。
 第1は、ここ数年のふるさと納税額=1億2千万円〜1億5千万円という水準を簡単に諦めず、本年度もその水準の実現をめざす姿勢を明確にすることです。「戦う前から戦意喪失」では話になりません。
 第2は、,佞襪気版疾任鬚靴堂爾気訖佑咾箸紡个垢訛爾隆脅佞竜せちのお伝えの仕方・内容、また、頂いたふるさと納税が栄村の農業の振興にどのように活用されているのかのお知らせ、これらにおいて根本的な改善を図ることです。
 私はふるさと納税で頂いたお金の農業振興への活用のしかたが、「返礼品に特A米を使い、その特A米の元となる玄米をJAに出荷した農家への支払金に上乗せ金する」という方法が最適の活用法だとは思いません。もっと良い方法があると思います。しかし、そのことをおさえたうえで、現在の「米価上乗せ金」方式で稲作農家の耕作継続にとって、どれほどに大きな意味を有しているか、したがって、ふるさと納税が栄村の農家にとってどんなに有難いものであるかを、ふるさと納税して下さった人たちに具体的にお伝えすることが必要です。
 都市で暮らす人たちは、お米を作るのに、どれほどの多額の経費がかかるか、基本的にご存じありません。だから、ふるさと納税のおかげで、なんとか赤字に陥らずに、農業を続け、栄村の田んぼと豊かな自然環境を守ることができていることを、もっと具体的にお伝えする必要、いや義務があります。
 でも、栄村のHP(ホームページ)等を見ても、そういうお知らせ(記事)は見当たりません。ちなみに、お隣の津南町では、米作りの様子や津南の暮らし・食文化などをわかりやすく、しかもかなり良いデザインでお伝えする冊子を作成し、ふるさと納税をして下さった人たちに送っています。
 第3は、ふるさと納税の恩恵を受けている村民一人ひとりが、ふるさと納税を維持する仕組みに積極的に関わるようにすることです。
 現状では、農家はお米を栽培し、刈り取り、ライスセンターに運び入れるところまでの関わりです。《乾燥したお米の調整(籾摺り)、玄米の保管、精米、袋詰め→箱詰→発送》――これらのプロセスはすべてJAへの委託です。ありていに言えば、JAへの丸投げです。
 これではダメですね。
 返礼品のお米は農家自身が自ら精米し、袋詰めし、宅急便に出すまでを自らやるようにするのが本来ではないでしょうか。このことを実際に実現するには、仕組みの制度設計等、議論を重ねなければなりませんが、不可能なことではありません。現に、集落営農団体からそういう取り組みをしようという声があがっています。
 とにかく、もっと工夫と努力が必要です。栄村の明日を考えて、みんなでズクを出し合いましょう!

 

◎ 「財政出動で農家への保障を」とは
 さて、以上のことをふまえて、農家のみなさんの関心がいちばん高いと思われる、1頁の冒頭に記した「財政出動を」、「農家に昨年度と同じ所得の保障を」ということをもう少し具体的に説明します。
 6月初め、村からの通知文書だけでなく、米出荷者にはJAからも通知文書が送られてきました。JAの通知は、端的にいえば、昨年の「栄村概算金額16,200円(内共計概算金13,372円、ふるさと納税上乗せ2,828円)」のうち、「2,828円の上乗せ」はほとんど出来ないということですね。さらには、ふるさと納税返礼品量が減った場合の、栄村産米の販売先の確保が大変だということも言っています。
 こんなことを通知されたら、誰しも不安になります。生産意欲が萎(な)えてしまいます。

 

 そこで、私は一般質問の最後に村長に提案したのです。
 「財政出動」とは、村が非常の際の資金として積み立てている財政調整基金を取り崩してでも資金を確保し、農家の米所得が昨年度並みに確保されるように村が支援するということです。今年度に限ってのことです。課長答弁では、寄付金で賄えるのは最大500万円ということなので、昨年並みの支援規模(2千万円を超える)を確保するために村の財政資金を使うということです。
 村長の答弁の冒頭の言葉は、「応援の言葉を頂いて有難うございます」というものでした。その言葉を聞いた時、私は「?」と思いましたが、村長の答弁はつぎのように続きました。「令和元年度に限ってですが」(これは当然の限定だと思います)、「作付が終わったものについては保障。仮渡金の支払を農家が不安に陥(おちい)らないように対応する」。村民が望む回答を得ることができたと思いました。
 財政出動の規模は質問の中でも言いましたが、かなり大きな規模になります。もちろん、ふるさと納税による寄付金が増えれば、財政出動必要額は少なくなります。ですから、どういう規模の補正予算を組むかの最終調整には今少し時間を要しますが、大事なのは、村の農家のみなさんに対するメッセージです。村長の答弁はそのメッセージだと私は信じます。
 みなさんも、リピート放送で私と村長のやりとりを聴いてみてください。私の質問時間は約1時間に及びましたが(質問順番は6番目)、この重要なやりとりは、私の質問開始から40分30秒後から44分30秒頃までの約4分間です。是非、お聴き取りいただき、これを全村民が共有する栄村の政策にしていければと願うものです。

 

 

6月定例会、あと3つの重要論点
 6月定例会には、専決処分の承認を求める案件6件、補正予算6件(最終日の追加1件を含む)、条例改正案4件など、計14件の議案が提出されました(うち、2件は請願・陳情をうけての議員提出の意見書案)。
 これらの議案審議で浮かび上がった重要な論点が3つあります。

 

■ 専決処分が許されるのは、どういう場合か
 今回は専決処分の承認を求める案件が6つもありました。通常はあまり見られない多さです。
 問題になったのは、専決処分第3号=「平成31年度一般会計補正予算(第2号)」です。
 内容は、のよさの里への692万円、雄川閣への756万円の投入、災害復旧費550万円などです。
 専決処分とは、本来、議会での審議と採決を要することを、議会を開かないで村長が決めることです。地方自治法第179条第1項で認められているのですが、その179条1項には専決処分を許す条件が書かれています。すなわち、「特に緊急を要するため議会を招集する時間的余裕がないことが明らかであると認めるとき」です。専決処分3号はこの要件に合致していません。というのも、専決処分がなされた4月26日の前日=4月25日に議会全員協議会(村長の要請によるもの)が開催されていて、「議会を招集する時間的余裕がない」とは正反対の状況だったからです。
 採決の結果、専決処分第3号は「賛成多数」で承認されましたが、私はこの専決処分は許されるものではないと今でも確信しています。

 

■ のよさの里をどうするのか
 補正予算審議で、そして一般質問で最も盛んに議論された問題です。
 上に記した4月26日村長専決の補正で、のよさの里を村直営するのに必要な人件費、物件費などで692万2千円、さらに6月定例会提出の「令和元年度一般会計補正予算(第3号)」でのよさの里の修繕費等に294万5千円、計986万7千円です。
 こんなことをしていたら、「振興公社への指定管理料が不要になり5千万円が浮いた」(3月議会での村長発言の趣旨)という5千万円はあっという間に消えてなくなります。
 補正予算審議、一般質問を通して明らかになったことが2つあります。
 第1は、「村の直営」と言いながら、本年度の「のよさの里事業計画」というものが無いということです。本年度、のよさの里の管理を担当するという秋山振興課の福原洋一課長がそのように答弁しました。信じられないことです。予算を使う前提はしっかりした事業計画の策定です。「お金だけ使う」は許されません。
 第2は、村による観光施設管理の杜撰(ずさん)さです。
 6月定例会提出の「のよさ」関係の補正予算では「源泉配管」や「給湯設備修繕」が目立ちます。担当課長は、「施設開設から30年、配管の中をまったく点検していなかった」という趣旨の答弁をしています。とんでもないことです。
 同様のことは昨年の北野天満温泉の天井・屋根の破損でも問題となっていますし、トマトの国の浴槽をめぐる問題も同様の性格を有する問題だと思います。指定管理者にしっかり管理してもらうと同時に、施設所有者として村が定期的に施設の状況をしっかり点検・把握することが求められます。
 のよさの里の今後のあり方について、村長は「まず秋山郷の旅館や民宿の経営者の意見を聴くことから始める」と答弁していますが、ちょっと違うと思います。のよさの里は秋山郷観光にとって戦略的なポイントとなる施設です。
 村は秋山郷観光をどういう方向にもっていくのか、のよさの里でどういう事業を柱にすえ、どういう施策を展開するのか。村の方針の明確化こそが、いま、求められているのです。
 私は、のよさの里の活用方法・運営方針、さらには秋山郷観光の方向性について議会主導の議論に踏み出す必要があると考えます。

 

 

村民が希望を持てる村政へ
 「2020年4月」を意識した話がいろんなところから聞こえてきます。
 私は、ふるさと納税問題−米農家所得保障の問題での積極的政策提案、専決処分第3号やのよさの里補正予算をめぐる現村政への厳しいチェック・批判、その両方を同時に進めながら、村政をめぐる議論を村民総ぐるみで深め、村民が納得のいく選択をできる環境づくりに努めていきたいと考えています。村民のみなさんの議論がさらに活発になることを期待して、今号の筆をおきます。 (了)

 


松尾まことの議員活動報告第34号

 3月議会(3月5日〜13日)が終わって約20日。ただし、予算審議の「結着」がついたのが3月25日の臨時議会でしたので、報告が4月にずれこみました。
 3月議会は予算議会。新年度の予算が決まりました。予算の骨格は「広報さかえ」や一般の新聞でも報じられますので、私の報告では新年度予算から見える村財政の現状、予算修正をめぐる一連の事態などについて、お知らせしたいと思います。

 

◎ 一般会計予算は前年比86.8%、約4億9千万円減。なぜか?
 新年度予算は一般会計で総額32億1,900万円で、平成30年度の37億1千万円よりも約4億9千万円少なくなっています。これは注目すべき大きな変化です。「なぜ減少なのか?」、しっかり読み取ることが必要です。
 予算規模が前年までよりもかなりの減額となった場合、他市町村の予算をめぐる報道などでは、イ)大規模事業が前年度までで終了したため、ロ)歳入額が減少するなど財政難が生じているため、などの要因が挙げられます。
 本村の新年度の予算規模縮小は、その2つの要因が共に働いていると見られますが、とくに重要なのはロ)の要因にあると言えます。そのことは歳入予算から明らかになります。
 村の財源の中で47.4%を占める地方交付税交付金は前年比97.9%でさほどの減少ではありません。大きく減少している主な財源が3つあります。1つは国庫支出金で前年比61.9%(金額で約2億3千万円が約1億4千万円に減少)、2つは繰入金で前年比67.2%(金額で約7億9千万円が約5億3千万円に減少)、3つは村債で前年比66.%(金額で約4億3千万円が約2億8千万円に減少)です。

 

■「復興期の終了」による国から入る税源の減少
 上に挙げた3つの財源減少の要因のうち、国庫支出金の減少は8年前の震災からの復旧・復興に関わる事業がほとんど終了したことによるものです。言葉の真の意味での震災復興ができているのかといえば、けっして「復興終了」とは言えませんが、国が支出する復旧・復興事業がほぼ完了したことは事実です。
 その意味で、震災によって大きく膨らんだ村の予算規模が縮小することは正常なことだと言えます。
 ただ、森川村長が「栄村の予算の適正規模は30〜35億円」と言っていることには疑問符がつきます。村財政に精通している人たちの中では「適正規模は25億円程度ではないか」という見方が多くあります。震災前の村予算の規模を想起すれば肯(うなず)ける見方だと思います。

 

■ 財政調整基金からの繰入額と村債発行額の減少に注目
 私がより注目するのは「繰入金」の減少と村債発行額の減少です。
 「繰入金」とは、家計で言えば貯金に当たる「基金」を取り崩すことです。さまざまな基金がありますが、いちばん重要なのは財政調整基金というものです。平成29年度決算では13億4千万余円ありました。かなり多いと思われるかもしれませんが、けっして多くはありません。現在の栄村の年間予算規模からみれば、その4割余に当たる金額に過ぎませんから、緊急事態があって歳出が増えれば、1年で消えてしまう可能性があります。
 私を含む複数議員はこの1年間、森川村政による財政調整基金からの繰入(取り崩し)が多すぎると警鐘を鳴らしてきました。
 新年度予算では財政調整基金からの繰入金が前年度の4億8千万円から2億2,900万円に減少しています。約2億5千万円の減額で、あたかも私たちの「財調取り崩しが多すぎる」という批判を受け入れたかに見えますが、実際はけっしてそういうことではないと思います。本当のところは「無い袖は振れない」、つまり財政調整基金をもうそんなに取り崩せないところにきているということだと思われます。
 このこととの関係で目を向けるべきものがあります。村債発行残高と公債費です。つまり、村にどれだけの借金残高があり、その返済に新年度にどれだけのお金が必要になっているかということです。

 

■ 村債発行残高と公債費
 新年度の公債元金の返済額は2億8,839万円、利子支払額が1,059万6千円。他方、新年度の村債発行額は2億8,230万円。返済額と新たな借入額がほぼ同じです。
 もう少し見てみましょう。H29年度末の公債残高は約28億9千万円、そしてH30年度末残高見込額は約29億5,600万円。H30年度も元金返済をしていますが、その返済額よりも多くの新たな借金をしたことになります。
 でも、さすがに公債残高をこれ以上増やすことができず、新年度は村債発行額を前年度よりも減らしたということでしょう。

 

 以上に述べたことから、村の財政の厳しさを直視しなければならないことがあきらかになったと思います。
森川村長は3月議会冒頭の「平成31年度予算編成の施政方針」の最後の部分で「中長期的な財政見通し」、「安定した財政基盤の構築」という言葉を出していますが、その具体的な内容はあきらかではありません。今後、村の財政見通しをめぐる議論をさらに深めていくことが必要です。

 

 

◎ 私たちはなぜ、予算の減額修正をしたのか
 報道等ですでにご存じのことと思いますが、私を含む5名の議員(相澤博文、斎藤康夫、保坂良徳、阿部伸治の各氏)は連名で「平成31年度一般会計予算修正動議」を提出し、採決の結果、賛成多数(5対4)で修正動議が可決されました。
 私たちの修正案は4つの内容から成ります。

 

■ 特命課臨時職員の賃金をめぐる問題
 第1点は、特命課の臨時職員賃金を351万1千円減額することです。
 これは、2016年7月に採用された特命課の嘱託職員の任期が最大3年間となっているため(新年度の6月ないし7月に満3年になります)、予算案に計上されていた8月〜来年3月分を削減したものです。「2名が任期切れとなった後、どうしても臨時職員が2名必要だという場合は、その必要性を明示して補正予算を提出すれば、審議します」という説明を付しての動議提出です。
 森川村長は就任直後の2016年5月の全協と6月定例議会で「特命課の嘱託職員は1年契約で2回まで更新可能。最大任期は3年」と明言しています。私たちの修正動議は村長が議会で発言したことを守るように求めたもので、至極当然の修正です。

 

■ 突然出てきた「わさび田栽培試験事業」
 第2点は、「わさび栽培試験事業」というものに関するもので、予算額281万5千円に対して、137万5千円を減額するというものです。
 この事業は「小赤沢の荒廃農地を利用し畳石式わさび田を造成、わさび栽培試験を行い、生育状況や費用対効果を記録し、栄村の特産となるか検証する」というものですが、2月14日の全協(村長提出)で唐突に出てきたもので*、疑問点が非常に多いものです。イ)3月議会での質疑で明らかになったことですが、この事業について担当課長よりも森川村長がいやに詳しく知っていること、ロ)「試験」と言うにはあまりに規模が大きいこと(わさび田の造成面積、予算額)、ハ)試験栽培がうまくいった場合、次年度以降の事業者がすでに決まっていて、特定の事業体への補助に近いと思われること、さらに、ニ)他方で、多くの集落が期待している「集落営農組織育成補助事業」が新年度予算ではまったく計上されていない事実があり、そのこととわさび田栽培試験事業への多額予算の投入がバランスを欠いていること、などから、事業の開始は認めるものの、予算規模を縮小し、より踏み込んだ検討の時間を確保するために、減額修正を求めたものです。これも、今後、充分に納得のいく説明があれば補正予算での計上は可という趣旨を動議提案理由で明示しています。
   *新年度予算の編成作業は昨年12月段階でほぼ終わっています。

    この事業のようにまったく新たな事業は遅くとも12月段階で議

    会との協議を行うべきものです。

 

■開発商品の販売事業は事業自身の収入で賄うべき
 第3点は「食の高付加価値化プロジェクト」のイベント等での開発品販売の経費を75万8千円減額する、そして第4点は「特産品開発事業」関連の「特産品試験販売」の経費を33万6千円減額するものです。
 この2つに共通することは、開発した新商品を販売するとしながら、その経費が売上額を大幅に上回っていることです。こんなおかしな話はありません。民間会社が新商品を作って販売するという場合、商品の売上で商品製造と販売に要する経費を賄えるようにするのは当たり前です。
 行政が関わる「試験事業」では、「補助金が出るから試験事業(販売)をする」→「補助金が出なくなると、その事業は立ち消えになる」というケースがあまりにも多すぎます。
 今回の減額修正は、事業関係者にとっては厳しい措置だと感じられるかと思いますが、上に指摘したような「補助金頼り」(→厳しく言えば「補助金の食い潰し」)を無くしていくための踏み込みです。

 

以上の予算減額修正、1頁から3頁にかけて詳しく報告した村の財政の状況からすれば当然のものだと私は考えています。

 

 

◎ 「再議」とは何でしょうか? そして、「義務費」とは?
 信濃毎日新聞のニュースなどですでにご存じの方もおられることと思いますが、3月定例議会が終わって10日あまりの3月25日に臨時議会が招集され(議会招集権は村長にあります)、森川村長から、
   「平成31年第1回栄村議会(3月)定例会において、3月13日修正

   議決された「議案第21号平成31年度栄村一般会計予算について」

   の一部について異議があるため、地方自治法第177条第1項の規定

   に基づき、再議に付する。」
という「再議書」が提出されました(この場合、「再議書」が通常の「議案」に当たります)。具体的には、私たちが新年度予算案に対して行った修正のうち、特命課の臨時職員賃金を353万1千円減額したのに対して、この修正を取り消し、村長提出原案の830万4千円に戻すということです。
 議会はこの再議案について審議し、主に森川村長と質疑しましたが、村長の再議案は理に適(かな)っていないと判断し、賛成3、反対4で否決しました。

 

■ 再議とは
 村など地方自治体の行政や議会のしくみの基本事項を定めているのが地方自治法という法律です。「再議」に関わる規定は、この地方自治法の第176条と第177条にあります。
 第176条では2つのケースが規定されています。第1のケースは、「議会の議決について異議があるときは、当該普通地方公共団体の長は……その議決の日から十日以内に理由を示してこれを再議に付することができる」というものです。要は首長が議会の議決を受け入れられないとするわけですから、首長の拒否権とも言われます。上に挙げたケースは一般的拒否権とも呼ばれます。
 これに対して、地方自治法第176条の第2のケースは、「議会の議決又は選挙がその権限を超え又は法令若しくは会議規則に違反すると認めるときは、当該普通地方公共団体の長は、理由を示してこれを再議に付し又は再選挙を行わせなければならない」としています。また、地方自治法第177条では、予算案に計上された特定の経費をめぐって、「議会において次に掲げる経費を削除し又は減額する議決をしたときは、その経費及びこれに伴う収入について、当該普通地方公共団体の長は、理由を示してこれを再議に付さなければならない」としています。
 この176条の第2のケースと177条の場合は、首長に対して再議に付すことを義務づけているといえます。これらについては特別拒否権とも呼ばれ、176条の第1のケースのように再議に付する期間について「(議決から)十日以内」という制限をつけていません。
森川村長は、上記の再議に付す権限(拒否権)のうち、177条に規定する再議権を行使したわけです。
 そこで、問題になるのは、地方自治法177条で首長が再議権を発動できるとしている「経費」とは、どういう「経費」なのかということです。地方自治法177条をさらに詳しく見ていきましょう。

 

■ 義務費とは
 177条で再議の対象とされている「経費」は次の2種類です。
   法令により負担する経費、法律の規定に基づき当該行政庁の

   職権により命ずる経費その他の普通地方公共団体の義務に関

   する経費
   非常の災害による応急若しくは復旧の施設のために必要な経

   費又は感染症予防のために必要な経費
 今回、栄村で問題になっているのは,離院璽垢如⊃浩鄲篠垢脇談寝殞彁職員の賃金(8月〜来年3月分)が177条に言う「義務に関する経費」(義務費)に当たると主張しているわけです。
 私たちは「義務費に当たらない」という見解です。
 私たちの見解と森川氏の見解は正反対で、両者の見解を見比べているだけでは議論は平行線のままになります。そこで、もう一歩踏み込んで、〈義務費〉に関する専門家による解釈を見てみましょう。
 その編集に専門家が深く関わっている全国町村議長会編の『議員必携』を参照します。それによると、義務費というのは
   「職員の給与費のように、法律又は条令で町村が負担するこ

    とを定められている経費」
だと解説されています。
 村の予算書と見ると、同じ人件費であっても、「給料」というものと「賃金」というものが区別して計上されています。特命課の場合、平成31年度予算では「給料」12,006(千円)と「賃金」8,506(千円)が区別して計上されています。「給料」は、条例で定められた役場職員の定員の範囲内で採用されている職員に支払われるものです。その給料も条例で定められています。他方、「賃金」は必要に応じ、期間を限って採用される臨時職員に支払われるものです。職員の給料、そして臨時職員の採用期間の賃金が、先に見た「条例で町村が負担することを定められている経費」に当たることは明白です。
現在、特命課には3名の臨時職員が採用されていますが、うち2名は「最大3年間」という期限を区切って3年前の7月に採用された(=今年6月ないし7月で任期満了)の方々です。もう1名は昨秋に採用された人です。
 したがって、平成31年度当初予算で義務費となるのは、H28年7月採用の2名の4〜7月の賃金と昨秋採用の1名の4月〜来年3月の賃金です。
 以上のことから、私たち議員が修正動議で減額した351万1千円は義務費には当たりません。
 新聞報道等によれば、森川氏はこれをあくまでも「義務費」であるとして村長の権限で支出する意向のようです。しかし、それは妥当でない措置だと言わなければなりません。森川氏は「村長の執行権、人事権、予算編成権」を強調しますが、法律は村長に無制約の執行権を付与しているものではありません。
 森川村長が「特命課には臨時職員がどうしても3名必要だ」と言うのであれば、「(H28年7月採用の臨時職員は)嘱託職員として最大3年の任期」としたH27年5〜6月議会での公式の発言をふまえ、新規の公募手続と予算措置をとる必要があります。
 私たちは、今回の予算修正において、格段に特別なことをやっているわけではなく、〈行政に対する監視とチェック〉という議会に課せられた使命をきちんと果たしているだけです。私たち議員は議会の果たすべき役割をしっかり全(まっと)うしていきたいと思います。

 

 

◎ 農業施策をめぐる質疑
 3月議会での予算審議をめぐって報告しなければならないもう1つ重要なポイントがあります。農業施策をめぐる質疑が相当の時間を費やして行われたことです。
 直接に議論になったのは3つの農業施策です。第1は「米農家支援事業」です。新規事業ですが、予算はわずか100万円で、これを村内約170haの田んぼを対象に配分するというのです。1反歩当たり580円?! 「1反580円で何の意味があるのか? しかも、これを配分する事務経費だけで、予算額を超える費用が必要になるだろう」というのが議員の過半から沸き起こった疑問と批判の声です。
 第2は、「ふるさと納税」(農業支援目的寄付金)をめぐる問題です。H31年度予算では1億2千万円が計上されていますが、その支出を見ると、JAへの委託料(返礼米の精米、発送等)7,932万9千円、消耗品費3,602万2千円(この中に返礼用特A米の購入費が含まれる)、印刷製本費(米袋作成代等)230万8千円、通信運搬費90万1千円となっています。つまり、1億2千万円にも及ぶ農業支援目的の寄付金のうち農家・農業支援に使われているのは最大に見積もっても3割にしかならないということです。
 「こんな使い方でよいのか」――議論は始まったばかりで、まだ圧倒的に不足していますが、重要な議論が始まったと言えます。
 第3は、第2の点と深く関連しますが、昨年度までふるさと納税を原資とする農業振興基金から700万円が支出されていた〈集落営農組織育成補助金事業〉がH31年度予算でまったく消えていることです。
 村側は「返礼米発送経費が高くなり、700万円を捻出できなくなった」と言っていますが、栄村農業にとって重要な施策を放棄する理由にはなりません。私たちは先に説明した予算の減額修正で確保された600万円をこの集落営農組織育成補助金の復活に充てたいと考えましたが、「村長提出の予算書に存在しない事業に予算をつけることは村長の予算編成権を侵害することになる」とされ、実現できませんでした。しかし、今後、この集落営農に対する支援金の復活にむけてさらに努力する考えです。
 「農業は栄村の基幹産業」と言われているにもかかわらず、20〜50歳代の生産年齢世代が農業で生きていける状況を創り出すための積極的施策がないというのが栄村の農業施策の現状です。この状況は何としても変えていかなければなりません。私たち議員も頑張りますが、多くの村民の方からさまざまな意見を出していただいて、栄村の農業を守り、発展させることができるようにしていきたいと思います。上で見た「ふるさと納税」のあり方の見直しを含めて、今後、農業施策議論の場を積極的に作っていきたいと考えていますので、よろしくお願いします。

 

(了)