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栄村復興への歩み
2011年3月に震度6強の地震で被災した長野県栄村で暮らす松尾真のレポートを更新しています。

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温泉入浴券の問題と振興公社をめぐって

 9月5日から村議会9月定例会が始まります(13日まで)。
 議会の開催は村長が招集するもので、8月25日付で招集の告示が出されました。その際、同時に、「付議事件」というものの一覧が告示されます。つまり、9月定例会に村長が提出する議案案件の一覧です。これは、役場玄関横の掲示板に張り出されていますので、どなたでもご覧になれます。

 

温泉に関する議案が出ていない!
 ここで驚くべき事態になっています。7月から8月にかけて計3回にわたり、村長の要請で開催された議会全員協議会で協議された温泉入浴券問題の打開に必要な栄村温泉条例に関する議案が「付議事件」の中に入っていないのです。
 私は目を疑いました。
 でも、議案は現に出てきていません。
 9月定例会会期中に追加議案として提出することも可能ですが、あれほど時間をかけて議論してきた問題の議案を議会の開会に間に合わせられないとは、いったい、どうなっているのでしょう。

 

「公社が管理する温泉は公社が独自に年間券を発行する。価格は3万円」との案の根拠が完全に崩れました
 この間の全協での協議では、村長は、「公社が管理する温泉は村が発行する共通入浴券の対象から外す。公社管理の温泉の入浴券は公社が独自に発行する。価格は年3万円、高齢者は2万8千円」と提案してきました。
 8月21日の全員協議会ではNo.314でも速報したように、「年間入浴券単価の試算」というものが提示されました(商工観光課長の説明では振興公社が作成したものだそうです)。詳しく紹介します。


・「トマトの国と北野天満温泉の入浴に係る経費」
    光熱水費 15,182,764円
    消耗品ほか 1,946,661円
    清掃人件費 990,000円
       計 18,119,425円
    *上記の光熱水費は施設全体の額であり、

     入浴経費としては過剰計上です。(松尾

     注記)
・村指定管理料 12,358,000円 (トマトの国と北野天満温泉に係る指定管理料)
・差引額(振興公社負担額) 5,761,425円
・入浴者1人当たり振興公社負担額 110円
   これは、上記の「振興公社負担額」5,761,425円を入浴者数52,439人

   で割ったものだそうです。
・共通入浴券利用者への振興公社負担額 3,504,934円
   これは、上記の110円に共通入浴券で入浴する人の利用回数31,901を

   掛けたものだそうです。
・共通入浴券利用者一人当たりの振興公社負担額 24,172円
   これは、上記の3,504,934円を、「共通入浴券利用実人数」を145人

   として、その145で割って出てくる数字だそうです。
   そして、この24,172円に消費税と入湯税の4,351円を加えて、年間3

   万円という数字が出てくるそうです。

 

■収入はいっさい勘定に入れない?!
 上で紹介した計算、「経費」と「指定管理料」は出てきますが、「営業収入」がいっさい出てきません。「振興公社は温泉に入る人から一銭の入浴料も受け取っていないのか?」という疑問が出てきます。そんなことがあるわけがありません。
 「試算」の中には、「浴場利用数」というものが出ています。紹介しましょう。
     宿泊 5,166人
     1回券 12,380人
     回数券 2,992人
     共通券 31,901人
 「1回券」とは、1回につき500円を支払って入浴することです。ですから、
     500円×12,380人=6,190,000円(619万円)
の収入です。
 また、回数券は5千円で13回入浴できるというものです。回数券を買った人が13回入ったとして、「回数券 2,9992人」を13で割ると、少なくとも230枚の回数券が販売されていることになります。
     5,000円×230枚=115,000円
 さらに、「共通入浴券」での振興公社の収入は共通入浴券利用者145人と仮定して、1,084,785円だとする資料が8月9日の議会全員協議会に出されています。
 以上を合計すると、6,190,000円+115,000円+1,084,785円=7,389,785円です。ここまでの計算では宿泊者が支払う宿泊代金に含まれる入浴料は入れていません。ですから、少なくとも740万円以上の入浴に係る収入があるということになります。

 

■公社理事会が言う「赤字額」を超える収入があり、本当は黒字
 振興公社理事会が主張する「振興公社負担額(=赤字)」約576万円を超える740万円以上の収入があるのです。つまり、「温泉入浴に係る経費」は赤字どころか黒字なのです。
 それはそのはずです。振興公社への指定管理料1,850万円を決定した際、その算出根拠として温泉に係る経費を多め過ぎると思われるくらいに見積もったのですから。
 こうなると、「公社管理の温泉を村の共通入浴券の対象外とし、公社独自の3万円の年間入浴券を発行」し、約450万円の増収を見込むとしていた(8月9日の全協での説明)、その450万円はいったいどこに行くのか? という疑問すら湧いてきます。

 

村民が誰もが意見を言える環境で振興公社の運営・経営を議論する必要があります
振興公社が行ったという「3万円」の「試算」の説明を役場商工観光課長が行うというのも変な話です。振興公社理事長が議会全員協議会に参考人としての出席を自ら願い出て、自分自身の口で説明するのが当然です。
べつに会議が苦手だというわけでもないでしょう。公社の理事会は頻繁に開催され、役員報酬も出されているのですから。ちなみに、公社の「役員報酬」支払額は平成23年度26万4千円(平成26年度は20万8千円、平成25年度8万4千円)に対して、平成28年度(現理事長体制になった初年度)は229万2千円。約10倍化しています。巷(ちまた)の声は、「民間企業なら、経営が赤字なったら、真っ先に役員報酬返上でしょう」というものです。
振興公社が管理する村の施設は、なによりも住民の福祉増進のために設けられたものです。また、振興公社は、なによりも地域の振興をめざして設立されたものです。
振興公社の経営には今年、6,850万円もの村のおカネが入っています。理事長や理事会だけで運営・経営してよいものではありません。
村民誰もが自由にモノが言える環境をつくって、振興公社のこれからを議論していかなければならないと思います。


共通入浴券問題、最新情報

 21日午前、議会全員協議会が開催され、9時からの議員だけの協議会の後、10時すぎから「村長提出の議会全員協議会」の協議が1時間半強行われました。
村側の説明は、8月9日の全協でのものと基本的に同じ。結論からいえば、協議は平行線のまま終わりました。
 新しい点としては、「(公社発行)年間入浴券単価の試算」という計算表が提示されたことです。
 しかし、これがまったく納得できないものでした。1つは、トマトの国と北野天満温泉のH28年度決算での光熱水費全額(約1,500万円)が「入浴に係る経費」とされていること。宿泊や飲食提供に係る水庫熱費もすべて「入浴に係る経費」としてしまうのはあまりにもデタラメです。2つは、温泉入浴料での収入をいっさい計算に入れていないこと。この点は保坂良徳議員が指摘されました。「1回500円」で入浴する人が年間12,380人おられるそうですが、これだけで619万円の収入になります(入湯税を差し引いても430万円強の売上)。これを計算に入れず、「公社は温泉の赤字で困っている」と言うのはおかしな話です。
 共通入浴券問題は、結局、9月5日からの定例議会で審議・決着ということになるようです。

 

 


<今後の発行予定>
 今号は21日発行予定が23日発行となりました。
 次号は9月1日に発行しますが、9月5日〜13日が議会となりますので、その間は基本的に配達に廻れません。次々号を9月16日に予定していますが、大半の地区でNo.315と316の同時配達になると思います。ご理解のほど、お願いいたします。


栄村復興への歩みNo.312

「信毎の報道ではよくわからない」――共通入浴券問題に関して、村民の中に大きな疑問。
 7月19日の信毎(信濃毎日新聞)「北信」版に、「共通入浴券 運用見直しへ 栄村 公社の経営改善狙う」という見出しの記事が掲載されました。
 共通入浴券問題、ここ半年以上にわたって村民のみなさんの大きな関心事項になっていますので、多くの人が目を凝(こ)らしてお読みになったようです。が、「実際にどうなるのか、読んでも分からない」と話される人が多いです。
 私は共通入浴券問題に関しては、議会全員協議会の場での協議の推移などをもう少し見たうえで、本紙に記事を書こうと思っていました。しかし、上のような状況が生まれていますので、現段階で書ける範囲のことをみなさんにお知らせしなければならないと判断し、今号で取り上げることにしました。

 

● 示されたのは「運用見直し」ではなく、「共通入浴券の廃止」
 信毎記事では「栄村は18日の村議会全員協議会で…共通入浴券の運用を見直す方針を示した」と書かれています。
 これは不正確です。村が全員協議会で示した協議内容は、「共通入浴券の廃止」です。
 共通入浴券とは、村内にある7つの温泉いずれにも入浴できる年間定期券です。これを廃止するというのです。
 非常に衝撃的なことです。
 栄村が開発・所有する温泉の管理・運営について定めた「栄村温泉条例」という条例があります。その第5章は「温泉入浴使用」と題され、共通入浴券の発行を定めた第25条をはじめ11の条項があります。11の条項すべて、共通入浴券に関わる規定です。
 村が示した案は、この温泉条例の第5章全体を削除することです。

 

● 百合居と長瀬については代替案が示されたが、振興公社管理の温泉については具体的代替案が

 示されず
 では、村の温泉への入浴はどうなるのか?
 誰もが抱く疑問です。

 

<百合居と長瀬に関する案>
 百合居温泉と長瀬老人福祉センターの温泉は、村の直営です。この2つの施設については、代替案が示されました。
     年間券 1人12,000円(村民のみ、年齢を問わず)
     1回入浴 1人 百合居200円、長瀬300円
 百合居温泉では、現在は家族券が発行されています。これが「1人券」に変わりますので、世帯毎の村民負担はかなり上がります。これは重大な問題であり、慎重かつ十分な議論が必要です。津南町の町議さんは、「地域の温泉の経営が苦しいからといって、家族券を廃止したり、値上げをしたりすると、かえって温泉の経営が悪化し、二進(にっち)も三進(さっち)もいかなくなる。地域もバラバラになりますよ」と忠告してくださいました。こういうアドバイスもしっかり受け止める必要があります。

 

<公社管理の温泉>
 他方、「トマトの国」や「北野天満温泉」などは、温泉宿泊施設全体を振興公社が指定管理で管理・運営しています。村が示した案では、「振興公社管理施設」と呼称され、つぎのように書かれています。
     「振興公社で年間券を発行する。」
 これだけです。年間券の価格がいくらなのか、何も示されていません。
     「公社が発行する年間券の価格は言えない。公社の独立性に

      関わることだから。」
というのが「理由」です。
 信毎の記事では、「公社での議論の進み具合について、村商工観光課の担当者は『現在検討中の段階』と述べた」と書かれていますが、これはある意味ではその通りでしょうが、またある意味では間違いです。どんな検討がされているかは「公社の独立性に関わることで、村からは言えない」というのですから。
 信毎の記事で、事態の核心をいちばん的確に伝えているのは、「共通入浴券の継続や廃止、料金設定を公社の判断でできるようにしたい」という部分です。温泉に関して公社に自由裁量権を与えるということです。
 18日の全協の閉会時の挨拶で森川村長は、「年間券を3万にしようが、5万にしようが、10万にしようが、それは公社の経営の問題」と言い放ちました。まさか、森川氏が「3万、5万、10万のいずれでも構わない」と考えているとは、私は思いませんが、理屈の上ではそういうことも起こりうる状態にしてしまうのが、温泉条例改定−共通入浴券廃止という路線の本質だと言わねばなりません。

 

 共通入浴券の問題は重大な局面を迎えました。8月9日に再び村長要請の議会全員協議会が開催される予定です。そこでの協議を経て、9月6日開会予定の議会定例会で共通入浴券廃止のための温泉条例改定案を成立させたいというのが、村がめざしているところです。

 さて、この問題をさらに明確にしていくためには、振興公社をめぐる問題に踏み込むことが必要です。

 

■ 「共通入浴券が公社の経営悪化の要因」というのは事実に反する
 再び、信毎の記事内容に立ち返りますが、「村振興公社の経営立て直しが急務になっており、入浴券の見直しで経営改善につなげる狙い」、「共通入浴券は入浴料が割安なため、振興公社の業績が悪化している要因の一つでもあるという」と書かれています。
 本当でしょうか?

 

● 今年に入って以降、振興公社に村からいくらのおカネが入っているか
 振興公社は経営赤字が膨らみ、今年の1月、「このままでは2月の給料が支払えないかもしれない。3月はもう支払えない」ということで、村が振興公社に5千万円の資金を投入するという話になりました。
 議会は、1月12日の臨時会では「出捐金5千万円」という村長提案を否決、同じく1月24日の臨時会で「2〜3月破綻危機のりきりのために出捐金2,100万円を投入」という案を承認しました。さらに、3月の予算議会では、振興公社への指定管理料の支払い額をH28年度までの1,060万円から1,850万円に引き上げること、また、公社の資金運用のための担保にするお金」ということで2,900万円の出捐金を投入することが決まりました。
 つまり、今年に入ってから、振興公社には村から計6,850万円のおカネが入っています。
(なお、この6,850万円には、施設修繕費等は含まれていません。それは別途、村が支出します。)

 

● 共通入浴券赤字はじつは「指定管理料」で補填済み
 振興公社に村から指定管理料が支払われるようになったのは平成27年度からですが、H27、H28両年度は年間1,060万円でした。
 昨年9月の決算議会で、福原洋一商工観光課長は、
     「1,060万円は指定管理料という名目だが、実際は共通入浴券

      による赤字分の補填として出している金額」
という趣旨の発言をしています。「共通入浴券による赤字」が仮に発生しているとして、それは「指定管理料」で補填されているというのですから、「振興公社の経営危機の大きな要因が共通入浴券」という説は事実に反することになります。


● 今年度はもっと補填されている
 今年度、指定管理料は790万円増額され、年間1,850万円とされました。
 ちょっと長くなりますが、商工観光課作成の1,850万円算出根拠の説明書を見てみましょう。
      今までは、共通入浴券で入浴した際の経費負担を算出していた。
      H29年度から施設の管理費係る経費、利用者が利用できるため

      に準備する経費を算出した。
      施設の維持管理に係る、光熱費の内電気料の基本料、使用電気

      料の内宿泊者がいないほぼ温泉利用者のみの月の電気料の内50%
      50%の算出は、温泉利用者の内90%が共通入浴利用者であるこ

      とから、施設管理者と協議の上50%とした
      灯油は、温泉加温ボイラなので、温泉管理にボイラーを使用して

      いるトマトの国及び北野天満温泉、のよさの里の使用灯油料から

      算出した
      (誤字・脱字の類がありますが、原文通りを記載。閲覧可能な

       議会議事録に収録されています)

 

 こういう「根拠」で算出された金額を「トマトの国」と「北野天満温泉」について見てみます。


      トマトの国
        電気基本料基本月額  103,200円×12月=1,238,000円
        使用料        137,282円×12月=1,647,000円
        灯油代       5,125,900円×50%=2,562,000円
        水道、浄化槽               461,000円
        計                   5,908,000円
      北野天満温泉
        電気基本料基本月額  112,791円×12月=1,353,000円
        使用料        182,022円×12月=2,184,000円
        灯油代        1,084,000円×50%=542,000円
        チップ代       1,612,600円×50%=806,000円
        水道、浄化槽               564,000円
        計                   5,449,000円

 「算出根拠」に関わる説明文は、やや分かりにくい文章です。しかし、趣意をなんとか読み取ることはできます。大事な点をまとめてみましょう。
    1. 施設の維持管理に係る経費をより手厚く村が面倒みる。
    2. 「宿泊客がいなくて、施設利用者はほぼ温泉利用者のみという月

     がある」という記述、また、「その温泉利用者のうち90%が共通

     入浴(券)利用者」という記述がある。つまり、「共通入浴券に

     よる赤字の補填」は本年度においても指定管理料算出根拠の柱に

     なっている。

 

 このように、どう考えても「共通入浴券が公社赤字(業績悪化)の要因」説は根拠がありません。
 また、〈共通入浴券の廃止→振興公社の経営判断による年間券の発行(当然、かなりの値上げとなる)によって公社の経営赤字を削減する〉というのならば、共通入浴券に係る経費負担が大きな算出根拠になっている指定管理料は、H30年度以降、大幅に削減するという話がセットで出て来なければおかしいのです。しかし、そんな話はまったく出てきていません。

 

■ 振興公社の経営再建には何が必要か
 この半年〜1年を振り返ってみると、村は、振興公社に村のおカネを入れるという類の案件を出す時だけ、振興公社の経営(危機)について口にします。
 しかし、これはおかしいでしょう。
 村がすでに本年に入って以降だけで6,850万円ものおカネを投入しているのですから、公社の経営基本方針や年間事業計画、月々の業績等について公表を求め、平素から振興公社の経営についてオープンな議論をしなければいけません。そうしてこそ、経営再建が実現されていくのです。

 

● 「公社の赤字化の根源は高橋彦芳村政」――とんでもない謬論
 私はこの1年の間に、上記の見出しのようなことを言う人に複数回出会ったことがあります。
     「高橋彦芳氏は『公社は儲けなくていい』と言っていた。『赤字でい

      い』とは言っていなかったが、『トントンでいい』と言っていた。

      こういう考え方が、公社経営の赤字化の根源にある」
という「主張」です。
 はっきり言いますが、この「主張」は間違い、謬論(=誤った議論)です。
 高橋村政の後半期には振興公社の経営が苦しくなる面があったのは事実でしょうが、ここ数年間に見られるような、経営破綻に至る大赤字は生じていませんでした。
 振興公社は例の3億円事業で決定的におかしくなったのです。これは、村民の多くの方々の共通認識だと言っていいと思います。
 今回は、その共通認識からもう一歩深めることが必要です。〈どのようにおかしくなったのか〉を解明することです。
 私も一所懸命考えました。そして、ようやく見えてきました。
 国等の補助金をもってきて、なにか華々しいイベント等をやることが公社経営だと錯覚し、村の資源を活かす地道な事業をコツコツと積み上げていくことを忘れてしまった、これがいちばん大きな問題だと思うのです。
 〈振興公社〉という名称をよく考えてください。何を〈振興〉するのですか? 村、そして村民の振興です。東京の大手会社などに多額の支払いをするイベントをやっていても、村の振興にはなりません。

 

● 村民の知恵と力を総結集できる振興公社運営体制を築くことが再建の道
 いま、振興公社の再建のために何がいちばん大事でしょうか。
村民が「公社の経営がどうなっているのか、さっぱり見えない」と思っているかぎり、振興公社をうまく運営・経営できるはずがありません。
 たしかにいま、村民が振興公社の現状について疑念を抱いている状況があります。しかし、「振興公社なんて、どうなってもいい」なんて、村民はまったく思っていません。現に、「トマトの国」のケースでいえば、7月12日、愛湯会のみなさんがボランティアで「トマトの国」周辺の草刈りをしました。そこには栄村民だけでなく、津南町民の愛湯者もおられました。
 北野天満温泉でも、春にカタクリが咲く場所がきれいに草刈りされているのを7月上旬に見ました。地元の北野温泉利用者のみなさんがやって下さったのだと思います。(さらに言えば、温泉とは関係ありませんが、秋山郷の天池、7月19日に行くと、草刈りがされていました。なんと津南町見玉の人がやって下さったそうです。)
 こういう村民の思いは、共通入浴券利用者だけに限られたものではありません。日頃は公社施設と疎遠になっている人でも、振興公社について心配しています。「偶(たま)には昼間から温泉に入って、お昼でも食べたいな」という声もよく聞きます。

 

 こういう振興公社のことを思う人たちがたくさんいるのですから、振興公社の現状を打開する道はあるはずです。
 そこで、提案です。
 振興公社の高橋規夫理事長さん。公社管理の温泉の愛好者、さらに村民全体と膝を突き合わせて懇談してください。村民の中には、「高橋規夫さんって、どんな人?」と言う、あなたのことをよく存じ上げない人もたくさんおられます。まず、村民の中にどんどん入っていって、村民と交わることです。そして、村民の疑問や考え(アイディア)に耳を傾けてください。その疑問や声に答えて下さい。
 そうして、理事長と村民の間の信頼関係が築かれれば、共通入浴券の問題を含めて、諸懸案を打開していく道が自(おの)ずとひらかれていくでしょう。これは森川村長をもってしても出来ないことです。振興公社の理事長さんにしか出来ないことです。
 村民の知恵と力を総結集する振興公社が実現していく道はこれしかないと思います。
 是非、実現していきたいものです。
 高橋規夫理事長の勇気ある踏み出しを望む次第です。


<お断り>
今号は、ご覧のように、1頁トップの写真1枚を除いて、文字ばかりの号になりました。
共通入浴券問題の重大性に鑑(かんが)みて、このような編集にした次第です。みなさまのご理解をお願いいたします。

(なお、1頁トップの写真はブログにはすでに掲載済のものですので、今回のブログでは割愛しました)

 


温泉共通入浴券の存続を――値上げの必要性はみなさん、理解されています

 いま、村民の間で大きな関心事になっているのが、トマトの国や北野天満などの温泉で村民が利用している「共通入浴券」の問題。
 昨年3月末、トマトの国などの施設に下写真の掲示が貼り出されました。村長名のものです。
 私自身も利用者の一人ですが、みなさん、この掲示に従って、「平成28年3月31日までの入浴券」を購入してこられました。

 

 

「トマトの国」の営業時間短縮で一気に不安が高まった
 昨年暮れの12月1日から、「トマトの国」の温泉入浴可能時間が「午前11時〜午後7時」から「午後2時〜午後7時」に短縮されました。「営業時間変更のお知らせ」が貼り出されただけで、理由説明などは何もありませんでした。
 同時に、振興公社の経営危機も明るみに出てきました。
 そのため、村民の間で、「もう温泉に入れなくなるんじゃないか」という不安感がいっきに高まったのです。私は入浴時や配達時に多くの人から「どうなっているの? 大丈夫なの?」と尋ねられるようになりました。

 

期限まで1ヶ月が近づいても、何の説明も出ていない
 最近、みなさんから出る言葉は、「もう1ヶ月ちょっとで券が切れるよ。このままでは4月1日から入れなくなるじゃないか」というものです。
 じつは、1月24日の臨時議会の後、議員だけの全員協議会の最後に、「2月9日の臨時議会の後に村長提出の全員協議会がある」、そして、その協議テーマの1つが「共通入浴券について」だという話がありました。
 ところが、2月6日に開催された議会運営委員会では、「共通入浴券の問題は2月9日に間に合わない」と話されました(私は議運メンバーではないので、議運メンバーの議員からの聞き取り)。実際、2月9日の全員協議会では共通入浴券の問題はいっさい出ませんでした。
 本当にもうすぐ全員の共通入浴券の期限が切れます。事態は切迫しているのです。

 

共通入浴券の仕組み
 いまさらという面もありますが、共通入浴券の仕組みを確認しておきます。
 これは、年間1万2千円(70歳以上は7,500円)を支払えば、村が保有する温泉に何回でも自由に入れるという一種の定期券です。役場が発行しています。
 利用できる温泉のうち、トマトの国、北野天満、のよさの里、雄川閣は振興公社が村に代わって管理運営していますので、これらの温泉に入る人は公社管理施設を利用する形になり、共通入浴券の申込・料金支払いも基本的に公社施設フロントで行います。そのため、振興公社にお金を支払っているかのように思われがちですが、違います。私たちは村役場にお金を支払っているのです。
 温泉を管理運営している振興公社には村役場から費用が支払われます。
 ただし、つい近年まで、村役場から振興公社に支払われる金額が少なく、そのことが公社の経営圧迫要因に一つになっているという問題がありました。しかし、この点については、平成27年度から「共通入浴券での温泉入浴の経費に関する公社の負担をなくすために指定管理委託料の名目で年間1,060万円が支払われるようになった」(昨年9月の決算議会での福原洋一商工観光課長の説明に基づきます)ので、共通入浴券が安価であることが現在の振興公社経営危機の原因だと考えるのは間違いです。

 

「値上げはやむをえない」が利用者の共通認識
 入浴中の会話、配達時のみなさんとの会話では、「まあ、安いから値上げはしかたないと思う」というのが大多数の人の意見です。女性風呂でもそういう会話が交わされているそうです。
 現在の1万2千円を3万円まで値上げするのはみなさんの許容範囲内のように思われます。ただし、いくつかの条件・要望があります。
 第1は、3万円の場合、一度に支払うのはきついという人もおられて、「2回の分納」や「半年券」という新しい制度を導入してほしいということです。「半年券」は、金額の問題だけでなく、たとえば「冬の期間だけ利用したい」といった要望とも関係しています。
 第2は、高齢者に対する割引です。現在は70歳以上の場合、年間7,500円ですが、年齢区分をもう1つ増やし、「70歳以上75歳未満は2万円」、「75歳以上は1万円または据え置き」というような考え方です。
 第3は、多人数家族のケースへの配慮です。70歳未満で3〜4人家族の場合、「3万円」ですと、9〜12万円の支払いになり、相当厳しいことになります。人口減少の中、多人数家族は大事な存在であり、なんらかの配慮が必要ではないかと思います。
 第4に、トマトや北野の温泉をご利用の津南町の人たちへの配慮も欲しいです。津南町の一定のゾーンの人たちとは県境を超えて、“同じ地域の住民”としての付き合いがあります。そういう人たちのご利用はじつは栄村の施設の賑わいを支えている大事な要素です。

 

村の住民福祉政策としての明確化を
 温泉の入浴料は、普通は1回500円ですから、共通入浴券は3万円に値上げになったとしても、相当にお得な価格であることは間違いありません。
 共通入浴券制度はこれまで明示されてきたわけではありませんが、「村民が村の資源である温泉を安く利用でき、とくに高齢者が温泉利用で楽しく長生きできるように」という住民福祉政策の観点で運用されてきたと思います。
 また、「少子化・人口減少」が大きな問題になっている中で、「子育てしやすい栄村」ということにとっても、温泉は重要な役割を果たしています。まだ一人ではお風呂に入れない幼児をお連れのお母さんの場合、一緒に温泉に入る村のかあちゃんたちが代わる代わる幼児を世話して、お母さんが温泉にゆっくりと浸かったり、体を洗ったりできるようにしています。村の若いお母さんだけでなく、観光で栄村を訪れ、温泉に子連れで入浴された都市部の若いお母さんも、村のかあちゃんたちに援けてもらい、とても喜んでおられます。

これは栄村の誇るべきことであり、今後は、住民福祉政策として明確に打ち出していくことが求められます。
「村民の声をしっかり聞く」と公約している森川村長が一日も早く、こういう政策判断をされるよう求めたいと思います。

 

 

温泉入浴を終え、家路につく森集落の夏乃(かの)ちゃん

夏乃ちゃんの手を握るのはお母さんとご近所のかあちゃん

 

 


栄村復興への歩み号外(11月9日付)

 11月8日、臨時議会等が開催されましたが、そのうち、午後1時半からは「振興公社理事との懇談」でした。「懇談会」という性格上、非公開でしたが、そこで議員が知りえたことは「秘密事項」という性格のものではなく、また、村民のみなさんの関心が非常に高い性質のものであるので、速報をお知らせしたいと思います。

 

 この懇談会は、議会側が9月の全員協議会で「振興公社では最近、若い人が次々と辞めるなど、心配な状況だ。理事長に来てもらって話を聞きたい」と決定し、開催されるに至ったものです。
 議会としては公社理事長のみを招聘したつもりでしたが、公社理事全員(理事長を含め5名)が出席され、さらに、何故なのか不明ですが、森川村長と福原商工観光課長が同席しました。
 以下、懇談で明らかになった重要な諸点を報告します。

 

🔷4宿泊施設の経営に集中し、公益事業からは撤退する
 公社側からは、冒頭から「経営の再建が急務」であることが強調され、「母体は宿泊4施設、これを健全経営にする」、「公益的事業は廃止」、「宿泊4施設経営で体力が出来たら、また公益的事業にのり出す」という話が出ました。
 たとえば、「トマトの国」では12月1日から温泉入浴時間が午後2時〜7時にの5時間に短縮されます(従来は午前10時から)。また、食堂営業も廃止されます。温泉入浴時間の短縮の直接の狙いは、ボイラーを炊く時間を減らし、コストをカットすることにあるようです。
 また、森宮野原駅の委託業務を公社が返上した(そのため、随分と混乱しました)のも「公益的事業からの撤退」の事例です。
 この後に記すとおり、振興公社は運転資金がほぼ枯渇した状態になっています。
 「経営」という観点から言えば、1つの「合理的な」方向性かもしれません。
 公社理事会側からは、「一般財団法人に切り替わった時、民間企業となるべきだった。にもかかわらず、公益法人のままやって来たのが問題」という認識も示されました。

 

🔷「さかえむらトマトジュースの仕入れ一括支払いをする資金がない」
 以上の話だけでも衝撃的なものでしたが、もっとショッキングな話が理事長・高橋氏の口から飛び出しました。
   「さかえむらトマトジュース、特産物で栄村の宝物ですが、

    製造業者との間では7千ケースを一括購入・一括支払で引

    き取ることになっているが、この一括支払をする資金がな

    い。金融機関に借入を申し入れたが、信用保証機関の保証

    が必要。しかし、信用保証機関は『一般財団法人には保証

    しない』と言われ、ダメだった。その後、1金融機関から、

    『村が保証し、議会も同意するなら、貸し出してもいい』

    という話が来ている」。
 一括支払の金額は1,050万円。
 トマトジュースは人気商品で、売れ残っているわけではありません。しかし、トマトジュースの売上金は、翌年度仕入資金をプールすることなく、公社全体の運転資金に流用されていたようで、残されていなかったのです。
 栄村の人気商品トマトジュースの確保のために資金の借入、そのための村・議会の保証と同意が必要だというのなら、私は議会としての同意にも応じる用意がありますが、そのことと、一括仕入れに必要な資金を運転資金に流用していたという放漫経営の責任問題は別の問題。後者の問題に対する関係者の責任は徹底的に追及されなければなりません。

 

🔷運転資金がない!
 私は6月段階で、振興公社の平成27年度決算書を分析し、「運転資金は間もなく枯渇する」と警鐘を鳴らしました。私の予測ではこの11〜12月に資金ショートの破たん危機が訪れるのではないかと推測していました。
 8日の懇談会で公社理事会側から出された見解では、「1月に回転資金がなくなる」ということでした。
 経営破たん(倒産)を回避するには、2つのことが必要です。
 1つは、借入金等行い、破たんを回避することです。しかし、常識的に言えば、信頼できる経営再建計画がなければ、資金を貸し出す金融機関は存在しないでしょう。
 2つは、経営破たんを避けられない状況を生み出した経営陣の責任の徹底的な解明です。
 その責任は現経営陣(理事)だけでなく、退任した理事等の元幹部も問われます。公社のお金を私していた人はいないと思いますが、経営破たんが必至となる放漫経営を自ら推進していたとするならば、背任等の責任が問われることすらありえるでしょう。

 

🔷振興公社は振興公社でなくなる。定款の抜本変更が必要。
 現理事会が、「運転資金が確保できない」という状況に注目し、民間経営的手法を用い、「4宿泊施設を母体にして儲かるようにする」というのは、ある意味で当然の対応だとは思います。
 しかし、法人というものは、その設立にあたって「定款」というものを決め、その法人の設立目的・事業内容を定めています。
 現理事会の「宿泊4施設経営を時期に、公益的事業は廃止(あるいは当面は中止)」という方針は、振興公社の現在の「定款」には反します。
 参考までに、「定款」を紹介します。
   第3条(目的) 当法人は、栄村の恵まれた自然を生かし、都市との

     交流等の事業を行うとともに、地域経済の発展と住民福祉の

     向上に寄与することを目的とする。
   第4条(事業) 当法人は、前条の目的を達成するため、次の事業を

     行う。
    (1) 地域活動に関する情報の収集および提供
    (2) 自然の保護及び活用並びに民俗催事の提供
    (3) 都市との交流及び農林産物の振興
    (4) 保健休養施設の管理運営
    (5) 栄村が設置する施設の受託管理
    (6) 労働者派遣事業
    (7) 自動車のレンタル及びリース
    (8) その他各号に関連する事業

 

 宿泊4施設の管理運営(経営)は、「定款」第4条の(5)項に当たるものです。それに対して、(1)〜(4)が公益的事業にあたります。
 繰り返しますが、私は「振興公社」が経営再建のために定款第4条(5)項の事業に集中し、しかも民間企業経営的手法を導入するというのは、私企業の経営方針としては、一理あるものだと考えます。しかし、それは「定款」第4条(1)〜(4)には合致しませんから、当然、定款の改正が必要です。
 また、「経営再建が軌道にのれば公益的事業にまた乗り出す」と言っていますが、それは一般民間企業が、会社の得た利益を基にして公益事業に貢献する社会事業(いわゆるフィランソロピー活動)似たものであって、振興公社(及びその「定款」)が目指してきたものとは異なります。
 懇談の様子を見ていると、理事の中には経営再建方針と定款の関係性について自覚されていない方もおられるように見受けられました。
 この項でここまでに述べたことを一言でいえば、「振興公社はもはや振興公社ではなくなる」ということです。言いかえれば、「宿泊4施設管理運営会社」に変わったのです。

 

🔷驚くべき森川村長の発言
 ――「開いた口がふさがらない」とはこのこと
 議会が出席を求めたわけではないのに懇談会に出てきた森川村長。最後に発言の機会を求めました。発言の前半、前村長あるいは前々村長の振興公社経営方針に対する批判を口にしていましたが、後半、突然、公社理事長・高橋氏の方に向いて、
   「いくら欲しいんだい? 5千万か」
と言い出したのです。「必要か」ではなく、「欲しいのか」という表現にも驚きました。
 高橋氏は、一瞬の躊躇の後、「うーん、5千万とまでは…。3千万あれば…」と答えます。
 私が声をあげ、続いて、阿部伸治氏が声をあげました。
   「ここはそんな話をする場ではない。やめてください」
 森川氏は一瞬、怒ったようで、よく聞き取れなかったものの怒気をはらんで何かを言いました。しかし、私や阿部氏の注意は当然至極のもので、議長は森川氏と高橋氏のやりとりをやめさせ、懇談会は終了しました。

 なお、4宿泊施設という「旅館業」の運営・経営に関わる振興公社理事に同業者(旅館経営者)が関わることの利益相反性も話題になりました。リバーサイドハウスの山田さんは明確に否定され、それには私も「山田さんの発言は信頼する」旨を表明しましたが、「雪あかり」経営者の高橋氏については、ご本人は同様に否定されたものの、過去1年間、私が高橋氏と話してきたことの経緯・内容をふまえ、「利益相反性がないとは言えない。そのことは後日、議論を詰めたい」と申し伝えました。
 以上、取り急ぎの報告です。


「”太いパイプ”って何?」と思っておられる方々へ

 参院選が終わりました。全国的には自民党が勝ちましたが、長野県区は(お隣の新潟県区も)野党統一候補の杉尾さんが当選しました。
 「あれ、若林さんは森川村長の“太いパイプ”だったんじゃないの? 若林さんの落選で“太いパイプ”はどうなってしまうのかなあ?」と疑問に思う人もおられるようです。

 

そもそも“太いパイプ”とは?
 年齢の高い人は、4月の村長選で「太いパイプ」という言葉が聞こえてきた時、「ずいぶん古い言葉が出てきたもんだなあ」と思われたのではないでしょうか。
 私の記憶では、今から30〜50年前に頻繁に使われた言葉ですね。「私は中央と直結できます」という表現も使われました。東京、大阪、福岡等、全国の主要な知事や市長を野党(当時は社会党と共産党の「社共共闘」推薦の人)がおさえた時代、自民党系候補が選挙で「太いパイプ」、「中央と直結」と掲げたのです。「国の自民党政権から予算をとってくることができる」という意味です。
 森川さんも村長選の際、若林氏や小松裕氏(自民党衆院議員)と握手する写真をチラシに入れていたので、「国からお金をもってくるパイプ」をイメージされているんでしょうね。

 

課長と係長ではそんなに人脈が異なるのでしょうか?
 私は6月議会で森川村長に質問しましたし、一対一でもお話しました。
 森川氏の見解は、つまるところ、「役場の課長と係長では人脈がまったく違う。課長を経験している私には『太いパイプ』がある」ということです。
 「補助金頼り」がいいか悪いかは少し横におくとして、必要な補助金(交付金)は獲得しなければなりません。
 国が全国の自治体に配る補助金を実際に握っているのは政治家や大臣、霞が関の役人の大幹部(事務次官や局長、課長)ではなく、課長補佐や係長のクラスです。国の新しい法律の条文を書いているのも、このクラスの人たちです(故田中角栄氏が大きな力を持っていた背景には霞が関の課長補佐クラスをがっちり握っていたからだと言われています)。
 栄村は震災でさまざまな復旧・復興工事が行われ、国や県から多くの補助金・交付金がきました。この過程で、役場で実際に実務を担当する人(係長クラスが多い)は国や県の担当者(係長や課長補佐)と頻繁に連絡を取り合います。そこに信頼関係が生まれてくると、国や県の担当者からは他の補助金も情報ももたらされます。強いて「太いパイプ」という言葉を使うならば、これこそ「太いパイプ」です。課長クラスは県の会議などに呼ばれて行くことが増え、たしかに「顔が広がる」でしょうが、「太いパイプ」は実務の中でこそじっくり育まれていくと言うべきでしょう。
 栄村役場には、農政面などで補助金情報を細かに把握している係長クラスの職員もおられるように思いますが、たとえば地方創生推進交付金などをめぐっては、中間機関の県からメール1通が届くだけで、活用方法もよくわからないという現状にあるのではないでしょうか。
 「太いパイプ」を強調するかどうかは自由ですが、本当に欠かせないことは、時間をかけて村内を巡り、「選挙で味方したかどうか」を振り分け基準にするのではなく、いろんな人たちと対話し、村(民)が必要としている仕事を把握し、そのために必要なお金を確保する方法を編み出すために知恵と汗を絞ることだと思います。


「森川丸」はどこへ向かうのか?

 村長選からもう2ヶ月が過ぎ、森川氏が新村長として動き出してからでも早や1ヶ月半が経過しようとしています。村民のほとんどが、「村長が代わり、栄村はどう変わるのだろうか?」と固唾(かたず)をのんで見守ってきました。
 ここらで、この1〜2ヶ月の森川村政の動きをざっくりと総括してみる必要があると思います。

 

5月16日発言と6月下旬時点の動きには落差が…
 5月16日の記者会見では、「平成28年度はもう新予算がスタートしている。それをまずじっくり研究する。職員人事は最小限の見直しをする」と発言しました。「『栄村丸』(森川村長の言葉)をかなり慎重に操縦していくんだなあ」という感じがありました。
 それから1ヶ月強を経た6月23日、森川村長は7月1日付の人事異動を発表しました(報道機関等に対しては係長級以上の人事のみ公表)。
 人事異動は係長級以上だけで13件にのぼりました。特命対策課が新設されるので玉突き的に人事が動くという面はありますが、私が受けた印象は「大幅異動だなあ」です。また、産業建設課の農地係の廃止(産業振興係への統合)、商工観光課のジオパーク推進係の廃止、住民福祉課での戸籍住民係(長)の新設など、“寝耳に水”の組織編制替えもあります。
   *主な人事は、特命対策課長に斉藤和幸氏(前ジオパーク推進係長)、

    商工観光課長(兼秋山支所長)・福原洋一氏(前教育委員会事務局

    長)、健康支援課長・勝家直樹氏(前商工観光課長)、教育委員会

    事務局長・大庭和彦氏(前行政・情報防災係長)です。
 森川氏の5月16日時点の発言から感じられたものとは異なり、「急カーブをきった」という感じがします。

 

「断言」が多く、丁寧な説明が不足
 森川氏は前任者・島田茂樹氏と比べると、「言語明瞭」です。議会での質疑でも、言葉一つ一つは明確です。その意味では、発言内容が分かりやすい。
 しかし、一歩踏み込むと、森川氏の考えの結論のみを断言的に発言することが目立ち、その「考え」の根拠や、その「考え」を導き出した思考の内容などの説明は不足しているように感じられます。一つの事例を挙げてみます。
 みなさんもすでにご存じのように、森川村長は「秋山観光重視」です。まるで「栄村の観光資源は秋山郷にしかない」と言わんばかりです。多くの人が疑問に感じています。6月村議会でもいろんな議員が森川村長に質問しました。
 しかし、森川氏は「観光のメインは秋山」、「『下(しも)』で観光の目ぼしいものがない」と言うばかり。駅前に新設された震災祈念館については「単なる観光案内所。臨時職員で対応可能」と断言しました。
 もちろん、森川氏にはもっと深い考えがあるのかもしれません。でも、そうならば、その深い考えを村民に丁寧に分かりやすく説明するのが村長たる森川氏の責務だと思います。
 役場の組織編制替えにしても、そうです。係の廃止や新設は条例の制定(=議会での可決)なしにできることですが、前日まで議会が開かれていて、説明の機会はいくらでもあったのに、議会での説明はなし。議会では農地の維持をめぐる問題も議論のテーマになっていました。なぜ、その時、「農地係は廃止します」と言わないのか? 農業が主産業の栄村で、農地の問題は「産業振興」一般に解消してよい問題だとは思えません。

 

「村民が主人公」と言うならば……
 森川村長は、6月議会初日の所信表明でも「村民が主人公」と言いました。それ自体は村民の誰しもが「まったくその通りだ」、「そうでなきゃ困る」と思うことです。
 しかし、実際の動きを見ると、その言葉とは違うことが顔をのぞかせます。たとえば、議会で一般質問にたった阿部伸治さんに対する答弁の中で、「議員は他候補の選対副本部長でしたが…」という発言を挟(はさ)みました。まったく不必要な言葉です。この発言を聞いた多くの人が「まだ選挙戦をひきずっているのか?」と思いました。選挙戦が終わったらノーサイド。阿部伸治さんは「他候補選対副本部長」ではなく、森川村長が「村民が主人公」と言う村民からの負託を受けた議員の一人です。
 辞意を表明したイギリスのキャメロン首相も自身のことを「船長」にたとえていましたが、「船長」には常に村民の声に偏りなく耳を傾け、慎重なうえにも慎重な村政運営を心がけてもらいたいというのが村民の思いです。森川村長からは、一般質問の答弁の中で「5番議員(松尾のこと)は村民からの色んな意見を聞くことができて羨ましい」という過分な言葉をいただきましたが、私は村民の声をいくらでも村長にお届けしますので、どうか色んな意見に耳を傾け、偏りのない村政を進めてほしいと思います。


驚き、そして愕然とする――振興公社理事長人事について

 5月27日、一般財団法人栄村振興公社の新しい理事長に高橋規夫氏(切明温泉「雪あかり」主人)が就任されたそうです。振興公社の定款第5条による「公告」はされていませんが(3日午前現在)、関係者の多くが口にされていることであり、間違いありません。
 私はこの一報を耳にした時、まず、たいへん驚きました。そして、つぎに、愕然としました。高橋規夫氏が個人の資質として理事長に適しているのかというようなことではありません。
 村長選挙の直後に、当選陣営の選挙運動の中心人物の一人が、村の要職に就くということの妥当性が問題なのです。
 私はまったく妥当でないと考えます。そして、私が耳にするかぎり、村民の多くが同様に考えています。
 5〜60年前の社会ならばともかく、現在の社会においては、栄村を含めて、選挙の論功行賞(ろんこうこうしょう)と受け取られるようなことはしてはならないというのが一般常識、あるいは政治倫理のイロハになっています。
 この人事に森川村長がどのように関わりをもたれたのか、関わりはなかったのかは、私の知る由(よし)ではありませんが、村長選の際の森川陣営の中心を担われた高橋氏自身が上記のような一般常識、政治倫理のイロハをふまえた対応をされることを、私は望みます。

 村民の中にはこういう意見もあります。「村長は選挙時の対立候補を副村長に迎え、力を合わせて栄村のために働いてもらいたい」。対立候補だったお二人がそれを望まれるかどうかはわかりませんが、一つの考え方ではあると思います。多くの有権者は「三人とも似た主張をしている」と受け止めていました。栄村は面積はともかく、人口的には小さな村です。選挙が終わればノーサイド、翌日からはみんなが知恵と力を出し合って、協力して村づくりに邁進(まいしん)する必要があります。選挙はリーダー選びであって、権力闘争ではありません。
 森川村長の公約を実現するのは森川村長お一人ではありません。村民みんなの力が発揮されてこそ、森川村長が掲げられた公約を実現することが可能になります。
 

栄村復興への歩みNo.285

期待と不安の中で森川村政スタート
 5月16日、森川浩市新村長が初登庁し、これから4年間の森川村政がスタートしました。
 16日は、役場職員などが玄関前に並ぶ中、森川氏が午前8時半に役場前に到着し、職員から贈られた花束を手に早速、村長室へ。村長室ではメディアのぶら下がり会見。9時すぎから役場ホールで就任式が行われ、森川新村長が全職員に村政に臨む基本姿勢を述べました。その後、政策会議(課長級を構成員とする役場の政策決定機関)に臨んだ模様です。


村長の椅子に座り、口滑(なめ)らかにメディアの質問に答える森川新村長

 就任の週が終わる20日午後、村長室を訪ね、就任後の様子を取材してきました。16日の就任後、県の関係機関、国の出先機関等への就任挨拶、役場の各部署から今年度予算や施策についての説明を聞くなど、超多忙な様子でした。
 このページの見出しを「期待と不安の中で…」としたのは、私が村内を巡り、さまざまな村民の声を聞く中で実感した村民の空気がまさにそういう言葉で表されるものだったからです。
 「何か変えてくれるのではないか」、「いっぱい公約を並べているが、そんなに色んなことができるのだろうか」、「副村長は公募と言っているが、そういう人材は村にいるのか」、「議員を辞職した人がいるが、まさかそういう人が重要な職に登用されることはないだろうな」等々の声です。

自薦・他薦ともに可で、6月に副村長公募 ―― 9月議会での同意をめざす
 副村長公募について、16日の会見では「この後の政策会議で要項などを詰めてから」としか語られませんでしたが、20日の取材では、
    * 公募の書類の作成に少し時間を要するようだが、6月早々に公
     募を開始し、6月末に締め切りたい
    * 応募は自薦、他薦いずれも可。応募者は村長選時点で栄村在住
     の有権者に限定。〈他薦〉とは、村民が、村外居住の村出身者
     や栄村をよく知る人を推薦すること。
    * 自薦・他薦いずれの場合も、森川氏が就任式で職員に配布した
     「事業推進書」(選挙時の公約集とほぼ同じ内容)の中の少なく
     とも3項目について自らの考え・提案等を作文して提出する(他
     薦の場合は、村民から推薦を受けた人が自らの考えを書く)。字
     数の上限制限はない。
    * 上記の作文は村長親展で提出してもらい、森川村長が審査し、村
     長の意に適(かな)う人物を選ぶ。
    * 9月定例議会に副村長人事を提案したい。
といった諸点があきらかにされました。
 「適任者がいない場合は、国等から人材を求める」という考えはあるようですが、現時点では自薦・他薦がかなりの数出ることを期待しているとのことです。


就任式で村長挨拶を聞く役場職員

「特命対策室は7月1日にスタート」
 森川氏が、副村長公募とともに、「就任後すぐに着手すること」としている特命対策室は7月1日のスタートをめざすとのことです。ただし、16日の会見での発言によれば、機構改革と臨時職員採用の予算措置を伴うことから、6月定例議会に特命対策室に関する議案が提案されるようです。
 また、村長としては、それに先立って、5月26日に開催される議会の全員協議会において、副村長公募と特命対策室についての説明を行ないたい意向であるとのことです。
 

栄村復興への歩みNo.284

この1枚の写真から何を読み取り、どう考えるか
 ――栄村の資源の活かし方、観光の進め方をめぐって



 3日午前10時頃、野々海のキャンプ場横で撮影したものです。
 車はこれ以外にもあり、少なくとも10台はあったと思います。
 写真には車が牽引するトレーラーも写っていますが、そこに載せられていたのは誰もが想像されるであろう通り、スノーモービル。
 私は深坂峠少し手前左側の湿地にあるミズバショウの様子をチェックすることが目的だったので、いったんそこに向かいましたが、戻る時に、思い切って声をかけました。一人の男性に、名刺を差し出し、名前を名乗って、「よく来られるのか?」、「そこに見えるところは東窓という湿地で、自然環境保全上、スノーモービルの乗り入れはやめてほしい」等、話しました。
 男性は丁重に答えて下さり、私の申し出に理解を示して下さいました。「以前にモービルの油をまき散らしたことが問題になり、それ以来、来る人が減ったようですね」という話もされていたので、本当に毎年来られている人で、こういう場所でのマナーも心得ておられるのではないかと思いました。

スノーボードができる場所を探す若い人のグループも
 男性と話している間に、別の軽自動車がやって来て、若い女性が降りてきました。その人にも声をかけてみました。彼女は、まさに東窓を指して、「スノーボードやれる場所はないでしょうか」と尋ねてこられました。私はこの方にも、「もう積雪は薄くなってきていて、すぐ下にはもうミズバショウが出番を待っています」と話し、自重をお願いしました。彼女は理解し、断念して下さいました。他に場所はないかというお尋ねもあったので、沢に入った場合の残雪が少ないがゆえの危険性も念頭において、周辺の状況をひと通りお話し、適当な場所がないことをご理解いただきました。帰り際、野々海の三叉路で、この女性を含むグループがイスなどを出して、食事の準備をしているところを見ました。
 この女性は、私が説明した折、「そういう保全地域のような場所を明示したマップのようなものがありますか?」と尋ねられました。当然の質問ですね。残念ながら、そういうものはありませんから、その旨をお答えしました。

こんな姿も目撃しました
 平滝へ下る時、他県ナンバーの車が道路脇に停まっているのを見かけました。
 そのうち尾張小牧ナンバーの車には明らかに捕虫網と思われるものが立てかけてあったので、さらに周辺に目を配ると、下の写真の場面が見えました。



 このあたりでは、毎年、初夏の頃、捕虫網を持った県外ナンバーの車に出会います。
 震災前、東部小の校長を務めておられた宮下先生が、「腕章をして注意すると、効果があります」と話しておられました。また、別の地元の人が、「下手に注意すると、逆にすごまれることがある」と話しておられました。野々海周辺ではギフチョウを狙うプロの密漁者がいると聞いたこともあります。

素晴らしい野々海の自然





 上の2枚は、先に書いた深坂峠少し手前左側の湿地に咲くミズバショウの姿です。
 私はこの群生地を昨年5月に初めて知りましった。2度目に訪れた時、湿地内で出会った二人の男性に話を聞くと、「何年も前に来たことがあり、とても綺麗だったので、久しぶりに訪れた。東京からです」とのことでした。

村は消極的対応を続けるのか、それとも積極的誘致策をとるのか
 野々海の状況はここまでに報告してきたとおりですが、村は野々海への道路を除雪したものの、GW期間も「通行止」を続けました。
 では、何のために道を開けたのか? 直接には今年の水不足の心配から水利組合が野々海の普請の時期を例年よりも半月強繰り上げ、その関係で早期道路除雪を求めたからです。その意味で、村民の暮らしの上での要望はひとまず満たされたといえます。
 しかし、同時に、「観光は栄村の重要産業」という点からみると、道の駅の賑わいに見られるように多くの観光客がGWに栄村を訪れている中で、せっかくの観光資源・野々海をまったく活かさなかったという問題があります。
 1〜2頁で具体的に紹介したとおり、村が「通行止」としていても、野々海の素晴らしさを知る人は来られます。私は、4日、観光客の人が野々海に入っても、危険な行為を行わない限り、十分に安全が確保しうる状況になっていると判断し、野々海に関する情報を私の責任において社会的に公表することに踏み切りました。私は、村はもっと積極的な観光誘致策をとるべきだと思います。
 森川次期村長は、4月29日付の妻有新聞によれば、「観光課職員は秋山に配置する」という考えを示されているようですが、観光面の積極的政策のポイントからはずれているのではないかと思います。職員の勤務場所よりも、「栄村の観光資源は何か」、「それを活かす策は何か」、「観光情報をどう発信するか」をめぐって、本腰を入れた研究・研修・議論を行なうことこそが大事だと思います。しかも、JTBやじゃらん(リクルート)に何千万円も支払ってもほとんどまったく改善が見られなかったことをふまえて。本当の知恵は村内にこそあると私は思います。