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栄村復興への歩み
2011年3月に震度6強の地震で被災した長野県栄村で暮らす松尾真のレポートを更新しています。

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温泉共通入浴券の存続を――値上げの必要性はみなさん、理解されています

 いま、村民の間で大きな関心事になっているのが、トマトの国や北野天満などの温泉で村民が利用している「共通入浴券」の問題。
 昨年3月末、トマトの国などの施設に下写真の掲示が貼り出されました。村長名のものです。
 私自身も利用者の一人ですが、みなさん、この掲示に従って、「平成28年3月31日までの入浴券」を購入してこられました。

 

 

「トマトの国」の営業時間短縮で一気に不安が高まった
 昨年暮れの12月1日から、「トマトの国」の温泉入浴可能時間が「午前11時〜午後7時」から「午後2時〜午後7時」に短縮されました。「営業時間変更のお知らせ」が貼り出されただけで、理由説明などは何もありませんでした。
 同時に、振興公社の経営危機も明るみに出てきました。
 そのため、村民の間で、「もう温泉に入れなくなるんじゃないか」という不安感がいっきに高まったのです。私は入浴時や配達時に多くの人から「どうなっているの? 大丈夫なの?」と尋ねられるようになりました。

 

期限まで1ヶ月が近づいても、何の説明も出ていない
 最近、みなさんから出る言葉は、「もう1ヶ月ちょっとで券が切れるよ。このままでは4月1日から入れなくなるじゃないか」というものです。
 じつは、1月24日の臨時議会の後、議員だけの全員協議会の最後に、「2月9日の臨時議会の後に村長提出の全員協議会がある」、そして、その協議テーマの1つが「共通入浴券について」だという話がありました。
 ところが、2月6日に開催された議会運営委員会では、「共通入浴券の問題は2月9日に間に合わない」と話されました(私は議運メンバーではないので、議運メンバーの議員からの聞き取り)。実際、2月9日の全員協議会では共通入浴券の問題はいっさい出ませんでした。
 本当にもうすぐ全員の共通入浴券の期限が切れます。事態は切迫しているのです。

 

共通入浴券の仕組み
 いまさらという面もありますが、共通入浴券の仕組みを確認しておきます。
 これは、年間1万2千円(70歳以上は7,500円)を支払えば、村が保有する温泉に何回でも自由に入れるという一種の定期券です。役場が発行しています。
 利用できる温泉のうち、トマトの国、北野天満、のよさの里、雄川閣は振興公社が村に代わって管理運営していますので、これらの温泉に入る人は公社管理施設を利用する形になり、共通入浴券の申込・料金支払いも基本的に公社施設フロントで行います。そのため、振興公社にお金を支払っているかのように思われがちですが、違います。私たちは村役場にお金を支払っているのです。
 温泉を管理運営している振興公社には村役場から費用が支払われます。
 ただし、つい近年まで、村役場から振興公社に支払われる金額が少なく、そのことが公社の経営圧迫要因に一つになっているという問題がありました。しかし、この点については、平成27年度から「共通入浴券での温泉入浴の経費に関する公社の負担をなくすために指定管理委託料の名目で年間1,060万円が支払われるようになった」(昨年9月の決算議会での福原洋一商工観光課長の説明に基づきます)ので、共通入浴券が安価であることが現在の振興公社経営危機の原因だと考えるのは間違いです。

 

「値上げはやむをえない」が利用者の共通認識
 入浴中の会話、配達時のみなさんとの会話では、「まあ、安いから値上げはしかたないと思う」というのが大多数の人の意見です。女性風呂でもそういう会話が交わされているそうです。
 現在の1万2千円を3万円まで値上げするのはみなさんの許容範囲内のように思われます。ただし、いくつかの条件・要望があります。
 第1は、3万円の場合、一度に支払うのはきついという人もおられて、「2回の分納」や「半年券」という新しい制度を導入してほしいということです。「半年券」は、金額の問題だけでなく、たとえば「冬の期間だけ利用したい」といった要望とも関係しています。
 第2は、高齢者に対する割引です。現在は70歳以上の場合、年間7,500円ですが、年齢区分をもう1つ増やし、「70歳以上75歳未満は2万円」、「75歳以上は1万円または据え置き」というような考え方です。
 第3は、多人数家族のケースへの配慮です。70歳未満で3〜4人家族の場合、「3万円」ですと、9〜12万円の支払いになり、相当厳しいことになります。人口減少の中、多人数家族は大事な存在であり、なんらかの配慮が必要ではないかと思います。
 第4に、トマトや北野の温泉をご利用の津南町の人たちへの配慮も欲しいです。津南町の一定のゾーンの人たちとは県境を超えて、“同じ地域の住民”としての付き合いがあります。そういう人たちのご利用はじつは栄村の施設の賑わいを支えている大事な要素です。

 

村の住民福祉政策としての明確化を
 温泉の入浴料は、普通は1回500円ですから、共通入浴券は3万円に値上げになったとしても、相当にお得な価格であることは間違いありません。
 共通入浴券制度はこれまで明示されてきたわけではありませんが、「村民が村の資源である温泉を安く利用でき、とくに高齢者が温泉利用で楽しく長生きできるように」という住民福祉政策の観点で運用されてきたと思います。
 また、「少子化・人口減少」が大きな問題になっている中で、「子育てしやすい栄村」ということにとっても、温泉は重要な役割を果たしています。まだ一人ではお風呂に入れない幼児をお連れのお母さんの場合、一緒に温泉に入る村のかあちゃんたちが代わる代わる幼児を世話して、お母さんが温泉にゆっくりと浸かったり、体を洗ったりできるようにしています。村の若いお母さんだけでなく、観光で栄村を訪れ、温泉に子連れで入浴された都市部の若いお母さんも、村のかあちゃんたちに援けてもらい、とても喜んでおられます。

これは栄村の誇るべきことであり、今後は、住民福祉政策として明確に打ち出していくことが求められます。
「村民の声をしっかり聞く」と公約している森川村長が一日も早く、こういう政策判断をされるよう求めたいと思います。

 

 

温泉入浴を終え、家路につく森集落の夏乃(かの)ちゃん

夏乃ちゃんの手を握るのはお母さんとご近所のかあちゃん

 

 


栄村復興への歩み号外(11月9日付)

 11月8日、臨時議会等が開催されましたが、そのうち、午後1時半からは「振興公社理事との懇談」でした。「懇談会」という性格上、非公開でしたが、そこで議員が知りえたことは「秘密事項」という性格のものではなく、また、村民のみなさんの関心が非常に高い性質のものであるので、速報をお知らせしたいと思います。

 

 この懇談会は、議会側が9月の全員協議会で「振興公社では最近、若い人が次々と辞めるなど、心配な状況だ。理事長に来てもらって話を聞きたい」と決定し、開催されるに至ったものです。
 議会としては公社理事長のみを招聘したつもりでしたが、公社理事全員(理事長を含め5名)が出席され、さらに、何故なのか不明ですが、森川村長と福原商工観光課長が同席しました。
 以下、懇談で明らかになった重要な諸点を報告します。

 

🔷4宿泊施設の経営に集中し、公益事業からは撤退する
 公社側からは、冒頭から「経営の再建が急務」であることが強調され、「母体は宿泊4施設、これを健全経営にする」、「公益的事業は廃止」、「宿泊4施設経営で体力が出来たら、また公益的事業にのり出す」という話が出ました。
 たとえば、「トマトの国」では12月1日から温泉入浴時間が午後2時〜7時にの5時間に短縮されます(従来は午前10時から)。また、食堂営業も廃止されます。温泉入浴時間の短縮の直接の狙いは、ボイラーを炊く時間を減らし、コストをカットすることにあるようです。
 また、森宮野原駅の委託業務を公社が返上した(そのため、随分と混乱しました)のも「公益的事業からの撤退」の事例です。
 この後に記すとおり、振興公社は運転資金がほぼ枯渇した状態になっています。
 「経営」という観点から言えば、1つの「合理的な」方向性かもしれません。
 公社理事会側からは、「一般財団法人に切り替わった時、民間企業となるべきだった。にもかかわらず、公益法人のままやって来たのが問題」という認識も示されました。

 

🔷「さかえむらトマトジュースの仕入れ一括支払いをする資金がない」
 以上の話だけでも衝撃的なものでしたが、もっとショッキングな話が理事長・高橋氏の口から飛び出しました。
   「さかえむらトマトジュース、特産物で栄村の宝物ですが、

    製造業者との間では7千ケースを一括購入・一括支払で引

    き取ることになっているが、この一括支払をする資金がな

    い。金融機関に借入を申し入れたが、信用保証機関の保証

    が必要。しかし、信用保証機関は『一般財団法人には保証

    しない』と言われ、ダメだった。その後、1金融機関から、

    『村が保証し、議会も同意するなら、貸し出してもいい』

    という話が来ている」。
 一括支払の金額は1,050万円。
 トマトジュースは人気商品で、売れ残っているわけではありません。しかし、トマトジュースの売上金は、翌年度仕入資金をプールすることなく、公社全体の運転資金に流用されていたようで、残されていなかったのです。
 栄村の人気商品トマトジュースの確保のために資金の借入、そのための村・議会の保証と同意が必要だというのなら、私は議会としての同意にも応じる用意がありますが、そのことと、一括仕入れに必要な資金を運転資金に流用していたという放漫経営の責任問題は別の問題。後者の問題に対する関係者の責任は徹底的に追及されなければなりません。

 

🔷運転資金がない!
 私は6月段階で、振興公社の平成27年度決算書を分析し、「運転資金は間もなく枯渇する」と警鐘を鳴らしました。私の予測ではこの11〜12月に資金ショートの破たん危機が訪れるのではないかと推測していました。
 8日の懇談会で公社理事会側から出された見解では、「1月に回転資金がなくなる」ということでした。
 経営破たん(倒産)を回避するには、2つのことが必要です。
 1つは、借入金等行い、破たんを回避することです。しかし、常識的に言えば、信頼できる経営再建計画がなければ、資金を貸し出す金融機関は存在しないでしょう。
 2つは、経営破たんを避けられない状況を生み出した経営陣の責任の徹底的な解明です。
 その責任は現経営陣(理事)だけでなく、退任した理事等の元幹部も問われます。公社のお金を私していた人はいないと思いますが、経営破たんが必至となる放漫経営を自ら推進していたとするならば、背任等の責任が問われることすらありえるでしょう。

 

🔷振興公社は振興公社でなくなる。定款の抜本変更が必要。
 現理事会が、「運転資金が確保できない」という状況に注目し、民間経営的手法を用い、「4宿泊施設を母体にして儲かるようにする」というのは、ある意味で当然の対応だとは思います。
 しかし、法人というものは、その設立にあたって「定款」というものを決め、その法人の設立目的・事業内容を定めています。
 現理事会の「宿泊4施設経営を時期に、公益的事業は廃止(あるいは当面は中止)」という方針は、振興公社の現在の「定款」には反します。
 参考までに、「定款」を紹介します。
   第3条(目的) 当法人は、栄村の恵まれた自然を生かし、都市との

     交流等の事業を行うとともに、地域経済の発展と住民福祉の

     向上に寄与することを目的とする。
   第4条(事業) 当法人は、前条の目的を達成するため、次の事業を

     行う。
    (1) 地域活動に関する情報の収集および提供
    (2) 自然の保護及び活用並びに民俗催事の提供
    (3) 都市との交流及び農林産物の振興
    (4) 保健休養施設の管理運営
    (5) 栄村が設置する施設の受託管理
    (6) 労働者派遣事業
    (7) 自動車のレンタル及びリース
    (8) その他各号に関連する事業

 

 宿泊4施設の管理運営(経営)は、「定款」第4条の(5)項に当たるものです。それに対して、(1)〜(4)が公益的事業にあたります。
 繰り返しますが、私は「振興公社」が経営再建のために定款第4条(5)項の事業に集中し、しかも民間企業経営的手法を導入するというのは、私企業の経営方針としては、一理あるものだと考えます。しかし、それは「定款」第4条(1)〜(4)には合致しませんから、当然、定款の改正が必要です。
 また、「経営再建が軌道にのれば公益的事業にまた乗り出す」と言っていますが、それは一般民間企業が、会社の得た利益を基にして公益事業に貢献する社会事業(いわゆるフィランソロピー活動)似たものであって、振興公社(及びその「定款」)が目指してきたものとは異なります。
 懇談の様子を見ていると、理事の中には経営再建方針と定款の関係性について自覚されていない方もおられるように見受けられました。
 この項でここまでに述べたことを一言でいえば、「振興公社はもはや振興公社ではなくなる」ということです。言いかえれば、「宿泊4施設管理運営会社」に変わったのです。

 

🔷驚くべき森川村長の発言
 ――「開いた口がふさがらない」とはこのこと
 議会が出席を求めたわけではないのに懇談会に出てきた森川村長。最後に発言の機会を求めました。発言の前半、前村長あるいは前々村長の振興公社経営方針に対する批判を口にしていましたが、後半、突然、公社理事長・高橋氏の方に向いて、
   「いくら欲しいんだい? 5千万か」
と言い出したのです。「必要か」ではなく、「欲しいのか」という表現にも驚きました。
 高橋氏は、一瞬の躊躇の後、「うーん、5千万とまでは…。3千万あれば…」と答えます。
 私が声をあげ、続いて、阿部伸治氏が声をあげました。
   「ここはそんな話をする場ではない。やめてください」
 森川氏は一瞬、怒ったようで、よく聞き取れなかったものの怒気をはらんで何かを言いました。しかし、私や阿部氏の注意は当然至極のもので、議長は森川氏と高橋氏のやりとりをやめさせ、懇談会は終了しました。

 なお、4宿泊施設という「旅館業」の運営・経営に関わる振興公社理事に同業者(旅館経営者)が関わることの利益相反性も話題になりました。リバーサイドハウスの山田さんは明確に否定され、それには私も「山田さんの発言は信頼する」旨を表明しましたが、「雪あかり」経営者の高橋氏については、ご本人は同様に否定されたものの、過去1年間、私が高橋氏と話してきたことの経緯・内容をふまえ、「利益相反性がないとは言えない。そのことは後日、議論を詰めたい」と申し伝えました。
 以上、取り急ぎの報告です。


「”太いパイプ”って何?」と思っておられる方々へ

 参院選が終わりました。全国的には自民党が勝ちましたが、長野県区は(お隣の新潟県区も)野党統一候補の杉尾さんが当選しました。
 「あれ、若林さんは森川村長の“太いパイプ”だったんじゃないの? 若林さんの落選で“太いパイプ”はどうなってしまうのかなあ?」と疑問に思う人もおられるようです。

 

そもそも“太いパイプ”とは?
 年齢の高い人は、4月の村長選で「太いパイプ」という言葉が聞こえてきた時、「ずいぶん古い言葉が出てきたもんだなあ」と思われたのではないでしょうか。
 私の記憶では、今から30〜50年前に頻繁に使われた言葉ですね。「私は中央と直結できます」という表現も使われました。東京、大阪、福岡等、全国の主要な知事や市長を野党(当時は社会党と共産党の「社共共闘」推薦の人)がおさえた時代、自民党系候補が選挙で「太いパイプ」、「中央と直結」と掲げたのです。「国の自民党政権から予算をとってくることができる」という意味です。
 森川さんも村長選の際、若林氏や小松裕氏(自民党衆院議員)と握手する写真をチラシに入れていたので、「国からお金をもってくるパイプ」をイメージされているんでしょうね。

 

課長と係長ではそんなに人脈が異なるのでしょうか?
 私は6月議会で森川村長に質問しましたし、一対一でもお話しました。
 森川氏の見解は、つまるところ、「役場の課長と係長では人脈がまったく違う。課長を経験している私には『太いパイプ』がある」ということです。
 「補助金頼り」がいいか悪いかは少し横におくとして、必要な補助金(交付金)は獲得しなければなりません。
 国が全国の自治体に配る補助金を実際に握っているのは政治家や大臣、霞が関の役人の大幹部(事務次官や局長、課長)ではなく、課長補佐や係長のクラスです。国の新しい法律の条文を書いているのも、このクラスの人たちです(故田中角栄氏が大きな力を持っていた背景には霞が関の課長補佐クラスをがっちり握っていたからだと言われています)。
 栄村は震災でさまざまな復旧・復興工事が行われ、国や県から多くの補助金・交付金がきました。この過程で、役場で実際に実務を担当する人(係長クラスが多い)は国や県の担当者(係長や課長補佐)と頻繁に連絡を取り合います。そこに信頼関係が生まれてくると、国や県の担当者からは他の補助金も情報ももたらされます。強いて「太いパイプ」という言葉を使うならば、これこそ「太いパイプ」です。課長クラスは県の会議などに呼ばれて行くことが増え、たしかに「顔が広がる」でしょうが、「太いパイプ」は実務の中でこそじっくり育まれていくと言うべきでしょう。
 栄村役場には、農政面などで補助金情報を細かに把握している係長クラスの職員もおられるように思いますが、たとえば地方創生推進交付金などをめぐっては、中間機関の県からメール1通が届くだけで、活用方法もよくわからないという現状にあるのではないでしょうか。
 「太いパイプ」を強調するかどうかは自由ですが、本当に欠かせないことは、時間をかけて村内を巡り、「選挙で味方したかどうか」を振り分け基準にするのではなく、いろんな人たちと対話し、村(民)が必要としている仕事を把握し、そのために必要なお金を確保する方法を編み出すために知恵と汗を絞ることだと思います。


「森川丸」はどこへ向かうのか?

 村長選からもう2ヶ月が過ぎ、森川氏が新村長として動き出してからでも早や1ヶ月半が経過しようとしています。村民のほとんどが、「村長が代わり、栄村はどう変わるのだろうか?」と固唾(かたず)をのんで見守ってきました。
 ここらで、この1〜2ヶ月の森川村政の動きをざっくりと総括してみる必要があると思います。

 

5月16日発言と6月下旬時点の動きには落差が…
 5月16日の記者会見では、「平成28年度はもう新予算がスタートしている。それをまずじっくり研究する。職員人事は最小限の見直しをする」と発言しました。「『栄村丸』(森川村長の言葉)をかなり慎重に操縦していくんだなあ」という感じがありました。
 それから1ヶ月強を経た6月23日、森川村長は7月1日付の人事異動を発表しました(報道機関等に対しては係長級以上の人事のみ公表)。
 人事異動は係長級以上だけで13件にのぼりました。特命対策課が新設されるので玉突き的に人事が動くという面はありますが、私が受けた印象は「大幅異動だなあ」です。また、産業建設課の農地係の廃止(産業振興係への統合)、商工観光課のジオパーク推進係の廃止、住民福祉課での戸籍住民係(長)の新設など、“寝耳に水”の組織編制替えもあります。
   *主な人事は、特命対策課長に斉藤和幸氏(前ジオパーク推進係長)、

    商工観光課長(兼秋山支所長)・福原洋一氏(前教育委員会事務局

    長)、健康支援課長・勝家直樹氏(前商工観光課長)、教育委員会

    事務局長・大庭和彦氏(前行政・情報防災係長)です。
 森川氏の5月16日時点の発言から感じられたものとは異なり、「急カーブをきった」という感じがします。

 

「断言」が多く、丁寧な説明が不足
 森川氏は前任者・島田茂樹氏と比べると、「言語明瞭」です。議会での質疑でも、言葉一つ一つは明確です。その意味では、発言内容が分かりやすい。
 しかし、一歩踏み込むと、森川氏の考えの結論のみを断言的に発言することが目立ち、その「考え」の根拠や、その「考え」を導き出した思考の内容などの説明は不足しているように感じられます。一つの事例を挙げてみます。
 みなさんもすでにご存じのように、森川村長は「秋山観光重視」です。まるで「栄村の観光資源は秋山郷にしかない」と言わんばかりです。多くの人が疑問に感じています。6月村議会でもいろんな議員が森川村長に質問しました。
 しかし、森川氏は「観光のメインは秋山」、「『下(しも)』で観光の目ぼしいものがない」と言うばかり。駅前に新設された震災祈念館については「単なる観光案内所。臨時職員で対応可能」と断言しました。
 もちろん、森川氏にはもっと深い考えがあるのかもしれません。でも、そうならば、その深い考えを村民に丁寧に分かりやすく説明するのが村長たる森川氏の責務だと思います。
 役場の組織編制替えにしても、そうです。係の廃止や新設は条例の制定(=議会での可決)なしにできることですが、前日まで議会が開かれていて、説明の機会はいくらでもあったのに、議会での説明はなし。議会では農地の維持をめぐる問題も議論のテーマになっていました。なぜ、その時、「農地係は廃止します」と言わないのか? 農業が主産業の栄村で、農地の問題は「産業振興」一般に解消してよい問題だとは思えません。

 

「村民が主人公」と言うならば……
 森川村長は、6月議会初日の所信表明でも「村民が主人公」と言いました。それ自体は村民の誰しもが「まったくその通りだ」、「そうでなきゃ困る」と思うことです。
 しかし、実際の動きを見ると、その言葉とは違うことが顔をのぞかせます。たとえば、議会で一般質問にたった阿部伸治さんに対する答弁の中で、「議員は他候補の選対副本部長でしたが…」という発言を挟(はさ)みました。まったく不必要な言葉です。この発言を聞いた多くの人が「まだ選挙戦をひきずっているのか?」と思いました。選挙戦が終わったらノーサイド。阿部伸治さんは「他候補選対副本部長」ではなく、森川村長が「村民が主人公」と言う村民からの負託を受けた議員の一人です。
 辞意を表明したイギリスのキャメロン首相も自身のことを「船長」にたとえていましたが、「船長」には常に村民の声に偏りなく耳を傾け、慎重なうえにも慎重な村政運営を心がけてもらいたいというのが村民の思いです。森川村長からは、一般質問の答弁の中で「5番議員(松尾のこと)は村民からの色んな意見を聞くことができて羨ましい」という過分な言葉をいただきましたが、私は村民の声をいくらでも村長にお届けしますので、どうか色んな意見に耳を傾け、偏りのない村政を進めてほしいと思います。


驚き、そして愕然とする――振興公社理事長人事について

 5月27日、一般財団法人栄村振興公社の新しい理事長に高橋規夫氏(切明温泉「雪あかり」主人)が就任されたそうです。振興公社の定款第5条による「公告」はされていませんが(3日午前現在)、関係者の多くが口にされていることであり、間違いありません。
 私はこの一報を耳にした時、まず、たいへん驚きました。そして、つぎに、愕然としました。高橋規夫氏が個人の資質として理事長に適しているのかというようなことではありません。
 村長選挙の直後に、当選陣営の選挙運動の中心人物の一人が、村の要職に就くということの妥当性が問題なのです。
 私はまったく妥当でないと考えます。そして、私が耳にするかぎり、村民の多くが同様に考えています。
 5〜60年前の社会ならばともかく、現在の社会においては、栄村を含めて、選挙の論功行賞(ろんこうこうしょう)と受け取られるようなことはしてはならないというのが一般常識、あるいは政治倫理のイロハになっています。
 この人事に森川村長がどのように関わりをもたれたのか、関わりはなかったのかは、私の知る由(よし)ではありませんが、村長選の際の森川陣営の中心を担われた高橋氏自身が上記のような一般常識、政治倫理のイロハをふまえた対応をされることを、私は望みます。

 村民の中にはこういう意見もあります。「村長は選挙時の対立候補を副村長に迎え、力を合わせて栄村のために働いてもらいたい」。対立候補だったお二人がそれを望まれるかどうかはわかりませんが、一つの考え方ではあると思います。多くの有権者は「三人とも似た主張をしている」と受け止めていました。栄村は面積はともかく、人口的には小さな村です。選挙が終わればノーサイド、翌日からはみんなが知恵と力を出し合って、協力して村づくりに邁進(まいしん)する必要があります。選挙はリーダー選びであって、権力闘争ではありません。
 森川村長の公約を実現するのは森川村長お一人ではありません。村民みんなの力が発揮されてこそ、森川村長が掲げられた公約を実現することが可能になります。
 

栄村復興への歩みNo.285

期待と不安の中で森川村政スタート
 5月16日、森川浩市新村長が初登庁し、これから4年間の森川村政がスタートしました。
 16日は、役場職員などが玄関前に並ぶ中、森川氏が午前8時半に役場前に到着し、職員から贈られた花束を手に早速、村長室へ。村長室ではメディアのぶら下がり会見。9時すぎから役場ホールで就任式が行われ、森川新村長が全職員に村政に臨む基本姿勢を述べました。その後、政策会議(課長級を構成員とする役場の政策決定機関)に臨んだ模様です。


村長の椅子に座り、口滑(なめ)らかにメディアの質問に答える森川新村長

 就任の週が終わる20日午後、村長室を訪ね、就任後の様子を取材してきました。16日の就任後、県の関係機関、国の出先機関等への就任挨拶、役場の各部署から今年度予算や施策についての説明を聞くなど、超多忙な様子でした。
 このページの見出しを「期待と不安の中で…」としたのは、私が村内を巡り、さまざまな村民の声を聞く中で実感した村民の空気がまさにそういう言葉で表されるものだったからです。
 「何か変えてくれるのではないか」、「いっぱい公約を並べているが、そんなに色んなことができるのだろうか」、「副村長は公募と言っているが、そういう人材は村にいるのか」、「議員を辞職した人がいるが、まさかそういう人が重要な職に登用されることはないだろうな」等々の声です。

自薦・他薦ともに可で、6月に副村長公募 ―― 9月議会での同意をめざす
 副村長公募について、16日の会見では「この後の政策会議で要項などを詰めてから」としか語られませんでしたが、20日の取材では、
    * 公募の書類の作成に少し時間を要するようだが、6月早々に公
     募を開始し、6月末に締め切りたい
    * 応募は自薦、他薦いずれも可。応募者は村長選時点で栄村在住
     の有権者に限定。〈他薦〉とは、村民が、村外居住の村出身者
     や栄村をよく知る人を推薦すること。
    * 自薦・他薦いずれの場合も、森川氏が就任式で職員に配布した
     「事業推進書」(選挙時の公約集とほぼ同じ内容)の中の少なく
     とも3項目について自らの考え・提案等を作文して提出する(他
     薦の場合は、村民から推薦を受けた人が自らの考えを書く)。字
     数の上限制限はない。
    * 上記の作文は村長親展で提出してもらい、森川村長が審査し、村
     長の意に適(かな)う人物を選ぶ。
    * 9月定例議会に副村長人事を提案したい。
といった諸点があきらかにされました。
 「適任者がいない場合は、国等から人材を求める」という考えはあるようですが、現時点では自薦・他薦がかなりの数出ることを期待しているとのことです。


就任式で村長挨拶を聞く役場職員

「特命対策室は7月1日にスタート」
 森川氏が、副村長公募とともに、「就任後すぐに着手すること」としている特命対策室は7月1日のスタートをめざすとのことです。ただし、16日の会見での発言によれば、機構改革と臨時職員採用の予算措置を伴うことから、6月定例議会に特命対策室に関する議案が提案されるようです。
 また、村長としては、それに先立って、5月26日に開催される議会の全員協議会において、副村長公募と特命対策室についての説明を行ないたい意向であるとのことです。
 

栄村復興への歩みNo.284

この1枚の写真から何を読み取り、どう考えるか
 ――栄村の資源の活かし方、観光の進め方をめぐって



 3日午前10時頃、野々海のキャンプ場横で撮影したものです。
 車はこれ以外にもあり、少なくとも10台はあったと思います。
 写真には車が牽引するトレーラーも写っていますが、そこに載せられていたのは誰もが想像されるであろう通り、スノーモービル。
 私は深坂峠少し手前左側の湿地にあるミズバショウの様子をチェックすることが目的だったので、いったんそこに向かいましたが、戻る時に、思い切って声をかけました。一人の男性に、名刺を差し出し、名前を名乗って、「よく来られるのか?」、「そこに見えるところは東窓という湿地で、自然環境保全上、スノーモービルの乗り入れはやめてほしい」等、話しました。
 男性は丁重に答えて下さり、私の申し出に理解を示して下さいました。「以前にモービルの油をまき散らしたことが問題になり、それ以来、来る人が減ったようですね」という話もされていたので、本当に毎年来られている人で、こういう場所でのマナーも心得ておられるのではないかと思いました。

スノーボードができる場所を探す若い人のグループも
 男性と話している間に、別の軽自動車がやって来て、若い女性が降りてきました。その人にも声をかけてみました。彼女は、まさに東窓を指して、「スノーボードやれる場所はないでしょうか」と尋ねてこられました。私はこの方にも、「もう積雪は薄くなってきていて、すぐ下にはもうミズバショウが出番を待っています」と話し、自重をお願いしました。彼女は理解し、断念して下さいました。他に場所はないかというお尋ねもあったので、沢に入った場合の残雪が少ないがゆえの危険性も念頭において、周辺の状況をひと通りお話し、適当な場所がないことをご理解いただきました。帰り際、野々海の三叉路で、この女性を含むグループがイスなどを出して、食事の準備をしているところを見ました。
 この女性は、私が説明した折、「そういう保全地域のような場所を明示したマップのようなものがありますか?」と尋ねられました。当然の質問ですね。残念ながら、そういうものはありませんから、その旨をお答えしました。

こんな姿も目撃しました
 平滝へ下る時、他県ナンバーの車が道路脇に停まっているのを見かけました。
 そのうち尾張小牧ナンバーの車には明らかに捕虫網と思われるものが立てかけてあったので、さらに周辺に目を配ると、下の写真の場面が見えました。



 このあたりでは、毎年、初夏の頃、捕虫網を持った県外ナンバーの車に出会います。
 震災前、東部小の校長を務めておられた宮下先生が、「腕章をして注意すると、効果があります」と話しておられました。また、別の地元の人が、「下手に注意すると、逆にすごまれることがある」と話しておられました。野々海周辺ではギフチョウを狙うプロの密漁者がいると聞いたこともあります。

素晴らしい野々海の自然





 上の2枚は、先に書いた深坂峠少し手前左側の湿地に咲くミズバショウの姿です。
 私はこの群生地を昨年5月に初めて知りましった。2度目に訪れた時、湿地内で出会った二人の男性に話を聞くと、「何年も前に来たことがあり、とても綺麗だったので、久しぶりに訪れた。東京からです」とのことでした。

村は消極的対応を続けるのか、それとも積極的誘致策をとるのか
 野々海の状況はここまでに報告してきたとおりですが、村は野々海への道路を除雪したものの、GW期間も「通行止」を続けました。
 では、何のために道を開けたのか? 直接には今年の水不足の心配から水利組合が野々海の普請の時期を例年よりも半月強繰り上げ、その関係で早期道路除雪を求めたからです。その意味で、村民の暮らしの上での要望はひとまず満たされたといえます。
 しかし、同時に、「観光は栄村の重要産業」という点からみると、道の駅の賑わいに見られるように多くの観光客がGWに栄村を訪れている中で、せっかくの観光資源・野々海をまったく活かさなかったという問題があります。
 1〜2頁で具体的に紹介したとおり、村が「通行止」としていても、野々海の素晴らしさを知る人は来られます。私は、4日、観光客の人が野々海に入っても、危険な行為を行わない限り、十分に安全が確保しうる状況になっていると判断し、野々海に関する情報を私の責任において社会的に公表することに踏み切りました。私は、村はもっと積極的な観光誘致策をとるべきだと思います。
 森川次期村長は、4月29日付の妻有新聞によれば、「観光課職員は秋山に配置する」という考えを示されているようですが、観光面の積極的政策のポイントからはずれているのではないかと思います。職員の勤務場所よりも、「栄村の観光資源は何か」、「それを活かす策は何か」、「観光情報をどう発信するか」をめぐって、本腰を入れた研究・研修・議論を行なうことこそが大事だと思います。しかも、JTBやじゃらん(リクルート)に何千万円も支払ってもほとんどまったく改善が見られなかったことをふまえて。本当の知恵は村内にこそあると私は思います。

 

森の水道問題、こんなふうに打開するのがよいと思います

 9日朝、日の出とともに中条川上流の山腹崩壊地に行ってきました。1日、8日に続き、3度目です。2回の現地調査をもとに、「旧水源地を活用できる」ことを証明するのに必要な撮影ポイントを考え、そのポイントを撮影してきました。

水量確保はバッチリ
 まず、2枚の写真をご覧ください。





 1枚目写真の右真ん中から真ん中下にむかって本流が流れています。
 その本流にむかって、左手の崖の上から、少なくとも3本、水が流れ落ちてきています。そのうちの1本で水が湧き出ている箇所を撮影したのが2枚目の写真です。
 2枚目の写真では、岩盤層の中にある水脈から水が湧き出てきていることを推測することができます。
 地元には、「このあたりでは縦に掘っても水は得られない。岩盤を横に掘ると水が取れる」という“教え”がありますが、その“教え”とも合致します。

旧村営グラウンド付近までは開田水路と同じコースで導水管を埋設する
 水源で取った水は次の写真に赤色で示したコースに導水管を埋設して運びます。



 ここには、森開田の用水のパイプも埋められていて、導水管の埋設は充分に可能です。
 写真で見えるゾーンの先も基本的に開田用水と同じコースで旧村営グラウンド手前まで引きます。

旧グランド横から「トマトの国」横へ、沢を下します
 旧グラウンドの横から「トマトの国」の横手に下る松見坂沢という沢があります。下の写真に赤のラインで示したあたりです(写真右手に見える山の上が旧村営グラウンドのあたりです)。増水時に水がいっきに落ちないように一定の対策工事がすでに施(ほどこ)されています。導水管をここに通すのです。



 ここまで導水してくれば、震災復旧で新たに建設された新配水池まであと少しの距離。新配水池をちゃんと活用できるのです。

 難点は1つ。でも、それは打開可能
 こういうコースで水を引くのに要する費用はそんなにべらぼうな多額にはならないと思います。
 現に、1号崩壊地内の開田用水導水管(3枚目の写真で示した箇所)を昨秋、村単事業で修復工事しています。「村単」で出来るレベルだと言えると思います。
 そのうえで、このコースの選択には1つ、難点があります。3枚目の写真で赤ラインに重ねる形で緑色の〇マークを入れた箇所です。ここに、崩壊崖の上から中条川にむかって土砂が崩れ出す箇所があるのです。下写真の赤色マークのところです。



 毎年、雪の季節を終えて春に現場に行くと、崩壊が進んでいます。
 しかし、「この箇所があるから導水管を引けない」とすれば、開田の用水も引けないことになります。
 この箇所は“要点検箇所”として常時、とくに雪融け後の点検箇所として指定し、「毎年、必要な補修をする」とすればよいと考えます。
 「20年、30年先も大丈夫か?」と問われれば、「大丈夫です」と言う自信はありませんが、専門家にも調べていただいて対策案を考えていけばよいと思います。

専門家、地元住民、村役場の三者合同で現地調査会と対策検討会の開催を
 4月からこの問題の担当となった役場課長・係長さんは事態の根本的打開にむけ積極的な姿勢のようです。5月16日には村のトップが変わります。
 それをうけて、地盤・地質などに詳しい専門家、「あの山には何十年も入っている」というあの水源地と山を熟知する地元民、そして行政(役場)の三者で現場を見る、対策検討会を開く。夏までにそこまでもっていきたいですね。
 復旧事業で建設された新配水池を活用するのですから、「復旧工事でつくったものを放棄するなら、国から補助金の返還を求められる」という心配も基本的にないと思います。国もそんな理不尽なことは言えないはずです。
 いまこそ、森集落の団結した姿を内外に示し、水道問題の根本的打開を実現しましょう。それは、他の集落が抱える問題の打開へのモデルにもなると思います。
 

森集落の水道問題(続報)

 森集落の水道問題が村長選の重要テーマの1つとなり、村全体に知られるようになっているようです。
 村(役場)は3月27日の森区総会の際に、「新しい井戸を掘ったナカヨシコーポレーションが(十分な水量を確保できていないことに対する)補償措置として、すぐ近くにもう1本、新しく井戸を掘る」と説明しました。森の人びとの受けとめは、「適当に掘っても充分な水が保障されるわけではない」という冷めたものです。
 他方、マンガンで汚染された配管の清掃については、「見積もりをとっているところ」との話で、まだ見通しはたっていません。
 下の写真をご覧ください。



 これは中条川上流の山腹1号崩壊地の縁(へり)にある森集落の震災前の水源地のあたりで湧き出ている水の様子です。
 1日朝午前7時40分頃の撮影です。手ですくって飲んでみました。美味しいです!
 下写真の赤で囲ったあたりです。



 今年は雪が少なかったので、1号崩壊地での新たな崩落はさほどありませんが、ある箇所ではやはり崩落が進んでいます。
「そんなところに水源を求めても維持できないのではないか」という見方もあるかと思います。
 しかし、森の開田はここから用水を引いているのです。
 森集落の飲み水と田の水をどう確実に確保するのか。中条川上流の山腹崩壊地の問題はその観点から根本的な検討を必要としていると思います。十二分な検討が行われたうえで、ここからの確保は困難ということになれば、別の抜本策を考えなければなりません。
 私は「お前は何を好んで、そんな危ない所に行くんだ?」とも言われながら、この場所に何度も足を運び、4月1日も旧村営グラウンド横で午前6時55分に軽トラを降り、雪道を片道30分強歩いて、現在の様子を見てきました。
 私がいちばん問題だと思うのは村政に責任を持つ人がこういう現場に足を運んでいないことだと思っています。足を運んでからモノを言ってほしいというのが私の願いです。
 

栄村復興への歩みNo.280

秋山小学校について思う

 3月18日、秋山小学校で卒業式が挙行されました。
 今年の卒業生は魚田宝来さん。2年生になる時、愛媛県から転入、秋山小での5年間、楽しく充実した学校生活を送って、大きく成長。地域の人たちに見守られて、元気に巣立たれました。宝来さん、ご卒業おめでとう。



 秋山小学校は地域の人たちの「秋山に独立校を」という願いが叶って、1959(昭和34)年に創立。創立当初の在校生は141名だったそうです。以来、395名の卒業生を送り出し、この日、宝来さんが396人目の卒業生となったのです。
 私は18日朝、4時半起きで秋山小へ向かい、9時20分の卒業式開始から正午の宝来さんの見送りまでを取材、夕刻にはブログ「宝来さん、ご卒業おめでとう」を公開しました。宝来さんの姿を中心に編集しましたが、その中に1枚、宝来さんと福原弥夢(ひろむ)くんが秋山小の校旗を畳む様子も掲載しました。
 その写真を見た秋山の若者が言いました。「あれはないでしょう。『こういうことだったんだな』とわかりましたよ」。その写真とは下のものです。



 じつは、卒業式の後、教育委員会の主催で秋山小の「閉校式」が行われたのです。
 秋山の人たちは「『閉校式』というのは嫌だね」という思いで、昨秋11月7日に「秋山小メモリアルデー」を開催し、大いに盛り上がりました。なのに、どうして卒業式というめでたい日に「閉校式なんて哀しいことをやるのか」。そんな思いを先の若者は吐き出したのです。
 私もそう思います。
 「閉校式」で挨拶に立った福原和人氏は、「今日は一区切りの卒業です」と話されました。ここには秋山の人たちの思いが込められていると私は受けとめました。卒業の後は中学校への進学=成長と発展が待っています。「秋山小も卒業して、新たな成長と発展に向かう」という思いを感じました。
 4月から栄小秋山分校がスタートします。地域の人みんな、希望を持ち続けています。
でも、教育委員会(村)は1年後の来年4月からは4年生となる分校在校生を本校に通わせ、分校を実質上閉鎖することを考えているようです。その校舎で学ぶ児童がいなくなれば、秋山分校はどうなるのでしょう。
 再び、秋山の若者は言います。「学校がなくなるということは、『子どもを育てる若者は秋山に住むな』ってことですよ」。
 いま、秋山では若者が秋山郷の未来を創り出していこうと動き始めています。村の動きはそれに逆行するものと言わざるをえません。人も地域も「器に合わせて育つ」という面があります。小学校という器があってこそ、秋山郷は小さな子どもが元気に育つ未来ある地域として発展していくのです。
 小学校の維持に必要な経費はどんなに大きく見積もっても年間1億円もかかりません。村には秋山小への対応について根本からの再考を求めたいと思います。