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栄村復興への歩み
2011年3月に震度6強の地震で被災した長野県栄村で暮らす松尾真のレポートを更新しています。

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青倉の圃場整備の重要性

 そうした中で、いまひとつ、復興への大きな取り組みとして、青倉集落での圃場整備の問題が浮上しています。
 これには、役場担当者や県が力を入れているようです。
 この動きの背景には、「現状のままでは青倉の米作りは継続困難になる。潰れてしまう」という大きな危機感があります。
 そうした危機感を生み出している要因は、第1に、青倉には未整備の圃場が圧倒的に多く、耕作放棄の増大がみられること、第2に、これまで耕作の中心的担い手となってきた人たち(=昭和1桁世代)の高齢化(80歳以上化)があります。
 ですから、青倉での圃場整備が本当に復興の成否をかけた重大な取り組みなのです。

復興庁の理解を得ること

 農水省の関係者は青倉の圃場整備の重要性、震災復興にとって不可欠であることを十二分に認識されているようです。
 しかし、復興交付金を握る復興庁には、まだまだその重要性を認識いただけていないように思われます。青倉が、栄村が声を大にして青倉集落復興の必要性、圃場整備の復興にとっての重要性を訴えていくことが必要だと思います。
 
 青倉集落の現状を私なりに整理していました。
  • イ. 長野県北部地震で最も激甚な被害を受けた集落である
  • ロ. 震災前から高齢化とそれに伴う耕作放棄等の問題が生じていた。集落の若手が中心となって、耕作放棄を出さないための受託作業班の結成などの努力を行なってきた。しかし、青倉集落では未だに本格的な基盤整備事業が行われたことがないことから、未整備で条件不利な未整備の小さな田んぼが山間地に多数あり、抜本的な対策を講じなければ、受託作業班の努力等にも限界がある。
  • ハ. 復興交付金制度による復興公営住宅の集落内への建設によって、住宅の自力建設が困難な高齢者世帯等の離村を防ぐことができ、集落の維持のための第一次的な最小限の措置が講じられた。また、また、集落出身の若者が自宅を新築して集落に戻ってきた事例もあり、その面では明るい兆しがある。
  • ニ. しかし、復興公営住宅に入居した高齢者世帯を中心に、未整備の圃場での耕作の継続が困難な世帯が急速に増加している。その圃場を上述の受託作業班が継承しなければという思いはあっても、圃場が未整備なため、作業孤立が悪く、作業上の安全にも問題があって、圃場整備なしには受託面積の拡大も困難である。
  • ホ. 圃場整備が実現されるならば、受託作業班の受託面積を大きく増やすこと、集落営農化を進め、その中で専任オペレーターの育成=新規雇用の創出等が可能になる。
  • ヘ. それは災害時に即対応できる集落定住の若者の増大を実現することにもつながる。
  • ト. 青倉受託作業班においては、7年前から自らが作るお米を「青倉米」としてブランド化し、産直、都市との交流を進めているが、圃場整備はその動きをより本格的なものとし、産直と交流の拡大、それを契機とする農業観光の創出など、いわゆる農業の6次産業化を進めることにつながっていく。
  • チ. 以上のような必要性と可能性を有する圃場整備を実現することによって、復興公営住宅の集落内建設・入居で第一歩を踏み出した集落の復興・再生をさらに前へ進めることができる。
  • リ. また、青倉集落が千曲川に面することを考えるならば、青倉集落での耕作維持、そのための標高1000mの野々海池からの長大な水路の維持、それに関連するブナ林を中心とする森林の維持は、水源涵養、保水能力の維持・向上―千曲川の水量維持に大きく資するものである。千曲川=信濃川の水力発電が首都圏のJR電車の所要電力の過半を供給している事実をふまえるならば、青倉集落の維持・存続は首都圏の暮らしにも直結するものであり、日本の国土政策上、重要な意義を有する。
 ざっと、以上のようなことが確認できるのではないでしょうか。
 青倉集落は本村において比較的大きな集落であることから、その存続をめぐって、先に見た小集落の小滝ほどの危機感がないともいえますが、実状は上に見た通りであり、大きな危機に直面しているのであり、圃場整備を中心にすえた集落復興・再生の取り組みが喫緊の課題となっていることは明瞭だと思われます。

栄村復興への歩みNo.149 (通算第183号) 5月28日


栄村への復興交付金、ほぼ満額交付の決定

 26日の新聞でも報道されていますが、復興庁が25日、復興交付金(第2回目)の交付可能額を発表しました。
 栄村関係は、8億3765万5千円が認められ、4月3日に県と村が国に提出した計画額をほぼ満額認めるものとなりました。国としては2回目の復興交付金の決定ですが、栄村は今回が初めての計画提出で、最初の計画がほぼすべて認められたことはさい先のいいスタートとなりました。
 阿部知事は、「ほぼ求めた通りの金額が認められた。更に復旧・復興を進めていきたい」と発言されています(毎日新聞Webニュース)。
 また、県は25日、「この通知を基に復興交付金の交付申請を行い、速やかに事業を実施します。なお、現在栄村において策定作業が進められている『栄村震災復興計画』にあわせ、   


26日の信毎記事

今後必要な復興交付金事業について引き続き検討していきます」と報道発表しました。
 復興交付金事業の主な内容は以下のとおりです。

● 災害公営住宅整備事業等
 平成24年度事業額 8億4千万円 うち復興交付金7億1833万8千円
 うち、
災害公営住宅整備事業 事業費7億1100万円 交付金6億2212.5万円
村営住宅建設事業    事業費6900万円   交付金4821.3万円
災害公営住宅駐車場整備事業 事業費3000万円 交付金2400万円

●  被災地域農業復興総合支援事業(水稲共同育苗施設及び共同利用農業機械等)、農山漁村地域復興基盤総合整備事業(農地や水路等の整備に係る調査・設計、実施計画の策定)
平成24年度事業額 9875.9万年 うち復興交付金7931.7万円
*調査等をより詳細に行うため、申請計画よりも増額
うち、
平滝地区435.5万円、月岡地区761.5万円、泉平地区435.5万円
久保地区941.8万円、箕作地区327.6万円、妹木地区195万円など

●  道路事業
平成24年度事業額 5000万円  うち復興交付金4000万円
対象は県道長瀬横倉(停)線
―これは貝廻坂の1車線部分を拡幅する工事(復興計画策定委員会第2回での県の説明)計画を提出した県道箕作飯山線(=国道117号線の迂回路確保)は、国の「社会資本整備総合交付金(復興枠)」に採択され、復興交付金の対象からは外れた。
また、村道天代坪野線の計画は事業実施が平成25年度であることから、今回の復興交付金配分はなしとなった。

 今回の通知は、「配分可能額」の通知であり、今後、事業主体の村・県が改めて事業計画を精査した(一定の変更を含む)うえで、交付申請を行い、その後、事業実施という運びになります。
 担当役場職員の方は、大変な作業を短期に求められることになります。村民のみなさんが事業実施を待ち望んでいますので、頑張ってください。


視察は、あるがままの現実を見せ、あるがままの現実を見るべき

 このタイトル、何を言いたいのか、おわかりいただけるでしょうか。
 13日の衆議院災害対策特別委員会の栄村視察についてです。

 視察は主に青倉(中条橋落下地点)、仮設住宅で行われましたが、多くの村民が「道路除雪のやり方がいつもと違った」と言っています。青倉では県の職員が集落内道路の随所に立ち、交通整理をしていました。また、仮設住宅では駐車スペースの半分以上にロープが張られて、駐車できないようにされました。いずれも、視察団の車のためです。国会議員の視察団は“大名行列”なのでしょうか?
 中条橋落下地点の写真をご覧ください。


 写真は15日撮影のものですが、写真の左半分にはわずかの積雪しか見られませんが、もともとは写真右側の積雪と同じ状態だったのです。視察団のために除雪して「展望台」を設けたのです。

 私は中条橋が落下した様子を撮影して報告していますが、その撮影の際は新雪で太腿まで雪に埋まるような積雪の中を雪まみれになりながら入っています。まったく同じようにやれとまでは言いませんが、積雪で容易に近づくこともできない所で落下事故が起きているという、あるがままの事実を見てこそ、栄村の雪害と震災の重なりという災害の本当の姿を知ることができるのではないでしょうか。

 こんな話も聞きました。「今日は青倉トンネル内の照明が煌々(こうこう)として明るかった。いつもは消したり、照度を落としたりしていて、とても危険なのに」。平素は、晴天の日など、雪で道路周辺が真っ白な状態からトンネルに入ると、一瞬、何も見えなくなるほどに暗いのです。

 今回の視察をお世話されたのは県庁職員のようですが、あるがままの現実の視察が行なわれるように、その姿勢を改めていただきたいと思います。

どれが本当の車線なの?


 この写真をご覧になって、どの白線が本当のセンターラインなのか、パッと判断できるでしょうか?国道117号線の中条地区近くの路上を撮影したものです。12月のある時期からは、破線になっているのがセンターラインで、その両側にある白線は以前のセンターラインと路側を示すものです。

 私は年末のある日の夜、ここで怖い目に遭いました。この写真の奥の方から手前に向かって(横倉から森に向かって)走っていたとき、反対方向から大型のトラックが写真の3本のラインのうち、いちばん右側のラインをセンターラインだと思って、猛スピードで走ってきたのです。私は破線で示されているセンターラインに従って走っていましたので、「このままでは衝突する」と思い、咄嗟に車は左側に寄せて難を免れましたが、本当にヒヤッとしました。

 事故をめぐっては、「1件の重大事故の裏には30件の事故があり、さらに300件のヒヤッと事件がある」と言われます。
 このわかりにくい車線表示をこのまま放置しておくことは許されないと思います。道路管理者の県建設事務所は震災復旧工事が終わっていない国道117号線について、道路パトロールを頻繁に行い、こういう危険な状態を一刻も早く取り除くべきだと思います。

NBSニュースの栄村中継で考えたこと

 26日夕のNBSテレビのニュース、栄村からの中継でした。6時15分から7時まで45分の番組でした。民放ですので、CMが入り、全時間が栄村からの中継というわけではありませんが、かなりみっちりと栄村の震災と復興を取り上げてくれました。
 横倉仮設住宅の集会所が臨時のニューススタジオのような感じになり、私がキャスターの人の質問に答える役となりました。

 NBSでは事前に村内の200人の人にアンケートをし、50名近くの人から回答を得て、その内容が番組の中で紹介されました。
 このアンケートを私も読ませていただきましたが、考えさせられることが多いものでした。

雪が降りしきる中での中継。                     
キャスターの上小牧(かみこまき)さん(右)と大谷さん

●「老後の資金を使い果たした」という声

 いちばん深刻だと思ったのは、「家は直したが、そのために老後に備える蓄えをすべて使い果たした」というものです。
 そういうケースがあるだろうと私も思い、一度、きちんと調査しなければならないと思っていただけに、強い衝撃を受けました。
 被災者生活支援法による支援金や村に寄せられた義援金の配分などがなされていますが、何百万、いや千万円単位の費用を要した人の場合、自らの貯蓄を取り崩しての自宅修復です。若い人ならば、まだこれから稼いで貯蓄することも可能かもしれませんが、高齢者の場合はそうはいきません。本当に「老後の資金がなくなった」ということになります。

 先に報告したように、次年度以降、「復興交付金」事業が始まりますし、また、県に10億円が積まれた復興基金があります。しかし、これらは直接的に個人の資産形成につながるものに出費することはできません。
 では、このまま放置するのか。
 そういうわけにはいきません。何か工夫が必要です。

 たとえば、村独自の制度として、「被災高齢者福祉特別支援制度」というようなものを創設することはできないでしょうか。自宅修復等の実態を詳しく調べ、老後の生活資金の多くを失った方を対象として、各種負担金の免除や福祉サービスの無償提供などの仕組みを創設し、それを復興交付金事業や復興交付金を活用して運用していくのです。検討の可能性が十分にあるのではないでしょうか。東北の被災地でも同様の事例はあるでしょうから、自治体間で連携して制度の検討を行うことも追求してみるといいと思います。
 手始めに、このアンケート回答の方と同じようなケースがどれくらいあるか、民生委員さんのご協力などを得て、調査することができれば、と思います。


復興特区法とはどういうものか

 9日の「信毎」(信濃毎日新聞)4面に「復興交付金運用 15年度まで運用可能 栄村など対象 制度要綱」という見出しの記事が出ました。重要な記事なので全文を以下に紹介します。

* 信毎の記事
東日本大震災の被災自治体向けに政府が新設する復興交付金の制度要綱が8日、判明した。2011年度第3次補正予算に計上された総額約1兆9千億円を年度内にすべて消化するのは難しいため、市町村が交付金を原資に基金をつくり15年度までに順次、取り崩すなどの運用ができるようにする。
下水内郡栄村を含む11道県222市町村が対象。交付金を基にする事業計画について、政府は来年1月末にも第1次の提出を締め切る。自治体ごとの配分額の決定は3月前半までかかる見込みだが、配分額が決まる前でも事業の先行着手を認めて迅速な復興を支援する。
要綱では、計画期間は最長で15年度まで。集団移転や公営住宅建設など国の補助事業40種類に使え、地方負担は実質ゼロとなる。
一部は補助対象外の避難路整備、浸水予測図の作成など、復興の効果を高める事業にも使える。ただ㈰住宅購入の助成など個人資産の形成につながる㈪自治体職員らの人件費に充てる―などのケースは認めず、公益性や国の施策との整合性も確認する。
 以上が「信毎」の記事全文です。
 共同通信配信の記事のようで、政府の復興本部への取材によると思われる内容もあるようです。基本的に内容に間違いはないといえますが、「復興特区法」「復興交付金制度」について初めて知る人にとっては理解が難しい点もあるように思います。そこで、「復興特区法」の原文、国が発表した「復興特別区域基本方針(案)」(以下、「基本方針」と略)、「東日本大震災復興特別区域法資料」(以下、「資料」と略)を参考にして、少し解説を加えたいと思います。


* 「復興特区法」とは
 新聞などを見ると「復興特区」あるいは「特区」という言葉が乱舞している観がありますが、その意味は必ずしも明確ではありません。
 法律の正式名称は、「東日本大震災特別区域法」です。この「特別区域」を略して「特区」と言っているわけです。
 この法律は、㈰復興特別区域基本方針、㈪復興推進計画の認定及び特別の措置、㈫復興整備計画の実施に係る特別の措置、㈬復興交付金事業計画に係る復興交付金の交付、について定めています。

 
* 栄村は「特別区域」対象の1つだが、自動的に「特区」になるわけではない
 「特区」、すなわち「復興特別区域」は、今回の「震災により一定の被害を生じた区域である222市町村の区域(「特定被災区域」)が対象となります。栄村はこの「特定被災区域」に認定されています。
 しかし、この「特定被災区域」であれば自動的に「復興特別区域」(特区)になるわけではありません。
 「特区法」に定められた「復興推進計画」、「復興整備計画」、「復興交付金事業計画」のすべて又はそのうちの1つでも作成して、国に申請し、国の認定を受けることが必要です。


* 「復興推進計画」、「復興整備計画」、「復興交付金事業計画」とは
 そこで、3つの「計画」とはどういうものか、簡潔に見ておきます。(以下の記述は国の「基本方針」から引用しています)

復興推進計画
規制・手続の特例や税制上の特例等(「規制の特例等」と呼ぶ)を受け
るために県、市町村が単独又は共同して作成する計画。

復興整備計画
土地利用の再編に係る特例許可・手続の特例等を受けるために、市町村
が単独又は県と共同して作成する計画。

復興交付金事業計画
相当数の住宅、公共施設その他の施設の減失又は損壊等の著しい
被害を受けた地域の地方公共団体が作成する計画であり、これを内閣総理大臣に提出することにより、予算の範囲内で、当該事業の実施に要する経費に充てるための復興交付金の交付を受けることができる。
 行政文書の文言ですから、なかなか理解しにくいものがありますが、栄村にとっていちばん重要なのは「復興交付金事業計画」です。
 この「復興交付金事業計画」を提出しなければ、せっかく国が用意した復興交付金が栄村には来ないことになってしまうからです。
 もちろん、「復興推進計画」、「復興整備計画」が栄村とは関係ないというわけではありませんが、これについては栄村が「震災復興計画」をしっかりと持っていれば対応が可能だと思われます。
 

* 「復興交付金」とは
 さて、栄村にとって最も重要な「復興交付金」についてです。
 これは、「復興特区法」と同じく9日に閉会した臨時国会で成立した平成23年度第3次補正予算に盛り込まれているものです。規模は1兆5,612億円です。
 
 財務省の資料では、つぎのように記されています。
被災地方公共団体が自らの復興プランの下に進める地域づくりを支援し、復興を加速させるため、東日本大震災復興交付金を創設
土地区画整理事業・防災集団移転事業等の復興地域づくりに必要な各種補助メニューを一括化することに加え、復興地域づくりに必要となる各種ハード・ソフト事業を実施可能とする使途の自由度の高い資金を確保


<基幹事業と効果促進事業>
 復興交付金の対象となる事業は「基幹事業」と「効果促進事業等」の2本立てになっています。
「基幹事業」
「被災自治体の復興地域づくりに必要なハード事業を幅広く一括化」して交付金の対象とするもので、5つの省の40事業が対象とされています。事例をあげますと、災害公営住宅整備事業、道路事業(市街地相互の接続道路、道路の防災・震災対策等)、農山漁村地域復興基盤整備事業(集落排水等の集落基盤、農地等の生産基盤整備等)、農山漁村活性化プロジェクト支援(復興支援)事業(被災した生産施設、生活環境施設、地域間交流拠点整備等)などがあります。

「効果促進事業等」
「基幹事業と関連し、復興のためのハード・ソフト事業を実施可能とする使途の緩やかな資金を確保」するもの。

<地方負担の軽減>
 こうした事業を実施するうえで地方(市町村、県)の負担が実質ゼロになるように手当されます。
 まず、「追加的な国庫補助」です。
 たとえば、農業農村整備事業の場合、通常は国50%、地方50%ですが、その「地方負担50%」の50%が国庫補助の対象となります。
 すると、地方は事業費の25%を負担しなければなりませんが、それについては「地方交付税の加算」によって手当されます(このための経費1兆6,635億円が第3次補正予算で確保されています)。
 また、「効果促進事業等」については、80%が国庫補助の対象となり、残りの20%が「地方交付税の加算」で手当されます。


* 復興交付金は平成23年度中に交付

 ところで、国の予算(財政)は単年度主義です。つまり、平成23年度予算のお金は平成23年度中に使いきることになっています。
 ですから、上に説明した復興交付金1兆5,612億円及び地方交付税交付金1兆6,635億円は平成23年度中に該当自治体に交付しなければならないのです。
 しかし、自治体の側では、交付される何百億円、何千億円のお金をこれから数ヶ月のうちに使いきることなど到底できません。

 そこで、市町村は「基金」をつくり、交付される何百億、何千億のお金をそこに入れます。いわば貯蓄するわけです。そして、それを交付の前提として国に提出した「復興交付金事業計画」に基づいて数年間にわたって支出していくわけです。先の「信毎」の記事ではその「数年間」が2015年度(平成27年度)までだとされています。
 
 以上が、「復興特区法」と「復興交付金」の内容です。

栄村がいま、やらなければならないこと

 栄村は、通常の年間予算規模が約25億円程度です。それに対して、本年度は震災復旧の各種事業への国の補助金等を受けて、補正後の予算規模が90億円を超しています。来年度以降も、震災復興には、平時の財政規模を大きき超える予算が必要となります。そのための原資となるのが、ここまで説明してきた復興交付金等であるわけです。

* 「復興交付金事業計画」の作成・提出
 さて、ここまでの説明であきらかですが、復興交付金、さらに地方交付税交付金の追加交付を受けるには、「復興交付金事業計画」を作成、提出し、国の認可を得ることが必要です。
 復興交付金の交付は平成23年度中、すなわち来年3月31日までに完了しなければなりませんから、国による審査等の時間を考えると、村は「復興交付金事業計画」を1月末頃までに国に提出することが必要だと判断されます。

* 前提は村の復興計画
 「復興交付金事業計画」ですが、当然のことながら、交付金が得られるように、なんでもかんでも書けばいいというものではありません。国は村の復興が実現されるために真に必要な事業・費用であるかどうかを厳しく審査します。復興交付金の総額が1兆5,612億円だといっても、東北の大きな被害を受けた地域がたくさんあるわけですから、少なすぎるくらいです。よほどしっかりした計画でなければ認められないでしょう。
 そこで重要となるのが、村の復興計画です。

 ところが、わが栄村では復興計画の策定が圧倒的に遅れています。東北の市町村は大半がすでに復興計画を策定し終わっているのに対して、栄村では12月7日の村議会で説明されたところによれば、復興計画の策定が終わるのは来年10月とされています。これではまったく間に合いません。
 かといて、いまから大急ぎで短期間で策定し終えるわけにもいかないでしょう。

 考えられることは、ひとまず、暫定計画を作成し、「復興交付金事業計画」の前提をつくり、その暫定計画が来年10月までに策定される本計画につながるように工夫することだと考えられます。

 5月14日に開催された村と県が主催の「栄村の復興を考える会」で出された村民の意見・要望、10月16日に開催された村と信大が主催の「栄村復興シンポジウム」での報告と意見、さらに11〜12月の集落懇談会で出された住民の不安・要望などを基にすれば、暫定計画に盛り込むべき基本的内容は浮かび上がってくると考えられます。

 栄村の立ち遅れは否(いな)めませんが、まだなんとか間に合わないわけではありません。
 専門家の支援等もいただいて、年末から年始にかけて、村民打って一丸となって復興にむけて努力するときだと思います。

栄村復興への歩みNo.90(通算第124号)

● 復興基金ができることになりました


復興基金創設を報じる各紙

 18日の各紙で報道されていますが、私たちが切望してきた復興基金をつくることが国(総務省)から発表されました。
 朝日新聞は「復興事業には国が補助金を出しているが、使い道が限られていることが多いため、自治体が……独自の施策で自由に使えるようにする」と報じています。
 被災地9県で総額1960億円。財源はすでに国会で成立している第2次補正予算で確保された特別交付税約4600億円の一部を充てるとのこと。また、阪神大震災や中越大震災での復興基金は、基金の運用益を事業費にあてる「運用型基金」でしたが、最近の経済情勢では運用益は見込めないとして、「取り崩し型」とされます。つまり、各県に割り当てられた基金を直接に事業に使い、残金がなくなった時点で復興基金は終わるという方式です。
 すでに国の予算は確保されていることから、基金創設の予算や条例を県議会が成立させ次第、国から県に基金に充てる特別交付税が交付されます。時期は12月頃になるといわれています。

●問題は長野県への配分額。県と共にたたかい、増額の実現を
 しかし、手放しで喜ぶわけにはいきません。
 総額1960億円のうち長野県に配分されるのはわずか10億円だからです。
 岩手・宮城・福島の3県に手厚く配分される(それぞれ420億、660億、570億)のは当然だと思いますが、たとえば栃木県が40億円という金額と比較すると、10億円というのは到底納得できる額ではありません。
 配分の根拠は公表されていませんが、私は人口が一つの基礎になっているのではないかと推測します。しかし、栄村が地震でうけた被害の大きさを考えれば、人口で必要額を割り出すのは無茶な話で、10億円では到底足りません。川端総務相は記者会見で「この基金で10年は事業ができる」と発言していますが、10年間で10億円では1年あたり1億円に過ぎません。村を一から再建しなければならないほどの大被害を受けていることを考えれば、それはあまりに少ない。再考を求めねばなりません。
 川端総務相は記者会見で「更なる積み増しも考えているのか」という記者の質問に対して、「経過を見ながら対応するときがある、必要があれば対応したい」と発言しています。
 ここは県の力もお借りして、国にモノ申していくことが是非必要だと思います。

●使い方の検討・仕組みが必要
 同時に、この復興基金の使い方、それを決める仕組みづくりが非常に大切だと考えます。
 川端総務相も言っていますが、種々の事業に国から補助金が出る中で、この復興基金は〈自治体独自の施策に使える〉資金として創設されます。「復興基金は補助金のような面倒な手続きをしなくても済むから」ということで、補助金でやれる事業に復興基金を使うなどということがあってはなりません。

 中越復興基金は県が財団をつくり、地域から上がってくる要望を慎重に審議して基金の使い道を決めています。長野でも当然、そういう仕組みが必要です。
 県と力を合わせて、復興基金を有効に活用できるよう、集落の復興委員会(プロジェクトチーム)で集落復興のあり方を懸命に考え、創造していく努力が求められます。
 額はまだ少ないですが、道はひらかれました。みんなで考え、復興への知恵を出し合い、復興事業に取り組んでいきましょう。


復興に必要なおカネを国から出してもらえるように声を出しましょう

 ――「みんなが集落に戻り、暮らせるように」するために

 復旧・復興を進めるために必要なものは何といってもおカネです。
 年間予算規模が20億円強の栄村にはそんなにおカネがありません。でも、それは栄村に限られたことではなく、地震・津波の被害を受けた東北の市町村も同じです。
 最近のニュースでは、「地元自治体の負担額は特別交付税交付金で国が出す」という野田首相の発言がよく紹介されるようになってきています。


* 特別交付税とは
 国から自治体に出される地方交付税には、普通交付税と特別交付税の2種類があります。そして、特別交付税には、
普通交付税で措置されない個別、緊急の財政需要(地震、台風等自然災害による被害など)に対する財源不足額に見合いの額として算定され交付される
ものがあります。いま、復旧・復興の財源として言われている特別交付税はこれです。


* 積極的な提案が大事
 先週の国会でのやりとりをテレビ中継で見ていますと、被災地選出の議員が具体的な問題を出して、「こんなに巨額の費用が必要だが、地元自治体ではとても負担しきれない」という質問をすると、野田首相などが「それは初耳だ。特別交付税で国がおカネを出すように工夫したい」と答弁するケースが見られました。
 国は被災地の様子が十分にわかっているわけではありません。
 特別交付税で栄村に必要なおカネを持ってくることができるかどうか。それは黙っていても来るものではなく、村の側から声を出していくことが必要なのです。

 
* 野田内閣の責任ある人の栄村視察を求めよう
 野田首相は近日中に首相就任以来2度目の福島入りをされるそうです。しかし、よく考えてみると、野田内閣が9月に発足してからすでに1ヶ月以上が過ぎましたが、野田内閣の大臣等は誰も栄村を訪れていません。5月初めに当時の仙谷官房副長官が来られただけです。
 やはり村に来て、直接に村を見、話を聞いてもらわないと、栄村の復旧・復興に必要なおカネを持ってくることもできません。
 16日のシンポジウムに来ていただくのもいいかもしれません。