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栄村復興への歩み
2011年3月に震度6強の地震で被災した長野県栄村で暮らす松尾真のレポートを更新しています。

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野々海池の現在の様子

 お隣の津南町からため池の水がほとんどなくなったという話が伝わってきて、野々海池はどうなっているかが気になり、4日朝、青倉から野々海に上がる道を通って行ってきました。撮影した現在の野々海池の様子をご紹介します。


 上写真は堤に向かう道から撮影した様子です。池の向こう側に、いつもは見えない土の部分がかなり見え、水量が大きく減っていることがわかります。
 さらに、堤の部分や水の取り入れ口を見ると、水量が激減している様子がさらにはっきりとわかります。3枚の写真をご覧ください。

 
堤の部分                 取り入れ口


野々海池の東側の部分

 取り入れ口の状況を見ると、水路に水を送るのが間もなく難しくなる状況だと思われます。また、池の東部分にはもうほとんど水がありません。
 私が野々海池に初めて見たのは6年前のことですが、こんなに水が減ったのを見たのは、昨秋に復旧工事のために水が抜かれた時を除いては、初めてのことです。今夏の渇水の厳しさがよくわかります。
 ここにきて、時間的には限られたものですが、かなりの雨が降ることもあり、また、落水期までもう間もないことから、今年の収穫に大きな影響を及ぼすことは回避できるのではないかと思いますが、厳しい状況であることはあきらかです。
 自然とむきあって暮らしていくことの難しさを痛感します。
 それにしても、今年のような渇水を直面するとき、冬期の大量の積雪の雪融け水を野々海池に貯めるという大事業を成し遂げられた先人たちの功績のすごさが改めて痛切に感じられ、その偉業に敬服するばかりです。

新たに確認した地震被害の状況

 地震被害はすでに確認されているものだけではありません。
 この春になって、青倉・西山田への農道脇にたつ電柱が大きくずれていることに気づきました。


 2本の電柱が上の方で重なり合うようになっています。根元を確認すると2本ともずれていますが、とくに左側の電柱が大きくずれています。この場所に延長線上に青倉集落の被害が激しかった地域があります。地面が滑ったことは明白だと思います。下の写真もご覧ください。 


 また、「素敵な景色」で紹介した坪野の林道からは、切り捨て間伐された杉の木が地震や雪で道へ落ちている、今後落ちる危険がある様子を確認しました。3月12日、小滝と月岡の間を通行不能にしたのも、雪崩と同時に落ちてきた切り捨て間伐材であったことを想起しなければなりません。いまは切り捨て間伐は基本的にしないようになってきていますが、以前のものの後始末も真剣に考えなければならないと思います。


被害調査のために

 復興計画の策定では震災被害のきちんとした把握‐安全環境の確保を重視しています。
 第129号(3月10日付)で報告した百合居橋近くの崩壊したスノーシェッド脇の山肌の崩れについて、比較対照できる写真を探し出しましたので、紹介します。


3月10日号掲載の写真


昨年8月24日撮影の写真。
写真中央に見える土の部分が復旧工事の対象となった箇所で、上(3月10日号)の写真では右端に見える崖崩れ防止の工事がされているところ。この箇所の左は8月24日の写真では木が生えているが、今年3月の写真では山の斜面の土が全面的に崩れています。なんらかの対策が必要ではないかと思います。


写真展から

 震災・復旧・復興記録写真展は多くの方々のご来場をいただき、18日に終了しました。東京や村内で展示したいというお声もいただいています。一人でも多くの方に見ていただくために、今後も努力していきたいと思います。


 山本一郎さん(野田沢)からご提供いただいた3月12日当日の野田沢集落内道の様子です。雪の壁が崩れ、通行が困難になっていました。今後の防災対策を考えるうえで教訓化すべきことだと思います。


写真展から


 12日から役場1階ホールで写真展を開催しています。手づくりの、ささやかなものですが、ご注目いただき、たくさんの方にご来場いただいています。
 その展示写真の中から、このレポートではこれまでに取り上げたことがない写真を数点、紹介します。


 地震で動いた三角点。宮川吉郎さんご提供の写真です。撮影場所は青倉・西山田です。宮川さんは村内いろんなところを歩いておられますが、三角点が動いたのを見たのはここだけだそうです。


 3月12日地震発生から間もない午前5時6分撮影の村道小滝月岡線の雪崩の様子です。倒木も見られ、除雪だけでは通行再開できず、小滝はヘリでの避難となりました。この状況の中、徒歩で役場に向かわれた樋口正幸・民子ご夫妻が撮影されたものをご提供いただきました。


 国道117号線の栄大橋。橋と道路が離れてしまった様子がはっきり見えます。3月12日午前6時32分撮影。ここには現在も鉄板が敷かれています。


写真展を開催 3月12日から


  会場:村役場1階ホール
  日時:3月12日(月)午前10時から、3月18日(日)午後3時まで
      (13日〜17日は午前9時〜午後9時)

まもなく3月12日。あの地震から1年目を迎えます。
この一つの節目にあたって、NPO法人栄村ネットワークは「震災記録写真展」を開催します。
村民のみなさまに写真提供を呼びかけ、収集した成果です。
発災、避難、被害の様相、そして、復旧、復興への歩み、その中で浮かびあがってきている栄村の地域資源などを写真で示していきます。
小さな展示会ですが、中身は濃いと自負しています。

1年目を迎えるいま、改めて痛感していることは、地震被害は現在進行形だということです。
「発災から1年も経てば、復旧工事もかなり進み、あとは復興あるのみ」というわけではありません。農地も、家も、道路も、「見えない被害」が拡大しながら、じわじわと顕在化してくるのです。
被災の現実を不断に見つめ直しながら、復興への道を確かなものにしていくことが大事だと思うのです。

そういう意味で、「思い出したくない」という気持ちも汲みながら、しかし、被災の事実も改めて見据え、そして同時に、この1年の過程で浮かび上がってきている《新しいパワー》も示す写真展にしたいと思っています。

みなさま。どうぞ、会場へお運びください。


震災記録写真を募集しています

 以前にもお知らせしましたが、震災1周年にむけて、震災記録写真を集めています。
 みなさまのご協力で、貴重な写真がたくさん集まっています。
 現在、つぎのような写真を求めています。お手元にあれば、是非、ご連絡・ご提供ください。
* 農機具が収納されている車庫・作業所の被災の様子
* 住宅の地盤にクラックが入るなどして修復が難しい被害の事例
* 坪野集落の地震当日の避難路の様子
 (雪崩・土砂崩れで道路が通行不能になった)
* 国道405で余震で岩が落下し、通行不能になった様子

 ご協力、よろしくお願いします。
                

栄村復興への歩みNo.93 (通算第127号)

 来週はまた気温が上がるようですが、昨夜、一昨夜は寒かったですね。27日夜は8時過ぎで6℃でした。気温が下がって紅葉が美しくなるのは嬉しいのですが…。

● 改めて被害の凄まじさを見るーー暮坪にて
 昨27日、暮坪というところに行ってきました。1971年に集落が消滅したところです。
(注)栄村でこれまでに消滅した集落は暮坪と今泉(1974年)の2つのみ。今泉は青倉集落に統合されましたが、いまも耕作が行なわれており、現在では「ふるさとの家」の杉浦さんが冬期以外はお住みになっています。

 暮坪には奈免沢川が流れていて、その上流から志久見集落などへの水路が引かれています。その水路が大崩壊したことは震災直後から聞いていましたが、かなりの山中でもあり、震災以後、昨日まで行っていませんでした。まず、つぎの写真をご覧ください。


 村道滝見線から暮坪への道に入り、もう間もなく集落跡という地点で大きく山が崩れています。見える道は復旧工事で開けられたものです。
 

 上の写真の上方を見たものです。山が全体として崩れたことがわかります。なお、左上から真ん中にかけて黒い線状のものが見えますが、これは震災後に敷設された志久見水路の仮水路用黒パイプです。


 本記事写真1枚目の道路の下を撮影したものです。右方にわずかに奈免沢川の流れが見えますが、奈免沢川の流れる谷一帯が山崩れの土砂で埋まったことがわかります。



●滝見線の最も激しい崩壊現場
 村道滝見線の被害については本レポート第18号(5月3日)で報告したことがありますが、滝見線から暮坪集落に向かう道に入るところにある橋(奈免沢川に架かる橋)から先200〜300mの間だけは見に行ったことがありませんでした。
 その200〜300mの間に、山が崩れ、道が無くなっている箇所があります。27日、そこにも行って撮影してきました。
 

通行止めの看板から歩いて進むと、大きな杉の木が横倒しになっています。
  

 上のように山が完全にぬけ、道がなくなっています。次頁の写真では、この山崩壊の地点の先に村道滝見線の続きが見えます。


写真の右真ん中あたりに滝見線のアスファルトが見えます。下の写真は、この崩壊地点を奈免沢川を挟んで対岸の滝見線から撮影したものです。




 もう1枚紹介します。

 これはさきほどの滝見線崩壊箇所の近くで、奈免沢川が千曲川に注ぎ込む直前の左岸上の崖の崩落箇所です。崩壊規模は滝見線崩壊箇所よりも大です。
 じつはこの崩壊した崖の上、写真の右手のちょっと奥が志久見街道の絶景ポイントです。30日の古道歩きのむらたびでは、この崖の上まで行くことができます。そこには「地震とはこういうものなのか」と、目に見える形で理解できる大きな地盤の亀裂を見ることができます。その様子は30日の報告の際に写真紹介することにします。
 この崖の上に立つと、中条川上流の山崩れ現場が真正面に見えます。
 どうやら、今日報告した暮坪の山崩れ地点、この箇所、そして中条川上流の山崩れ地点、これらがほぼ一直線上にあるようです。一度、これまでに確認した大規模被害地点を地図に書き込んで、被害が甚大な地点が帯状に連なっていることを明示するようにしてみたいと思っています。


志久見街道を歩く


山からの水が岩の上を流れ落ちる


木の根の間に石が3つ挟まっている


欅(ケヤキ)の巨木


欅の巨木
別アングルで撮りました

栄村点描

夫婦で仲良く畑仕事

 小滝の中沢直治さんご夫婦です。


水路のある風景

 栄村にはよくある風景ともいえますが、木造の納屋と水路の組み合わせに気分をホッとさせられます。箕作集落です。