山田武雄さん(和山)が“川の名人”に認定されましたーー《聞き書き甲子園》をみなさん、ご存知ですか?
- 栄村の名人
- 2018.03.27 Tuesday
和山集落の山田武雄さん、ご存知の方も多いと思います。
その武雄さんが下写真に見られるように、“川の名人”に認定されました。
イワナのテンカラ釣りの名手で、テンカラ釣りに使用する毛鉤作りの名手でもある。さらに、イワナの「永久原種保存区」として雑魚川・魚野川を守る活動に従事してこられました。長年にわたるそうした活動が評価され、“川の名人”として認定されたのです。
● “聞き書き甲子園”という大会
山田武雄さんが“川の名人”に認定されたという話、マスコミ等では報道されていません。私がこのことを知るに至ったきっかけは昨秋9月20日の昼すぎ、和山の公民館近くで下写真の女子高校生に出会ったことでした。
近くに「群馬県立利根実業高校」と書かれた車が停まっていました。たった3人の姿しか見えないので不思議に思いながら、先生と思われる男性に声をかけてみました。「何か研修で来られたのですか?」、「ええ、《聞き書き甲子園》というので“川の名人”に話を聞きに来たのです」、「へえ〜、“川の名人”って、どなたですか?」、「山田武雄さんという方です。お家、分かりますでしょうか」、「あぁ、あそこのお家ですよ」。
《聞き書き甲子園》という大会、私はじつは知っていました。関係者が8〜9年前に栄村に来られたことがあるからです。
この《聞き書き甲子園》の結果がずっと気になっていました。
● 2月27日、そして3月3日、山田武雄さんから詳しいお話をお聞きしました
2月下旬、山田武雄さんから「『復興への歩み』の購読料を渡したいので来てくれませんか」というお電話をいただき、2月27日午後、お宅を尋ねました。そして、
「武雄さん、あの話、どうなりましたか? 《聞き書き甲子園》で
来た女子高校生です。」
「ああ、認定証が来たよ。ほら、そこに掛けてある。」
「あっ、これですか。生徒が書いた《聞き書き》は出来たのです
か?」
「届いているよ。これだよ。」
上写真が、生徒さんが書いた《聞き書き》の冊子の表紙です。
女高生は高山七星さんというお名前のようですが、9月20日と11月15日の2回にわたって山田さんにインタビューし、武雄さんのお話をすべて書き留められたようです。標準語に直して書き留めるのではなく、武雄さんの言葉のままに書き留めるのです。そして、それを最終的には5千字のレポートにまとまられました。
読ませていただきましたが、武雄さんのこれまでの人生の歩み、そして原種イワナを守る活動の全貌とその苦労がよくわかる優れた作品です。
● 武雄さんの思いを引き継げる秋山郷にしたい!
高山さんのレポートの最後には、武雄さんの思いが凝縮して記されています。引用させていただきます。
「秋山郷で生きてきて、過去を振り返ってみるとイワナの
原種保存が一番大事だと思う。それをテーマに俺は一生
懸命やってきたんだ。
秋山郷毛鉤を守るのは無理だね。……若いもんは皆出て
行っちゃうからね。後継者がいないっていうのが現状だ。
『俺たちが伝えたくても、受け継いでくれる人がいない』
ってことだ。でも、若い人が出ていくのも仕方がないなあ。
だって、仕事が秋山郷にはねえんだもん。どうしたら若い
人が来るか、……なかなか難しいねえ。」
武雄さんの熱い思いと苦渋がひしひしと伝わってきますねえ。
高山さんのレポートの一節。写真は武雄さんと高山さん
前号で書いた「栄村のブランド再建」の記事とつながりますが、村民みんなの知恵と力をまとめあげていけば、〈秋山郷に仕事をつくる、若者が秋山郷で働き、伝統の技を引
き継ぐ〉ということは可能だと思います。
● テンカラ釣りを秋山郷体験型観光の目玉商品の1つに
〈宿は“山の宿”として雄川閣、テンカラ釣りの話と毛鉤作りの手ほどきは武雄さん、渓流釣りのガイドは相澤博文さんと秋山郷の若者一人(候補はいます)。〉
こんな体験型ツアー、絶対に人が集まります。
後継者確保までには少なくとも10年ほどかかるかと思いますが、観光活性化(温泉宿泊施設の客数増加)とワンセットで秋山郷を元気にすること間違いないです。
これを皮切りに、秋山郷の古老たちがいろいろと語り始め、いろんな体験型ツアー、後継者確保への動きがにぎやかに始動していく。
夢が膨らみます。
これが栄村のブランド再建の具体的な道筋だと思います。
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栄村復興への歩みNo.330 2018年3月26日発行 (1部100円)
編集・発行人 松尾真 連絡先:電話080−2029−0236、 mail;aokura@sakaemura.net
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